掲載日:2023/11/24更新日:2024/06/10
「総(すべ)て」を「務(つと)める」その名の通り情報通信、行政制度、地方自治、消防など「国民の生活インフラ」を支える総務省。同省にて行われる総合職公募(課長補佐級・係長級)にあたり、銀行員を経て、2022年4月に入省した山崎敬太郎さん(地域通信振興課 デジタル経済推進室 課長補佐)を取材した。どのように政策決定のプロセスに介在し、多様化する社会課題に向き合っているのか。そして総務省ならではの「働きがい」とは――。
「総務省」で、過去のキャリアとの掛け算を。
もともと銀行員として働いていたと伺いました。なぜ、国家公務員として働こうと考えたのか、きっかけから伺ってもよろしいでしょうか。
コロナ禍はきっかけの一つになったように思います。銀行員時代、フルリモート勤務が増えたことも影響し、仕事に対する価値観、キャリアについての考え方を見つめ直すようになりました。もともと銀行では法人営業からキャリアをスタートし、投資銀行業務、持株会社では企画業務などに携わり、おこがましいですが、順調にキャリアを築いてきたと思います。将来的には、重要なポストに就くこともできたかもしれません。ただ、あらゆる仕事の判断軸が、いかに組織に利益で貢献ができるか、出世できるかになっていることに気が付きました。それは、会社ですから当然なのですが、漠然と「本当にこのままでいいのか」と。あくまでも個人的にですが、銀行で得られるキャリア、生活、その先の人生にあまり価値を見出せなくなっていたのだと思います。
葛藤するなか、偶然見つけたのが「総務省」における民間人材公募でした。「日本」と言うと大げさですが、自らが所属するコミュニティに貢献をしていく。そういった国家公務員としての仕事に興味を持ちました。
特に「総務省」に惹かれた部分はどこにありましたか。
もともと地方自治、そして最先端の情報通信、DX領域に興味があり、「総務省」が所掌していることを知り、志望をしました。また、自身が築いてきた金融業界での経験と、「総務省」での経験、その二つを掛け算することで独自のキャリアにもつながる。そういった考えもありました。
もう一点、非常に印象に残っているのが、面接でのやり取りです。世に出ている政策に対して「あなたはどういった意見を持っているか」と視点を問われ、あたふたしたことを今でも記憶しています。与えられた状況においてどうすれば最適解にたどり着けるか。予算や法律の中でできること、できないことがある中、どう対応するか。多様なステークホルダーといかに調整をしていくか。銀行員時代には想像もできなかった「国家」を司る視点、考え方、事情に面接内で触れることができたように思います。「こういった考え方をする職員の方々が働いているのか」と非常に刺激をいただくことができた。それと同時に、今まで自分がいた世界では、恥ずかしながら物事の一面しか見えていなかったと気づきました。ここも「総務省」への志望度が高まった点です。
山崎 敬太郎(地域通信振興課 デジタル経済推進室 課長補佐)/37歳
2010年に新卒でメガバンクに入行し、名古屋の支店にて中堅中小法人営業を担当。その後、東京で法人営業を担当した後、シンジケートローン、ストラクチャードファイナンス、アセットファイナンス等の投資銀行業務を担当。その後持株会社に出向し、信用格付制度、不良債権開示等の企画業務を担当した後、2022年4月に総務省に入省。現在に至る。
社会的インパクトにつながる実感と喜び
総務省の所掌範囲は非常に広いと伺ったのですが、山崎さんご自身はどういった領域を担当されているのでしょうか。やりがいと合わせて教えてください。
主にローカル5Gの利活用と、医療DXの推進を手掛けています。具体的には、前者は2020年度に創設された「5G導入促進税制」を担当しており、後者では遠隔医療の普及とPHR(Personal Health Record=生涯にわたる個人の保健医療情報(健診(検診)情報、予防接種歴、薬剤情報、検査結果等診療関連情報及び個人が自ら日々測定するバイタル等)利活用という分野で、研究開発支援、ガイドライン策定等を行っています。ちょうど先日、遠隔手術の実証実験にも立ち会ってきたところです。
もちろん、国家の枠組みのなかで全体の方向性は決定されていくものですが、その具体的なプロセスや政策の内容には担当者が積極的に携わっていくのが特徴と言えます。ガイドラインにしても、策定や改訂がされれば民間事業者様の重要な指針になっていくもの。何が社会全体にとって最善解か。民間企業で働いていたとき以上に多くの調整が必要ではありますが、自分が担当した業務を通じて、世界に新たな仕組みやサービスが広がっていく。社会的インパクトにつながっていく。社会が一歩ずつ歩みを進めていく。そういった実感と喜びが得られる仕事だと思います。
また、今、テクノロジーによって新たな領域が生まれるなか、各省庁が連携してプロジェクトを進める機会も多くなってきています。いかに横でも連携を図れるか。どう国家として取り組むか。例えば、先の「PHR利活用」でいえば、厚生労働省や経済産業省とも関わる分野です。具体的には細かくなるので割愛しますが、総務省である研究開発を行うとしても、各省がそれぞれの所管事項を踏まえつつ、連携を取りながら進めていくイメージです。各省で考え方が異なる場合には、それらも調整しながら進めていきます。どのような技術を使い、どういった課題を解決していくか。何を課題と考え、どういった政策を立案するか、もしくは法律等で規制をしていくのか。国家としての視点で考えていける。ここも国家公務員だからこそ感じられる働きがいだと思います。
入省まもなくの感想として「思っていたより意思決定プロセスが早い。ここは良い意味でのギャップでした」と語ってくれた山崎さん。「確かに正式な決裁に時間がかかる傾向もありますが、少ない人手で業務を分担していることもあり、大枠の方向性については担当者クラスの裁量で進められる部分も多いです。職員のバックグラウンドが豊富であることも特徴。思った以上に上意下達の感は無く、新しいものが好きな人は多いと感じています。一方で事前に知っておいたほうがいいギャップ、厳しさとも言えるかもしれませんが、文章や資料の正確さが非常に厳しく求められることが挙げられます。資料一つとっても霞が関独自のルールがあります。ですので、入省後半年ほどはとにかく不明点は周囲に聞き、貪欲に吸収していく姿勢が重要だと思います」
日々ベストを尽くす。その先のより良い未来を志向する
最後に、仕事における個人的な目標、実現していきたいことについて教えてください。
まず国民の皆様のためになる仕事を、一つでも多くこの日本に残していければと思っています。これだけ変化の多い時代ですし、流れていく時間の中、移ろいゆく環境において、自分自身の物事への捉え方や考え方も変わっていくもの。その時々で考えながら、自分の気持ちに従いつつ、何をやりたいか、何をやるべきか決めていく。問題があれば、なぜ、その問題が起きているのか解き明かし、考え抜き、解決のためにベストを尽くしていく。「今日も全力で取り組めた」と思える一日一日を大事にしていく。そのような「今」が10年後、20年後、より良い日本の未来に少しでもつながっていくといいなと思っています。
採用担当者よりメッセージ
総務省の所掌範囲は、国の基本的な行政制度の管理・運営から地方自治制度の管理・運営から地方自治制度の企画、消防・防災への対応や、情報通信技術(ICT)を活用した様々な政策の推進まで、多岐にわたっています。
また近年、少子高齢化の進展や地域間格差の拡大、デジタル化の進展や国際競争力の強化など、我が国を取り巻く環境も急激な変化を遂げています。
多様化する社会課題の解決に向けて、総務省では積極的に多様なバックグラウンドを持つ人材を登用するため、本年も引き続き、総合職(事務系/技術系・課長補佐級/係長級)のポジションで経験者採用を実施いたします。
総務省では、国民の生活基盤に欠かせない幅広い業務を行っており、入省後も様々な分野で業務を経験することができます。
「総(すべ)て」を「務(つと)める」省として、新時代の日本を創造すべく、我が国の行政を担う総務省に共感・挑戦いただける方に、是非ご応募いただければと思います。
総務省大臣官房秘書課 経験者選考採用担当