ジェトロ(日本貿易振興機構)にて、2023年度の経験者採用・公募がスタートした。総合職事務職、プロモーション、事業推進、地域連携など、全9職種にて募集を行う。今回は募集職種のなかでも関連のある「イノベーション部スタートアップ支援課」を経て、4月からデジタルマーケティング部に席を置き、「総括審議役(事業開発担当)」を担う島田英樹さんにお話を伺った。ジェトロでこそ得られる働きがい、その役割の特徴とは――。
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【募集職種一覧はこちら】
・総合職事務職(正職員)
・JFOODOプロモーション職管理職(正職員)
・JFOODOプロモーション職(正職員)
・海外ビジネスサポートセンター サプライチェーン課(任期付職員)
・イノベーション部スタートアップ課(任期付職員)
・イノベーション部エコシステム課(任期付職員)
・イノベーション部ビジネスデベロップメント課(任期付職員)
・イノベーション部プロモーション課(任期付職員)
・調査部アジア大洋州課 (任期付職員)
多岐にわたる職種で公募を行うジェトロ。そのなかで、まず伺えたのは島田さんが携わってきた「スタートアップ支援」について。2018年に課が立ち上がった比較的新しい事業であり、ジェトロが強化する領域の一つだという。
ジェトロでは、2018年からスタートアップ支援を本格化させたのですが、特に注力しているのが、海外展開のサポートです。「Day1から海外へ」を掲げ、スタートアップの創業初期から「海外を前提とした事業展開」に繋がる支援をしています。
例えば、海外のアクセラレーターやメンターなど適切な人脈をジェトロが持つ内外のネットワークから繋ぎ、「壁打ち」と呼ばれるような事業のブラッシュアップに役立てていただけます。さらに販路、パートナー開拓を支援したり、海外の投資家に日本のスタートアップをPRする。海外の展示会、テックイベントなどでジャパンパビリオンを設け、出展支援、商談支援、ピッチ支援なども行っており、多岐にわたる支援メニューをご活用いただけます。
他にも事業フェーズ、事業ドメイン、狙いたいエリア・マーケットなど目的に応じた独自のアクセラレーションプログラムもあり、実務はもちろん、座学的な学びが得られる場、ネットワーキングや海外渡航の機会も提供しています。また、今年度からは次世代の起業家・イノベーター育成を念頭に、起業を目指す方や大企業・大学等で事業開発を志向する方などを対象にした、マインドセットを含めた起業家育成プログラムを拡充しています。
どれだけ素晴らしい製品、サービス、技術があっても、単独で海外に出ていくハードルは非常に高いもの。そういった、ポテンシャルはあるがリソースや経験値が十分でないスタートアップを支援し、スケールに繋げていきます。「公的機関が実施するプログラムということで安心感がある」「対外PRに繋がる」「非常に役立つ」といったお声をいただくこともあり、まさに「伴走者」としてスタートアップとともに走ることを意識しています。
世界70都市以上、全国47都道府県に広がるネットワークを持つジェトロ。中堅・中小企業等の海外展開支援に加え、2018年からはスタートアップ支援にも注力。日系スタートアップのグローバル展開を支援する「ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ」を開設し、ブリーフィングやメンタリング、コワーキングスペースの提供などによる支援も行う。
コロナ禍を経て、オンライン、オフライン、さまざまな方法でスタートアップを支援できる体制になり、今まさに強化を進めている段階だ。
ジェトロは以前から中堅・中小企業に対する海外展開支援を行ってきていますが、スタートアップ支援は「これから」とも言える領域です。独自のカルチャー、スピード感などを深く理解し、伴走していく。そういった従来と異なるアプローチを実践できる内部人材の育成も必要です。そのためには民間をはじめ、さまざまなご経験を有する外部人材の力も重要と考えています。多様な価値観、バックグラウンドを持った人材を組織に迎え入れ、それこそ「多様」なスタートアップに対して、高い価値を、安定したレベルで柔軟に提供できる組織になるために、同じ志を持って一緒に走り抜ける仲間が必要不可欠です。
島田 英樹/総括審議役(事業開発担当)
1998年大学卒業後、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。北京大学留学、北京、 大連支店勤務を経て、2005年日本貿易振興機構(ジェトロ)に入構。海外調査部 中国北アジア課を経て、2009年からジェトロ北京事務所に駐在。2016年に帰国後、海外調査部総括課長代理、企画部などを経て、2020年からはイノベーション・知的財産部 スタートアップ支援課 課長を務め、2023年4月より現職。現在は組織のDX推進、デジタルツールやデータの分析・利活用を通じた事業開発などをミッションとする。また、デジタルマーケティング部において、越境ECを利用した海外輸出支援、それに紐づく販売データ等をベースにしたDXによる顧客サービスの可視化などにも取り組む。事業者に対するより効果的な支援・アドバイスに繋げていく仕組み化に挑戦中。
続いて伺えたのが、ジェトロでの「働きがい」について。メガバンク勤務の経験もある島田さんだが、「公的機関という独自のポジションで民間企業の事業を支援できる」と語る。
あくまでも私の考えですが、ジェトロはある意味、企業にとっての「水先案内人」のような存在とも言えます。多くの日本企業は「海外に出たい」と考えても、どこから手をつけていいか、誰に何を聞いたらよいか、わからないケースが多く見られます。また海外ビジネスは色々なところに思わぬ落とし穴があることが多いので、慣れていらっしゃる方でも問題に遭遇し対処に困ることは珍しくないと思います。そういった道に迷われている方に対して「こちらに道があります」と明かりを照らしていく。過去の先輩方が築き、現役の職員がアップデートし続ける国内外の強力なネットワークと公的機関という中立的立場を存分に活かした様々な手段・情報を用いて「海外ビジネスにおけるお困りごと全て」に応えていける。これがジェトロで働く醍醐味だと思います。
そういった支援により、多くの日本企業の売上が伸びていけば、日本経済や地方の活性化にもつながり、日本はもっと元気になっていくはず。さらに日本企業が海外で活躍することで、日本のカルチャー、価値観、技術、製品などが世界に広がっていくきっかけにもなります。日本の産業を海外市場や外国企業・外国政府機関等と結び付け、経済の発展に微力ながら貢献できる。そういった部分に関われる実感も、ジェトロでこそ得られる働きがいです。
働きがいの一方で、事前に知っておくべき厳しさやポイントとは。
ジェトロは活動のほとんどが公金によって手当されていることもあり、そこには「志」、そして「倫理観」が求められると私自身は考えています。また公金を使用する以上、第三者から見て納得いただけるプロセスで仕事や成果を残していくことも重要です。「自分たちの仕事は常に第三者から客観的評価を受ける立場である」という点は民間にはあまりない発想かもしれませんね。また例えば、社内決裁や事務手続き、お客様との業務などにおいて経済合理性以外にも公平性や透明性などにも重点が置かれる。当然、外部に対する説明責任もありますし、考え方、手続き、プロセス、ルール面などにおいても民間企業のそれとは異なる点も多い。民間から来た方にとっては堅苦しさ、細かさ、戸惑いを感じることがあるかもしれません。ただ、事前にそういった「違い」を知っておくこと、入構後にまずは「カルチャーフィット」の努力をすることが、入ってからスムーズに立ち上がるポイントになるはずです。
選考について「なぜジェトロなのか。ここで何がしたいのか。これまでのどういった経験を、どうジェトロで活かせるか。非常にオーソドックスですが、こういった部分が重視されると思います」と語ってくれた島田さん。「また、公的機関ならではの考え方、仕組みを理解し、柔軟にフィットできるか。こういった適性や資質も重要なポイントになると思います」
2023年4月から、 総括審議役(事業開発担当)に就任。新たな挑戦に踏み出した島田さんだが、そもそもジェトロを志望した理由とは。
「幅広い方の役に立つ仕事がしたい」と銀行勤務を経て、ジェトロで働くことを選びました。もちろん民間企業でも「多くの人の役に立つ仕事」はできますが、ビジネスとして成り立たせていく上で、取捨選択せざるを得ない場面がどうしても出てきてしまうと考えました。それはそれで一つの整理の仕方と思いますが、銀行業務を通じ、様々なお客様と接する中でもっと自身の引き出しを増やしたい、お客様との接点を広げたいといった想いが芽生えてきました。また銀行時代も海外駐在を経験し、海外でのビジネスチャンスの大きさ、そしてファイナンス以外のサポートにも相当なニーズがあると感じられた部分も大きかったです。そして何よりも海外と接点を持ち続けること、現地で得られる人との出会いにも大きな魅力を感じていました。海外をフィールドに、自身の経験値を増やし、お客様や人との接点を広げ、そして広く海外で挑戦する方々のために働いていく。そうすることで、これは弊機構の「ミッション」を引用しますが、「人、企業、国とともに、未踏のフィールドにビジネスの礎を創りあげる」一端を担うことができると考え、ジェトロを選択しました。こういった志は「世界とつながる」という「熱い想い(情熱)」が支えになっており、「志」や「想い」を持つ多くの仲間たちが集まっている、それもジェトロの魅力だと感じます。
そして最後に伺えたのが、島田さん自身の「仕事」に対する価値観について。
私自身、シンプルですが、「人の役に立つことができた」という瞬間に喜びがあり、楽しいと感じられます。また、そういった仕事こそ、私自身を成長させてくれるもの。自身が成長をすれば、さらにより多くの人の役に立つことにつながり、喜びや楽しみもより大きくなっていく。こうした「心地良い循環」を実現する手段が、私にとっての「仕事」なのかもしれません。今後の目標でいえば、まずはこの4月からアサインをされたジェトロ全体におけるDX推進を高度化させること、そして前回の海外駐在時と比べてスタートアップ、イノベーション、デジタルなどの新しい経験を積んでいるので、それらを活かして海外勤務にも再び挑戦したいです。
また仕事は何をするかも大事ですが誰とするかも大事だと思っています。お客様の新たな価値を創造するために一歩先の視点を持ち、まだ見ぬ「知」を開拓する。ジェトロにはそれが実現できる素敵な環境と仲間が揃っています。是非その仲間の一員に加わっていただき、どこかで一緒に仕事ができることを楽しみにしています。