グローバルなパワーバランスが変化し、国家間の競争が宇宙・サイバー・電波といった新領域に拡大する現代。日本の安全保障における情報(インテリジェンス)を担う中核機関「防衛省 情報本部」が、技術系職を公募する。民間をはじめ、多様な分野・新領域で培った先端の知見・スキルを国防の力へ。公募に至った背景と求める人物像に迫る。
■防衛省情報本部 職員(一般職技術系行政職相当/係長級)
以下のいずれか、または複数の領域で高度な専門性をお持ちの方を求めています。
▽ 信号解析・暗号解読
数学、統計学、通信工学、暗号技術の知見を活かす
▽ 衛星画像・地理空間情報解析
航空宇宙工学、電子工学、画像処理技術の知見を活かす
▽ サイバーインテリジェンス・サイバーセキュリティ
ネットワーク技術、データサイエンス、プログラミングの知見を活かす
▽ 先端技術研究・ソフトウェア開発
AI、機械学習、センシング技術、高速処理技術の知見を活かす
「見えない国境線」がデジタル空間の隅々にまで広がる現代において、かつてないほど厳しさを増す安全保障環境。いかに国内外の多様な情報を収集・分析し、国の意思決定を支えていくか。その役割の重要性が飛躍的に高まっているのが「防衛省 情報本部」だ。
「戦わずして抑止する」能力を高めるための根幹施策として、2022年12月に閣議決定された「国家防衛戦略」および「防衛力整備計画」において、防衛省 情報本部は「情報戦対応の中心的な役割を担う」と明示された。特に同文書では「宇宙・サイバー・電波領域を含むあらゆる情報を融合し、効果的な情報戦に対応する中心的な役割を果たす態勢の構築」が示されている。従来の情報収集・分析に加え、サイバー防衛、衛星情報、電波情報、そしてフェイクニュース対策といった認知戦までを射程に含める機能拡張が図られていく。
そういった「見えない脅威」から国を守っていく上で、求められるのが、新領域(宇宙・サイバー・電波)に対応し得る人材だ。情報本部に期待される能力は高度に多様化しており、情報工学、暗号技術、人工知能、ビッグデータ分析、衛星画像解析、サイバーセキュリティといった最先端スキル・経験を求め、公募を実施していく。期待されるのは、従来の枠組みを超える高度な専門性、変化に柔軟に対応する発想、そして研究開発業務等で培った知見・スキルを「国防の力」として活用していくことだ。
膨大なデータの中から真実の欠片を紡ぎ出し、未来を予測する力は、まさに現代における「新たな防衛力」そのもの。高度な自律的な情報優勢を築くことは、日本が「戦わずして抑止する」能力を高めるための根幹施策、日本の安全保障を現実に支える鍵となるだろう。収集した各種電波情報を調査・分析すると共に、国家の安全保障に必要不可欠な情報を政府機関、防衛省及び各自衛隊の部隊等へ提供し、「見えない脅威」から国を守っていく。その最前線に立ち、「未来を守る盾」を築く大きな責任と醍醐味がそこにはあるはずだ。

具体的な業務例としては、複雑に絡み合う電波信号の解析、静止衛星が捉えた画像から微かな変化を読み解く分析、広大なサイバー空間における情報収集・分析、そしてそれらを実現するためのソフトウェア開発や最新技術の調査・研究などが想定される。
特に今回の公募ポジションで期待されるのは、分析業務にとどまらず、自ら新たな解析手法の企画立案、プロジェクト管理に携わり、組織の変革を内側から駆動させていくことだ。いかに組織の未来を形づくり、次代を担うか。数学、情報、電気・電子工学、航空宇宙工学…さまざまな分野での知見、その知性が、国防力に直結していく。その実感、そして使命感と誇りこそが大きな働きがいになるだろう。

対応業務例
・デジタル技術やITの知識を生かしたサイバー領域に関する情報収集・分析やサイバーセキュリティ対策
・統計学・代数学、通信工学等の知識を用いた、各種電波信号の解析や電波情報の収集・分析
・情報に関する最新技術の調査や通信処理、高速処理技法、符号機構の研究・解析のためのソフトウェア開発
・電波信号の解析及びその効果的な解析手法の研究、数学や情報科学、電気・電子工学の知識とITスキルの活用
【活かせる知識・経験】※一例
・サイバーセキュリティに関する知識
・各種プログラミングに関する実務経験
・電気通信(有線・無線通信)の知識
・人工知能(AI)に関する知識
・データ通信・画像処理技術・センシング技術・光通信
・光学・航空宇宙工学・電子工学・数学等の知識
・TOEIC700点程度の英語能力
【求める志向性】
・「物事の本質を解明したい」という知的好奇心
・専門性以外の分野にも興味・関心を持ち、勉強しようとする意欲・安全保障・インテリジェンスに関心のある
・数理的な知識・能力を生かしたい
・新しい知識・能力を身につける意欲があること
▼研修について
入省後は2~3週間の初任時研修を受講予定。その後は、配置先で専門的な知識を身につけるための専門教育研修を予定しており、国防のプロとしての基礎から専門知識までの習得していく。2年目以降も各種研修(部内外・国内外)があり、職務に必要な知識・技術の習得機会が提供される。高度なスキルを身につけながら、情報(インテリジェンス)のプロフェッショナルとして成長を志せる環境も魅力の一つとなるはずだ。

■1次選考(書類選考・論文提出) → 2次選考(口述試験・身体検査) → 採用
1次選考(書類選考・論文提出)について
情報本部における電波情報及び画像・地理空間情報に関する企画立案及び管理等に必要な能力等を有しているか判断の参考とするものとなる。
2次選考(口述試験・身体検査)について
面接試験(職務の遂行に必要な技術的専門性、人柄、対人能力等についての試験)

国際情勢、グローバルなパワーバランスの劇的な変化等、我が国を取り巻く安全保障環境が年々厳しさを増し、「情報」の重要性はますます高まっています。この状況下で幅広い優秀な人材を獲得し、情報本部の発展につなげたいと考えております。
改めて情報本部で働く最大の魅力は、自身の専門性、経験、スキルを活かし安全保障に貢献できる点にあると考えています。また、入省後の教育も充実しており、情報本部でしか得られない高度なスキルも身につけられる環境です。一方で、高い向上心が求められ続ける環境であることは、事前にご承知いただければと思います。とりわけ「技術」は常に変化・進化していくものであり、その動きを追い続けなければなりません。「なぜ」と考えながら業務にあたり、新しいことを自ら学ぶ姿勢が求められます。また、情報を扱うという職務の特性上、高い保全意識、そして一般の公務員と同様に国や国民に損害を与えることがないよう、高い倫理観が求められます。その上で、物事の本質を見極めたいという「知的好奇心」、自らの専門性をより大きな目的のために役立てたいという「熱意」、そして、日本の未来を守るという、静かだが揺るぎない「使命感」、そういった志を持つ方の応募を心よりお待ちしています。
