2023年、YouTube再生回数は過去最高を更新。『テイコウペンギン』などYouTubeアニメの領域でヒットコンテンツを生み出してきたクリエイタースタジオ「Plott」。TikTokをはじめとする縦型動画の潮流も味方に、躍進を続けている。こうした中、次に見据えるのはWEBTOONからのヒットIPを創出。そしてIPビジネスによる収益化基盤の構築だ。組織体制も新たに、新規事業立ち上げメンバーを募集へ。採用強化のタイミングに際し、代表の奥野 翔太さんを取材。実現したいビジョン、そして働く魅力に迫る。
新規事業、始動。IPOを狙っていく。
『テイコウペンギン』が大ヒットしているなか、新規事業メンバー募集とのことですが、どういった事業を立ち上げるか伺わせてください。
新たに「WEBTOON事業部」「IPビジネス事業部」を2023年8月に立ち上げまして、牽引していただけるメンバーを求めています。今後は、既存の「SNSアニメ事業部」を含む、3本柱で攻めていく体制になっていきます。漫画→アニメ→ゲーム・グッズというIP産業のバリューチェーン全てを1社で実現できたとしたら、世の中にものすごく大きなインパクトをもたらせると考えています。
実際、人気マンガの売上がTVアニメ化により原作売上の10倍近くに拡大していくような事例がありますが、要は僕らも自社内でそういったことを実現していきたい。自社でメディアミックス戦略をひくことにより、ヒットIPを生み出していく磐石な基盤を構築していきます。今回入社いただく方には、その中心メンバーとなってほしいと考えています。
また、数年以内にIPOを視野に入れており、業界内での存在感を示していける存在になりたいと考えています。アニメ・マンガは、日本がグローバルで闘える数少ない領域。エンタメ産業を盛り上げていくことは、日本の未来をつくっていくことにつながると考えているので、その一角として認知してもらえたらなと思っています。
具体的には、どのようなロードマップを描いているのでしょうか?
まずWEBTOON事業部では、WEBTOON発の人気IPを開発し、その先にSNSアニメ化、タイアップ広告、ゲーム、音楽、グッズなどでの展開を狙っていく。同時にIPビジネス事業部では、マネタイズ手法自体の開拓も進めていきつつ、さらには自社IPだけでなく他社IPの取り扱いも検討しています。
ちなみに、攻めていけるだけの余力も十分あると考えています。現状、マーケットとしても追い風が吹いている。TIkTokをはじめとする縦型の短尺動画が物凄い勢いで成長しており、そこにうまく適応できた会社・インフルエンサーは軒並み再生回数を伸ばしています。
プラットフォーマーの方々とお話する中でも、特にアニメ・マンガ領域の伸びは顕著と言われています。実際、Plottでは過去累計50億回・月間3億回の再生回数を記録し、コンテンツも過去最高再生数を更新し続けています。既に一定の再生数が回る面白い作品づくりに関してはクリアできているので、今後はいかにマネタイズしていけるかが重要。新規事業は、まさにその布石となると考えています。
テイコウペンギン。チャンネル登録者数は136万人(2023年11月時点)。ヒットの背景について「ブラック企業をユーモアに風刺する作風が、SNSとの相性が良かったのではないかと思います。また、会社で働く中での上司部下との話というのは、多くの人にとって身近であり、共感性が高いテーマ。そこもハマったポイントだったのではないかと思います」と奥野さん。
次世代のヒットメーカーを目指してほしい
Plottに入社すると、どういった経験を得られる?
AMBIで募集しているプロデューサー職に焦点を当てると、ビジネスの現場で必要とされるようなスキルをつけながら、クリエイティブの経験を積んでいける。成長していきたい人にとっては、非常に良い環境を提供できると思っています。ゆくゆくは、次世代の川村元気さんや秋元康さんのような、大ヒットプロデューサーを輩出していけるような組織をつくっていきたいなと思っています。
特に、打席に立つチャンスは多いと思います。プロデューサー、ディレクター、クリエイターのキャリアにおいて重要なことの1つは、いかに多くのIPを立ち上げ、担当し、PDCAをまわしたか。その経験の数が重要。手を挙げたメンバーがチャレンジできるよう、人事側からも意図的な抜擢を行っています。
また、この規模のスタートアップには珍しく、Plottは教育にも力を入れています。入社後に自分で作品を作ってみる研修プログラムを用意したり、Tips共有の文化を根付かせたいと思っているので全社員でTipsを書いたりTips共有会を行なったりしています。最近で言えば、ビジネススキル、クリエイティブスキル、 マネジメントスキルなどを体系的に身につけられるような本を選書し、おすすめしたりもしています。
一方で、求める要望度もあげいきたい。Plottが大切にしているのは、丸いものより尖ったものを出していけるか。たとえば、評価のチェックポイントが10項目あるとします。致命的に✕がつくものは当然リリースしませんが、かといって全てが〇である必要はなくて。どこか1つだけ、◎がつけられるものをリリースしています。
さらに言えば「今の時代にウケるか」という観点も重要なファクターです。要は「100年後の人には影響を与えるかもしれないけど、今出すには新しすぎる」といったことは避けたい。尖りすぎてみんながポカンとしてしまっては意味がないですからね。
早すぎず、劣化版コピーでもなく、半歩先を攻める。この絶妙な塩梅が難しいのですが(笑)新しいコンテンツを出す/出さないの見極めは、社内でもいつも喧々諤々の議論になります。最終的には、「これはいける」と本気で信じ、やり抜けるメンバーがいるか否かで判断することが多いです。
1つでも多くヒットを生み出していく。そのためには、恋愛、雑学、ホラー、都市伝説など多様なジャンルで魅力的なキャラクターを生み出していくことが必要になってきます。
Plottには『テイコウペンギン』、『混血のカレコレ』などのIPがありますが、切り拓けていないジャンルがまだまだある。そこを一緒につくっていけるような方に来てほしいなと思っています。
アニメやマンガに限らず、アイドル、ドラマ、映画、音楽など、エンタメを愛するメンバーが集結。元YouTuber、元劇団員、元アーティストのマネージャー、元ボードゲームのクリエイターなど、ユニークなバックグラウンドを持つ人も。
後世に残る「レジェンド級」の作品を作れるか
最後に、奥野さんご自身のエンタメビジネスにかける思い、そして今後実現したいことがあれば教えてください。
小学生の頃から、お小遣いは基本的にすべてマンガに注ぎ込んでいましたし、高校時代も受験勉強もせずずっと本屋でマンガを読んでいた。それくらい、エンタメコンテンツにどっぷり浸かった人生でした。だから、この人生で何をしていこうか考えたとき、単純に大好きなエンタメで勝負したいと思いました。
そして、僕が常々思っているのは、エンタメは極論なくても人間は生きていけるものであり、だからこそ楽しくて最高なものを届けたいということです。もちろんビジネスとしてやっていくので売上をつくることは重要なのですが、それ以上に「後世に残るようなレジェンド級の作品を作れるか」に挑戦したい。単純に数字では測れないところにチャレンジしたいんです。
これは、すごく難易度の高いゲーム。作品を大ヒットさせることは非常に難しい命題であると思いつつ、そこにチャレンジするのは人生をかける意味があると思っています。僕自身は、難しければ難しいほど面白いと思うタイプ。1番楽しい生き方をしたいし、1番難しい生き方をしたい。だから、これからもエンタメに挑み続けていくんだと思います。