総務・人事・経理などバックオフィスのキャリアを考えるとき、大きく2通りがあるといえる。まず1つ目は、その職種において専門性を高め、スペシャリストを目指す道。もうひとつは、複数の領域・職務を横断。さまざまな経験を積み、業績向上に貢献できる人材へ成長していく道。どちらの道を歩んでいくか。また攻めの転職を成功させるために何が必要なのか。見ていこう。
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まず見ていきたいのが総務職について。
転職しようと考えたとき、企業側に見られる大きなポイントが、在籍していた企業の「規模・業態」「どういった時期に在籍したか」だ。
当然、社員数が多ければ、それだけ総務としての仕事も多様になっていく。転職を希望する先の企業と同規模であれば、仕事のイメージもつきやすい。採用側が任せたい仕事を提示した場合も認識のズレは少ないはずだ。また、業態にしても支店が複数あるような企業と、本社のみといったところでは業務内容が異なる。「同業種・同業態での経験」はアドバンテージになるはずだ。
ただ、企業側が期待することとして、より新しい取り組み、提案であることも少なくない。つまりベンチャーでの経験を大手で活かす、大手での経験をベンチャーに活かす、こういった道もあるというわけだ。
たとえば、総務職の増員・採用強化をしている企業は「攻め」のスタンスを持っていることが多い。社員数の増加、支店・拠点の開設、オフィス備品の調達、福利厚生の整備、リスクマネジメント…社員数が増えれば増えるほど手配や調整は複雑化し、またコストもかかってくる。
コストとの見合いをつけつつ、社員たちが働きやすい環境をいかにつくることができるか。主体性・提案力が期待される。企業側が今回の採用において何を実現したいのか。入社者に何を期待しているのか。ここを事前に見極めていく必要がある。
次に見ていくのが「人事」だ。
特にコロナ禍の影響で、ビジネスモデルや収益環境は大きく変化。時代に適応し、事業を成長させていくために、いかに優秀な人材を獲得していくか。多くの企業にとって課題となっている。
こうした中、活躍が期待されているのが「攻めの人事」だ。
たとえば、これまで媒体出稿における採用活動をメインとしてきた企業が、自社採用を目的としたイベントや記事出稿・メディア運営などを行うケースが出てきた。
また、社員紹介・リファラル採用を強化したり、新しいスカウトサービスを活用したり、どんどん新たな発想・企画が求められている。HRTechが盛り上がるなどテクノロジーの進化も目覚ましいため情報のキャッチアップも期待される。もちろん自身が多くの人との人脈・パイプを形成し、自社採用に貢献できるような動きも期待される。
当然のことながら、新たな企画・取り組みは仕掛けて終わりではない。PDCAをまわしながら、有効だった打ち手とそうではなかったものを分析。見極めながら「成果」へと結びつけていく。受け身ではなく攻めていく。そして企業の業績にインパクトを与えていく。そういった人事が、今後しばらく求められていくはずだ。
最後に見ていくのが、経理について。
事業会社におけるバックオフィスのなかでも、専門性・知識・能力が重要になってくる職種。とくに会社の成長ステージによって求められる経験やスキルが異なってくるため、まずはそこを把握し、自身のスキルセットとマッチするか、たとえマッチしなくても挑戦させてもらえるフィールドがあるのか、慎重に見ていくべきだろう。
たとえば、上場企業であれば、開示業務における経験が求められることが多い。海外含めて子会社が場合には国際会計や連結決算などが期待されるはずだ。
また、より上流の仕事にチャレンジしていくためにベンチャーなども選択肢のひとつ。年齢に関わらず、若いうちからCFO(最高財務責任者)として迎えられることもある。欧米の企業でいえば、経理・財務の出身者が経営を担うケースは非常に多い。今後、グローバル化が進んでいく上でより経営に近い立場を目指していくのもひとつだろう。
最後に、いずれの職種でもそうだが、重要になる「人間性」について触れておきたい。
コーポレートガバナンスの重要性が叫ばれる昨今。企業経営の根幹を担う重要な数字・土台を扱っていく上で「本当にその人に任せていけるか?」という部分は必ず見られる。経営の実態を把握し、経営陣・関係各位との調整をしていくことも多いだろう。時には、耳の痛い話などをしていかなければならないはずだ。新人・中堅はスキル中心でもいいかもしれない。だが、さらに高いレベル、そしてマネジメントを目指していく上で、こういった「人間性」やインテグリティ(誠実さ)はより重要になってくるはずだ。