いま宇宙産業にぞくぞくと民間企業が参入。同時に他産業も巻き込み、新たなサービスが立ち上がる。その概要とともに、実際の求人を見ていこう。
2020年5月、米・スペースXの『スペースドラゴン』が民間企業として初となる有人宇宙船の打ち上げに成功したーー世界中を駆け巡ったこのニュースは、宇宙産業に起こるパラダイムシフトを象徴する、一つの事例だといっていいだろう。
事実、これまで「官需」が大きく占めていた宇宙産業だが、いま民間企業の参入が相次ぎ、宇宙ビジネスは黎明期にあるといえる。GAFAをはじめ、IT業界のトップランナーがぞくぞくと投資・開発を強化。世界中で有力なスタートアップが勃興し、大型の資金調達に成功している。
なぜいま、宇宙ビジネスがこれほどまでに盛り上がりを見せているのか。
その背景の一つと言えるのが、テクノロジーの進化に伴う、"宇宙"を利用したビジネスチャンスの拡張だ。
例えば人工衛星などから得られる宇宙からのデータを、地上の様々な産業におけるデータと掛け合わせ、新たなサービス・価値を創出する取り組みが進められている。
一例として保険の領域でいえば、東京海上日動火災保険が水災時の保険金支払いに、人工衛星画像を活用。具体的には、大規模な水災が発生した際に、人工衛星で撮影された複数画像をAIで解析し、遠隔からの損害査定を可能とする。甚大な被害をもたらした、2020年7月の豪雨に本格運用された。
その他にも、農業や林業などの一次産業において、衛星データが生育状況や分布の把握のために使われたり、各国の石油タンクの衛星写真から、世界中の石油備蓄量を推計し投資家などへ通知するサービスが登場したりと、その活用の領域は広がっている。
特に日本の国家としても、宇宙ビジネスは注力すべき領域の一つとして掲げられている。
2017年5月に発表した「宇宙産業ビジョン2030」では、宇宙産業を「第4次産業革命を進展させる駆動力」と表現。民間の役割を拡大させ、日本の宇宙産業の市場規模を、2030年代の早期に倍増することを目標として打ち出している。
こうしたなか、宇宙関連ビジネスを手掛ける企業における募集も見受けられるようになった。
例えばスペースデブリ(宇宙ゴミ)に焦点を当てた、シンガポール発の宇宙ベンチャー「アストロスケールホールディングス」は、PR広報や開発ポジションを募集。エヌ・ティ・ティ・データにおいて、宇宙×ITのデジタル3D地図「AW3D」のソリューション営業などのポジションで求人が見受けられた。
宇宙ビジネスは、市場規模としても、2018年の37兆円から2040年には約3倍の100兆円規模になるという予測も(*)。様々な産業でデータ活用の重要性が高まるなか、非常に大きなポテンシャルを秘めた領域の一つだといっていいだろう。ぜひキャリアの選択肢の一つとして、求人をチェックしてみてほしい。
(*)2040年100兆円市場の「宇宙ビジネス」、なぜ金融機関の参入が相次いでいるのか
https://www.sbbit.jp/article/fj/57739