INTERVIEW
世田谷区 民間人材公募プロジェクト

世田谷区が、初の公募へ。広報・観光・公園利活用推進など【6職種・副業】に求める外部人材のチカラ

掲載日:2023/10/23更新日:2023/12/11

人気の商業エリア、閑静な住宅街、自然豊かな公園が共存し、幅広い世代に親しまれる世田谷区。東京都内で一位の人口を誇り、一部の政令指定都市を除けば、基礎自治体として抱える人口規模も日本一だ。そのような世田谷区で、次世代に向けた変革のために初となる外部人材の公募(副業可・1職種のみ任期付常勤職員)が行われる。なぜ今回の公募に至ったのか。そして採用者に期待することとは――。副区長である中村哲也さんに伺った。

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「外部」ならではの視点・アプローチで課題解決を

今回、世田谷区としては初めて外部人材の公募にいたった背景から伺ってもよろしいでしょうか。

世田谷区として、さまざまな行政課題にスピード感と、最新の知見を持って的確に対応していきたい。そのためには各分野の最先端で活躍している方々の力を貸していただく必要があると考えました。

近年の技術の進歩、社会変化のスピードは目まぐるしいものがありますよね。そういったなか、いかに新たな課題に対応し、スピーディーに施策を行っていけるか。職員の関心も高く、多くの部署にヒアリングを行い、特に重要性の高い領域にて公募をさせていただくことになりました。

具体的には「公園利活用事業」「広報」「動画配信」「エリアリノベーション推進」「観光プロモーション」「法務副参事」といった職種が今回の公募対象となります。言ってしまえば、これまでの役所が苦手と言われてきたところ。新たな分野もあり、実績がある方にアドバイスをいただきながら、役所内の成功体験・事例にしていきたい考えです。

いずれの職種でも期待しているのは、トライアンドエラーを前提としたスピード感のある進め方、柔軟な発想、経営感覚など。また、より良い区民サービスの提供につながるということはもちろん、その過程を共有した組織の強化・活性化や職員のレベルアップにもつなげられればと思っています。ぜひ民間ならではの新しい風を吹き込んでいただければと思います。

現在担当している職員たちも責任を持ってそれぞれの仕事に取り組んでおり、長期的な計画を組み立て、事業を積み上げる着実性は強みとして持っています。また、全区民をユーザーとする行政サービスの提供者として広い視野も培ってきた部分と言えるでしょう。さらに商店街や地域で活動している、意欲のある区民の皆さんもたくさんいます。世田谷区が掲げているのは「参加と協働のまちづくり」ですので、ぜひ多くの人たちとコラボレーションを図り、シナジーを生み出していっていただければと思います。

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世田谷区 中村哲也副区長2005年4月、子ども部副参事に就任。2008年4月には生活文化部文化・国際・男女共同参画課長へ。さらに2010年4月、総務部職員厚生課長に就任。2012年4月、総務部総務課長、2013年4月には政策経営部財政課長、2014年4月には政策経営部政策企画課長を務めた。2015年5月、子ども・若者部長に昇進。その後、2017年7月に総務部長、2019年4月に政策経営部長をそれぞれ歴任し、2020年11月、副区長に就任し、現在に至る。

区民の役に立ち、貢献実感が得られるやりがい

世田谷区様で働くことで得られる仕事のやりがいや魅力について伺わせてください。

大きく民間と異なる部分でいうと、全区民が顧客であり、ユーザーになるということ。利益の追求だけではなく、さまざまな区民のみなさまの不安、課題等に触れ、解決を目指すことができます。さらに世田谷区では約92万人の多様な人々が暮らしていますので、最も生活に身近でありつつ、多様な課題の解決に取り組むことができるのも特徴だと思います。民間での経験やアイデア、地域から多くの気づき、発見を得て、公務の視点に活かしていただけると思います。

また、それぞれの事業を進めていくにあたり、多くの区民や関係者からのリアクションを肌で感じられる環境です。区民の皆さまから直接感謝の言葉をいただくこともあり、役所ならではの役割に触れていただけるはず。ここは大きなやりがいにつながります。

もう一つ、今回は「副業」という形で、ご自身の仕事はされつつ、世田谷区における重要性が高い施策の分野に携わっていただける機会となります。都内最大かつ一部の政令指定都市を除くと日本一の人口規模の基礎自治体でもある世田谷区での実績、成功事例は今後のキャリアのプラスにもしていただけるはず。国や都との比較で言っても「現場を持っている」という違いがあります。そこで得た声、現実に即した課題をもとに、国や都にも意見ができる。ここもぜひ経験値にしていただければと思います。

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やりがいと共に“ミスマッチをしないためにも持っていてほしい心構え”についても語ってくれた中村副区長。「ユーザーとなるのは全区民。公務員は『全体の奉仕者』として公共の利益のために勤務するため、いつでも仕事の先には区民がいることを意識していく必要があります。当然、価値観もさまざまなので厳しい局面もあるでしょう。ただ、“苦情こそはサービス向上の材料”だと言い聞かせ、素直に受け止め、何らか政策などに反映していく。そういった姿勢を持つことが重要です。また、区民や関係者、職員など人とのコミュニケーションを通じて課題解決を図る場面が多くあります。そういった部分も面接では確認させていただければと思います」

すべての区民が、希望のある将来を描ける社会へ

続いて、副区長ご自身が今後実現したいことについて伺わせてください。

私は、区役所の仕事を通し、すべての区民が、希望のある将来を描ける社会、一人ひとりが自分らしい生き方を選択できる社会をつくっていきたいと考えています。もちろん、どのような将来を描き、どう希望を実現するかは、個人の選択です。ただ、区は、すべての区民の希望の実現を後押ししていく。将来を描けない困難な環境にいる人に手を差し伸べる。そうした環境に陥らないように支える。ここは追求する価値のあるミッションだと思っています。当然、日々の仕事は地味な仕事も少なくありませんが(笑)ぜひこのミッションの達成を、高い志のある方と共に目指していければと考えています。

そのミッションを強く意識されるようになった“きっかけ”などあれば伺えないでしょうか。

入庁後、初めて「子ども・若者部」という部署で部長になったのですが、そこで立ち上げた基金は大きなきっかけになりました。具体的には、児童養護施設を退所する子たちに、大学に進学する際「返済義務のない奨学金」の半分を区民からの寄付で補っていくというもの。児童養護施設で育ち、社会に出ていく子どもたちは、経済的な理由などで大学や専門学校への進学を諦めてしまうケースがあります。その人たちが安心して進学することができれば、興味のある分野についてより深く学ぶことができ、就職活動でも他の学生たちとフェアなスタートを切ることができるはず。そう考え、世田谷区として区民の皆さまに「この子たちが進学する時の背中を押していただけないでしょうか」とメッセージを伝え、寄付を募っていきました。苦労をしながらも議会から承認を得て進めたところ、区役所の中でも最もお金が集まる基金となりました。区民の皆さまに共感をいただくことができ、世の中は捨てたものではないと感じられた仕事でもありました。区役所だから、世田谷区だからできることがある。ぜひ同じように、すべての区民の希望の実現を後押しするような仕事がしたい方、志を持ってくださる方と、新しい時代の世田谷区を共に築いていければと思います。

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仕事で大切にしていることについて「明るく朗らかな態度で、区民・職員と接し仕事にあたることを大切にしたいと思っています」と語ってくれた副区長。「職層が高くなるとフォーマルな情報は日々あふれんばかり入ってきますが、現場ならではの情報や不都合な情報が、届きにくくなることを感じます。組織の風通しをもっとよくして、多くの職員が上司に率直な意見をぶつけて大丈夫と思えるようにしたい。さらには現状を変える提案を歓迎する組織風土を培い、定着させたい。そう日々考え、仕事をしています。今回ご協力いただける皆さんともぜひ胸襟を開いて率直な議論をさせていただければと思います」

副区長に聞く、各職種に期待する役割について

ここからは各職種において期待する役割について副区長に伺った。世田谷区における副業人材の登用は初の試み。いずれも変革の起点となることが期待されるポジションだ。

・公園利活用(PFI等)推進アドバイザー
・広報アドバイザー
・動画配信アドバイザー
・エリアリノベーション推進に係るアドバイザー
・観光プロモーションアドバイザー
・法務副参事(弁護士)※副業ではなく任期付常勤職員

公園利活用(PFI等)推進アドバイザー
世田谷区は、23区の中でも公園が多い自治体であり、その公園をより魅力ある空間へとアップデートしていきたいと考えています。既存の公園の利活用や新たに整備を予定している大規模公園に、世田谷区としては初めてとなるPFIなど官民連携手法を活用したい考えです。ユーザーとなる地域住民の皆さんの「声」を聞きつつ、区としての一定の制約があるなかでも、PFIなど官民連携手法のメリットが出るカタチでバランスを見ながら建設を進めていく予定です。ぜひ、公園の特性や地域ニーズに応える公園づくりを通じ、人と人のつながりが生まれるまちづくりに貢献くださる方の応募をお待ちしています。

広報アドバイザー
区政に関する情報をより的確に、より分かりやすく、多くの人に効果的に伝えられるようにするための提案や助言をしていただきたいと考えています。世田谷区には、約92万人もの様々な人が暮らしています。区でも広報紙やSNSなどを活用した情報発信をしていますが、課題も少なくありません。「せっかくの良い取り組みもアピールが下手」といったご意見も多くいただきます。伝えたい相手に適切なメディアや手法、表現で伝えていく。適切に情報を提供していくために、従来の手法にとらわれない柔軟な発想、提案に期待しています。

動画配信アドバイザー
コロナ禍を経て、世田谷区でも、区の魅力の発信、政策のPR、区民参加ツールなどに動画配信を活用しています。ただ、試行錯誤の部分もあり、動画配信の質の向上が課題となっています。動画配信の企画・構成の検討や効果検証などにアドバイスをしていただきたいと考えています。

エリアリノベーション推進に係るアドバイザー
地域や人とのコミュニケーションを通じ、その地域の魅力や担い手などまちの資源を掘り起こすことで、内外から新たな需要を取り込み、商店街を始めとした地域全体の賑わいを創出し、エリア価値の向上を目指す事業です。地域に所在する遊休資産等から魅力的な地域資源を再発見した上で、どのように地域の価値を向上させることができるのか、地域の多様な関係者や事業者などとの交流を通じた丁寧なコミットメントが必要になりますので、ぜひとも世田谷区に愛着を持って、地域に飛び込んでいっていただける方の応募を期待しています。特定のエリアを定めて活性化をしたいと考えています。魅力的なエリア、商店街などもあるため、それらをうまく活性化し、成功体験を作り、横展開をしていくといったことに力をお貸しいただければと思います。

観光プロモーションアドバイザー
世田谷区内にある魅力的な観光リソースの掘り起こし、企画に期待しています。いかに住宅都市においても、観光的に人が来てくれるか。どういった仕掛けができるか。他の成功事例をもとに、大規模な観光施設などを持たない自治体ならではの観光事業のあり方、観光関連データの分析等をお願いいたします。そして、地域経済の活性化、「世田谷」というエリア全体の魅力の向上に貢献したいと考える熱意のある方の応募を期待しています。

法務副参事(弁護士)※このポジションのみ任期付常勤職員となります。
任期付の常勤職員としての採用となるため、一定年数、弁護士としての知識と経験を活かし、訴訟への対応、各業務部門への法的な助言など、世田谷区の法律関係の業務に従事していただくものです。また、職員の法的判断能力の育成などにも関与していただくことを期待しています。

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