コロナ禍を契機に、今急速に注目を集めているのが副業人材だ。大手企業で副業解禁、社内副業が広まるほか、大手、自治体では最初から副業を前提とした募集も行われるように。なぜ今ここまで副業が脚光を浴びるのか。その背景とともに、企業・自治体の求人を見ていこう。
コロナ禍、副業を解禁する企業が増加するなど、働き方の選択肢に大きな変化をもたらした。こうした中、副業での人材募集が活発化している。
事実、2020年5月にはライオンが新規事業の立ち上げに向け、副業人材を公募。9月にはダイハツ工業も、サービスの企画などを担う副業人材を募集した。いずれも、週1日程度の勤務という条件だった(*1)。
契機となったのが、コロナ禍におけるリモートワークの普及だ。柔軟な働き方が可能となったことに加え、リモートワークを推進する過程で業務を見直す企業が増加。外注可能な業務が浮き彫りとなり、外部人材に求める役割を明確化できたことも大きいという。
政府としても、副業人材の活用を支援している。
その1つが、内閣府が推進する「プロフェッショナル人材事業」だ(*2)。これは、地方の中小企業支援を目的とした事業。東京と沖縄を除く45道府県に拠点を設け、海外進出や新規事業を検討する企業のニーズをくみ、「プロ人材」とのマッチングの実現をサポートしていくもの。大都市圏で働く副業希望者と、「攻めの経営」を目指す地方の中堅・中小企業をつなぐ役割を期待されている。
すでに各自治体による「プロ人材事業」の活用は進む。
鳥取県で言えば、県立ハローワークと「プロ人材」拠点を一体化。プロ人材拠点のスタッフが、普段であれば求人票を出さないような小規模な事業者を年間500社ほど訪問し「大企業の副業人材が経営課題の解決に力を貸してくれる」と周知・提案。これにより、外部人材を活用したいという地場企業のニーズを顕在化させた(*3)。
各自治体として、地域企業での副業を通じ、関係人口を創出し、旅行や出張などでは伝わりきらない地域の魅力に触れる人を増やしていく。ひいては将来的な移住にも繋げていきたいという狙いもあるようだ。
地方企業における副業は、「地方創生」の観点においても、重要な役割を担っているといえるだろう。
もう1つ押さえておきたいのが、地方自治体においても、副業を前提とした外部人材登用を進めていることだ。
例えば2021年5月現在、京都市では副業による専門人材を募集している。首都圏の企業を京都市に誘致する「営業アドバイザー」、京都市をビジネス都市としてブランディングしていく「ブランディングアドバイザー」の2ポジションだ。働き方としては、基本的には週1日、東京丸の内のオフィスにて働く事になる。
また、静岡県でも副業によるDX人材を募集している。ICT活用による業務のデジタル化、業務改善を担っていく「スマートワークコーディネーター」というポジション。こちらも、働き方としては週1日程度の勤務が想定されている。
自治体の一員として、外部での経験・スキルを生かしながら、新たな取り組みを実現していく。チャレンジングであり、かつ今後のキャリアにおいても貴重な経験になると言えそうだ。ぜひキャリアの選択肢として、検討してみて欲しい。
参考:
(*1)コロナ下の副業ブーム 相次ぐ解禁、副業人材募る企業も|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65479880W0A021C2000000/
(*2)プロフェッショナル人材事業とは?|内閣府
https://www.pro-jinzai.go.jp/
(*3)自治体、大都市の副業人材を地方企業にマッチング|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB12D3C0S1A310C2000000/?unlock=1