「正直、営業はもういいかなと思っていました」転職活動当初の率直な気持ちをこう明かすのが、大熊彩加さんだ。2023年12月にクラウド会計ソフト「freee」を提供するフリー株式会社へフィールドセールスとして入社し、2026年1月には新ポジションとなるセールスリードに抜擢された。もともと大手信販会社でルート営業をしていた彼女は、なぜ次のステージにフリーを選んだのか。そして、「営業はもういい」と考えていた彼女は、いかにしてセールスとして自信を確立していったのか。その活躍の軌跡を追った。
※画像内は転職時の年齢となります。
新卒では大手信販会社でルート営業として入社した大熊さん。「もう営業はムリかも」と考えるようになった背景とは。
前職は、歴史ある信販会社でルート営業をしていました。お客様と信頼関係を築くことにはやりがいを感じていたものの、いわゆるレガシー企業であったこともあって、入社前から抱いていた「お客様に真に求められる新たな価値を届けたい」という思いは、なかなか実現できずにいました。次第に、営業としても、自分にもあまり自信が持てなくなって。「自分には営業は向いていないのかな」と思うようになり、職種転換も視野にいれて、転職活動を始めたんです。
特にお客様とのコミュニケーション自体は苦ではなかったので、カスタマーサクセス職に興味がありました。その流れで、必然的に職種を多く募集しているSaaS企業にも興味を持つようになり、フリーの募集を知りました。
フリーに関しては、たまたま当時の私の経験・要件で受けられるのがセールスしかなかったのですが、SaaS企業も色々な会社を見てから決めたいと思っていたので、応募しました。
いくつものSaaS企業がある中で、最終的にフリーのセールスに決めた理由をこう語る。
選考を通じて社員のみなさんから感じた、“活気”が印象的で、大きな決め手になったように思います。
というのも、面接でお会いしたセールスの方々は、みなさん自社サービスの素晴らしさを熱心に語ってくれました。その姿から、サービスへの強い自信と、「スモールビジネスを主役にしていく」という仕事への誇りが伝わってきたんですよね。
同時に、ここなら私が新卒当初から抱いていた「お客様に真に求められる新たな価値を届ける」ことを叶えていけるのではないか。もう一度、セールスとして踏ん張ってみるのもアリなのではないか。そういった気持ちが湧いてきて、「フリーで働きたい」と入社を決めました。

真に求められるサービスを届けられていないもどかしさに加えて、もう1つ大きく自身を突き動かした要因があったと大熊さんは振り返る。「きっかけとなったのは、コロナ禍に突入したことでした。前職は、会社の方針でリモートワークが難しく、当時結婚したばかりだった私は、『もう少し柔軟な働き方ができる環境の方が、将来のライフイベントを考えても安心なのではないか。動くなら、今がチャンスなのではないか』と。そうして本格的に転職活動を始めました」
こうして2023年12月に入社した大熊さん。フリーで働く魅力とはーー。
「入社の決め手」とも重なりますが、真に求められるものを提供できること。ここが私にとって最大の魅力だと感じています。
フリーには、ユーザーにとって本質的な価値を提供することを目指す「マジ価値」というカルチャーが深く浸透しており、プロダクト開発もそれに則って進められています。お客様の声が迅速に反映され、常にアップデートされる製品だからこそ、セールスとして自信をもって提案できるんです。
フリーのサービスを提供することが、社会をより良くすることにつながっていると信じられるため、余計な迷いなく業務に打ち込めます。これが営業としていかに恵まれた環境であるか、働きながら深く認識しました。同時に、自己肯定感や仕事への誇りを持てるようにもなったと実感しています。
そして、初めて挑戦したSaaS営業としての成長実感についても、話してくれた。
異業種からの挑戦である上、SaaSで主流のThe Model型(※)の営業は初めての経験でした。前職のルート営業とは、全くの別物なので、本当にイチから学んでいく形でした。
フィールドセールスの役割としては、マーケ・インサイドセールスチームが創出した商談に対して、サービスの導入提案を行なうことです。具体的には、クライアントのあるべき姿、理想像をあらゆる角度からヒアリングして整理し、解決に向けた合意形成を図っていく。その上で、解決策の1つとして、フリーを導入すべき理由を論理的に提示し、商談をリードしていく必要があります。
そのためには、毎回の商談には綿密な準備が不可欠。今回の商談でのお客様との合意形成のゴールを明確に定め、そこから逆算してヒアリングすべき内容を組み立てていきます。
こういった「論理性」や「逆算思考」などは、前職時代は身につける機会がありませんでした。最初は苦戦しましたが、先輩に同席してもらいフィードバックを得たり、ロープレを繰り返したり、トップセールスの商談動画を見漁って徹底的に研究して真似るなど、集中的に取り組んだ結果、かなり鍛えられたと思います。
入社して1年ほど経った頃からコンスタントに目標達成ができるようになり、2025年には4クオーター連続で達成することができました。この頃から、ようやくセールスとして確かな自信を持てるようになったと感じています。先日、入社当初に商談をさせていただいたお客様から「大熊さん、随分変わったね、成長しているね」とお褒めの言葉をいただいたことは、とても嬉しかったですね。自信を持てるようになると、きっと好循環が生まれていくのだなと実感しています。
※The Model型とは
SaaS業界で広く採用されている営業プロセスモデル。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスという4つのプロセスに分業し、各部門を密接に連携することで、顧客獲得から育成までを一貫して効率化し、売上最大化を目指すモデルを指す。
そして、1年間通期での達成などの成果が評価され、大熊さんは2026年1月からは新たに「セールスリード」に抜擢された。
1月から、新しく「セールスリード」というポジションに挑戦しています。これは、メンバーのマネジメントを担いながら、自身も引き続き見込み顧客の獲得を行う役割です。
メンバーのなかには、業界未経験で入社している人も少なくありません。私と同じく金融業界出身のメンバーもおり、営業手法の違いに戸惑い、なかなか自信が持てず苦戦する人もいます。ただ、自分も全く同じ状況を経験し、乗り越えてきたからこそ、彼ら彼女らに寄り添い効果的なサポートができると考えています。
特に、自信をもって商談に臨むには、場数を踏むことも重要ですが、何よりも1回1回の商談準備で、お客様の将来まで見据えて考え抜くことが大切です。そういった視点や準備の重要性をメンバーに伝えながら、チーム全体を牽引していける存在になれればと思っています。

フリーに入社してから、「社会貢献ややりがいが高まった」と大熊さん。「私たちが向き合うのは、従業員数5名~200名弱規模のスモールビジネス企業がほとんどです。入社してから痛感しているのは、人数規模は小さくても、社会や産業を支えている企業が本当に多く存在するという事実です。そうした企業では、情報管理や事務作業において、それぞれに不便や課題を抱えています。当社のサービスを導入いただくことで、お客様が少しでも良い方向へ変化していく様子を見るたび、自分の仕事が間接的にその産業を支えることにもつながっているのだと、ポジティブな気持ちになります」

大熊さんの転職前後での働きがいの変化を示すグラフ。
取材終盤、今後の目標について伺った。
キャリアという観点で言えば、まずはセールスリードとして役割を全うしていくこと。そして、将来的にはマネージャーを目指していくというのが現在の目標です。
もう1つ、漠然とした思いではありますが、「女性が働きやすい組織づくり」にも、貢献していけたらと考えています。
というのも、全社としては、子育てや介護などライフスタイルを経ても働く女性社員は多いのですが、フィードセールスに限って言えば、まだロールモデルや前例が少ないのが現状です。だからこそ、自分たちで働きやすい風土や雰囲気を作っていけたらと考えています。
幸い、フリーはボトムアップしやすい雰囲気がある会社です。実際、過去には子育て中の社員の声から、夏休みや冬休みに保育園に子供を保育園に預けられない際、会社に連れてくることができる制度などが生まれた事例もあります。
フィールドセールスの仕事においても、業務負荷を分散させる仕組みづくりなど、できることはきっとあるはずです。自分自身のためにも、これから入社する方々のためにも、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
最後に、大熊さんにとって仕事とは。
仕事とは、自己実現と社会貢献を通じて人生を豊かにしてくれるものだと捉えています。私自身は、せっかく働くなら、ただ日々をこなすだけではなく、やりがいやワクワクした気持ちを大切にして働きたいタイプ。もちろん、仕事は楽しいことばかりではありませんが、期待されたこと・任されたことに愚直に向き合い実現していく中で、振り返ると自分の成長を実感する瞬間は何度もありました。より大きな視点で見れば、お客様の会社の成長は、その先の社会貢献にもつながっている。そういった実感が、人生に深みを与えてくれると信じています。これからも、この思いを胸に仕事に取り組んでいきたいです。



