「スマート農業」市場は、2030年に1074億円規模へ。"2018年比で53.9%拡大"という成長が見込まれている(*1)。そういった中、激しさを増すのがAI・IoT・ビッグデータなどを活用した「スマート農機」の開発競争だ。
農業におけるAI・IoT・ビッグデータなどの活用は、国家としても注力分野にあると言って良いだろう。実際に、2018年に発表された「未来投資戦略 2018」では、『世界トップレベルのスマート農業の実現』が目標の一つに掲げられた。
具体的な取り組みで言えば、2019年度より、農林水産省が「スマート農業実証プロジェクト」を全国でスタート。自治体、大学、企業などが参加し、全国69地区で「スマート農業」社会実装に向けた取り組みが進められる。
もうひとつ、得られたデータの有効活用に向けた取り組みも進む。たとえば、2019年4月には農業データ連携基盤「WAGRI(ワグリ)」が稼働を開始。農機メーカーなど400社が参加し、新たな農業データプラットフォームの構築を進めている。
人材不足や高齢化など、農業における課題は深刻化。こういった中、テクノロジーによるソリューションは今後より求められていくと言えるだろう。
農業分野でのテクノロジー活用が進む中、「スマート農機」における開発競争も活発化している。「スマート農業」の市場拡大に合わせるように、2030年時点で「スマート農機」の市場規模は51.5倍(67億円│2018年比)という急成長を遂げるという予測も(*2)。そういった中、各社はどういった取り組みを行なっているのか。クボタ、ヤンマーを例に見ていこう。
クボタ
自動農機「アグリロボシリーズ」を展開するクボタ。すでに中型・大型トラクターや「自動刈り取りができるコンバイン」などを提供しており、さらに2020年には「自動田植え機」の発売を予定しているという。農業における"人手不足"といった課題を緩和する手法として、期待が高まる。
ヤンマー
「完全無人化対応」を目指し、自動農機の開発を進めるのがヤンマーだ。2019年2月には、自動農機「スマートパイロット」シリーズの田植機をリリースした。その他ユニークなところで言えば、ドローンの活用なども挙げられる。たとえば「土壌の水分量を分析できるドローン」を提供。今後、農家への提案を通じてスマート農機の販路拡大へつなげていく計画があるという。
テクノロジー活用で、新たな農業のカタチをつくっていく。国家規模で新たな取り組みも進む中、チャレンジのフィールドも広がっていると言えそうだ。
(*1)スマート農業関連市場2030年に1074億円に18年比53.9%増 富士経済が予測
https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2019/07/190724-38696.php
(*2)12年で市場規模50倍 ロボット農機が日本に「もうかる農業」を作り出す
https://www.sbbit.jp/article/cont1/37030