2023年、VR/AR市場は世界で17兆円超へーーこれは2018年比で約18倍の規模だ(*)。さらに、MRやSRといった新たな技術の実用化も進む。こうしたXR領域で期待される、2020年以降のビジネスについて見ていこう。
そもそも「XR(X Reality、Extended Reality)」とは、『仮想世界と現実世界を融合し、新たな体験をつくり出す』技術の総称だ。VR、ARをはじめ、MR、SRなどの技術で構成される。
XRという言葉が使われるようになった背景には、それぞれの技術における境界線が溶け合ってきたことが挙げられる。たとえばMRに近いAR、VRに近いMRといった技術も登場。新たな技術や、それに伴う体験が創出される中で、より汎用性が高く利用できるXRという表現が必要となったといえるだろう。
次に、XRを構成する技術「VR、AR、MR、SR」について紹介していこう。
VR(Virtual Reality:仮想現実)
仮想空間をあたかも現実世界のように体験できる技術。仮想世界におけるモノや人、景色などはCGや3D技術などにより制作される。
一般的に専用デバイス(ヘッドマウントディスプレイ)によって映像を表示。体験者の視線に合わせて映像はリンクし、没入感の高い体験を可能とする。
手足にセンサーなどを装着し、自らがアバターとしてVRの世界を体験できるなどの技術も登場。またYouTubeがVRコンテンツ視聴用アプリ「YouTube VR」を提供するなど、コンテンツ配信のプラットフォームも数多く見られるようになってきた。
AR(Augmented Reality:拡張現実)
現実の世界に仮想世界を重ねて体験できる技術。具体的には、スマートフォンやヘッドマウントディスプレイを通して、目の前の現実空間にバーチャルなデータや画像などを重ね合わせた世界を体験する。
有名なところだと、「Pokemon Go」では目の前にモンスターが現れる技術としてARを活用。またAmazonやIKEAなどのショッピングアプリでもAR技術の導入が進む。たとえば、スマホのカメラを通して実際の部屋に家具などを配置し、購入前のイメージ確認ができるサービスを提供している。
MR(Mixed Reality:複合現実)
VRとARをミックスさせたような技術。とくに現実世界と仮想世界を融合させる点でARと近しく感じられるが、主体を仮想世界とすることに大きな違いがある。たとえば、装着した専用デバイス(スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイなど)のカメラによって空間情報を認識し、現実世界の情報を仮想世界に反映させる。
とくに、ビジネス利用におけるサービス実用化が進む。たとえば2019年12月には、日本マイクロソフトやベルシステム24などが、コールセンター業務にMRを活用するプロジェクトを発表。コールセンターのオペレーターは3Dとして再現された製品を確認しながら、問い合わせに対応できるようにするという。
その他にも、医師の手術トレーニングや構造物の保守点検業務などでの活用も進められている。
SR(Substitutional Reality:代替現実)
仮想世界を現実世界として錯覚させる技術。たとえば、ヘッドマウントディスプレイを用いて現実世界における過去の映像を映し出し、現実とは異なった事象をあたかも目の前で起こっているかのように錯覚させる。
現在実用化が進められている段階だが、より本物に近い体験を実現できる技術として注目されている。
2023年にVR/AR市場は世界で17兆円超へ(2018年比:約18倍 *)。こういった予測もあるほど、実用化が進むMRやSRを含め、XR領域は高い成長が期待されている。
この背景には、5Gの本格展開によるビジネスの広がりがあるといえるだろう。
たとえば2019年10月、NTTぷららは5G時代を見据えた音楽ライブのイベント演出「TECH LIVE」の実証実験を展開。ARやMRなどによる、仮想世界を用いた幻想的な空間演出などの開発を進めている。多数のデバイスに大容量のデータ配信ができる5Gを活用して、サービスを実現させていく計画だ。
またエンターテイメントのみならず、教育や医療などあらゆる領域でXRによるサービス開発が進められている。求人としても多数の関連ポジションでの募集も見受けることができた。ぜひ、実際の求人をチェックしてみてほしい。
(*)2023年までの世界AR/VR関連市場予測を発表
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45301519