いかに消費者のニーズを捉え、"売れる"商品を仕掛けていくか。コロナ禍を経て、化粧品メーカーは新たなマーケティング戦略を推し進めている。こうしたなか、大手メーカーをはじめ、各社が企画・マーケティング職で積極的な採用を実施する傾向も。実際の求人とともに、その動向を見ていこう。
化粧・美容へのニーズが変化するなか、化粧品メーカーが新たな商品展開を仕掛けている。
例えば、資生堂は2020年に "マスクに付きにくい" BBクリーム『ドラマティック ヌードジェリー BB』をリリース。マスク着用が日常的になるなか、付着を気にせずメイクを楽しみたいというインサイトを捉え、約4ヵ月という短期間での発売を実現させたという。
またマスクもメイクの一部と捉え、マスクの発売に乗り出すケースも。特に話題となったのが、カネボウ化粧品が発売したKATE『小顔シルエットマスク』だ。"小顔メイク" の発想を活用したデザインで、小顔効果を生み出した。さらにマスクに合うメイクアイテムを併せて提案し、商品の購買につなげるなど、時代のニーズを捉えたマーケティングの成功例の一つといえるだろう。
さらに化粧品メーカーにおける企画・マーケティングのキャリアを考える上で、見ておきたいのが、オンラインチャネル強化の動きだ。
例えばロレアルは2020年に「今後EC化率50%を目指す」と発表(*1)。翌年2021年の通期決算では、売上高が前期比15.3%増の322億8760万ユーロ(約4兆2296億円)、純利益が同20.4%増の49億3850万ユーロ(約6469億円)と「歴史的な」増収増益を記録した。Eコマースは25.7%伸び売上高の 28.9%を占めたという(*2)。
資生堂もEC強化を進める。EC売上高の比率は2019年段階の13%から、2020年は25%、2021年は34%へ拡大。2021年12月期におけるEC売上高は、3500億円規模に達したという(*3)
特に化粧品の販売チャネルとして、これまでは実店舗が中心となっていた。オフラインで美容部員からカウンセリングを受けたり、様々な商品を試したりといった従来の購買体験が困難となるなかで、オンラインにより代替する取り組みも活発となっている。
例えば、資生堂では2020年10月からARを活用してオンライン上でメイクを試せる「バーチャルオンラインカウンセリング」を実施した。これは気になるメイクアップ商品を、AR機能によるバーチャルシュミレーションで確認できるサービス。さらにビデオ電話を通して、1対1でカウンセリングを受けることも可能だ。
その他にも、VRを活用して店舗のような購入体験を実現する「バーチャルストア」や、AIによるカウンセリングサービスをリリースするなど様々な動きが見て取れる。
いかに消費者のニーズを捉え、新たな商品を展開していくか。ブランド・商品との出会いの場をどのように演出し、購買までのプロセスを設計していくか。新たな発想が求められるなかで、企画・マーケティング職としても非常にチャレンジングなフィールドが広がっているといえる。ぜひ実際の求人をチェックしてみてほしい。
(*1)ロレアルが「EC化率50%を目指す」と宣言 ゲームやeスポーツなどの“リテールテインメント”に注力
https://www.wwdjapan.com/articles/1150112
(*2)ロレアルの2021年通期決算は売上高4兆円超え 「歴史的な業績」を達成
https://www.wwdjapan.com/articles/1321011
(*3)資生堂のグループEC売上は3500億円規模、ネット通販比率は34%【2021年度】
https://news.yahoo.co.jp/articles/7625f769b223f1237b71f6718b6b9d016fa14214