INTERVIEW
SODA

その企画は、ユーザーを「熱狂」させられるか―APAC最大サービスを目指す『スニダン』マーケターの挑戦

月間利用者数は600万人超ーー国内最大級C2Cマーケットプレイス『SNKRDUNK(スニーカーダンク)』。運営するSODAは2023年10月、韓国のKREAMと経営統合し、APAC最大のファッション・コレクティブル マーケットプレイスを目指す。2023年1月からはB2C事業(ブランド直販)『HYPE DROP』も開始し、急成長を遂げている。今回お話を伺ったのは、同社で活躍する芦澤 宏治さん(34)。ファンマーケティングとブランディングを兼任する。「いかにユーザーの高い熱量を維持し続けられるか。それが命題です」彼が語る、SODAでこそ得られるやりがいとは――。

SODAとは
「世界中が熱狂する次のマーケットプレイスをつくる」をミッションに掲げるスタートアップ。2018年7月創業。主力サービスである『SNKRDUNK(スニーカーダンク)(以下、スニダン)』は日本最大級の取引実績をもつC2Cサービスとなった。成長の理由の1つが、独自の真贋鑑定にある。すべての商品を一度預かり、カテゴリ別鑑定チームによる鑑定を実施し、鑑定精度は99.96%。従来のフリマアプリで起きがちだった「偽物を購入してしまう」という課題を解消。「正規品を保証する安心フリマ」のポジションを確固たるものにした。『スニダン』では、C2Cフリマ機能に加えて、 新作商品の発売・抽選情報などの記事を配信するメディア機能や、 ユーザーがスニーカー・ストリートウェアに関する投稿やコメントを行えるコミュニティ機能なども展開している。さらに、2023年1月より、新しい販売チャネル『HYPE DROP』をローンチ。『スニダン』が厳選した国内外のブランド公式取扱アイテムのほか、アーティストとのコラボレーションアイテムなど、ここでしか手に入らないExclusiveなアイテムも取り揃える。

マーケターとして成長できる環境を求め『スニダン』へ

まずは、転職を考えるようになったきかっけから伺ってもよろしいでしょうか?

マーケターとして10年目を目前にしたとき、「今のままでいいのかだろうか」と思ったことがきかっけだったように思います。

もともと前職は大手ファッションECのマーケターとして働いていました。誰にでもわかりやすい「ポイント◎倍」のようなマス向けの訴求が中心。大規模なお金が動くという意味でインパクトはありました。ただ、個人的には、もっと特定の誰かに向けた訴求をしてみたい。もっとマーケターとして介在価値を感じられるような仕事をしてみたい。そういった思いがあったのも事実でした。

また、大手にいると、どうしても決裁スピードは落ちる。言い換えれば、アウトプット量が少なくなりやすい。自分のキャリアの広がり・経験の深まりに対して、危機感もありました。マーケターとしてより成長していくには、30代は多少ストレッチしてでもアウトプット量を増やすことに振り切ったほうがいいのではないか。良い会社があれば転職という選択もありだな。そう思っていた矢先に、SODAからスカウトを受け取ったんです。

当時からSODAのことは、ご存知でしたか?

はい。学生時代からストリートファッションが好きで、『スニダン』は自分でも使っているサービスでした。使い始めたきっかけは、自分と同じく、大のスニーカー好きの友人から勧められたこと。「欲しいものが見つかる」、「安心して購入できる」など、サービスの良さを力説されたのを覚えています。自分自身も他のフリマサイトで商品を購入したら偽物だったという体験があって。ユーザーとして、プロが鑑定済みの商品を購入できるのは良いサービスだなと思っていました。だから、SODAからスカウトを受け取った時、ぜひ話を聞いてみたいと思ったんです。

SODAの決め手はなんだったのでしょう?

マーケターとして使命感を持って取り組めると感じたこと。これは大きな決め手でしたね。

というのも、当時のCMOとの面接では、SODAの「世界中が熱狂する次のマーケットプレイスをつくる」というビジョンについて話してくれました。さらに、そこを目指していくにあたって、目先の目標としては、会員数増加だけではなく「定着」も高めていきたいこと。スニーカーだけではないという認知をとっていきたいこと。仮にスニーカーブームが下火になったとしても、事業を安定して成長させられるだけの基礎体力をつけていきたいこと。これらも合わせて共有してもらいました。

これらを実現するには、熱量の高いユーザーの信頼を勝ち取り、深く入り込んでいく必要がある。単純に「おもしろそうだな」と。先ほどお伝えしたように、前職は大手でマス向け訴求を行うことが多かっただけに、『スニダン』の狭く深く入り込んでいくマーケティングにがぜん興味が湧いたんです。課題感が大きく、マーケターの介在価値がありそうだな、と。

また、選考のなかで、意思決定のスピードが早く、個人に任される業務の幅が広いことも知って。ここなら、アウトプットを最大化していけるのではないか。これまでの経験をフルに活かし、腕試しができるのではないか。そういった期待感があり、入社を決めました。

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芦澤 宏治
新卒でメンズファッション雑誌の制作を行なう編集プロダクションに入社。紙媒体及びWebメディアの企画制作に従事。その後、ランサーズ、ビズリーチ、楽天グループでマーケターとして働く。2023年1月にSODAへ。現在、マーケティング部 ブランディングチーム 兼 CRMチーム シニアマーケターを務める。リピートユーザー数をグロースさせることを目的としたマーケティング施策の企画・実行、カテゴリー拡大に際し「スニダンはスニーカーだけじゃない」のブランド認知拡大に向けた施策全般を担う。自身も30足を超えるスニーカーを所有する。この日の足元は、AdidasのSAMBA。

その企画は、ユーザーの「熱」を維持し続けられるか

入社されてみて、熱狂的なファンと向き合う仕事ならではの魅力とは、どういったところにあると思いますか?

改めて、『スニダン』が向き合っているのは、熱量・感度が高く、自分の好きなカテゴリーの情報をウォッチすることが日常に染みついている人たち。彼ら・彼女らの熱量を、いかに維持し続けるか。離れてしまわないように心をつなぎとめられるか。ここが『スニダン』に関わるおもしろさかなと思います。

やっていることはとてもシンプルで、とにかく確かな情報・企画をいち早く届けていく。メルマガ、アプリプッシュ、InstagramやXなどのSNS、Web/TVCMなど、あらゆるチャネルでユーザーとの接点をつくっていく。特長があるとすれば、とにかくこれらを圧倒的に高速でまわしていくこと。どのタイミングで、どういった商品を、どういったメッセージングで訴求していくか。アイデアを大量に出し続ける。そのなかから「これが一番ハマりそう」というものを見つけ実行していくことだと思います。

たとえば、情報発信であれば、人気モデルの抽選開始の情報、コラボモデルや復刻モデルの情報をいち早くキャッチアップし、デイリーで朝・夕・号外で届けていく。クリスマスや年末にお年玉キャンペーンをするならば、どんな商品を取り扱えば最大限にユーザーに拡散されるか、どのメディアでメッセージを発信していくか、的確に目利きをし、企画に仕立てていく。そういった積み重ねが、ユーザーのロイヤリティ向上につながっていくはず。SNSで「やっぱり『スニダン』わかってるわ」といったコメントがつくことが、自分のモチベーションにもなっていますね。

直近で手がけた企画など含め、手応えを感じたエピソードについて伺わせてください。

それで言えば、2024年3月に『スニダン』の新機能として、コーディネートを見ることができる『STYLE』を企画・開発・実装しました。インフルエンサーの投稿を見ながら、新たなアイテムに出会ったり、トレンド・新作アイテムを使った着こなしを発見できる世界観を目指してつくりました。

そもそものスタートは、2023年10月ごろにマネージャーにアイデアを提案をしたこと。コスト0円でできることもあり「いいね、やろう」となって。インフルエンサーの投稿を『スニダン』のInstagramで紹介させてもらう取り組みを1人で始めたんです。

コツコツと続けていると、だんだん想定以上に売上につながるようになっていって。「これはいけるかもしれない」という手応えを感じてからは、トントン拍子で話が進み、実際にアプリの新機能として開発・実装するに至りました。現在では予算がつき、体制強化も検討しているところ。「自分のアクションが認められた」という喜びがありましたね。

とくに面白かったのは、実行までかなりスピード感をもって進められたこと。プロダクトチームや代表との距離が近く、クイックに相談できるため、やる・やらないの意思決定が速い。さらに、まだ創業して5年、マーケットの流れも流動的なので「誰も正解を知らないからとりあえずやってみよう」というカルチャーがある。企画を考えて実行していく身としては非常にありがたい環境ですね。

加えて、SODAでは、基本的にアイデアを出した人が川上から川下まで一気通貫で担当するスタイルを採用しています。これまでマーケターとして4社ほど経験してきましたが、中途入社の場合「広告運用担当」、「CRM担当」のように役割が明確に決まっている採用が主流。SODAのように、業務範囲の枠にはまらない環境は、非常に稀有だなと感じています。

お陰様で、これまで経験したことない領域でも、意欲次第でどんどん挑戦できている。以前よりも業務の幅を広げることに貪欲になれたように感じます。

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何十万円もするスニーカーがズラリと並ぶSODAのオフィス。手にとって説明してくれたのは、世界的ファッションブランドDIOR(ディオール)とNIKE(ナイキ)のコラボモデル"AIR JORDAN 1(エアジョーダン1)"。「2020年の7月に発売されて、現在も100万円前後で取引されているモデルです。デザイナーであるキム・ジョーンズのファンなのでお金を貯めていつか手に入れたい憧れの一足です(笑)」

一番怖いのは、アウトプットが鈍化すること。

一方で、働かれるなかで厳しさを感じたり、壁にぶつかったりした経験があれば伺いたいです。

じつは最初から順風満帆だったわけではありません。正直にいうと、入社してから半年ほどは、なかなか成果を出せず、理想と現実のギャップにストレスを感じていました。もともとスピード感や経験の幅を魅力に入社をしたものの、現実はいろいろな制約もあり、出すアイデアはどれも形にならず負け続き。メンバーのマネジメントも思うように行かない。自分のパフォーマンスに納得がいかない、けどどうしたらいいかわからない。悶々とした日々を過ごしていました。

その苦しい時期を、どう乗り越えたのでしょうか?

制約がある中でも考え続けることを止めなかった。すべてまっさらにして「本当に他にできることないか」と自問自答し続けた。ここに尽きるかなと思っています。

月並みですが、やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい。特に、30代のうちにどれだけアウトプットをするかを重要テーマとして掲げている以上、一番怖いのはアウトプットをしないこと。だから、仮にやってみて失敗したとしても「そんなこともあるよね、やらなかったより全然いいじゃん」と思うに留めています。

よくも悪くも、楽しい時もしんどい時も瞬間的なもの。「今」は永遠ではない。あまり一喜一憂せず「トータルで見て楽しければOK」と気長に構えるのは大事かもしれませんね。

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SODAに入社してから、「同僚のおかげで、年齢に縛られず目の前のことを全力でできるようになった」と芦澤さんは語る。「今は周りのメンバーのほぼ全員が同世代。しかもみんなが川上から川下まで、自分でやれることをとにかくやるというマインドで取り組んでいる。何歳だからこうしなきゃ、という考え方が、そもそも生まれにくい環境かなと思っています。これまでの会社では、マーケターとして年次を積むと、マネージャーになるか、 プロフェッショナルになるか。キャリアの選択に迫られる経験がたくさんありました。同時に「もう30代だから」と、年齢を理由にストッパーをかけるような思考に陥りやすかった。SODAに入社してからは、そういった先入観から解放されました。社内のメンバーを見ていても、各カテゴリーを当事者として楽しんでいて、消費者の気持ちがわかった上で 企画をつくっている人が多い。新発売の情報をはじめ、大抵のことは社内の人に聞くのが一番早いですね(笑)」

『スニダン』発のトレンドを生み出したい

最後に、芦澤さんとして今後実現していきたい目標があれば、教えてください。

『スニダン』発のトレンドを生みだす。そういった取組みをマーケターとして仕掛けていきたい。ひいては、自分が好きなストリートカルチャーやファッションシーンを盛り上げることに貢献できればいいなと思います。

現状取り組んでいる、各カテゴリーごとの売れ筋商品のプッシュはもちろん大事です。このアプリに行けば今の流行がすべて分かるというのは、1つの価値だと思います。ただ、個人的には「できあがったトレンド」をただ届けるだけでは、コミュニティへの影響度としてはまだまだ弱いと思っていて。「これは『スニダン』から始まった」というものが生み出せるようになると、ただのフリマアプリではなく、よりブランド価値としても高めていけるのではないかと考えています。

そのためには、発信力、商品理解に加えて、「時代の流れを読む」といった抽象的なスキルも磨いていきたい。また、SODAには、コンテンツ制作・販売・鑑定の各部門に心強いメンバーがたくさんいる。そうしたメンバーとチーム一丸で独自の発信をしていくのも面白そうですよね。

個人的には「マネージャーなどの役職や肩書きを得たい」「 年収◎万円プレイヤーになりたい」といった願望はあまりなくて。どちらかというと「何を残したいか」という定性的な目標がモチベーションになっています。これからもアウトプットをし続けて、何かを残せる存在になっていきたいですね。

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