ITエンジニアはどんなツールでコミュニケーションしているの? 事例から効率化のヒントを探せ!【2018 夏】
ストレスなく開発に集中するため、IT企業が社内ツールに何を選択しているかをアンケート調査。各社コダワリの使い方から、業務効率化や働き方を考えるヒントにしてください。
「他の会社のエンジニアはどう働いているのだろう? どんなツールで業務をこなしているのだろう?」そんなことが気になったことはありませんか?
業務を適切に効率化するため、ストレスなく開発に集中するため、コミュニケーションをとりやすくするため、さまざまな理由から企業は社内ツールを選択しているはず。どんなコダワリがあり、どんな使い方・ハックをしているのか? 11社にアンケートを実施しました。
自社での業務効率化や、働き方を考える上で、ぜひ参考にしてください。
- 1. エンジニア同士が社内で使っているコミュニケーションツールを選んでください
- 2. エンジニア以外の関連部門とのコミュニケーションツールを選んでください
- 3. 開発で使っているバージョン管理やタスク管理のツールを教えてください
- 4. 日報の有無を教えてください
- 5. 勤怠連絡で使うコミュニケーションツールを教えてください
- 6. お使いのオフィス系ツール(文書作成等)は何をお使いですか?
- おわりに
※ツール名のみ回答された項目に関しては集計のみを行い、企業名とコメントの記載を省略しています。
1. エンジニア同士が社内で使っているコミュニケーションツールを選んでください
どのような種類のツールを使っているかについては、全社(11社)がチャットを挙げ、さらに全社がSlackの名前を挙げました。テレビ会議については、7社が使用していると回答しました。チャット・テレビ会議それぞれでツールを集計し、ツールごとにコメントがあれば掲載しています。
使用しているチャットツールとその理由・コダワリ・ハックなど
1位: Slack - 11社
最近は、メンバー全員がtimesという個人チャンネル(分報)を持っていて、困っていること等自由に書き込むことができるようにしています。技術的なハマりポイントを投稿すると、だいたい誰かが解決策を教えてくれるので、無駄に1人で悩む時間がなくなりました。
弊社メンバーは、Slackのステータスに、相手に望むコミュニケーション方法を指定しています。新メンバーが既存メンバーとのコミュニケーション方法の迷いをなくすために、導入してみました。新メンバーだけでなく、既存メンバーも気持ちよくコミュニケーションが取れるので、おすすめです。
― 株式会社mofmof
個人チャットよりもオープンチャンネルの利用を推奨しており、早期の課題発見や、社員間のコラボレーションを促しています。
― ENECHANGE株式会社
弊社全体で言えることなのですが、使い慣れていないが良さそうな新しいサービスや、使い古されている馴染みのサービスとどう向き合うかという話はよく出る中で、そもそも弊社として、最も本質的にサービスのためになる手段で業務を進められるコミュニケーションツールを使うようにしています。
― 株式会社Voicy(濱田恭匡)
Slackは、2016年頭ぐらいからエンジニアを中心に利用しはじめて、その後、部署に限定して全員でメインとして利用しています。外部サービスとの連携などコミュニケーションツールとして集約しつつも、通知ミュートのように、集中しているときに邪魔にならない使い方を取り入れやすかったのが、メインにした理由です。
外部サービスとの連携など、カスタマイズを思い立ったらすぐ実行に移せるように、管理者権限や設定についてほぼ全部開放するようにしています。
― 株式会社CyberZ
Slackのステータスアイコンを使った自己表現は、けっこうみんなこだわっているようです。現実逃避したいときはリゾート、殺気立っているときは武器など……。ここからコミュニケーションの話題になることもあります。
また、情報共有にesa.ioも使っています(手順書、ノウハウ蓄積)。
― 株式会社trippiece
ハックとしては、自社プロダクトの受付システム「Facetouch」で自身がお客様から呼び出しされると、Slackで通知を受け取ることができる。
本来は、専用アプリを各自PCにインストールをして通知を受け取るが、「インストールが面倒」「複数のメッセンジャーアプリを起動させておくのがいやだ」などの意見から、Salck連携できるようになった。
Facetouchはカメラがついているので、呼び出されるとお客様の姿をキャプチャ画像として受け取ることができ、呼び出しに対してテキストで応答することができる仕様になっている。Slack連携では、自分が呼び出されるとSlack上で画面キャプチャとあわせて呼び出し通知を受け取り、かつSlack上でメッセージ応答できる。
― チームラボ株式会社
また、多数のBotを導入しており、障害の検知、リリースの通知、来客者の通知、ランチマップの呼び出しなど、多様に活用しています。
― アソビュー株式会社(山崎賢)
Slackbotを使って、簡単なBotを作っています。例えば、「ランチ」とつぶやくと会社近くのおすすめのお店をランダムに教えてくれるランチBotなどです。
また、会話をできる限りスレッドで行うようにすることで、情報が流れてしまうのを防止するようにしています。ちょっとした工夫ですが、このルールができてから、情報が追いやすくなりました。
― READYFOR株式会社
― 株式会社ネイキッド
― 株式会社MUGENUP
2位: ChatWork - 4社
― 株式会社Voicy(濱田恭匡)
3位: Workplace - 1社
エンジニアだけではないため、グループウェアやチャットは部署を超えてコミュニケーションするために、2015年の最初にWorkplaceを導入しました。それまではChatWorkとSlackの両輪でした。Slackは死活監視やアプリ連携用に使っていました。
コダワリとしては、コミュニケーションだけでなく、テキストを打つサービスは、マークダウンを使えること。
Slackは死活監視用と割り切ることで、緊急であることが一目でわかるようにしていたりします。
― 株式会社favy
使用しているテレビ会議ツールとその理由・コダワリ・ハックなど
appear.in / Slack Call / Googleハングアウト / Zoom / Skype
― 株式会社mofmof
― アソビュー株式会社(山崎賢)
― ENECHANGE株式会社
― 株式会社CyberZ
― 株式会社favy
― 株式会社MUGENUP
― 株式会社trippiece
2. エンジニア以外の関連部門とのコミュニケーションツールを選んでください
ほぼエンジニア部門と同様という回答でした。コメントのみを掲載します。
― 株式会社CyberZ
― 株式会社mofmof
― アソビュー株式会社(山崎賢)
全社統一でSlackを利用することによるスピード感を重視しました。当初は英語UIしかなかったが、一切英語を使わない社員でもスムーズに使えるくらい直感的なUIでした。
― ENECHANGE株式会社
ツールが分かれてしまうとアカウントがないから情報共有が滞る、といったケースもありますが、統一することでチャネルに招待するだけですぐにキャッチアップして議論に参加してもらう、というスピード感を大切にしています。
― 株式会社trippiece
当初はMessengerやLine、メールなどバラバラでしたが、あちこち見ないとすべての情報が追えないので統一することにしました。MessengerやLineは便利ですが、公私混同しやすく、社内向けに別のツールを導入しようということになり、Slackを試しに使ってみてそのまま今に至ります。
― READYFOR株式会社
― 株式会社Voicy(濱田恭匡)
― 株式会社ネイキッド
― 株式会社favy
3. 開発で使っているバージョン管理やタスク管理のツールを教えてください
3-1. 社内でコードのバージョン管理に使っているツールを教えてください
1位: GitHub - 10社
― 株式会社mofmof
― ENECHANGE株式会社
― 株式会社Voicy(濱田恭匡)
F.O.X SDKなどクライアントに配布するコードもあるため、社内コードと配布コードを一元的に管理できるものとして採用しています。またグローバル展開も行っているため、世界的にシェアが高く受け入れられているサービスとしても選定理由になっています。
― 株式会社CyberZ
設立当初は本番環境に置かれたリモートgitレポジトリが使われていましたが、入社後、自らGitHubに移行しました。インフラ管理コストを最小限にする方針のもと、Enterpriseライセンスは利用していません。
― 株式会社trippiece
ただし、一部クライアントとの契約上、ソースコードを社内のネットワーク内で完結させる必要がある案件に関しては、引き続きGHEを利用しています。
― チームラボ株式会社
― READYFOR株式会社
― 株式会社favy
― 株式会社MUGENUP
― アソビュー株式会社(山崎賢)
― 株式会社ネイキッド
3-2. チームでのタスク管理に使っているツールを教えてください
1位: Trello - 3社
― 株式会社mofmof
― READYFOR株式会社
― 株式会社MUGENUP
2位: Jira - 2社
― アソビュー株式会社(山崎賢)
― ENECHANGE株式会社
3位: Pivotal Tracker / Asana / Waffle.io / Wrike - 各1社
― 株式会社favy
RedmineやBacklogは、チームメンバーと合わず断念しました。
― 株式会社ネイキッド
GitHubのIssueがベースになるため、乗り換えもそうですが、Slack上で特定のメンションをつけたらIssueに起票するなどの連携が可能で、エンジニア以外が気軽に起票することを可能にしています。
― 株式会社CyberZ
プロジェクトによってワークフローを変えたり、休暇設定、資産工数分類などと相当活用しています。機能追加が頻繁に行われており、不満・要望は全くなく満足しています。
― 株式会社trippiece
3-3. チームでのタスク管理(プロジェクト)に使っているツールを教えてください
3-2と同様という回答が多いため集計はせず、それ以外のコメントのみ掲載しています。
ベロシティ(チームが1スプリントでどの程度の作業ボリュームを消化できるか表す数値)を自動計算してくれるので、マイルストーンが設定しやすいです。
― 株式会社mofmof
― 株式会社trippiece
― 株式会社Voicy(濱田恭匡)
― 株式会社ネイキッド
― チームラボ株式会社
3-4. 管理ツールに対するコダワリやハックがあれば教えてください
回答があった企業のコメントのみ掲載します。
― 株式会社mofmof
CI/CDなども含めて、相互にコラボレーションを強化して、ツールを単体でなく全体で使いやすい状態を作っています。
― アソビュー株式会社(山崎賢)
― 株式会社Voicy(濱田恭匡)
― 株式会社trippiece
― ENECHANGE株式会社
― 株式会社favy
4. 日報の有無を教えてください
個人・チーム・プロジェクトのそれぞれで日報の有無を集計したところ、次のグラフのようになりました。ツールについては、それぞれで採用している企業のコメントのみ掲載します。
4-1. 日報に使っているツール名と報告の方法を教えてください
個人日報を採用している会社のコメント
規定のフォーマットに従って、下記の項目を記入しています。
- 今日のタスク
- 現在抱えてるプロジェクト(進捗も%で表記)
- 連絡報告事項
- 意気込み、気づき
― 株式会社Voicy(濱田恭匡)
使い方で約束事は設けていないため、チームや個人で使い方はかなり異なりますが、他人のtimesを見る文化自体は組織内に根付いています。
― 株式会社CyberZ
それまではesa.ioで日報を書いていましたが、同じ内容を複数の場所に書くよりもWrikeで一元管理したほうがいろいろメリットが大きいのでこのようにしました。
― 株式会社trippiece
― 株式会社favy
チーム内で日報を採用している会社のコメント
― アソビュー株式会社(山崎賢)
― 株式会社ネイキッド
プロジェクト内で日報を採用している会社のコメント
― チームラボ株式会社
こんな回答もありました
日次で共有事項がある場合は、Slackや対面など別の手段を利用しています。
― 株式会社mofmof
5. 勤怠連絡で使うコミュニケーションツールを教えてください
勤怠連絡のコミュニケーションにも、日常的に使用しているチャットツールが使われているようです。また、勤怠・労務管理にはジョブカン、TeamSpirit、freeeの名前が挙がっていました。
Slackを採用している会社のコメント
― アソビュー株式会社(山崎賢)
― ENECHANGE株式会社
― 株式会社CyberZ
― 株式会社trippiece
― READYFOR株式会社
ChatWorkを採用している会社のコメント
― 株式会社MUGENUP
Workplaceを採用している会社のコメント
― 株式会社favy
メールも採用している会社のコメント
― チームラボ株式会社
6. お使いのオフィス系ツール(文書作成等)は何をお使いですか?
文書作成等で利用するオフィス系ツールは、Microsoft OfficeかGoogle G Suiteのほぼ二択ですが、Dropbox PaperやDocBaseといったツールも挙げられていました。
6-1. オフィス系ツールに対するコダワリやハックがあれば教えてください
コメントがあった企業のみ掲載します。
ファイルのリアルタイム同時編集可能、マークダウンが使える点もエンジニアとしては助かりますね。Dropbox Paperを利用したブレストもおすすめです!
― 株式会社mofmof
経営会議の議事録など、複数人に内容の説明が必要な場合、それ専用にスライドを作るのが大変なので、Docbaseのスライドモードでスクリーンに映しながら説明したりしています。
― 株式会社CyberZ
各ドキュメントへの自動インデックス化、ドキュメント名規則など、課題は多く残っています。
― 株式会社trippiece
― 株式会社ネイキッド
― 株式会社favy
おわりに
ツールは使い方次第で、業務やコミュニケーションをより良くすることができます。便利なツールが年々増えていきますが、検討要因はさまざまです。例えば会社のフェーズや組織の人数、非エンジニアがITへ親しんでいるか、またツール導入における予算など。今回のアンケート結果でも、各社の試行錯誤を聞くことができました。
ぜひ、あなたのチームでツールを導入・活用する際の参考にしてください。
アンケート回答協力企業
今回の調査に協力いただいた11社は以下の通りです。