REPORT
茨城県|2025年度実施 公立学校教員選考試験

「教職専門試験廃止」は全国初。茨城県が新たな選考形式で、公立校の教員を民間などから広く公募。

掲載日:2025/02/17更新日:2025/02/17

2025年度、茨城県では新たな取組として「SPI3による教員選考試験」を実施へ。SPI3を教員選考試験に取り入れるのは都道府県では初となる。さらに、「教職専門ナシ」の教員選考試験を実施へ。この試験方式は全国初となる。これらを導入するに至った理由の一つは、民間企業をはじめ、さまざまなバックグラウンドを持つ「多様な人材」の教員登用だという。実際にはどういった試験となるのか。これまでとの違いとは。茨城県が求める教員像と併せて見ていこう。

2025年度実施茨城県公立学校教員選考試験スケジュール
・志願受付|2025年(令和7年)2月25日(火)~2025年(令和7年)3月24日(月)
 申請方法|AMBIへのエントリー後に【いばらき電子申請・届出システム】にて申請

※AMBIへのエントリーだけでは志願は完了しません。AMBIへのエントリー後、お送りする受付完了メールに記載のURLから【いばらき電子申請・届出システム】へログインし、必ず電子申請を行ってください。

▼ 第1次試験
[一般選考等]
 筆記試験(専門教科・科目) 2025年(令和7年)5月11日(日)

[外部試験による選考]
 基礎能力検査(SPI3) 2025年(令和7年)4月21日(月)~5月16日(金)
 ※外部試験(SPI3)による特別選考は、令和7年5月11日(日)に実施する他の選考と併願できません。
 ※外部試験(SPI3)による特別選考の2次試験の日程・内容は、一般選考と同じです。

▼ 第2次試験
[小学校・中学校・高等学校・養護・栄養教諭]
 個人面接、模擬授業など 2025年(令和7年)7月12日(土)、7月13日(日)

[特別支援学校教諭]
 個人面接、集団活動 2025年(令和7年)7月19日(土)、7月20日(日)

▽ 第1次試験結果通知 2025年(令和7年)6月13日(金)予定
▽ 第2次試験結果通知 2025年(令和7年)8月8日(金)予定

※第2次試験合格者は、原則として2026年(令和8年)4月1日に採用となります。

教育現場に「多様な人財」を。

茨城県は、アントレプレナーシップやシティズンシップを身に付け、グローバル社会で活躍できる「人財」、地域や社会を支える「人財」の育成に取り組んでいる。その一環として、2025年度、全国初となる新たな教員選考試験(茨城県内の公立学校が対象)を実施する。教育現場に多様な人財を呼び込み、未来を切り拓く教育・新たな学びの可能性を広げていくとする。

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どこが変わる? 2025年度実施 茨城県公立学校「教員選考試験」

では、実際に、どういった点が変わるのか。大きく変わるのは、1次試験の内容だ。2025年度から、従来の筆記試験から「教職専門(*)」を廃止するとともに、民間企業等からの転職希望者などの受験を促すため、外部試験(SPI3)による選考枠を新設する。従来の枠組みにとらわれず、多様なバックグラウンドを持つ人財を教育現場に呼び込み、「新たな学びの可能性」の提供を目指す。

(*)「教職専門」…教育原理、教育史、教育法規、教育時事、教育心理など教育に関する知識・教養を問う科目。自治体によって出題傾向や出題形式に特徴が見られ、過去問分析などが必要とされる傾向が強かったいわゆるペーパーテスト。

茨城県公立学校教員選考試験【1次試験について】
全国初となる取組として「教職専門」を廃止 → 受験準備の負担軽減へ
■ 外部試験「SPI3」による選考枠を新設 → 民間企業からの転職希望者の受験が容易に

※「専門教科・科目」と「SPI3」については、電子申請による志願時にどちらかの選考枠を選択。外部試験「SPI3」による選考枠と一般選考等の併願は不可。外部試験「SPI3」による選考枠の採用予定人数は、全校種・全職種で200名程度となる予定。受験資格として、教員免許状(志願する区分ごとに求められる普通免許状)が必須となる。

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「民間企業出身の教員」に期待される役割

採用後には教員として公立学校に勤務し、児童生徒たちへの教科等の授業や校務を担うことになる。さらに茨城県は「民間企業で働いた経験」を活かした、新たな教育にも期待を寄せているという。

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また、茨城県では、新規採用の教員を育成するための研修体系を構築している。また、サポート体制も充実している。子どもと共に学び続ける教職員を支えていく。

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新しい時代の、新しい教育を。茨城県が推進する「教育改革」

茨城県では6年間の計画的な指導で探究心などを育む「中高一貫教育校」の設置を推進し、2020年度から新たに10校を開校しており、都道府県立としての設置数は全国最多を誇る。また、AI・IoTといったデジタル領域や最先端科学技術分野の技術者・研究者の育成のための新設校も大きな話題となった。

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さらにユニークなのは、そういった中高一貫教育校などにおいて民間出身者をはじめ、多様な人材を「校長先生」として登用している点だ。民間出身者ならではの知見・ネットワークを活かし、多様な学びの場の創出や教育プログラム導入など、生徒と教員双方に新たな可能性を提供している。

たとえば、電通のクリエーティブ・ディレクターや花王のマーケター、PwCコンサルティングのコンサルタント、NHKのプロデューサーのほか、文部科学省・内閣府・総務省などで経験を積んできた国家公務員出身者など、様々な経歴を持つ人材を「校長」として登用。特に探究活動、デジタル学習、留学プログラム、語学研修の充実、スポーツチーム・民間企業との連携などユニークな授業、プログラムの創出につながっている。

また、職員によるDX推進チームを設立し、組織改革も進行中。現場で働く教員の意識にも変化があり、各校では生徒主体の新たな取り組みが数多く進められている。

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もともと花王にてEC責任者・DX推進の部長職から、茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校 校長に着任した生井秀一さん(画像:一番左)による特別授業の様子。民間企業をはじめさまざまな領域の第一線で活躍する方々も参加する形の授業や交流が行なわれている。

茨城県 教育委員会担当者よりメッセージ

今日、様々な変化への対応がより一層求められる社会を生きる子どもたちが、他者と協働して課題を解決する力、変化を前向きに受け止め、しなやかに対応する力を育むことができるか。

このような問いと向き合うなか、茨城県では「次世代を担う『人財』」や「魅力ある教育環境」「自分らしく輝ける社会」などを政策の大きな柱とし、アントレプレナーシップやシティズンシップなどを身に付け、グローバル社会で活躍できる「人財」や、地域や社会を支える「人財」の育成に取り組んできました。

さらにそれらの取組を前進させていくために、今回「人財の育成」「学校づくり」の主役となる教員を多様な分野から求めていくこととしました。期待しているのは、子どもたちの主体的な学びを支えるファシリテーション能力、ICT活用能力、実社会における体験的・探究的な学びの推進などです。

本県にて学校教員として働く醍醐味は、先のような先進的な取組を牽引しつつ、児童生徒一人ひとりの人間としての成長・発達に伴走ができることです。児童生徒自身の力で未来を描けるようになる、その過程において教員自身の人間的な成長もあるはずです。

もちろん教員はルーティンやマニュアルだけではこなすことができない、臨機応変な対応が求められる仕事です。また、教育公務員としての高いコンプライアンス意識、人間性が求められます。そのような前提を有し、一人ひとりの児童生徒の捉え方が異なることを理解し、他者を尊重し、良好な対人関係を構築していく。未来を切り拓く人財を育み、「茨城の教育」を実現していく。そういった志を持つ方からのご応募を心よりお待ちしております。

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