INTERVIEW
Azit | CS(コミュニティサクセス)責任者

「日本らしいモビリティの未来を」
メルカリ出身、CS責任者が選んだ次なるステージ

掲載日:2019/09/04更新日:2019/09/11

メルカリ出身のCS責任者、小川直樹さん。次なる舞台に選んだスタートアップがAzit(アジット)だ。日本発のモビリティ・プラットフォーム『CREW(クルー)』を仕掛ける彼ら。「まだ市場さえもない。勝ち組もいない。それが最高におもしろい」と語ってくれたーー。

電通、DeNA、メルカリ出身者たちが集うスタートアップ

「メルカリでの経験は僕にとってすごく衝撃だったんですよね。知らない人と人が自然とつながり、新しい価値観を生んでいくというか。今度は自分の手で“それ”を作りたいと思いました」

こう語ってくれたのが、『CREW(クルー)』におけるCS(*)責任者、小川直樹さんだ。もともとメルカリの急成長期にCSとして参加。

DMM.comグループ会社のPicApp(ピックアップ)を経て、日本発のモビリティ・プラットフォーム『CREW(クルー)』を手がけるAzitに入社した。

『CREW』は「車を持っている人」と「車に乗って移動したい人」を繋ぐモビリティ・プラットフォーム。ユニークな仕組みとして、任意で “謝礼” を支払うことができる。

「CREWは “ありがとう” と “おもてなし” の循環をコンセプトとしています。あくまでも、任意の謝礼は "ありがとう" の気持ちを表す、ひとつの手段なんです。」

"一緒にドライブを楽しむ" という概念を掲げる『CREW』は、海外勢のモビリティ系サービスとは根本的に異なるものだ。

そして今、電通、DeNA、メルカリなどの出身者が集い、アップデートが進む。同時に、「ありがとうとおもてなし」のカルチャーは、徐々に広がりを見せている。

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CREW(クルー)
「乗りたい」と「乗せたい」を繋げるモビリティプラットフォーム。CREWパートナーは厳正な審査基準を通過し、研修を受けた人のみとなっている。

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配車から支払いまで、すべてがアプリ上で完結。移動にかかった実費と手数料、任意の謝礼から支払い金額が決まる仕組みだ。

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小川直樹│オペレーショングループ コミュニティサクセス責任者
株式会社ロコンドでCSを経験した後、株式会社メルカリへ。同社の新規事業のCS部門立ち上げ、育成体制の整備に取り組んだ。また、スタートアップ界隈のCSをつなげるコミュニティ「CS JAM」を発足・運営。2018年10月にAzitへ。現在、CREWパートナーとCREWライダー双方のCX最大化に向けて、オペレーション最適化に取り組む。

CS(*)…Azitでは「コミュニティサクセス」を意味する。コミュニティとのつながりを深め、貢献していくといった思いが込められている。

日本ならではの、モビリティの未来へ

『CREW』は都市部だと、短距離移動などに活発に使われている。

ただ、「ちょい乗りニーズ」を満たすことがゴールではない。彼らが見据える先にあるのは、「移動で日本全体の交通課題を解消していくこと」だ。

たとえば、人口5000人ほどの与論(ヨロン)島にて、地方における交通過疎地の課題解決に向けた、実証実験も行なっている。

「与論島は年間で7万3000人もの観光客が訪れる島なのですが、タクシーは8台しかなかったんですよね。遠くの観光スポットまで歩く人がいたり、宿に戻るために何時間もタクシーを待たないといけない人がいたり…いろいろな問題が起きていた。お客さんはもちろん、島にとっても損失が起きていたんです。ここは一緒に解決できるんじゃないかと取り組みを行ないました」

島の状況にあわせて『CREW』の実施時間、オペレーションを設計。多くの島民がCREWパートナーとして参加をしてくれた。そして、実験の結果は予想以上の反響だったという。

「観光客はもちろん、CREWパートナーとして参加してくれた島民の方にもすごく喜んでいただけたんですよね。とくにコミュニケーションが活発に発生して“楽しい”と」

移動の問題を解決するだけではなく、地元住民の活気も感じられたという。

「まさに今、ビジネスデベロップメントのメンバーが交通課題を解決するために日本各地を飛び回っている最中。『CREW』を起点に交通課題が解決され、日本ならではの新しいモビリティのあり方を築けたらと思います」

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島民の自家用車を使って行った実証実験。観光協会やタクシー事業者の強い意向で、2019年4月からは本格的な運用がスタートした。

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CSが提供する「体験」こそ、事業成功の鍵に。

『CREW』を広め、「あたり前」にしていく。そのうえで超えていくべきハードルはどこにあるのだろうか。

「知らない人の車に乗ることって、はじめはどうしても抵抗感があるもの。ただ、一度乗車してみて、楽しかったり快適だったりすると、リピーターになってくれる人がとても多い。つまり一つひとつの体験こそが、事業の核を握るものになる。ここを最前線で提供していくのがCSの役割です」

そのために、CSは行動データと心理データ、両方と向き合っていく。

「たとえばCSでもSQLを叩いたり、NPSで取得したデータを用いてユーザー体験の仮説を立てたりしています。VOC(*)を吸い上げ、それがどのような属性のユーザーのものなのかも、分析していく。さらに同時に個別の面談や、複数人でのユーザー座談会なども行って、普段の問い合わせやアンケートだけでは拾えないリアルな声も聞かせていただいてます。なぜなら、“知らない人同士がマッチングしてドライブをする“ というリアルな体験からは、様々な感情や要望が生まれてくるから。それらを総合的に考えた上で、サービスに反映させていく。体験としてユーザーに返していく。そういったサイクルを回していくことで、ユーザーの満足度が高まっていく。ここが“リアル”をベースにした事業をつくっていくおもしろさですよね」

Azitにおいて、「CS」は「コミュニティサクセス」を意味する。ここには、ある思いが込められている。

「『CREW』はいわば、CREWパートナーとCREWライダー、双方のユーザーが集うコミュニティなんです。だからこそ、追求すべきはコミュニティサクセス。コミュニティが心地よいものとなるように貢献していく。ただ単にインバウンドでのサポート対応だけをやるつもりはありません」

(*)Voice Of Customer

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「ユーザーコミュニティも、今後作っていきたいなと思っています。『CREW』が好きな方や、ドライブ・車が好きな方。人とのつながりが好きな方が集れる場所。オフラインでも実際のコミュニティを設計していく予定です」

「人々の行動」をより良い方向へと変えたい

最後に伺えたのが、小川さん自身の想いについて。

「ゼロからなにかを作るのがおもしろそう。最初に『CREW』のCSの話を聞いた時は、シンプルにそれだけだったんですよね。ただ、実際に『CREW』に関わってみると、想像以上にたくさんの社会課題に向き合っていることに気づきました。たとえば、公共交通機関に頼れない地方だと、高いお金を出して遠くからタクシーを呼ぶ人もいる。また、ドライバーの高齢化も問題になっていますよね。マイカーに頼れなくなった家庭もある」

真剣な眼差しでこう続けてくれた。

「そういった人たちのためにも、僕らがつぶれるわけにいかない。同時に、移動にはすごく大きな可能性があるんですよ」

彼が見据えるのは、『CREW』が交通インフラになる未来。

「僕らのサービスが当たり前になれば、電車に乗るために駅まで行くといった行動自体がなくなる未来が来るかもしれない。満員電車も当然なくなるはず。お年寄りや体が不自由な人も活発に行動できるかもしれない。『CREW』によって世の中がよくなるとみんな信じて仕事をしていて。力を持った若い人たちが、熱すぎるくらいの熱量でやっている。まだ前例がない事業モデルを作っていく上で、もちろんハードなことはたくさんある。ただ、きっと数年後には笑っていられると思うんです」

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