「テクノロジーによって新しい価値を創造し、一人ひとりのより良い未来をつくる」をミッションに掲げるクーリエは、ヘルスケア分野でデジタルプラットフォーム事業を展開し、社会課題解決に取り組んでいる。今回取材したのは、マーケティングディレクターの藏内靖恵さん(27)。介護現場からクーリエにジョインし、わずか2年でチームリーダーに成長した。「介護業界をもっとポジティブに変えたい」という想いを胸に、業界変革の最前線で挑戦し続ける彼女の軌跡に迫った。
クーリエとは
「確かな価値を、多くの人へ。」をバリューに掲げ、ヘルスケア領域におけるデジタルプラットフォームビジネスを展開する企業。掲載数No.1施設検索サイト「みんなの介護」、介護職求人掲載数No.1転職サイト「みんジョブ」をはじめ、5つのサービスを提供している。クーリエの特徴の1つは、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍している点。同じIT業界からの転職者だけではなく、戦略コンサルやPEの最前線で活躍していたメンバーまで多岐にわたる。
介護現場からマーケティングの世界へ。転職を決意した想いとクーリエとの出会い
介護現場で働いていた前職から、25歳でクーリエへ転職した決め手とは?
クーリエに入社した決め手はさまざまありますが、特に惹かれたのが、働く人たちの「熱量」でした。というのも、選考で役員が「介護の事業でどう社会に貢献していくか」について、すごく熱を込めて語ってくれたんです。「介護業界のネガティブなイメージを変えたい」という思いで転職活動をしていたので、クーリエの熱量はすごく魅力的でした。
前職では、特別養護老人ホームで介護スタッフとして、介護職の専門性や奥深さを日々実感していました。その一方で、世間では「誰でもできる仕事」というネガティブなイメージを持たれていることに強い疑問を感じていました。介護職は、利用者一人ひとりの尊厳と生きがいを支え、その人らしい最期まで寄り添う素晴らしい職業です。それにも関わらず、優秀な同僚たちが自信を持てずに卑下する姿を見て、介護職がなぜ正当に評価されないのかという課題意識が強くなっていったんです。
介護業界のイメージを変え、働く人たちがもっと誇りを持てる世界をつくるには、私自身が介護業界の魅力を発信し、新しい挑戦を重ねていく必要があると考えました。そこで当初は、介護の本当の価値を広く社会に伝えるため、お客様と直接対話できる営業職への転職を目指していました。
ところが、面接の際に、介護現場の知識を活かして介護の本当の価値を広く社会に伝えるという展望の実現のためには「営業よりもマーケターに向いていそうだね」と提案されたんです。未経験の職種であるにも関わらず、適性を見極めてマッチする職種を積極的に提案してくれたことで、「必要とされている」と感じました。自分の考えを後押ししてくれると感じ、入社を決めました。
社内のプロフェッショナルからのナレッジ共有によって、サービスの向上や発信において、施策の実効性を高めているクーリエ。藏内さんはこう語る。「ありがたいことに多くの部署から『現場目線からの意見を聞きたい』と相談いただきます。ターゲットは法人なのか施設なのか、その人たちの1日の動き方、インサイト、ITリテラシーの水準など、細かな情報が重要になります。そこに対して前職での経験をもとに定性的な観点を共有すると、とても感謝されるんです。『まさか自分の経験がこんな風に役に立つとは…!』と、驚きました。現場で見聞きしてきたことが、マーケティングをする上でアドバンテージになっているように思います」
多様な業務経験を積み、オフライン広告チームリーダーとして組織を牽引
入社後はどのような業務を担当されていますか?
入社してから約2年間で、マーケティングを軸にしながらも本当に多岐にわたる業務を経験させてもらいました。
現在はオフライン広告チームのリーダーとして、6名のメンバーと密にコミュニケーションを取りながら、過去最高益を達成するための集客目標に向けて施策を回しています。
手掛けているオフライン広告は、介護サービスを必要とする方々に効果的にリーチするための幅広いチャネルを網羅しています。具体的にはTVCM、新聞広告、ラジオCM、電車内広告、屋外看板、そして全国の老人ホーム情報をまとめたMOOK本の制作まで手掛けています。
最も責任が重いのは、TVCM予算の運用です。どの時間帯に、どの番組枠で放映するかによって費用対効果が大きく変わるため、視聴率データや競合他社の出稿状況を分析しながら最適な枠を選定しています。また、年間契約の更新時期には広告代理店との価格交渉も担当し、予算の中で最大限の露出効果を得られるよう戦略的に交渉を進めています。
さらに、ターゲット層が実際に手に取りやすいチラシ施策の企画・制作・配布も重要な業務の一つです。これら複数のチャネルを同時並行で進めるため、各媒体の進行スケジュール管理と、チームメンバーへのタスク配分、そしてプロジェクト全体の品質管理まで統括しています。
現在直面している最大の課題は、オフライン媒体特有の効果測定の困難さです。デジタル広告なら即座にCVRやCPAが分かりますが、TVCMや新聞広告は「どの施策がどれだけの効果を生んだのか」を正確に把握するのが困難です。そのため、施策のPDCAサイクルが遅くならないように、社内のデータサイエンティストと協力してデータ・コストを一元管理し、全体最適を図ることをミッションとしています。
入社から約2年間で、マーケティングを軸として多様な部署を横断的に経験してきた藏内さん。クーリエでのキャリアはオフライン広告のクリエイティブ制作から始まった。2024年4月からはデジタルマーケティングの分野で、公式LINEやマーケティングオートメーション、各種キャンペーンなどのナーチャリング施策を一手に引き受けてきた。そして2025年4月からはオフライン広告チームのリーダーとして、TVCMの運用や年間契約交渉、チラシ施策のBPRを統括する。「この短期間でいちプレイヤーからマーケティング全体をリードする立場へ変わり、デジタルとオフライン両方のマーケティングスキルを身につけることができました」
特に印象に残っているプロジェクトについて詳しく教えてください。
2023年11月に開催した業界初のオフラインイベント「みんなの介護アワード」の運営は、私のターニングポイントになった最も印象深いプロジェクトです。単なる表彰式ではなく、介護業界全体のイメージ向上と事業者同士の交流促進を目的とした、クーリエにとって初めての大規模オフラインイベントでした。参加者は、全国47都道府県から介護事業者、行政関係者、芸能人や介護機器メーカーなど、計300名を超えます。
正直なところ、最初はイベント運営に関する知識や経験がない中でプロジェクトを主導することに不安があったのですが、前職で介護現場にいたときに感じていた「業界をもっと良くしたい」という想いから、「今こそ自分が求めていた課題解決や推進力を磨く絶好のチャンスだ」と腹をくくったんです。
実際に担当した業務は、会場手配から来賓対応、表彰式の進行台本作成、当日の運営スタッフ調整まで、多岐にわたります。これらを短期間でこなす必要があったため、営業部、開発部、編集部など他部署を巻き込み、ほぼ毎日打ち合わせを重ねました。
特に印象的だったのは、各部署のメンバーが「介護業界のために」という共通の目的で動いていたことです。営業部のメンバーは来賓との調整を、エンジニアはイベント用の特設サイトを、編集部はトロフィーなどの物品のデザインを、それぞれが自分の専門性を活かして貢献していました。「部署の垣根なんて関係ない。みんなで一つの目標に向かう」というクーリエの文化を肌で感じた瞬間でした。
結果として、イベントは成功をさせることができ、参加者の皆さんからは「こんなに前向きな気持ちで介護について話せる場は初めて」「自分たちの仕事に誇りを持てた」という声をたくさんいただきました。
このプロジェクトでの最も大きな収穫は、自分自身の強みを発見できたことです。困難な状況であっても、周りの人たちを巻き込んで一緒にゴールを目指すことに、心から充実感を感じている自分がいました。「もしかすると、周りを巻き込みながら進めるのは自分の強みかもしれない」と気づけた、まさにターニングポイントとなったプロジェクトでした。この経験が、現在のオフライン広告チームリーダーとしてのチーム運営にも活かされています。
仕事への向き合い方について、「何があったとしても『社会課題の解決』には関わっていきたいと考えています」と語る藏内さん。「幼少期からニュースを見るたびに、『こう解決すればいいのに』と考えているような子どもでした。大学では、国際協力や市民運動などを専攻し、社会課題に声をあげて戦う女性たちと出会いました」彼女たちから「誰かが動かなければ世界は変わらない」ことや「他人事ではなくて自分事として関わっていく姿勢」を学んだことが、現在の価値観の基盤となっているという。「前職のような直接支援であれ、現在のビジネス観点からの支援であれ、いざというときに困っている人を助けられる。私自身もそんな人になれるように、これからも力を磨き続けていきたいです」
藏内さんの転職前後での働きがいの変化を示すグラフ。
業界変革への貢献と、リーダーとしてのさらなる成長を目指して
クーリエで働くことで得られる「やりがい」とは?
やりがいは、まさに「真正面から介護業界の課題に向き合っていける」ところです。
前職時代に感じていたのが、業界全体に「負のスパイラル」があることでした。たとえば、介護スタッフの給与水準が低い。すると働くハードルも下がり、結果として提供サービスの質が上がりにくい。その構造を変えるためには、介護業界にも、他のビジネスと同じように「自由競争」がある状態をつくっていくことが必要だと思っています。
これだけインターネット社会が発展した今、「質の高い介護サービス提供する施設」がきちんと検索・比較できるようになれば、利用者にとってメリットがあるだけでなく、施設側にも「もっと良いサービスを提供しよう」という風土が生まれる。その積み重ねが、業界全体のサービスレベル向上につながっていくはずです。
さらに、サービスの質が高い施設は集客力が高まり、経営も安定します。その利益が職員の給与に還元されれば、待遇面が良い求人が増える。結果として「ここで働きたい」という意志を持った人材が集まり、好循環が回り始めるのではないかと考えています。
もちろん、決して簡単なことではありません。でも、誰かが変えようと動かなければ何も変わらない。クーリエが挑んでいるのは、まさにそういう社会課題だと捉えています。
現在、私はマーケターとして施設の集客を支援していますが、取り組む上では常に「自分の仕事は、介護業界の未来につながっている」という意識で向き合っていますね。
入社から2年が経った今の現在地とこれからの目標について教えてください。
入社してから、マーケティングを軸にさまざまなプロジェクトを経験させてもらい「推進力」はかなり磨けた実感があります。ただ、リーダーとしてはまだまだひよっこだなと反省する日々です。
2025年4月からリーダーを任されているため、目先の目標としては、自分が上長にしてもらってきたように、メンバーに伴走し、ときには叱咤しつつ、一人ひとりのキャリアの可能性を広げていけるようなリーダーになっていきたい。ひいては、マーケティング部として集客目標の達成を牽引し、事業成長に貢献できる人物になっていきたいと思っています。
もう1つ、個人的な思いとしては、介護業界に恩返しをしていきたいんです。というのも、前職では施設の利用者さんたちのことも大好きでしたし、同僚にも恵まれ、皆さんに育ててもらった感覚があり非常に感謝しているんですよね。
一方で、現場ではICT化がなかなか進まず、事務作業に追われる現状を目の当たりにしてきました。そのため、前職の先輩方や同僚が少しでも働きやすくなるようなサービスや、使いたいと思ってもらえるようなサービスを提供を後押しし、マーケターとして、実際に現場に導入されるよう認知を上げていきたいと考えています。
世間の介護に対するネガティブなイメージを払拭し、その魅力を正しく伝えていくこと。そして、介護現場で働く方々が、もっとやりがいと誇りを持てるような環境を作ること。この2つのミッションに、全力で取り組んでいきたいと思っています。