INTERVIEW
大阪府四條畷市|市長 東修平

四條畷市を、地方創生のロールモデルに。32歳のイノベーター市長の挑戦

掲載日:2021/04/15更新日:2022/04/21

スマートシティ化、業務改革、新型コロナ感染症への迅速な対策など、先進的な自治体として全国に広く知られる大阪府四條畷市。市長を務めるのは、外務省職員、野村総研のコンサルタントを経て市長となった東修平さん(32)だ。2期目を迎えた東さんに、2021年以降の四條畷市の展望・ビジョンについて伺った。

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内閣府「未来技術社会実装事業」にも採択、注目される四條畷市の先進性

2020年7月、内閣府「未来技術社会実装事業」にも採択された四條畷市。AI、IoT、自動運転、ドローンなどのテクノロジーを活用し、地域課題を解決していくスマートシティ関連事業の一環だ。

とくに同市の田原地域において、

・自動運転サービス導入
・自宅にいながら買い物ができるサービス構築
・未来都市に向けた都市OSの構築

を計画。産官学と住民、地域コミュニティが参画し、2024年の実装を目指す。

行財政改革を含み、四條畷市のさまざまな先進的な取り組みは、全国でも広く知られる。

・住民票の写しのオンライン申請対応
・職員採用におけるオンライン面接の導入
・有給長期インターン、学生主体の市政課題解決への取り組み*

*…市の住生活における課題とその解決への道筋を示す「住生活基本計画(住宅マスタープラン)」改定のためのデータ整理、インターネット番組「なわチャン!」の立ち上げ等、学生ならではの視点から多く取り組みが実行されている。

これらはあくまで一例。取り組みをあげれば、枚挙にいとまがない。

「住民票の写しオンライン申請を例にあげれば、市民課の職員の発案がきっかけで導入に至りました。“ 住民票を取るためだけに、市民の皆さんに市役所に来てもらうのは申し訳ない ”と」

こう語ってくれたのが、東修平市長(32)だ。京都大学大学院で修士号を取得後、外務省職員、野村総研でのコンサルタント職を経て市長へ。1期目の当選が2017年、当時28歳、日本最年少市長となった異色の経歴の持ち主でもある。

東市長が掲げる公約のひとつに「市民中心のまちづくり」がある。同時に推進してきたのが、市役所の変革。市役所職員たち自らが考え、行動できる、「自走する組織」を目指す。

「この4年は、大きな変化の“はじまり”だと考えています」

2期目を迎えた東市長が描く四條畷市の未来、さらなる展望について伺った。

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変化に強い「自走する組織」を。

まず伺えたのが、この20年で大きく変化した地方自治のあり方、考え方について。

それぞれの自治体が現場で課題を見つけ、解決に向けて取り組む。そういった意識変革が求められているという。

「約20年前、国と地方の役割が明確化され、自分たちの地域は、自らで経営していくように、といった趣旨の方針が示されました。地方自治の現場から課題を見つけ、独自の打ち手を出していく。課題発見、挑戦力、創造力などが求められるようになりました」

必然的に、市役所で働く職員たちに求められる能力、考え方も変化していく。

「それまでの公務員は、国が決めたことを、着実に、間違いなく、実行する力が求められていました。しかし今は、国からの大枠の方針はありますが、自治体それぞれの課題に対し、創意工夫が求められるように。市民の皆さんの声に耳を傾けながら、求められているものをカタチにし、解決していく能力がより求められるようになりました」

こうして4年前から進められたのが、中途採用の積極的な活用による職員の多様化だ。

「4年前に就任してすぐ、副市長の採用から公募の活用を開始しました。そこから4年を経て、民間出身を含む多くの方々が市役所に溶け込み、実際に活躍してくれています」

当然、はじめは摩擦も起こったという。ただ、決してネガティブなことでなかったと東市長は振り返る。

「多様な価値観の人間が市役所に入れば、摩擦は起こります。ただ“摩擦”は熱を生みます。この熱をエネルギーに変え、物事を推進できるようになってきた。ここが組織として強くなった部分のひとつです」

そして"自走できる組織"に向け、四條畷市はさらなる成長を目指す。

「この4年間で多様な人材が市役所で活躍してくれるようになり、大きな変化の始まりになった、と感じています。結果、さまざまな先進的施策が、現場主導、現場起点で行われるようになってきました。4年前であれば考えられないことです」

言い換えれば、権限移譲ができるようなしなやかさ、強さを持った組織へ変革が進んでいる、ということでもある。

「現場で解決したい課題があり、主体者として問題意識を持ってこその動き。採用も含め、自分たちで解決するような組織であり続け、自走する組織を目指していきます」

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民間経験を、「市民中心のまちづくり」に活かす

そして今回の公募含め、四條畷市が求める人物像についても伺うことができた。

「地方自治、地方創生の文脈でやりたい事がある方、民間での経験を市政につなげていきたい、という強い思いのある方を採用したいと考えています」

四條畷市で働く最大の魅力は、意見・発案を具体的な施策にし、現場裁量でプロジェクトの実行が任される点にある。

同時に求められるのが、市民のために働く、という使命感にも近い志向だ。

「ご自身が何をしたいかも大切なのですが、それは誰のためにやるのか。誰を幸せにしたいのか。ここは非常に重要だと考えています。行政は市民の皆さんから頂いた税金で、社会全体をより良くしていく仕事です。あくまで市民の皆さんが主役。市民の皆さんにどのように変わってほしいか、どういった未来を築いてほしいか。ぜひこういった視点を持っていただければと思います」

極端にいえば、民間企業と違い、個々人の仕事での成果が、毎年の税収につながることは実感しにくい。だからこそ「慢心してはいけない」と東市長は強く語る。

「民間企業であれば、良い商品、サービスでなければ淘汰され、売上が減ってしまいますよね。仕事の成果が業績にも直結します。ただ、公務員はそれが実感しにくい側面がある。言葉を選ばずに言えば、努力を怠ったところで直ちに市役所が潰れることはありません。だからこそ、決して慢心してはいけない。頂いている税金をしっかり政策に反映させられているか。行政サービスとして、お返しできているか。絶えず律する気持ちを持つことが必要だと思います」

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市役所は、市民を守る最後の砦

2020年から2021年にかけて、世界的に猛威をふるい、今なお対応・対策が続く新型コロナウイルスの感染拡大。さまざまな緊急の課題があるなか、四條畷市として、東市長として重要視してきた姿勢、考え方とは。

「社会全体が危機的状況にある時、市役所は、市民の皆さんが頼ってきてくださる最後の砦だと捉えています。公の機関である私たちが、支えにならなければならない。この意識が非常に大切だと考えています」

新型コロナ対応に関しても、市独自の緊急対策プランを打ち出した四條畷市。YouTubeでの発信なども積極的に行なう。10万円給付金に関してもnoteの発信が注目された。実際、ひとり親世帯等への児童扶養手当を一律5万円上乗せしたカタチで、1カ月以内に98%の給付を実現。市民の手元に給付金が届くまでを計算、効率的に対象者への給付を優先、予算化し、工数を最小化した。

先行きが見えない変化の激しい時こそ、市としての明確な方針を掲げ、透明性を重視しながら発信もしていく。

「場当たり的ではなく、同じ理念、同じ方針のもと、施策を打ち続けていく。そうすることで市民のみなさんに安心して生活していただけるよう、取り組んでいきます。新型コロナウイルスが流行した直後は、まずは感染拡大を防ぎ、医療機関の負担、過度な集中的負担を避けることが非常に重要でした。その後は感染症との長期戦に向けて、経済対策をはじめ、差別的な事象等への対策を行なう。当たり前ですが、市民の命と生活を守るという軸を据えながら、その局面、局面で必要な対応を行っていきます」

そして最後に伺えたのが、今後の展望について。

「有事であり、危機的状況であることに変わりはありません。もちろんこういった局面において、発展的に挑戦をする、という考え方もあるのかもしれません。ただ、私自身はむしろ多くの不確定要素がある中、これまで積み重ねてきた変革、取り組みを着実に行なっていくことが重要だと捉えています」

変革期にこそ、これまで大切にしてきた「市民と向き合う姿勢」を忘れない。ここも東市長が重視する姿勢だ。

「やるべきことをやる。やらないことを決める。そうすることで、一人ひとりの職員の時間を住民相談などに当てられます。きめ細かく市民の皆さんの声に耳を傾けていく。公の役割として、ここが非常に重要だと捉えています」

そしてさらに求められるのが、テクノロジーの活用だ。人事部門をはじめ、コロナ禍以前から業務オンライン対応、各種書類の電子化などに積極的に取り組んできた四條畷市。

「テクノロジーの活用はさらに推し進めていきます。たとえば、オンラインによる子育ての相談、窓口に来ることが困難な妊婦さん向けのサービスなども予定しています。今年度の予算として確保しており、機会をより増やしていく。こういった挑戦はまだ始まったばかりですね」

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