INTERVIEW
横浜市|特別インタビュー

横浜市初「公募プロジェクト」開始。横浜から、世界で戦えるスタートアップを――。

掲載日:2023/06/12更新日:2023/07/20

横浜発、世界で戦えるスタートアップの創出・海外スタートアップ誘致を目指し、同市初の「グローバル・スタートアップ担当」公募プロジェクトが始動した。同公募の概要、そして入庁者に期待することとは――。横浜市経済局 スタートアップ・イノベーション推進室室長の手塚清久さんに伺った。

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グローバル都市・横浜で「スタートアップ支援」を。

2019年1月、「イノベーション都市・横浜」を宣言し、オープンイノベーションやスタートアップ支援に力を注いできた横浜市。

2020年7月には、東京都によるスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市形成プロジェクト「東京コンソーシアム」の一員としてグローバル拠点都市にも選出され、さらなるスタートアップ支援強化を図る。

そして今回行われるのが、同市初となる「グローバル・スタートアップ担当」の公募だ。横浜市経済局 スタートアップ・イノベーション推進室室長の手塚清久さんはこう語る。

「スタートアップや起業家から選ばれる都市へのアップデートは、持続的な成長・発展を志向する横浜市において、重要な施策の一つです(*)。いかに多様な人や企業が交流し、市場を変化させていけるか。スタートアップ創出のエコシステムを構築していくことができるか。横浜市として新たな力を得ていくために今回の公募に踏み切ることにしました」

同ポジションに期待されること、そして横浜市でこそ得られる経験、やり甲斐とは。手塚さんにその詳細について伺った。

(*)横浜市では「明日をひらく都市」を、2040年までの目指す都市の姿に掲げ、その実現に向けた基本戦略を「子育てしたいまち 次世代を共に育むまちヨコハマ」とする。さらに5つのテーマ、2022年から4年間で重点的に推進する38の政策を定めている。そのなかでも特に子育て・モビリティなど重点分野の課題解決において、スタートアップ支援を重要な一つの鍵と位置づけている。

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2019年10月、横浜市・関内に設置された『YOXO BOX』。三菱重工や資生堂、TBSをはじめ、様々な企業・団体がパートナーに名を連ねる。横浜市では同拠点運営に加え、イノベーションスクール開催、アクセラレータープログラム、ベンチャーキャピタルや金融機関、大企業などへのピッチイベント等も実施し、スタートアップ支援の強化を図っている。

スタートアップ創出のための「エコシステム」を

はじめに伺えたのが、今回募集する「グローバル・スタートアップ担当」に期待する役割について。キーワードは「海外」だ。

横浜市ではこれまでにも、市内スタートアップの海外進出展開などに取り組んできましたが、今後はそれに加え、海外スタートアップの受け入れ・誘致を強化していく考えです。今回お迎えする方には、このような海外を交えたコミュニティ形成にご尽力いただきたいと思っています。国内外のVC、事業会社、アクセラレーターとネットワークを構築し、スタートアップ支援に繋げていくためには、行政職員では身につけることが難しい知見、スキル、人脈が求められると認識しており、ぜひ力をお貸しいただければと考えています。

いかに世界で戦えるようなスタートアップを生み出していけるか。迎えられるか。ここは横浜市として大きな挑戦と言える。これら独自の取り組みの背景には、ある種の危機感もあるという。

横浜市は377万人の人口を抱える日本有数の大都市ではありますが、多くの優秀な人材、投資が東京に流れていってしまう危機感もあります。いかに東京ではなく、横浜を選んでもらうか。人口、歴史、文化等を含め、ビジネスにおいて他にはない横浜独自のポテンシャルと魅力を、国内はもとより、世界にプロモーションしていくことも重要。より多くの方々に知っていただき、選んでいただける選択肢にしていければと考えています。

入庁者はいわばその一期生。「得られる経験も多い」と手塚さんは語る。

横浜市はまだまだスタートアップエコシステムの構築において発展途上の段階にあります。さらに、選ばれるためにも、横浜市ならではの方法を今まさに模索しているところです。これらをつくり上げた実績は、今後のキャリアにも大いに繋げていただけると思います。

横浜市は、これまでも異文化を積極的に受け入れ、発展してきた歴史があり、そしてグローバルに開かれた都市でもあります。この強みを存分に活かしていただけます。さらに行政だからこそできる大きな役割は、民間の皆さまが自律しやすく、動きやすい土台、つまり仕組みやルールをつくっていけるということ。私個人としての理想としては、行政が予想もしないようなイノベーションが、まさに「生態系」のなかから自然と沸き起こることでもあります。多くの世の中を変えるサービスやプロダクトが様々な方によって生み出されていく。そのための礎を築き、支えていく。多様な方々が入り交じり、様々なイノベーションが起こっていく環境を共につくっていく。これも横浜市で働く上で大きな醍醐味になるはずです。

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横浜市経済局 スタートアップ・イノベーション推進室室長の手塚清久さん。

求めるのはプロジェクト推進力。多様なステークホルダーと円滑に調整・交渉を

続いて伺えたのが、採用において重視するポイントについて。求める経験・能力とは。

横浜市のスタートアップ支援を牽引するミッションを担っていただくため、新規事業やイノベーション創出に関わった経験や知見は必要だと考えています。その上で、ポイントとなるのは、多様なステークホルダーと円滑に調整・交渉を行なえる能力だと捉えています。

今回のポジションは横浜市内をはじめ、国内外のスタートアップやVC、事業会社、アクセラレーターなど、様々な方と関わることになります。多くの方を一つの方向に導いていく上で、突き進むためのパワーは重要です。それと同時に、いかに多くの方から理解や協力を得て、共に推進していけるか。バランス感覚も大切な力。どのような場でその力を発揮されてきたか。これまでどういった方々と連携し、プロジェクトを進められてきたのか。ぜひお聞かせいただければと思います。

もう一つ、気になる部分が「民間企業との違い」について。入庁前に知っておくべき点についても補足をいただいた。

民間企業で働いてきた方は、これまでの常識と少なからずギャップを感じる部分はあるかと思います。例えば、公務員に求められるコンプライアンスは、民間以上に厳しいもの。市民、市議会への説明責任がありますし、業務遂行においてスピード感、自由度において違いを感じる場面もあるかもしれません。当然すぐには変えられないことや、提案が形にならないこともあるでしょう。ただ、攻めの姿勢で進めていただくことを期待していますし、私たち職員も最大限サポートをしていきます。よりイノベーションが生まれる組織風土へと変えていく、働く職員たちに刺激を与えていただく。そういった部分でも、ぜひ力を発揮いただければと思います。

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市民が「誇り」に思い続けられる横浜市に

そして最後に伺えたのが、手塚さんご自身の「横浜市役所での仕事に対する思い」について。

私自身、横浜で生まれ育ったこともあり、この街が大好きですし、誇りを持っています。だからこそ、子どもや孫、その先に生きる方々にも、同じような思いを持ってもらえるような街であってほしい。そのためにも持続的に発展を続けられる横浜にしていく一員として働いていければと考えています。

ただ、社会が物凄いスピードで移り変わる時代において、何もしなければ、取り残されてしまいます。ですので、現状を是とせず、いまより上を目指して挑戦し続けていく。私自身にとっても仕事は、いわば自己成長の場。人には得手不得手がありますが、仕事であるからこそ厳しいこと、不得手なことも含め、様々なことにチャレンジができるもの。それを通じ、得難い経験や仲間が得られ、自分自身の成長の実感につながると考えています。今回お迎えする方ともぜひ様々なことにチャレンジし、共に成長を志しながら「これからの横浜市」につなげていければと思います。

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