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広島県安芸高田市 | 市長 石丸 伸二

広島県「安芸高田市」の再興に向けて。38歳の新市長と市政改革に挑む「副市長」求ム

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「安芸高田市を、世界で一番住みたいと思えるまちにする。これは使命にも近い」こう語ってくれた石丸伸二市長(38)。三菱UFJ銀行にてアナリストとして活躍後、2020年8月の市長選挙で初当選した。今回、安芸高田市は石丸市長と共に働く「副市長」を公募する。市を変革し、再興するーー石丸市長が抱く「使命」に迫った。

安芸高田市を「世界で一番住みたいと思えるまち」へ

37年間、政治とは無縁の人生を送ってきた。

そんな石丸伸二さんを突き動かしたのは、ある日飛び込んできた故郷、安芸高田市のニュースだった。

「忘れもしません。2020年7月。テレビを見ていると、生まれ故郷の広島県安芸高田市がニュースになっていました。いわゆる河井夫妻選挙違反事件*で前市長が辞職し、次期市長に立候補したのは前市長が後を託したという当時の副市長だけ。あれほどの事件があったのに、選挙も行われず、副市長が市長へ繰り上がれば、まちは変わらないままだと強い危機感を抱きました」

*同市では、2019年の参院選を巡る買収事件で、前法相の河井克行被告(公職選挙法違反)から現金を受け取ったとして前市長が辞職した。

そこから彼の決断、行動は早かった。

「他の誰もやらないなら、自分がやるしかない。これが自分の使命のように感じました。ニュースを見て一晩考えた末に、翌日には会社へ退職願を提出し、市長選への出馬を決めました。その時は一切の準備がない状態です。8月の選挙まで1ヵ月しかなかったので、迷っている時間が惜しかった、というのもありますが、いずれは地元に恩返しをしたいと思っていたので、すぐに覚悟は決まりました」

安芸高田市石丸市長の屋外での横顔

市長になる。この時のために今までの人生があったように感じた

安芸高田市生まれ、京都大学経済学部卒業。

三菱UFJ銀行に入行し、経済や市場の分析・予測を専門的に扱うアナリストへ。2014年には為替アナリストの初代ニューヨーク駐在に就任し、世界各地を講演会などで飛び回るエリートとして順風満帆なキャリアを歩んできた。

そんな石丸市長だが、出馬を決めた当時の気持ちについてこう振り返る。

「この時のために今までの人生があったように感じました。大学で得た知識や銀行員、アナリストとして培った経験があれば、地元に何か還元できるはず。そう思えたことが嬉しく、誇らしくもありました」

そして、既存政治の後ろ盾が一切ない無所属の新人として市長選に臨み、当時37歳で当選を果たした。

「人口減少、少子高齢化、そして厳しい財政状況。全国各地で自治体を取り巻く情勢はますます厳しくなっていますが、安芸高田市も例外ではありません。放っておけば、遠くない将来に致命的な状況に陥ってしまうでしょう。今がまちを危機から救う最後のチャンスだと考えています」

そして、彼が掲げたのは、持続可能な「まちづくり」の実現だ。

「まちづくりを進める上では、失ってしまった市民からの信頼、その回復が最優先です。法令等の遵守(コンプライアンス)を徹底し、市政本来の姿を取り戻さなければなりません。その上で、事実に基づく客観的・科学的な視点で、事業の費用対効果を再検証し、持続可能なまちへと変えていきます」

力強く、こう続けてくれた。

「目指すのは、安芸高田市を「世界で一番住みたいと思えるまち」にすることです。そのために必要な種々の変革を断行していきます」

彼が起こそうとしている変革、そして初の「副市長」公募について伺った。

安芸高田市石丸市長が室内で話している横顔

短期・中期・長期の政策の柱として(1)政治再建、(2)都市開発(3)産業創出、を掲げる石丸市長。

まずは市全体で「危機感の共有」を

2020年8月に就任した石丸市長。任期1年目、まずは「市全体での危機感の共有」が重要だと語る。

「市民に、まずは市の現状を知っていただく必要があります。このままの状態を5年、10年と続ければ、やがて財政破綻に陥る可能性すら懸念されます。市として覚悟を決め、行動するためには、市民に厳しい現実を伝えないといけません」

これまでは何とかなった、そんな前例がいよいよ通用しなくなる。市長に就任し、危機感をより一層強くする。

「これまで安芸高田市では、”全体最適”が上手く考慮されていませんでした。6つの町が合併して市になりましたが、それぞれの町で始まった事業を市が受け継いでいるためです。また、市費を投入している施設は多くありますが、概して経営状況が悪く、年を追う毎に、市の財政を圧迫しています。こういった事業や施設の整理は少なからず地域住民の反発を招くものです。しかし、それでも未来のための意思決定を行うべきだと考えています」

安芸高田市石丸市長が室内で手を広げながら話す画像

「足元では、新型コロナウイルスや自然災害への対策が最重要。行政の存在意義は、市民の生命・財産を守ることにこそある。限りある財政の中でも、必ずやり続けないといけない」と語る石丸市長

民間連携、テクノロジー活用など「知恵」を武器に

もちろん、採算が悪い事業を廃止すれば済むという簡単な話ではなく、採算が取れずとも市民にとって必要な事業は継続しなければならない。それには民間との連携やテクノロジーの活用といった「知恵」が鍵を握る、と石丸市長は語る。

「当市の現状が示す通り、部分最適の積み上げは上手く機能しません。全体最適が果たせてこそ、必要な事業の継続も可能となります。その意味で、きちんとした説明があれば、事業の整理は必ず市民の理解を得られると思います。また、民間企業との連携やテクノロジーの活用などはどんどん進めます。一例ですが、2020年9月には東京のベンチャー企業と連携し、災害時における避難所運営を効率化するサービスを導入しました。以前であれば膨大なコストがかかる事業も、テクノロジーの活用によって低コストで実現できます。財源には限界がありますが、知恵を絞ればその限界を超えていけます。これは今の時代ならではの良さです」

安芸高田市石丸市長が室内での右横顔

2020年10月に、地域の若者との意見交換会を実施。参加者から質問を匿名で集めることができるツール「slido」が使用された。背景について市長はこう語る。「これまで若者は政治から遠ざけられていました。意見を言う機会すら与えられず、虐げられた結果、政治だけではなく、地元の教育や仕事、あらゆるものに「もういいや」と諦めてしまっています。この問題を解決していく手掛かりとして行なったのが意見交換会です。スマホを使った匿名性のある場なら、意見も言いやすいですよね」

副市長を公募へ。求めるのは「統合されたまち」を実現する発想

そして、安芸高田市が未来のための意思決定として実施するのが「副市長」の公募だ。2021年4月の着任を想定する副市長について、石丸市長に伺った。

「持続可能とするには、新たに真に統合されたまちに変えていく必要があります。この“新/真・安芸高田市”を実現するために外部の力が有効と考え、公募に目をつけました。これまで当市になかった知見を加え、沈滞している市政を盛り返していきます」

とくに、これからの安芸高田市に必要な事業を生み出す発想への期待がある。

「求めているのは、“新/真・安芸高田市”を形成する核となるアイデアです。市への深い理解と思いやりで、市民の意識を統合する事業を創り出してほしいと考えています。安芸高田市は課題が山積みです。ただ、だからこそ可能性に溢れています。困難を乗り越え、新たな価値を創造していく中で、きっと自分自身の成長も感じていただけるはずです」

安芸高田市にて、任期である4年を副市長として過ごす。石丸市長は「冒険」という言葉でその魅力について語る。

「正直に言えば、安芸高田市は田舎なので、都会に比べると不便を感じる面は多いと思います。待遇はそれなりですが、将来の保証がない分だけ金銭的な視点からは、損な仕事とさえ言えます。ただ、滅多にない挑戦の機会は提供できます。そして、市の命運を掛けた事業に取り組んでいただくので、成果は世に誇れる実績になるはずです。このまち始まって以来の大掛かりな改革を一緒にやってみたい、そんな冒険心を持つ方を探しています」

安芸高田市の伝統芸能・神楽の画像

画像引用:安芸高田市のHPより(https://www.akitakata.jp/ja/)
「安芸高田市の伝統芸能『神楽』を活かす新しい事業なども仕掛けたい」と石丸市長。「神楽は世界に通じるコンテンツだと考えています。ただ、さらなる飛躍のためには、相応の資本が必要で、それを確保する仕組みづくりが求められます。伝統を受け継ぎ、発展させる様々な取り組みを副市長とともに考えていきたいですね」

今こそ、故郷「安芸高田市」への恩を返す時

なぜ、石丸市長はそこまで安芸高田市の変革に対し、熱意を持って取り組むのか。そこには地元への「恩義」がある。

「自分にとって、安芸高田市は生まれ育った地元で、かけがえのない存在です。とても恩を感じているから蔑ろにできるはずもありません。“義を見てせざるは勇なきなり*”という言葉の通り、覚悟を決めなければならない時ってあるんだと思います」

*『論語・為政』にある、孔子の言葉。「人としてなすべきことと知りながら、それを実行しないのは勇気がないからである」という意。

自分の原点に立ち返る、そのきっかけは前職での体験にあったという。

「ニューヨークに駐在していた頃、仕事で何回かアルゼンチンを訪れました。安芸高田市に生まれ育った人間がついに地球の裏側にあるアルゼンチンまで来て仕事をしている、その事実に自分のことながら感動したのを覚えています。海外とはおよそ縁がない生まれでしたが、両親の献身と地域の温情でここまで来れたのだと、その時に強く実感しました。大きなチャンスをくれた故郷へいつか恩返しに戻らないといけない、ずっとそう思っていました」

そして市長となった今、石丸市長が見据えるのは「安芸高田市」の未来だ。

「恩義に報いるため、私は安芸高田市を「世界で一番住みたいと思えるまち」にしていきます。まだどこにもないことを、この小さなまちで実現させようと考えています。たとえば、教育の課題を解決し、日本中で「安芸高田は教育の質が高い」と認知してもらえるようにしたいですね。子どもの数は減っていますが、それぞれの可能性は依然として無限に広がっています。次世代の教育体制を生み出せば、広く希望の光になるはずです」

最後に、市長としての任期「4年」について覚悟を伺った。

「私は政治家をやりたいのではなく、安芸高田市を何とかしたい、その一心で立候補し、市長になりました。一刻も早く改革をやり遂げる必要があり、この任期の4年間で全てを出し切る覚悟です。市長はいずれ必ず変わります。誰がどう関わっても発展できる、そんな市の土台を、お招きする副市長と共に築いていこうと思います」

安芸高田市石丸市長の屋外での右横顔
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