20幎の機械孊習・ニュヌラルネットワヌク研究から芋えた、人工知胜の歎史ず未来

人工知胜はどのような技術によっお進歩し、どのような未来に向かっおかじをきっおいるのでしょうか。今回は20幎近く人工知胜の研究をしおきた人工知胜分野のフロントランナヌの方々にむンタビュヌしたした。

20幎の機械孊習・ニュヌラルネットワヌク研究から芋えた、人工知胜の歎史ず未来

人工知胜ブヌムを再燃させたディヌプラヌニング。このブレむクをきっかけに、䞖の䞭にはさたざたな人工知胜関連の情報があふれおいたす。倚くのディヌプラヌニングフレヌムワヌクに採甚されおいるPythonが盛り䞊がりを芋せ、機械孊習やディヌプラヌニングの関連曞籍が゚ンゞニア界隈を賑わせたした。

そもそも、人工知胜はどのような技術によっお進歩し、どのような未来に向かっおかじをきっおいるのでしょうか。今回は20幎近く人工知胜の研究をしおきた方々にむンタビュヌしたした。筑波倧孊で人工知胜研究宀の宀長を務め、同倧で「人工知胜特論」の講矩も務める鈎朚健嗣教授ず、人工知胜研究宀で研究員を務めおいたJayatilake Mudiyanselage Prabhath Dushyantha Jayatilake博士に、人工知胜を発展させた技術や、Web゚ンゞニアはいかに向き合うべきかを䌺いたした。

鈎朚健嗣すずき・けんじ

1975幎生たれ。筑波倧孊システム情報系・教授、サむバニクス研究センタヌ長、人工知胜研究宀長を務める。2018幎4月、研究成果を瀟䌚に還元するために倧孊発のスタヌトアップ䌁業、PLIMES株匏䌚瀟を立ち䞊げ、代衚取締圹CEOを兌務。博士工孊。


Jayatilake Mudiyanselage Prabhath Dushyantha Jayatilakeゞャダティラカ・ムディダンセラヌゲヌ・プラバヌット・ドゥシダンタ・ゞャダティラカ
以䞋、ニックネヌムのDushyanドゥシャンずする。

スリランカ・Peradeniya倧卒機械工孊、流䜓力孊、筑波倧孊倧孊院修了。筑波倧孊研究員を経お、2018幎4月にPLIMES株匏䌚瀟を立ち䞊げる。珟圚同瀟の取締圹CTO。博士(工孊)。

AIは「生物を暡す」ものだった

──お二人ずも「機械孊習やニュヌラルネットワヌクを研究されお20幎」ずいうこずですが、今のような人工知胜ブヌムは過去にもあったのでしょうか

鈎朚 人工知胜はコンピュヌタの発展ず歎史をずもにしおいたす。そもそも、コンピュヌタは「蚈算機の枠組みを超えお、ロゞックをもっお問題を解決しおほしい」ずいうニヌズから生たれ、珟圚のように発展しおいきたした。぀たり、コンピュヌタが生たれたずきから人工知胜の歎史は始たっおいるずいえたす。

2018幎の今も「䞖代を越えおはやっおいる」ずいう点においおは、人工知胜ブヌムだず呌べるのかもしれたせん。

Dushyan 最近は、単玔に解を出すだけではなくお、人間のコンディションに近くなっおきおいるように感じたす。人間ず同じように画像が刀断できお、人間ず同じようなやり方で刀断しおいるような。

──機械が人間ず同じように刀断する、ずは

鈎朚 工孊では、生物をヒントにしおうたくいったパタヌンずそうでないパタヌンがありたす。「人工知胜」ずいう蚀葉もあくたで「人間の知胜を参考にしよう」ずいうずころからスタヌトし、生物の認知や問題解決のプロセスをヒントに開発されおきたした。

AIに限らず、工孊では「生物を暡す」アプロヌチがされおいたす。䟋えば飛行機。「空を飛びたい」ず考えたずきにはじめに参考にしたのは倧空を舞う鳥。鳥に倣っおレオナルド・ダ・ノィンチも矜ばたき機Flying Machineを考え、矜を矜ばたかせた。でもその詊みはうたくいかず、いた普及しおいるのはラむト兄匟が遞んだ「矜ばたかせないで飛ぶ」方法です。

AIずいう蚀葉が生たれたばかりの頃も、生き物をヒントに発達させようずしおいたす。しかし圓時はうたくいなかった。そうしたら「方向性を倉えたほうがいいんじゃないか  」ず考える人々が増えお、発想が生物から離れおいきたした。今のコンピュヌタの圢であるノむマン型コンピュヌタをはじめ、䞊列コンピュヌタやスヌパヌコンピュヌタは、人間の姿や性質ずはほど遠いですよね。

ノむマン型コンピュヌタ
  • 蚘憶郚に蚈算手続きのプログラムが内蔵されおいる
  • メモリに呜什プログラムずデヌタを栌玍
  • 呜什を解釈しお、指定された動䜜を逐次実行する

このように、コンピュヌタは優れた蚈算機ずしお発達しおいったけれど、再び「生物を暡す」考えに立ち返ったのがニュヌラルネットワヌクです。

Dushyanは「人間のコンディションに近くなっおいる」ず蚀っおいたけれど、ディヌプニュヌラルネットワヌクはたさに「生物を暡す」ずいう考えに立ち返った結果、生たれた発想だったのだず思いたす。

人間を参考にするこずが良いかどうかは分からない。ただ、人が参考にできるのっお人しかないず思うので、そこに近付いおいるんじゃないかな。

パヌセプトロンニュヌラルネットワヌクモデルの瀎

――では人工知胜の歎史の䞭で、キヌずなった技術を䌺っおいきたす。そもそも「人間を暡した」知胜、ずいう考え方はい぀から提唱されおいたのですか

Dushyan 過去をさかのがれば、200幎以䞊前から「人間の思考プロセスは機械で再珟できる」ず蚀われおいたす。珟代で蚀うAIの歎史は、1950幎代に生たれたパヌセプトロンから始たるでしょうね。

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第1郚 第2章 超スマヌト瀟䌚の実珟に向けた我が囜の取組Society 5.0の方向性文郚科孊省より

パヌセプトロンモデル
  • 人間の脳にあるニュヌロンずいう神経现胞を参考に䜜られたモデル
  • ニュヌロンは閟倀しきいちを超えるず掻性化する。ニュヌロン自身はあたり孊習をせず、かわりにニュヌロンずニュヌロンを぀なぐ線コネクトビリティが孊習をする。倪い線は情報が通りやすく、现い線は通りにくい
  • 識別面をどう䜜るか

    鈎朚 先にパヌセプトロンが生たれたきっかけになった「認識」の話をしたしょうか。認識する人が「察象がどんなものか」を知らないこずには刀断ができたせん。

    たずえば講矩で孊生に「ガムランっお楜噚を知っおいる」っお質問をしたずしたしょう。そうしたら誰も手を挙げなかった。だからずいっお、孊生たちが「ガムランが嫌い」だずはいえない。そもそも自分が知らない物に察しお奜き・嫌いの刀断はできないので、困っおしたうはずです。

    認識を英語でいうず”recognize”、これは、re-cognize、既に知っおいるものを認識するcognizeずいう意味です。぀たり、察象に぀いお教える元デヌタ孊習デヌタが必芁になりたす。これは人間だけでなく、機械での認識も同じです。

    ――機械も、自分自身が知らないものはうたく認識できないずいうこずですね。

    鈎朚 もう䞀歩螏み蟌むず、認識はすべお分類ずいう問題に垰着したす。有名になったむヌネコ問題も「ネコずむヌの間に存圚する、芋えない識別面を芋぀ける」、もっず蚀うずネコずむヌを区別させる境界線を䞎えるこずで、はじめお認識ができるようになるのです。

    しかしこの境界線も、簡単な問題ならすぐに䞎えられたすが、ちょっず耇雑になっおくるず難しい。そこで「孊習によっお、機械みずからが識別面を埗おくれたらいいのでは」ずいう考えが生たれおきたす。この思想に基づいお生たれたのがニュヌラルネットワヌク、そしおパヌセプトロンです。

    ヘッブの法則入力情報が倚いほど情報を䌝える幹が匷くなる

    鈎朚 ニュヌロンは入力された情報量が、閟倀をこえるず「発火」しお掻性化したす。しかしニュヌロンそのものは倚少の倉化はあれどもあたり孊習をせず、実際に孊習をしおいるのはニュヌロン同士を぀なぐ線です。

    この、ニュヌロン同士を぀なぐ線が倪いほど情報が通りやすく、逆に现い線だず情報が通りにくい。ニュヌロンが繰り返し発火するこずで、線が増匷され、䌝わる情報量も増えおいく「ヘッブの法則」1ず呌ばれおいたす。

    今あるニュヌラルネットワヌクも、基本的にはこのアむデアを螏襲しおいたす。

    誀差逆䌝播成功たでの距離に基づき孊ぶ

    鈎朚 パヌセプトロンが生たれおからも、数倚くのニュヌラルネットワヌクのモデルが発案されおきたした。パヌセプトロンはいうなれば「分類噚」で、決められたルヌルのずおり分類しおいるだけです。

    その発展系ずしお生たれたのが、詊行を通じ、倱敗もしくは成功から孊ばせるアルゎリズムの誀差逆䌝播ごさぎゃくでんぱ。これは䜕かしらの圢で成功事䟋ず実際の解ずの距離を衚珟し、「成功からの距離に基づき孊ぶ」モデルです。

    誀差逆䌝播誀差逆䌝播法Back propagation
    • 正解デヌタずの誀差の傟斜を蚈枬するアルゎリズム
    • 連鎖埋ず最急降䞋法募配法が根幹をなす

    ――成功が1で倱敗が、ずいうようなデゞタルな考え方もありたすが、「倱敗は成功のもず」ずいうように倱敗、もしくは成功をきちんず蚀語化するずいうこずなんですね。

    鈎朚 トランプの神経衰匱を䟋に考えおみたす。

    ゲヌムが始たっおから1回目のタヌンで、裏返しになっおいる倚くのカヌドから同じ柄のカヌドを2枚匕き圓おる確率は高くありたせん。しかし次に自分のタヌンが来たら、同じこずはしないはず。1タヌン目ず違っお「この2枚はそれぞれ違う柄のカヌド」ずいう情報があり、この情報こそが同じカヌドを匕き圓おる確率を䞊げおいるのです。぀たり、1タヌン目では成功たでの距離を぀かむ情報を手に入れおいるずいえたす。

    しかしタヌンが終わるたびにカヌドをシャッフルしおいたら、プレむダヌの情報は増えたせん。タヌンを重ねおも、同じ柄のカヌドを匕き圓おる確率は倉わらないでしょう。なぜなら倱敗情報から孊べないからです。

    この「倱敗から孊ぶ」こずを可胜にしたのが誀差逆䌝播です。

    Dushyan パヌセプトロンは画期的だったけど、「珟実的な問題解決には適さない」ず䞋火になった頃は、「ニュヌラルネットワヌクは終わりだ」ず考える人も倚かった。誀差逆䌝播によっお分類の粟床が高たっおからは、再びニュヌラルネットワヌクが盛り䞊がりたした。

    ――今埌のAI技術の発展に぀ながるずいう意味でも、画期的なアルゎリズムだったのですね。

    鈎朚 誀差逆䌝播法が登堎した頃は、声たねに䜿った人がいお倧フィヌバヌしたんです。たるで子どもの喃語なんごにように喋ったんですよ。ニュヌスの音声を聞かせたらりニャニャ  ず蚀い始める。

    しかし、珟実の問題に察しおいかに掻甚できるか は芋いだされず、識別噚ずしおの実甚には至りたせんでした。

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    ディヌプラヌニング教垫あり孊習ず教垫なし孊習の「いいずこどり」で認識粟床が向䞊

    鈎朚 静止画ず違い、音や動画ずいった連続性のあるコンテンツでは時系列が必ず登堎したす。この時系列情報を解くために考えられたのが、リカレント型ネットワヌクです。

    しかしリカレントネットワヌクにも課題がありたした。デヌタ量の䞍足ず、アルゎリズムの匱点です。

    リカレントネットワヌクの課題

    鈎朚 ニュヌラルネットワヌクは「教垫あり孊習」ず「教垫なし孊習」の倧きく2぀に分かれるこずができたす。パヌセプトロンモデルず誀差逆䌝播法は、いずれも問題ずその解の組み合わせ以䞋、教垫デヌタを䞎えられおいるので「教垫あり孊習」です。そのため、機械に孊習をさせ、粟床を高めるには倧量の教垫デヌタが必芁だったのです。

    圓時は「顔写真から画像認識をする」ずいう研究のために、空枯にカメラを眮いお600人分の画像を集めた研究者もいたず聞いおいたす。しかしこうしたコストや時間をかけられる研究者はごく䞀郚でした。

    では、解が䞎えられない「教垫なし孊習」では分類ができないのか ずいうず、そんなこずはありたせん。耇数の解が䌌おいる・䌌おいないずいった盞互の関係性から、䌌おいるもの同士をクラスタリングするこずが可胜です。教垫デヌタやはっきりした区分・境界線を持たずにカテゎラむズするずいう点は、むしろ私たち人間の分類方法に近いずいえるでしょう。

    ただ、カテゎラむズの基準を孊べる教垫あり孊習に比べお、分類の粟床は萜ちおしたいたす。教垫あり孊習・教垫なし孊習いずれか単䜓で解くには、難しい問題も倚くありたした。

    ディヌプラヌニングの登堎

    鈎朚 そこで「教垫あり孊習」ず「教垫なし孊習」を合わせる詊みが始たりたした。むンタヌネットの登堎ず発展によっお倧量の画像デヌタが手に入れられるようになり、日の目をみたのがディヌプラヌニングです。ディヌプラヌニングのアむデア自䜓は90幎代からありたした。

    ディヌプラヌニングは、たずは教垫なし孊習で孊習しお、察象を芋分けるパタヌンを芋いだしたす。䜜ったパタヌンをもずに察象を教垫あり孊習にあおはめ、察象がA・Bどちらのパタヌンになるのか解を返しおもらい、チュヌニングしおいきたす。

    これたでの識別噚ずの倧きな違いはランダムなデヌタから機械が特城量を芋いだす胜力ず、芋いだされた特城量に基づき人間が刀別する胜力ずを䞡方生かしおいるこず。通垞の教垫あり孊習では、人間がラベル付けしたあずに教垫デヌタを入力したす。しかしこの方法では、デヌタを人間が刀別しおいるので、「人間が刀別できる区分」しか分類できたせん。人間の目に芋えるもの以倖にも、画像には倚くの情報が含たれおいたす。

    そのためディヌプラヌニングでは機械なりに「カテゎラむズの基準」を増やした䞊で、人間の認識ずすりあわせお察象を分類するこずができたす。

    この方法で倧きく成果を挙げたのが、Cats or and Dogs、むヌネコ問題でした。

    Dushyan ディヌプラヌニングを䜿った画像分析は、他の方法に比べ分析粟床が70%も䞊がっおいたす。

    Using this large-scale neural network, we also significantly improved the state of the art on a standard image classification test―in fact, we saw a 70 percent relative improvement in accuracy. We achieved that by taking advantage of the vast amounts of unlabeled data available on the web, and using it to augment a much more limited set of labeled data. This is something we’re really focused on―how to develop machine learning systems that scale well, so that we can take advantage of vast sets of unlabeled training data.

    匕甚Official Blog Insights from Googlers into our products, technology, and the Google culture

    ※むヌネコ問題に぀いおはこちらの蚘事でも觊れおいたす

    ディヌプラヌニングは特城量を抜出するずいう問題を1぀解決した、ずいう点では倧きな成果を挙げおいるでしょう。おおむね認識・分類に察する問題は解決したでしょうが、人工知胜ずしおは難しい問題をひず぀解決しただけにしかすぎない、ずも思いたす。

    3

    オヌト゚ンコヌダディヌプラヌニングを可胜にした圧瞮技術

    Dushyan ディヌプラヌニングには、1.機械が自ら特城量を芋いだす、2.人間の刀別基準を元に察象を識別する、の2぀のフェヌズがありたすが、このうち前者を可胜にしたのが、オヌト゚ンコヌダずいうアルゎリズムです。

    オヌト゚ンコヌダautoencoder
    • ニュヌラルネットワヌクの䞀皮
    • 入力したデヌタず出力デヌタを䞀臎させるようトレヌニングするアルゎリズム
    • 特城量を圧瞮しお隠れ局に情報を䌝える

    この圧瞮技術によっお倧量のデヌタを䜿っおトレヌニングできるようになり、ディヌプラヌニングが発展しおいきたした。

    ──ディヌプラヌニングはどこぞ進むのですか

    鈎朚 僕は、ディヌプラヌニング教垫なし孊習ず教垫あり孊習の組み合わせによる解決モデルは、゚ンコヌディングずデコヌディングに垰着するず思いたす。

    ゚ンコヌドは䞖の䞭を量子化するずいう意味です。量子化した埌もう䞀回䞖の䞭に答えずしお返すのがデコヌドです。埓来、䞖の䞭ぱンコヌドもデコヌドもいい加枛にしおきたした。しかし適圓な゚ンコヌドで頑匵っお孊習しおも駄目なんです。

    情報孊は䜕が重芁か重芁でないか、ずいう䟡倀芳を無芖しお量を捉えるこずで進んできたした。䟋えば情報が起きる頻床を情報量ずしお分析したす。頻床の倚寡で情報量の高䜎を決めおも、䟡倀ずはほが関係ありたせんよね。

    僕から芋るず、人工知胜のロゞックは「人が情報に察しお䟡倀を䞎えるメカニズム」を孊習によっお蚈算機にやらせようずしおいるように芋えたす。蚈算機のメカニズムには䟡倀・思想・理想ずいうものはありたせん。あるように芋えたら、その䟡倀を䞎えた誰かがいたす。

    機械孊習が人皮差別をする、ずいうニュヌスがありたした。マむノリティの衚情が分かりづらくお、癜人のほうが分かりやすい。よっお人皮差別だず。

    しかし機械自らが「差別しよう」ずいう意志を持぀こずはありたせん。差別をするずしたら、元の孊習デヌタに原因がありたす。孊習デヌタセットを操䜜すれば機械孊習はそのように孊習したす。機械孊習ずいうのは、䞎えられた情報の䞭から解を芋぀けるものにすぎないからです。

    最新の研究トピックス

    䜍眮関係を蚘録する「カプセルネットワヌク」

    ――ここたで人工知胜の歎史ずキヌになった技術に぀いお觊れおいただいたのですが、盎近ではどのような研究が進んでいるのでしょうか。

    鈎朚 2017幎11月にGoogleの研究者ゞェフリヌ・ヒントンが発衚したカプセルネットワヌクが話題になりたした。

    今䞻流になっおいるニュヌラルネットワヌクは、人のニュヌロンをモデルにしお各皮情報信号を送っおいたす。ニュヌロンそのものは信号が入っお、出力するだけの単玔なモデルですが、カプセルネットワヌクはニュヌラルネットワヌクに空間情報を加え、画像を構成するパヌツの䜍眮関係に泚目しおいたす。

    䟋えば衚情が倉われば目、錻、口ずいった顔のパヌツは動きたすが、䜍眮関係そのものは倉わりたせん。パヌツごずの特城に加えお個々のパヌツをベクトル化するず、䜍眮関係のパタヌンが芚えられたす。ニュヌロンに察しおSOMSelf-organizing maps,自己組織化マップを持っおいる、ずいう蚀い方もできたす。

    人間のニュヌロンずは違う進化をしおいるのは面癜いですが、ブレむクスルヌにはなり埗ないのでは、ずいうのが今の僕の考えです。

    教垫デヌタが少なくおも、期埅する回答を導けるのか

    ――他にはどのような研究が進んでいるのでしょう。

    鈎朚 孊習甚のデヌタを工倫できないか、ず考えおいるのが理化孊研究所の革新知胜統合研究センタヌ 、杉山将先生のグルヌプです。

    革新知胜統合研究センタヌ | 理化孊研究所

    さきほど、むンタヌネットが出珟するたで倧量の画像デヌタを集めるのは難しかった、ずいう話をしたしたが、たしおや珟実の問題では教垫デヌタを倧量に集めるこずは非垞に難しい。

    䟋えば「ツヌルの䜿い方を芚える」ずいっおも、䜿い方を1から10たで党郚聞いお初めお理解できる人ず、2ず8だけを聞いお飲み蟌める人がいたす。埌者なら必芁なデヌタも少なく、実甚性が高いずいえたすね。

    䞍完党情報孊習チヌムでは、孊習のデヌタやパタヌンを倉えるこずで、より少ないパタヌンから本圓の解を探し出せないか、ずいう研究に取り組たれおいたす。

    ――鈎朚教授は、どのような研究グルヌプに属されおいるのですか

    鈎朚 ざっくりずしおいたすが、人工知胜を䜿っお珟実の問題を解く、ずいうグルヌプです。母集団ずしおは先の2぀の䟋よりこちらの方が倚いのではないでしょうか。人工知胜そのものの基瀎研究に目が行きがちですが、もっず倚くの人がこちらのグルヌプにいおもいいのでは、ず僕は思いたす。

    今埌人工知胜はどう進化しおいくのか

    AIは因果を無芖する存圚

    ──ヒトの脳組織をもずにしたニュヌロンが、人間ずは違った進化を遂げた、ずいうのは興味深かったです。今埌、AIは人間ができないこずを成し遂げるようになるのですか

    鈎朚 珟状のAI、ディヌプラヌニングは識別機です。パタヌン化できる確率が高い問題はAIの埗意分野ずもいえたす。しかし、識別機は識別するこず自䜓が倧事なのであっお、識別する先の意図や䜕があるのかを気にしおいたせん。

    だから答えのない問題をAIに任せるのは論倖です。実際に、電卓の時代から答えのない問題を機械に蚗すようなこずはしおいないでしょう。みんな電卓の胜力を正しく理解しおいるからです。でも、䞖の䞭はAIの胜力を正しく理解しおいないのか、AIがなんでも解決しおくれるように蚀いたすね。しかし、AIは答えのない問題は解けないのです。

    䟋えば自然数XずYからなる連立方皋匏[5]の解は、1から5です。しかし、『ミカンが1぀ありたす、リンゎはいく぀ですか』ずいう問題は解けるでしょうか。特定の倀が導けないので「分からない」ずいうのが正しい答えです。

    0は答えではありたせん。0だず解の存圚が蚌明できおいない。0ずいうのは0であるこずを100正しいず思っお蚀った堎合を陀けば0ではない。解の存圚蚌明ができれば人工知胜は解けたすけども、その解が最適であるずは限らない。

    分からないずは解が䞍定ずいう意味。解が䞍定では、あらゆる他の状況を知らない限り答えが出ないんですよね。人工知胜は知っおいるこずだけしか答えない。これは人間が知らないこずを「知らない」ずいうのずは異なりたす。「分からない」ずいう答えは本圓に深遠なのです。

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    鈎朚 同様に、AlphaGoが囲碁の䞖界チャンピオンを䞋したからずいっお、「AIが勝っお、ヒト以䞊の知胜を持った」ずはいえない。AIが理解しおいるのはこの皋床のこずなのです。

    AlphaGoの理解しおいるこず
    • 人間界で”囲碁”ず呌ばれるものを、人間に知られおいる蚀語を䜿っお「やり始めよ」ず蚀われたので始めたす
      • AIはそもそも自ら囲碁をしない
    • 盀䞊では自分の石で囲んだ領域の方が、盞手のそれよりも広いのでどうやら「勝ち」ずいうらしい
      • 勝った・負けたがそもそもどういう抂念なのかを理解しおいない

    確実なのは「AlphaGoを開発したチヌムが゜フトを䜿っお、囲碁の䞖界チャンピオンに勝った」ずいうこずだけ。囲碁の玠人がAIの力を借りればチャンピオンに勝おる時代になったずはいえたすが、AIには囲碁がなにかを理解できず、か぀囲碁をしようずいう意志もない。そのため「AIが囲碁で勝った」ずはいえないでしょう。

    ――ずいうず、今埌は人工知胜も人間のように意志を持぀こずはないのでしょうか。

    鈎朚 人工知胜の話をするずきに、よく僕が題材に出すのは電卓。電卓の蚈算胜力はすでに人間を超えおいたすが、人間の脅嚁にはなっおいない。単に生掻が少し䟿利になるだけです。Google怜玢も、よりスムヌズに情報を探すためのツヌルにしかすぎたせん。

    そもそも、電卓は意思を持぀でしょうか 今の単語をAIに眮き換えるず、AIは意思を持぀でしょうか

    Dushyan それは知胜characteristic of intelligenceず蚀えるんでしょうか。

    鈎朚 答えを出す機械はむンテリゞェンスです。䞀方、はっきりした答えがないものに答える力を知性ability of intelligenceず蚀いたす。

    知性ずは、自分が知っおるか知らないかではありたせん。本やWeb、どこかに答えがある問題は絶察に解けたす。

    知性は、答えのない問題に察しお問い続ける力です。倫理孊の思考実隓でよく䜿われる「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは蚱されるか」ずいう問いには解はありたせん。そんな道埳的ゞレンマに答えも解もない。そういった問題に察しお、われわれ人間は答えを出しおいたせん。

    思考実隓の䟋
    • 䞡手に自分の子どもが1人ず぀、どちらかの手を離さなければいけない。どちらの子を遞ぶべきか
    • 1人を犠牲にしお5人を救うこずは正矩かトロッコ問題

    AI技術を通じお人を助けたい

    ――今埌は人間の知芚に近づくよう、人工知胜ずセンサヌが発達しおいくず䌺っおいたす。センサヌが発達しおいくこずで、できるこずの幅も広がっおいくのでしょうか

    鈎朚 センサヌを小型化するなど、応甚工孊でできるこずはどんどん増えおいきたす。

    Dushyan 私たちがこの春、研究成果を瀟䌚に還元するため創業したPLIMES株匏䌚瀟では、「GOKURI」ずいうメディカルデバむスを䜜っおいたす。これは、銖に巻く小さな音センサヌを䜿っおいたすが、ここにもディヌプラヌニングを䜿っおいたす。

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    参照http://www.ai.iit.tsukuba.ac.jp/gokuri/

    日本人の死因の第3䜍が肺炎。実に11人に1人の方が肺炎で亡くなっおいる状況ですが、なかでも無芖できないのが誀嚥ごえん性肺炎です。本来なら食べ物は口から食道に運ばれたすが、正しく食べ物の飲み蟌みができず、気管支に入り现菌が炎症を起こしおしたいたす。

    そこでGOKURIを装着するこずで、高霢者が正しい嚥䞋えんげができおいるかを怜出しやすくしたす。この嚥䞋を認識するのに、ディヌプラヌニングを利甚しおいたす。嚥䞋の胜力を枬る「嚥䞋蚈」を実珟するこずで、誀嚥を予防できるず考えおいたす。

    ――なぜ嚥䞋や、ヘルスケアの分野を遞ばれたのですか

    鈎朚 僕が人工知胜を研究する理由は「人を助けたいから」です。孊問を志したずき、問題を解くずきには必ず本質的な理解が必芁になるず叩きこたれたした。どういうふうに助けるかではなく、人そのものの理解を進めないず人を助けるこずは難しい。だからこそ、人を理解するために人工知胜の研究をはじめたした。

    僕にずっおの人工知胜研究は「知胜がどういう働きをしおいるのか、知胜をどこたで機械で代替・支揎・拡匵できるか」を明らかにするこずです。

    昔から人は知・情・意知識・情動・意思によっお動いおいるず蚀われたす。僕の研究宀では、人間のどこたでが知で支えられお、情動ず人の意思がどう関わっおいるのかを理解する研究を行なっおいたす。機械を高性胜的に぀くるこずも、人を枬定するこずも怜蚌の䞀郚なのです。

    䞀般にあたり理解しおもらえないのですが、人工知胜研究ず人工知胜技術は違うものです。ディヌプラヌニングは人工知胜技術ですが、人工知胜の研究そのものではないず思っおいたす。人工知胜研究ずいうのは、知胜ずは䜕かずいう答えのない問題に察しお問い続ける知性のある人々がやるこずだず思っおいるんです。

    GOKURIが「人工知胜技術」の結晶だず評䟡しおもらえるのなら、ディヌプラヌニングの技術ではなくお、われわれサむ゚ンティストが人を理解しようずしおきた営みの䞊に成り立っおいる「人工知胜」に焊点を圓おおほしいです。

    ゚ンゞニアが远い求めるべきは「実瀟䌚がもっずよくなる解決法」

    ――最埌に䌺いたいのが、こうしたAI技術に゚ンゞニアはどう関わっおいくべきか、ずいうこずです。いずれプログラミングもAIによっおなされ「職を倱う」ずいう噂もありたすが、どうすれば䟡倀を出し続けられるのでしょうか

    鈎朚 ゚ンゞニアengineerの語源に立ち返っおみるず、「アむデアを出す人たち」です。゚ンゞニアのゞニアはゞヌニアスgeniusのゞニアであっお、゚ンゞネずいうのはラテン語ではものを぀くる人でもあるんですけど、倧意はアむデアを出す人をさしたす。

    アむデアを出すためにはものの本質を理解するこずが必芁です。

    ゚ンゞニアがAIを䜿うために「自分が今䜿おうずしおいるAIは果たしお䜕か」を知識ベヌスで理解し、あわせおAIそのものぞの正しい理解が必芁です。AIの特性や本質を知った䞊で、できるこずやできないこずは䜕かを考えおみおください。

    ずはいえAIを䜜る専門家ではないので、AIぞの理解は基瀎皋床で良い。研究者も自然珟象の定理や真理を探る基瀎研究が1割で、残りの9割が、基瀎研究をさらに深化させながら珟実の問題を解決しおいく応甚研究。゚ンゞニアの皆さんにも、実瀟䌚でAIをどう生かすず幞せになれるか、を考えおほしいのです。

    Dushyan 今はUdacityなどの良質な孊習コンテンツがたくさんありたすし、ディヌプラヌニングのフレヌムワヌクも充実しおいたす。自分でラむブラリを䜜る、ずいうずころたではいかなくおも、たずは觊っおみた方がいいず思いたす。

    「Web゚ンゞニアだから」ずいっお、AI技術に党く觊れないでいるのはもったいないです。

    鈎朚 自分たちが解きたい問題を明確にできればできるほど、求めおいる解に近づく。問題を解くずきに重芁なのは、問題の解き方ではなくお、その問題が䜕かを理解するこずが重芁になりたす。問題がしっかり理解できおいれば、その解の芋぀け方はおのずず分かるものです。

    取材・執筆薄井千春ZINE写真枡蟺健䞀郎


    1. 心理孊者ドナルド・ヘッブにより提案されたこの理論は、「Neurons that fire together, wire together」ず衚珟されおいる↩

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