売上高2,500億円超を誇るカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。同グループにおいてデータベース・マーケティングの中枢を担うのが、CCCマーケティング株式会社だ。「データ」を武器に、さらなる飛躍を。第一線でコンサルタントとして活躍する中村昂平さんにお話を伺った。
会員数は6800万人超、全国179社94万店舗以上のアライアンスを結ぶ『Tポイントカード』。特に強化しているのが、データベース・マーケティング事業だ。
店舗の購買データと×Tカード利用者のデモグラフィック・データ連携を推進。たとえば、商品、購買層、エリア、期間など様々な切り口で購買状況を分析し、顧客企業のマーケティング支援に活かす。
「あくまで一例ですが、購買状況に応じたランク制度をもとに、対象者をセグメントしたキャンペーンやクーポンを活用したロイヤリティ向上の設計なども行なっています。他にも新規出店や不振店対策、商品MDの見直し、販促の改善など幅広くマーケティング支援を展開しています」
こう語ってくれたのが、CCCマーケティングでコンサルタントとして活躍する中村昂平さん。『Tポイント』の強みをこう解説する。
「他のポイントは自社サービスへの“囲い込み”が狙いなことが多いですよね。ただ、Tポイントの事業価値は、データベースマーケティング。販促にとどまらず、データを使ったコンサルティング、本質的なマーケティング支援ができます」
いったいどのような提案が可能なのか。そして、CCCマーケティングだからこそ追求できるマーケティングの本質とは。中村さんのキャリア選択、転職ストーリーと併せて見ていこう。
中村さんは、福利厚生の大手アウトソーシングサービスで法人営業を10年経験。100社を超えるクライアントに対し、コンサルティング営業をしていた。
多くの企業と関わる中、あるジレンマを抱えるようになったと語ってくれた。
「果たして自分の仕事が役に立ってるのかというモヤモヤがありました。1社にもっと自分が介在するからこその価値を提供したい」
CCCマーケティングを選んだ理由をこう語る。
「Tポイントという圧倒的なデータベースプラットフォームを持っている優位性、強みが明確なことです。クライアントが知りえないようなTポイントだからこそのデータを使った支援ができる」
ユニークな取り組みでいえば、テレビ視聴データと購買データを掛け合わせたテレビCM出稿の評価や、メーカーの商品開発・設計、プロモーションでのデータ活用なども進めている。
「提供したサービスの結果が数字で把握できて、自身の貢献が目に見える。きちんと評価がされる事業体だったこと。ここが決め手でした」
【プロフィール】
中村昂平|新卒で福利厚生・アウトソーシングサービスの大手企業に入社。法人営業として、10年間勤務する。その後、1社により深く入り込んだコンサルティングをしたいと考え、CCCマーケティングに転職した。現在、コンサルタントとしてドラッグストア2社を担当。Tカードのデータベースを活用したマーケティング支援を手がけている。社内兼務制度を活用して、同社のモバイルサービスの開発・企画にも携わる。
中村さんが担当しているのが、Tポイントの加盟企業に対するコンサルティングだ。
「じつは、ドラッグストア2社しか担当していないんです」
裏を返すとそれだけ顧客を絞り、一社一社に深く入り込むということ。
「1社に対してどれだけ貢献できるか。その会社の人以上にその会社に詳しくなる。ある意味、その会社の一員みたいなイメージで関わっているのかもしれません」
Tポイントは基本的には永続的に使ってもらえるもの。断続的かつ並行して進むプロジェクトに関与し、顧客企業の成功に寄与していく。
「Tポイントの膨大なデータを分析すると、エリアごとにどのような属性のユーザーがいるか、おおよそでわかります。たとえば、似た属性のユーザーを呼び込むための施策が、裏付けを持って提案できるんですよね。試算すると何千万円というレベルのコスト削減につながった提案事例もあります」
また、経営層から、店長や従業員まで、戦略から現場レベルの実行、検証まで一貫して関わっていくのも特徴だ。
「ある店舗の分析を任せてもらったのですが、“優良顧客がどんどん減っていっている”ということがデータからわかりました。ただ、その原因の特定までは、数字だけでは判断ができなかったんです」
そこで実行したのは、「現場」に足繁く通うということだった。
「競合店舗の動き、近隣エリアにできた商業施設、顧客の嗜好性の変化…さまざまな要素はありますが、とにかく現場を知ることが重要と考えて、何度も店舗に足を運びました。棚をチェックしたり、商品数を調べたり、店長さんにヒアリングをしたり。そしてわかってきたのが、競合店舗に顧客が流れていたということ。置いてある品ぞろえ、打ち出している商品が刺さらなくなっていた。店舗そのもののレイアウトや内装もコンセプトから見直したほうがいいと判断しました。その結果、お店ごと改装することになりました」
各コンサルタントが店舗改装まで提案し、実行する。これがCCCマーケティングのスタイルでもある。
「正直、制度や風土としてかなり自由度が高い。大手グループなので、もっとシステマティックかと思ったら全然違いました(笑)。個人が信頼され、それぞれが自立して仕事を行なっています。提案内容として形式化されているものもない。上司からの指示みたいなものも少ないです。主体的に学んだり、仕事を取りに行ったりする人はすごくいろんな経験やスキルが積める環境だと思います」
もうひとつ同社のユニークな制度が、他ポジションとの兼務ができる『社内兼務制度』だ。キャリアの可能性を広げる良い機会になっている。
「今、コンサルタントとして働きながら、スマホのサービス企画も兼務しています。お客様と関わる現場で得たアイデアを、スマホサービスに落とし込む。自身のアイデアでサービスが変わっていくのがすごくおもしろいんですよね。他にも、データ分析などを兼務するメンバーもいます」
当然、兼務をすれば業務量は増える。さらに本業において確実に成果を上げなければいけないプレッシャーもあるだろう。何が中村さんを駆り立てるのか。
「仕事をしている時間って、人生の大部分を占めるもの。一生のうちこれほど多くの時間を占めることって、他にはそうないかもしれません。だからこそ、仕事は自分にとって一番大切な時間にしたい。自分の人生を豊かにするものにしたいと思っているし、そうできるような仕事をしていきたいですね」
名ばかりではない「現場裁量」で、彼はデータ分析からの企画提案、そして実行まで今日も自ら仕掛けつづけているだろう。仕事について心から楽しそうに話す、中村さんの表情が印象的だった。