INTERVIEW
東京都 デジタルサービス局|ICT職 公募

デジタルの力で、東京都を元気に。外資系コンサルファームを経て、彼女が「都政DX」に抱く志

掲載日:2024/06/17更新日:2024/06/17

東京都のDXを推進していく「東京都 デジタルサービス局」。2024年度「ICT職」の民間人材公募に伴い、特別インタビューをお届けする。今回お話を伺ったのは、2022年4月に入庁*した堤加奈さん(31)。もともと外資系コンサルティングファームでコンサルタントとして働いていた堤さん。なぜ彼女は東京都でのキャリアを選んだのか。そこには「DX推進を通じ、都民の暮らしに真に価値あるサービスを生み出していきたい」という熱い想いがあった――。

*2024年5月現在、一般財団法人「GovTech東京」(官民共創グループ)に出向中。GovTech東京は、東京都100%出資の技術専門団体。理事長を務めるのは、東京都の宮坂学副知事。東京都 デジタルサービス局と連携し、都庁DX支援、自治体で共通利用できるツールやシステムの共同調達などを行う。また、デジタル人材派遣なども通じ、都内区市町村のDX推進・支援も手掛けていく。

DX推進を通じ、都民の暮らしに真に価値あるサービスを

前職は外資系のコンサルティングファームで働いていたと伺いました。転職のきっかけ、そして東京都を志望した理由について教えてください。

コンサルタントの仕事も楽しく、非常に好きだったのですが、30代が近づき、ふと「定年を見据えて長く働く」ことをイメージした時、別の道もあるのではないか?と考えるようになりました。コンサルティング業界はまだまだ「Up or Out」の考え方がベースにあります。つまり出世するか、退職するか。ちょうどその頃、近しい知人から「東京都がICT職の中途採用をしている」と教えてもらい、新たなキャリアパスとして魅力を感じ、ここしかない!」と応募を決めました。

コロナ禍を背景に「行政DX」が注目されていた時期でもあり、私自身もその動向に関心を持っていました。だからこそ、東京都がICT職の採用を通じ、DX推進を本格化させると知った時、大きな魅力を感じたのだと思います。

コンサルティングファームで積んできた課題解決の経験を、行政という新たな舞台で活かしていきたい。DX推進を通じ、都民の暮らしに真に価値あるサービスを生み出していきたい。そういった想いを胸に、入庁を決断しました。じつは「もし今年がダメだったら次年度に再チャレンジしよう」と覚悟していたくらい、東京都庁で働きたい思いは強かったですね。ですので、いわゆる転職活動はしておらず、選考を受けたのも東京都庁だけでした。

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前職、コンサルティングファームにて経営戦略、BPR・業務改善、新規事業立案、DX推進など多岐にわたるプロジェクトに携わってきた堤さん。東京都庁の最終選考について「すごく緊張していたのですが、面接を担当された方から“少しでも普段の堤さんの人柄を引き出せるように私たちも頑張ります”と言っていただき、緊張をほぐしていただけたことがすごく嬉しかったし、印象に残っています。」と語る。「選考課題の資料・プレゼンについても前のめりに質問いただき、非常に充実した時間でした。私からは「どうしても東京都で働きたい」という思いの丈を熱量高くお話したことを覚えています(笑)。」

デジタルの力で職員の時間的・精神的負荷を軽減。高付加価値な仕事への挑戦を後押しするやりがい

続いて、仕事のやりがいについて伺わせてください。

入庁2年目まで、都庁のDX推進を支える基盤づくり、共通化や自動化に携わってきたのですが、その重要性を肌で感じることができました。また、実際にツールを導入した各局の方々から「業務が楽になった」とか「ミスが起きにくい」といった声をたくさんいただき、すごく嬉しかったです。たとえば、RPAの導入でいえば、案内メールの作成や集計作業などを 目視や手作業で行うのは、不安やリスクがあります。そういったなかで自動化を進めることで「精神的なストレスから解放された」「事業内容のブラッシュアップに時間を割けるようになった」  という反応が多く、大きなやりがいにつながりました。特にコンサルタントをしていると「もっと手触り感があることをやりたい」という思いが湧くもの。どうしてもコンサルタントはクライアントと伴走しつつもあくまで提案する立場に留まりますので、プロジェクトの実施主体となってやり抜くことが立場上、難しかったりもします。ただ、東京都での仕事は自らが主体者となり、手を動かす。 だからこそいわゆる「手触り感」がすごくあります。また、広域自治体として、他の自治体のモデルケースになることも少なくありません。さまざまな試行錯誤を経て、実装したものが全国へと広がっていく。それが「デジタル公共財*」となっていくのは、非常に意義深いですし、「公共のために働ける」という部分も大きな魅力だと感じます。

デジタル公共財*…国連において「持続可能な開発に資するオープンソースのソフトウェア、 オープンデータ、オープンAIモデル、オープンなデータ標準、オープンなコンテンツ」と定義され ており、本事業においては、公共性が高く、産業及び社会の課題解決に資するオープンな デジタル制作物(特にデータ標準・データ連携基盤)を指す。
(引用)https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/Web3/yosan_R5.pdf

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各局の共通基盤サービス(RPA、AI-OCRなど)の導入・運用、関連する契約事務、予算取りまとめ、ファイルストレージなどのサービス導入・運用などを手掛けてきた堤さん。「都庁内のデジタル環境の充実を図っていく、その大きな役割のなか、非常に創造性の高い仕事も多いと感じています。特に東京都は自治体のなかでも先進的。法令やルールに従うことは大前提ですが、これからルール自体を検討していくような創造的な分野にも取り組んでいける環境です。一方で民間から来た方が慣れるまでに時間がかかる部分でいえば、行政ならではの予算要求や調達のプロセスがあるかもしれません。年度単位で予算が決まっており、前年度の中盤には要求の内容を固める必要があります。いかに未来を見越して組み立てられるか。他局と協調・調整し施策を計画・実行できるか。透明性・公平性が重視される公的機関ならではの慎重さ、丁寧さが求められる部分です。」

多くの仲間と出会い、自らを成長させ、社会に貢献を

今後、仕事を通じてどのようなことを実現していきたいか、目標について教えてください。

2024年度からGovTech東京に出向し、新しく設立された官民共創グループに所属しているのですが、今まさに新たなフィールドに挑戦しているところ。区市町村や都庁各局の様々な行政課題を解決するため、東京都 デジタルサービス局と連携し、都知事杯オープンデータハッカソンのサービス実装後の新サービス創出や普及の支援、社会企業家の方々と技術検証を行うための枠組みの検討などを行ったりしているのですが、それらの活動を通じ、未来にも活かせる「デジタル公共財」を生み出していきたいと考えています。社会課題を広い視野で捉えると、民間だからできること、行政だからできることがあるもの。それぞれが持っている人材や機能などを考慮し、新しいシナジーや解決策を生み出し、より大きな社会的価値を創造につなげていく。

少し先を見据えた個人的な目標でいえば、デジタルを活用し、中小企業支援にも力を入れていきたいです。前職、コンサルタントとして働くなか、中小企業でデジタル化が進んでいない課題にも直面しました。日本では99%が中小企業を占めると言われるなか、そのみなさんが元気になれば、日本も元気になるはず。経済を活性化させる大きなインパクトにつなげたい。ぜひここにも取り組んでいければと思っています。

最後に、堤さんにとっての仕事とはどういったものか伺わせてください。

私にとって仕事は、多様な人々と出会い、対話を通じ、自己を成長させ、社会に貢献していく営みだと思っています。仕事は決して一人でできるものではないですよね。さまざまな個性、強みを発揮し合い、共に大きな成果を生み出していける。その過程で人間的な成長があると思っています。ただ、個人に閉じるのではなく、その成長を社会への貢献につなげていきたい。東京都での仕事が民間企業と最も大きく異なるのは、一社の収益のためではなく「100% 都民のための仕事をしていく」ということ。サービスを提供するユーザーやターゲットを絞ることもなく、真に都民の皆様全員にとっても良いサービスを追求していく。当然、簡単ではありません。ただ、どのような困難にも負けずに、仲間とともに、あるべき理想的なものを生み出す挑戦を、これからも続けていきたいと思います。

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