INTERVIEW
株式会社ABEJA|執行役員 CEO室長 外木直樹

人(HI)とAIの協調で、産業界にDXを。ABEJAが「ビジネスモデルの革新」にまで踏み込める理由

掲載日:2022/06/16更新日:2022/06/16
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人(HI*)と高度なAI技術の協調により、産業界のDXを持続支援するABEJA。エンタープライズ企業を中心に、300社超のDX実績を有し、顧客の基幹業務変革、ビジネスモデルの革新に踏み込んでいく。なぜ、彼らは多くの企業から支持され、経営層の事業戦略パートナーに選ばれているのか。提供価値の核心、そして彼らが描く未来について、執行役員 CEO室長 外木直樹さんに伺った――。

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*HI…Human-in-the-Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)における「人が介在する領域」を「HI」とABEJAでは表現。Human-in-the-Loopは一連の機械学習プロセス(ループ)の中で人間との相互作用やフィードバックが含まれることを指す。意思決定や判断、制御などAIが苦手とする領域を人間が補うことで、AI/機械学習ライフサイクルが成り立つ「人間参加型のAI」とも呼ばれる。

300社以上でDX実績。AIベンチャーの旗手「ABEJA」の躍進

「新型コロナウィルスの流行によって世の中の不確実性が高まり、お客様自身が未来に向けたビジネスに「解」を持てない時代に。そういったなか、多くの企業からご相談をいただくようになりました」

こう語ってくれたのが、ABEJAの執行役員 CEO室長 外木直樹さんだ。約10年にわたってAIシステムの 社会実装を積み重ね、そのパイオニアとして持続的な経営支援と必要なプラットフォーム開発を行なってきた同社。事実、300社以上のDX推進実績を有し、2021年4月には「SOMPOホールディングス株式会社」との資本業務提携契約も大きな話題となった。

エンタープライズ企業を中心に、なぜ、ABEJAは求められるのか。そして、産業構造を変えるほどのインパクト・可能性を持つ、彼らの介在価値とは。その核心に迫った――。

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執行役員CEO室長 外木 直樹
1988年生まれ。愛知県名古屋市出身。名古屋大学経済学部在籍時にVOYAGEGROUP名古屋ラボの立ち上げに参画し、事業責任者としてスマートフォン関連の新規事業開発に従事。2012年に新規事業立ち上げのコンサルティングを得意とするプロフェッショナルファームへ新卒入社。複数の大手一部上場企業の新規事業立ち上げ、PJマネジメントを経験。2013年6月に株式会社ABEJAに参画。同年9月に取締役に就任。COO・CFOなどの主要役職を歴任。2017年3月よりシンガポールを中心とするASEAN事業・組織を統括。2020年12月より現職。

人(HI)とAIの協調で、ビジネスインパクトを最大化

高度なAI技術の発展によって複雑性の高い処理が可能になるなか、ABEJAはその社会実装の先端を走ってきた。ただ、彼らが掲げるのは、あくまでも「人(HI)とAIの協調」だ。

「2012年に創業したのですが、この10年間でビジネスにおける「人がやるべき領域」「AIに任せる領域」の高度な見極めが可能になりました。つまり、AIと人がどこで掛け算すれば、ビジネスインパクトを最大化できるかがわかる、ということ。ここが私たちの大きな強みとなっています。企業は「AIが欲しい」わけではなく、未来に必要とされる会社になるために「自社に不足しているケーパビリティを埋めたい」と考えています。そこに対し、未来から逆算し、手段をAIに限定せず、提供していく。多くの企業における競争優位性の源泉は基幹業務にあります。その変革は外部の人間が土足では踏み込めません。そこに真摯に向き合い、介在価値を感じていただけている。だからこそ「一緒にやろう」となる。その良い循環が生まれてきたと感じます」

その信頼の礎ともなるのが、「ABEJA Platform」と300社を超える企業のDXに伴走し蓄積してきた知見だ。

「広義で言えば、AIによるイノベーションが起きたのが2012年と言われており、まさに私たちの創業タイミング。そこから小売流通業界、製造業界、金融業界、介護業界、あらゆる業種業態で行動変容に促し、データを収集、統合してきました。それらの試行錯誤をもとに各機能を汎用化し、各機能を一気通貫で利活用できるプラットフォームを構築してきました。ただ、あらゆる産業、企業にとってそのプラットフォームは基盤に過ぎません。その企業のビジネスプロセスを正しく理解し、人(HI)とAIの協調でさらに進化させていく。競争優位に立てるよう、ソフトウェアとAIモデルを適宜、適切に提供していく。ここが私たちが提供しているソリューションであり、提供できている価値です」

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2022年3月にリリースした三菱ガス化学 新潟工場における「配管腐食のAI検査」の事例を話してくれた外木さん。「海風にさらされた工場配管は腐食しやすく、腐食が進むと事故の原因に。そのチェックを人間参加型の機械学習「Human in the Loop Machine Learning」をABEJA Platformによって実現していきました。撮影画像データから腐食度合いをAIが自動判定し、その結果を人間が評価する。そしてAIの再学習・精度向上を実現する。このシステム運用で撮影や画像の選別など検査にかかる人的コストを約50%削減できました。まさに「人(HI)とAIの協調」の実例だと思います」

大手企業の「事業戦略パートナー」としての独自ポジション

同時に、大手企業とのアライアンスなども積極的に行なう。その狙い、背景について伺うことができた。

「不確実性が高く、世の中が複雑化しているなか、もはや課題は単一企業だけでは解決できないものに。そういった課題の打ち手の一つが、エンタープライズ企業の事業戦略パートナーとしての協業です。たとえば、ヘルスケア領域において「未病」をテーマにした時、病院、製薬会社はもちろん、薬局、食品、医療機器、スポーツジムなど…顧客視点で考えると複合的にアプローチする必要があります。自ずと産業全体のデザインが求められていく。そしてソフトウェア、AI、それらを使う人たちの「協調」をデザインしていく。ここが私としてずっとやってきたこと」

そのなかでもSOMPOホールディングスとの資本業務提携契約は象徴的な事例だ。

「ABEJAではフィロソフィーに「ゆたかな世界を、実装する」を掲げているのですが、その思想とSOMPOホールディングスが志向する未来がピタリと重なってきました。ここが資本業務提携契約の大きなきっかけです」

損害保険、生命保険、介護事業の印象が強いSOMPOホールディングスだが、彼らが志向するのは、その先の未来。「持続可能な社会への貢献」だという。

「SOMPOホールディングスが掲げるのは、「安心・安全・健康」を基軸とした社会課題に向き合い、その解決を通じた持続可能な社会への貢献です。それを「安心・安全・健康のテーマパーク」構築と表現しています。損害保険、生命保険、介護事業などは、抽象度を上げて考えると、怪我をしたり、亡くなったり、介護が必要となったりした時に必要とされるビジネスです。ただ、AIをはじめとするテクノロジーによって、どう既存業界がディスラプトされるか。たとえば、AIによる自動運転が進めば、事故のない世界がやってくるでしょう。生命保険や介護にしても、病気になりにくい未来が来るかもしれない。そういった問題意識のなか、たとえば、食、睡眠、運動、さまざまなヘルスケア関連のテーマ・集合体に投資し、提供していく。そうすることで健康寿命が延伸し、医療費、介護費の抑制にもつながり、社会に貢献できるわけです」

その経営計画のなかで、デジタル戦略の事業推進パートナーとなったのが、ABEJAだ。

「SOMPOホールディングスがパーパス実現を目指すなか、重要になるのがDXです。その対象として掲げているのが「介護」「防災・減災」「モビリティ」「農業」「ヘルシーエイジング」の5テーマ。これらをプラットフォーム化し、有機的につなげていく。経営陣の方々と日々討議しているのですが、業界や事業がデジタルディスラプションされる前提に立っていると感じています。そこからプラットフォーム構想が生まれていった。ABEJAがこれまでやってきたこととかなり近しい。どうプラットフォームをデザインし、実装するか。その上に乗るキラーアプリケーションはどのようなものにするか。価値検証を含め、2年以上にわたりプロジェクトが進んでいます」

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流通小売業界の店舗向けに、行動をデータから分析するDXツール提供の印象があるABEJAだが、現在ではあらゆる産業へと知見を汎用化して展開する。「たとえば、店舗物理空間のカメラIotデバイス、データの転送・処理、クラウドでの管理、適切なダッシュボードでの可視化、それをもとにした討議、店舗オペレーションの改善、意思決定…ここにはさまざまな積み上げてきた技術や知見があります。それらを工場内で使えば製造業に、街やオフィスに転用すれば建設・不動産業界に。あらゆる場面で利活用ができる。実環境での価値提供を続けてきたナレッジは、ABEJAの強みになっています」と外木さん。

経営層と対峙し、トッププライオリティの課題を解決

トップマネジメントの「事業戦略パートナー」となれる稀有なポジション。それは、ABEJAで働くことで得られるキャリアやスキルにも直結する。

「ビジネスや事業全体を見て、本当にやるべき一手は何か。経営と対峙しながら問い直し、トッププライオリティの経営課題を一緒に解いていく。経営者との討議が非常に増えており、この役割、ポジションで経験が積めるのは、ABEJAならではと思います。至るところで言われていますが、もはや予測可能の前提で戦略策定が行われてきた従来型の経営が通用しない時代。あらゆる産業で既存事業は遅かれ早かれ、デジタルによって破壊されていく。その前提で考えてみませんか?と問い直し、ビジネスモデルの革新における背中を押す。ここの役割も期待されている。経営層としても、AIで全てが解決できるとは思っていません。人も含め、どう業務プロセスを変えていかないといけないのか。そもそも誰のために、何のために事業を行なうべきか。「AIで何ができるか」というご相談が入り口だったとしても、リベラルアーツ的な考え方、アプローチで、社会がより良くなるために本質を問い直していく。ここはいわゆるプロファームであっても一部の人しか携われてないところかもしれません。当然、成果が問われ、高い専門性も求められます。なので、自主的に日々学習することは当たり前。いかに経営者の方にとって適切なパートナーになれるか。よく社内では「お客様にとってCDO(Chief Digital Officer)的な役割であろう」と言っていて。いわば経営者の右や左に座る存在。時には敢えて空気を読まず、はっきりとNoを伝え、耳の痛いことまで言うことも厭いません。だからこそ求められ、信頼していただける。そこでの経験は非常に貴重だと思います」

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先端技術を自分たちのプロダクト、プラットフォームとして実装していく「手触り」も魅力のひとつに。「機械学習、フロントエンド、バックエンド、それぞれのエンジニアが近くにいます。さらにプロダクトオーナー、デザイナー、CSとソフトウェアを通して「商い」を営んでいく。激しい社会変化に適応するために、最先端テクノロジーをどう社会実装するか。当事者として現場で触れ、アントレプレナーシップ的な考えで回す。さらにプロジェクトは運用まで続く。成功体験も失敗体験も含め、最後まで顧客と向き合って成果を追い続けられる。ここは相当な経験値になるはずです」と外木さん。

「未来を予測する最良の方法は、それを発明すること」

そして取材後半で伺えたのが、外木さんご自身の仕事観について。2012年、ABEJA参画時のエピソードについて語ってくれた。

「当時、ABEJAが入っていたのは、オフィスとも呼べないような研究室みたいな場所。初めて訪ねた時の体験が強烈に印象に残っていますね。CEOである岡田陽介が1台のPCを持ってきてくれて。液晶のなかで顔認証のシステムがもう動いていた。機械学習について深い知識があったわけではないですが、大企業が多額の予算を投下して研究開発するようなもの。それを、20代前半のスタートアップの創業者たちが短時間で作り出していた。「まじかよ…」と(笑)全員が目をキラキラと輝かせて「顔認証で決済ができたりしたら、社会の役に立つと思う」と本気で語っていました」

その頃に感じた「ワクワク」は今も色褪せていないという。

「アラン・ケイというパーソナルコンピューティングの父と言われる人の言葉で「The best way to predict the future is to invent it. = 未来を予測する最良の方法は、それを発明すること」といったものがあって。当時からよくABEJAの説明資料に使われていたのですが、今でもそこにすごく共感しています。その思いはずっと変わっていない。AIに限らず、最近でいえば、スマートコントラクト、WEB3の文脈もありますよね。そういった先端テクノロジーについて、メンバーはもちろん、お客様と対峙して、豊かな方向性、未来に対して討議ができている。その瞬間のワクワクはあの時のまま。大多数の人が「得体の知れないもの」「怪しい」と思うものにこそ、チャンスがある。そう思って生きてきました」

創業当初もAI / ディープラーニングへの理解はほとんど得られなかったと振り返る。

「ある企業に技術を説明しに行ったら「君たち、ドラえもんでも作りたいの?」と鼻で笑われたり、「人間の仕事を奪うつもりか」と怒られたり。誰よりも社会を良くするために技術を使いたいと考えていたのに、全く理解されませんでしたね。ただ、技術の可能性を信じてやってきた結果今があって。AIから新しい産業が勃興し、世界中の優秀な人たちが参入し、さまざまなビジネスモデルが乱立してきた。ここから成熟に向かうのかもしれませんが、入り口から立つことができた。この経験は大きな財産になっています。そして、同じようなことが今まさに起こってきている。先端テクノロジーで、どう社会にインパクトを与えられるか。まだまだ考え切れてない人が大多数のなか、新しい波に乗っていく。社会実装の先駆者になり、産業構造を変革し、ゆたかな世界を実装していく。会社が掲げることとニアリーイコールになりますが、ここが私にとっての仕事だと思います。10年を経て、ブランドができてきたとはいえ、まだまだ何も成し遂げていない。今、このタイミングで入社する仲間も最上流から携われる中核メンバーです。その仲間を率いる高い志を持ったリーダーも求めています。自分たちが固定し、安定したら終わりだと思っています。1ミリも怠らずに、必要なテクノプレナーシップ*を日々積み上げていければと思います」

*テクノプレナーシップとは?

*テクノプレナーシップ(technopreneurship)とは、ABEJAが最重要視するテクノロジーを使ってビジネスにイノベーションをもたらす新しいタイプの起業家精神・行動精神のこと。この言葉には、イノベーションを目指すために必要な「情熱を持って仕事をする」「失敗を恐れない 」といった意味も込められている。テクノプレナーシップ本来のテクノロジーとアントレプレナーシップに、リベラルアーツの意味も加えて再定義。テクノロジーとリベラルアーツは、イノベーションに必要な両輪であり、円環で、アントレプレナーシップはそれを実現する原動力としている。

「ともするとテクノロジーは悪い方にも使えてしまう。それを社会がより豊かになる方向に持っていくために求められるのが、リベラルアーツですよね。ただ、それも絵に描いた餅で終わらせるのではなく、やりきることが大切。そのときにアントレプレナーシップが求められていく。当然、未知の領域をやっていくので、大変なこと、間違ったこと、失敗も多い。それでも繰り返しやっていく。結果が出るまでやりきる。そういう姿勢を持った方とぜひ働いていければと思います」(外木さん)

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