2019年8月、三井物産×世界最大級のライブ動画配信プラットフォーム『DouYu』のジョイントベンチャーとして設立された、DouYu Japan。同社が仕掛けるのが、ゲームを中心としたライブ配信サービス『Mildom』だ。国内トップYouTuberをはじめ、ライブ配信に強みを持つクリエイターやeスポーツのプロプレイヤーが続々と参戦し、国内ライブ配信マーケットにおけるゲームチェンジャーとなろうとしている。
ここに2021年1月に入社したのが、今回取材した岡本愛さん(28)だ。もともと大手外資系コンサルティングファームにて、名だたるグローバル企業のコンサルティング支援に携わってきた経歴の持ち主。なぜ彼女は同社でのキャリアを選択したのか。その転職ストーリーから、DouYu Japanで得られるキャリア、仕事の醍醐味に迫っていこう。
ユーザー数2億5,000万人超ーー中国最大級のライブ動画配信プラットフォーム『DouYu』。ゲーム実況配信のライブストリーミングを主軸とし、2014年の設立から、群雄割拠、熾烈な中国マーケットを勝ち抜いてきた。いまや中国、さらにはグローバルで見ても最大規模の巨大プラットフォームとなっている。
そして2019年。日本の総合商社・三井物産が『DouYu』とタッグを組む。狙うは中国、そしてアメリカと並び、巨大なゲーム市場を誇る、日本だ。中国で築き上げた高レベルな技術力と運営ノウハウを武器に、ジョイントベンチャー「DouYu Japan」によって日本マーケットに攻勢をかける。
Mildom(ミルダム)
2019年9月、DouYu Japanがリリースしたゲームを中心としたライブ配信サービス。2020年5月には、ダウンロード数16万3000回超と、業界トップの数字を記録した(*)。その特徴といえるのが、『DouYu』の技術力をバックグラウンドとした高画質、低遅延による配信を可能とするユーザビリティ。さらに一般ユーザーも気軽に報酬が得られる、ミッション型の報酬システムを採用するなど、独自の機能・サービスによって視聴者・配信者の支持を獲得している。国内トップYouTuberをはじめ、ライブ配信に強みを持つクリエイターやeスポーツのプロプレイヤーが続々と参戦し、話題に。ユーザーの配信コンテンツに加え、オリジナル番組『MildomTV』、吉本興業とタッグを組んだ『よしもと自宅ゲーム部』など、公式番組も展開している。
「『DouYu』の持つ膨大な実績やナレッジは、私たちの大きな強みだと捉えています。例えばプロダクトの改修や新しい機能・サービスを検討する際、中国側ですでに実施していることも多い。その施策に対して、どういう数字が出るのかというナレッジまで出ている。気軽に情報共有のできる環境も整っており、そのノウハウを活かしながら、日本マーケットに展開していくことができます」
こう語ってくれたのが、DouYu JapanのCX部門で働く岡本愛さんだ。『Mildom』におけるユーザー体験向上をミッションに、戦略策定、プロダクト改善、サービスグロースのためのキャンペーン・イベント企画などを担う。
もともと彼女は大手外資系コンサルティングファームにおけるコンサルタントとしてのキャリアを経て、同社に転職した経歴の持ち主。なぜ次なるステージとして、DouYu Japanを選んだのか。
そこには「一人でも多くの人が、誰かとつながり笑顔になれる"居場所"をつくりたい」という純粋な想いがあったーー。
岡本愛(28)
東京理科大学薬学部を卒業。薬剤師免許を取得。2018年4月、新卒にて大手外資系コンサルティングファームに就職する。ヘルスケア領域を専門にコンサルティング業務に従事。2021年1月、DouYu JapanのCX部門に転職。
前職時代、大手外資系コンサルティングファームにて、ヘルスケア領域を専門にコンサルティング支援を手掛けていた岡本さん。
クライアントとするのは、メガファーマをはじめとした、名だたるグルーバル企業。AIを活用した営業・マーケティング手法や人事評価指標の構築、サイバーセキュリティ分野における整備など幅広いプロジェクトに携わっていた。
さらに新卒1年目にもリードとしてプロジェクトを任されるなど、やりがいや成長環境としても、申し分ない環境だったと語る。
なぜ転職という決断をしたのか。
「自分の考えた施策がグローバルに展開され、お客様のビジネスや会社自体を変えていく。そのインパクトの大きさとともに、やりがいも感じられていました。ただ、提案するだけでなく、自分が考えたものを社会に送り出し、どう受け入れられるかまで、責任を持って携わりたい。こうした想いが強くなっていきました」
転職を考えはじめたのは、入社3年目に差し掛かったころ。そのきっかけには、クライアントとのエピソードがあったという。
「以前携わらせていただいたお客様のプロジェクトに、再度関わる機会がありました。ふと前回ご提案をし、実際に施策を打った案件について伺ってみたのですが、「実はもうなくなってしまったんだよね」と。もちろん私の仕事はあくまでお客様の利益となる施策を考え、ご提案し、ご支援することだと理解はしていましたが、そのときなにか虚しさを感じてしまったんです」
そして彼女が次なるステージとして定めたのが、エンタメ領域における配信プラットフォームを持った企業だった。
「まず仕事でなにを実現したいかを考えたとき、人を喜ばせたい、という想いが一番にありました。もともと学生時代に、イベンターとしてイベントの企画や運営に関わっていた経験があって。お客様の喜んだ顔を見られることが、なにより幸せだと思える瞬間だったんですよね。特にこうしたエンタメ業界でのキャリアを考えていくなかで、インターネット上の配信プラットフォームを持った企業を軸として考えました。コロナ禍でリアルなエンタメが厳しい状況に置かれるなか、今後さらに求められるものになっていくだろうし、どんどん新しいチャレンジもできるはずだ、と」
数多の配信プラットフォームがあるなかでも、なぜDouYu Japanだったのか。
「もともと『Mildom』はアプリをインストールしていて、興味があって。加えて、配信プラットフォームとして生き残っていくために「こうすべきだ」と考えていたことを、実際に実践していたのもポイントでした。例えばポジティブ・ネガティブ両面で語られることもありますが、国内トップYouTuberなど有名な配信者の方を次々にプラットフォームに引き入れている。結局、視聴者は配信者についてくるもの。視聴者にとってより価値のある場所となり、プラットフォームとして成長する上で、こうした働きかけを戦略として行っている企業のスタンスに魅力を感じました」
さらに決め手になったのが、一人ひとりに真摯に向き合う、企業としての姿勢だ。
「DouYu Japanともう1社からオファーをいただき、悩んでいたとき、COOと面談の機会をいただきました。面談の場では「悩んでいることがあれば何でも話してほしい。不安に思っていることは解決するから教えてほしい」とお話いただいて。正直にお話をさせていただくなかで、真摯に一人ひとりと向き合う、会社としての姿勢を感じられました。ここは入社を決意する大きな決め手になりましたね」
そして2021年1月、DouYu Japanへ。所属するのは、『Mildom』のユーザー体験向上のための戦略策定、プロダクト改善、サービスグロースのためのキャンペーン・イベント企画などを担う、CX部門だ。
「私のミッションは、定性的な言葉でいうと、"また来たいと思われるようなプラットフォームをつくる"こと。そのために必要なことであれば、どんなことでも行っていきます。例えば、新しい機能を周知するために記事コーナーを新しくつくったり、視聴者の体験向上を目的にUIの改善を提案したり。まだまだ立ち上げフェーズでもあるので、やれること、やるべきことは膨大にある。非常にチャレンジングですし、すごくおもしろいですね」
充実した表情でこう語る彼女。その背景には、社員を信頼し、挑戦を支援する、会社としてのスタンスもあるといえるだろう。
「DouYu Japanには、自分のやりたいことは100%実現できる環境があると思います。もちろん部署やポジションによって違いはあると思いますが、うまくいくかいかないかわからないものでも、1回やってみよう、と言っていただける。最後まで責任を持ってやり切る意思さえあれば、信頼し、任せてくれる会社だと思います」
さらにこう続ける。
「一般的な企業では考えられないほどのスピードで、物事が動いていくんですよね。例えばイベントなどのコンテンツも、提案すればすぐに承認が通って、1週間で表に出していくことも。すごくスピード感のある企業だとは知っていましたが、想像の倍以上早かったです(笑)」
また率直に、入社してからの感想について、こう語ってくれた。
「仕事での虚無感やストレスといったものが、全くないんですよね(笑)。例えばコンサル時代はいかに"隙"を持たせずに、業務を遂行できるかが重要なポイントでもあったのですが、DouYu Japanでは隙があってもとりあえず前に進んでください、という環境。新しいミッションを担う上で、当然プレッシャーはありますが、周りから気軽にやっていいよ、と声をかけていただけます。こうしたなかでやりたいことをどんどん実現していけるのは、すごく恵まれた環境ですよね」
同社には同業企業をはじめ、SNSプラットフォーマー、大手メーカー、飲食業界の出身者など多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集う。
なかでも活躍する人材の共通項について、こう語ってくれた。
「自分の得意領域と不得意領域を理解し、しっかりと他者に開示できる人は強いですよね。得意領域を強く打ち出していれば、それを活かせる仕事が集まりますし、逆に不得意領域には得意な人を一緒にアサインしてプロジェクトをスムーズに進めることができます。そもそも多様な人材が集まっているから、尖っている部分がみんな違うという共通認識がある。苦手な領域があったとしても、当たり前に受け入れてもらえる環境があります」
そして取材終盤、伺ったのは、彼女自身が描く、今後のキャリアについて。
「私自身、長期的なキャリアプランを立てるのがものすごく苦手で(笑)。ただ一つ、明確な軸にあるのは、人を喜ばせたい、ということ。だからこそ、視聴者に喜んでもらえることがあれば、すぐに実行したいし、そのために全力で考え続けたい。"いま"を一つ一つ積み重ねながら、キャリアを築いていきたいと思っています」
こうした彼女の考え方は、DouYu Japanが掲げるミッションにも共通するものがあるといっていいだろう。同社では、「今以上の「いま」を、創造しよう。」というメッセージを発信する。"いま"この場所にいるユーザーが、どうすればより楽しさや喜びを感じ、満足感を得られるのか。答えのない問いを続けた先に、自身の価値や未来を見出そうとしている。
「特にいま、コロナ禍でリアルなコミュニケーションが難しくなるなか、孤独感や寂しさを感じている人も多くいらっしゃると思っています。そうした人たちが少しでも孤独を癒せる場所に、『Mildom』をしていきたい。例えばいま、寂しいときにTwitterやInstagramを開くように、『Mildom』に来て配信を通じてお話をする。そうした選択肢の一つになっていきたいと思っています。だからこそ、配信プラットフォームとして一番を目指していきたいですね」
(*)ゲームライブ配信最大手の闘魚(Douyu)、日本向けサービス「Mildom」が好調で業界トップクラスへ
https://36kr.jp/83945/