今回取材したのは『DELL』に中途入社をした善財静香さん(29)。彼女が語ってくれたのは「仕事もプライベートも諦めたくない」という思い。『DELL』入社の決め手は「女性であっても正当に実績が評価される」「今後起こりうる様々なライフイベントがあっても安心して戻ってこれる」という部分。彼女の求めた環境がそこにはあった――。
世界180ヵ国に拠点を置く『DELL』。PC、サーバ、ストレージなど多岐にわたる製品群で世界トップクラスのシェアを誇るテクノロジーカンパニーだ。
特に顧客から支持されているのが、ワンストップで提供するITソリューション。カスタムメイドでのPC組み立てから、クラウド、ビッグデータ、セキュリティーまで幅広く対応していく。
インサイドセールス(内勤営業)はそのフロントに立っていく存在だ。あらゆる業種・業態のクライアント企業、情報システム部門の担当者と直接コミュニケーションを図る。テクノロジーを通じた問題解決に寄与する重要ポジションだ。そこには30年以上にわたって同社が培ってきたセールスのナレッジ、ビジネススタイルがある。
今回取材したのは、従業員100名から1000名未満の大・中堅企業を担当する広域営業統括本部のインサイドセールスとして働く善財静香さん(29)。
「営業としてもっと成長していきたい。そして、女性であっても正当に実績が評価される環境で働きたいと考えていました」
善財さんは早稲田大学出身。こう語る背景には、学生時代の自身の実体験がある。
「学生時代、男女、年齢、国籍を問わず全ての世代の人が平等に学び、働ける社会の実現について研究していました。誰もが平等な社会、対等な社会の実現を目指していく。それには、共通言語ツールとなるITの力が大きく貢献すると考えました」
まっすぐなまなざしでこう語ってくれた彼女。その転職ストーリーに迫っていこう。
(*)大・中堅企業(100名-999名)の担当部門である広域営業統括本部。同規模の国内企業の6割以上と取引を行なっている。とくに日本国内の中堅企業は、深刻なIT人材不足に直面し、ひとり情シス状態の企業も少なくない。こうした企業への支援強化のため、現在インサイドセールスの積極的な採用を進めている。
「インサイドセールス」直訳すると内勤営業。その中でも『DELL』が取っているのは、より戦略的な営業手法といっていいだろう。例えば、リストアップされた顧客群の各課題、検討段階ごとの状況質問があり、ニーズを探っていく。多岐にわたる課題に応えるべく、外勤営業やサーバ・ストレージの「技術担当」などの専門メンバーとチームで提案活動にあたることも多い。
「『DELL』におけるインサイドセールスは、ただのフロントではなく、導入前の支援から導入後のフォロー、更にはIT資産の廃棄処分の支援まで担っていきます。コンセプトは”ゆりかごから墓場まで”。定型業務ではないので、非常にやり甲斐があります」
そして何よりも「顧客接点の多さ」が営業としての魅力だと彼女は語る。
「移動時間のない効率的な営業手法により、多くの案件に触れることができます。つまり、それだけ課題解決のナレッジを蓄積していけるということ。営業として成長できる環境があると感じています」
こう語る背景には、前職時代に感じた営業としてのジレンマがある。じつは彼女、前職時代、IT製品を扱う地方の企業で外勤営業として働いていた。
「雪深い地方だったこともあり、時には車で2時間かけてお客様のもとに訪問することもありました。また、今だからお話できることとして、緊急時には休日でもお客様のもとに駆けつけることがあったので、車の中にはスーツを常備していました。移動中にはメールや電話をすることもできず、多くのお客様が課題に直面している現状を知っていながら応えられない。こうした状況を歯がゆく感じていました」
加えて、彼女は前職企業における「初の女性営業社員」として入社。それゆえの葛藤もあったという。
「根強く残る男性優位の文化を感じることもありました。たとえば、商談の最後の局面になって、ベテランの男性社員に交代しなければいけなかったことも。会社としては、キャリアの浅い女性営業に対する不安や助けてあげたいという思いもあったのだと思います。ただ、本当にこの環境に甘えていていいのか。自問自答の日々が続きました」
こうして20代後半に差し掛かったころ、転職を決意した彼女。
その時、「自身の仕事で成し遂げたいと考える目標について」も深く考えたという。
「じつは大学時代、留学生に日本語を教えるボランティアをしていました。グローバルな関わりを持つ中で気づいたのが、自分が当たり前だと思っている価値観が、当たり前ではない人がいるということ。世界には様々な価値観があるからこそ、平等な社会、対等な社会を実現したいと強く思ったのです。ただ今一度自分を振り返った時、日々の忙しさに埋没して、この思いを見失いつつある自分に気づきました」
転職をする上で軸として掲げたのが、『より自分を高められる』『ITの力で世界を繋ぐ』『より多く自分の知らない世界が見られる』そのような環境がある企業だった。そして出会ったのが『DELL』だ。
『DELL』入社後、インサイドセールスとしての経験を積み重ねてきた彼女。身についたと感じるスキルについても伺った。
「特に営業として素早くニーズを読み取る力が身に付いたと感じています。ファーストコンタクトは電話がメインなのですが、まずはオフィス環境、システム周辺の状況把握から行なっていきます。対話させていただくなかで、その方さえも言語化できていなかった悩みや課題が見えてくることも少なくありません。例えば、建築業のお客様よりいただいたのが、"図面を用いた作業の効率を高めたい”というご相談。ヒヤリングを重ねる中、課題として浮かび上がってきたのが、通常利用している印刷した図面では拡大ができず、作業効率を阻害しているということでした。そこでご提案したのが、もともと1台しか使っていなかったモニタを”2台使い“にするということ。1台を図面の映し出し専用にすることで、モニタ上で拡大して図面を確認できるように。結果、作業効率の向上やミスの軽減のみならず、印刷紙のコスト削減にもつなげることができました」
つまり、いきなり製品提案をすることはほとんどなく、課題解決型の提案営業をしていくということ。特に彼女が担当する中堅企業のIT担当者は慢性的に忙しく、検討に十分な時間がかけられない。 素早くニーズを汲み取り、最適な提案を行なっていくことが重要となる。
「特に傾聴力や共感力を活かして、活躍している女性は多いように感じます。私自身、こまめに電話をし、お話するなかで『いつもありがとう』と感謝を言っていただけることも。とても励みになっています」
提案を行なっていく上で、彼女が大事にしているのが「お客様ファーストで、痒いところに手が届く。痛いところは手当てする。悩み不安にとことん寄り添う」ということ。こうした意識が高い実績につながっていった。
「『DELL』には、多くの称賛やねぎらいの場が用意されています。自分自身、2度のベストインサイドセールスアワードの受賞や、ランダムに開催される、週次の成績優秀上位者に与えられる“美味しい焼肉ディナーのご褒美アワード”を5回にわたりいただくことができました。つつがなく、緩やかに生きてきたと思っていましたが、実は負けず嫌いで肉食系だったのかも、と(笑)。自分の新たな一面にも出会うことができました」
彼女たちが扱っているのは、ITにおける多様な領域に『DELL』の製品群。一見すると、高度な専門性も求められそうだが、異業界から転職してきた人が大半を占めている。
「ITの知識の部分に自信がないという方も多いのですが、社内のトレーニングや製品を勉強する機会が多くあり、大きなハードルではないと思います」
事実、入社後、ITの基礎知識や製品について学べる座学/OJTを組合せた研修が2~3ヶ月ほど設けられている。さらに先輩社員が教育担当として付き、気軽に相談することも可能だという。
「前職の経験よりも、探求心だったり、知識を得たい、成長したいといった意欲のほうが重要かもしれません」
営業として働いていく上で重要なポイント、そのひとつに評価のあり方も挙げられる。
「評価の軸が明確にある、ここも『DELL』ならではの部分かもしれません。例えば、四半期ごとの売上目標があり、達成時のインセンティブも事前に提示されています。もちろん、売上目標も担当する顧客の購買実績から算出するため、明確な基準が設けられているものです。すごくフラットだと感じるのは、年齢・性別・社歴などに関係なく、評価の納得度が高いということ。例えば、実力があり、実績を出していても、正当な評価が得られないという悩みを抱えている方もいるかと思います。私自身、女性などの性別に関わらず、平等に評価がしてもらえるのは、やりがいにつながっていますね」
「女性の働きやすさ」について語ってくれた彼女。事実として、2人の女性の執行役員がインサイドセールスから生まれているそうだ。活躍する女性のロールモデルがおり、制度設計を含め、女性活躍に取り組んできた背景がある。
「女性は結婚や出産など人生のステージの変化に伴い、一時的な休職などを余儀なくされることがあります。その時、"働き続けたい”という思いやキャリアを諦めなければいけないのは悲しいこと。その点、『DELL』では自分自身のキャリア設計においても、安心して働き続けられる環境があると感じています」
もうひとつ「支え合う」「互いに高め合っていく」という『DELL』ならではのカルチャーもあるそうだ。
「抱えている悩みや課題についてすぐに上司や先輩、同僚に相談できるのも『DELL』のいいところかもしれません。助け合ってチームで成果を追っていく。正直、外資系のイメージがあったので良い意味でギャップがありましたね(笑)」
こうした環境で働く中、彼女は転職前に掲げていた目標に近づいている充実感も感じている。
「今は、お客様が求めている理想を絵に起こし、それを実現するためには、どうしたら良いかを考え動く日々です。私は子供の頃から赤毛のアンが大好きで、アンのように逞しい想像力があれば、どんな苦境も耐えられると信じています。お客様の悩み、環境を想像するのは得意な方。後はそれを実現する手段さえあればできる。その手段、施策がDELLには豊富にあります」
取材の終盤、善財さんに伺えたのが、これからの挑戦について。
じつは彼女、2018年4月より新設された職種『ハイブリッドセールス』として、新たな挑戦をしていくという。インサイドセールスを主軸としつつ、外勤でのセールスも手がけ、スキルを磨いていくというものだ。
「外勤営業は、知識や営業スキルともにさらに高いレベルが求められていくと覚悟をしています。私自身、まだまだ営業として未熟な部分がありますが、せっかくのチャンス。成長の機会を増やすためにも新しいことに挑戦していきたいですね」
言葉の端々から感じられた彼女の成長意欲。なぜ、彼女は成長を志していくのか。
「私自身、日本経済を支えている中堅企業をサポートしたい、地方を活性化させていきたいという目標もあって。よりたくさんのお客様のために役立ちたい、ここが純粋な思いとしてあるのかもしれません。仕事を通じて、たくさんの人に出会っていく。そして自分自身も成長する。だから私は、ずっと働き続けていきたいですね」
直向きな努力を重ね、誰かの役に立っていく。そして営業として認められていく。彼女の挑戦をこれからも続いていくだろう。
『DELL』における女性活躍の取り組みについて
グローバルカンパニーである『DELL』では女性活躍の取り組みが活発だ。たとえば、長期的な視野でのキャリア形成支援。産休・育休の制度整備に加え、時短、リモートワーク/自宅勤務制度が活用されている(その他、出産一時金、育児費用補助金、育児短時間勤務、保育園料金などの一部サポート、従業員支援プログラム/社員と家族のための無料相談窓口などがある)。
こうした取り組みにより、出産などの事情で離職をした女性社員の90%以上が復職。経営陣から「離職しても居場所が用意されている。また戻ってきてほしい」というメッセージも世界の全拠点に発信されている。
この背景にあるのが、ダイバーシティー戦略だ。多様な人材が集まることで、力強い相互作用をチーム内に生み出していく。さらに年齢や性別、文化ではなく、実績を重視する平等主義のカルチャーによって、企業イメージや競争力を高めている。
創業者自ら議長を務める「ダイバーシティーカウンシルグループ」では、改善報告や今後の施策についてディスカッション。女性社員の割合として40%以上を目指している。具体的な指針・プログラムとして挙げているのは、大きく以下の3つだ
・Taking the Stage
女性社員が自分自身の存在価値を再認識したり、女性同士のネットワークづくりを促進していく。
・Women in Leadership
アジア・パシフィック・ジャパンエリアで実施しているプログラム。現在のポジションよりも上位役職を目指すシニアマネージャー/ディレクター職の女性が対象。得意分野を有効に生かすための制度や仕組みを討論・考察していく。
・Men Advocating Real Change
通称「MARC」。ステレオタイプな先入観や偏見、無意識のバイアスを取り除くマインドセットの浸透を図る。社員一人ひとりに多様性を受け入れる柔軟なマインドを持ってもらうためのプログラム。