INTERVIEW
サイバーエージェント │ インターネット広告事業本部 第一本部 局長

20代でサイバーエージェント営業局長に。どん底からの逆転。高い壁が私を変えた。

掲載日:2017/04/24更新日:2021/03/02

マーケットを創る仕事がしたい―これは道廣敬典(みちひろ たかのり)さん(31)がサイバーエージェントに入社した動機だ。しかし、彼を待ち受けていたのは大きな挫折。そして、どん底からの逆転、成長のストーリーがそこにはあった。


自分の市場価値は、どれくらいのものか。

もともと大手人材紹介会社に新卒で入社し、営業職として働いていた道廣さん。27歳に差し掛かろうという時、転職を考えるようになった。大きなきっかけはサイバーエージェント社員たちとの出会いだったという。

「衝撃を受けましたね。もともとサイバーエージェントはパートナー企業だったのですが、私よりも若い20代前半の社員たちが、“今は数十億円ぐらいになるビジネスを創っています”と目を輝かせて語っていたんです」

2014年当時、スマホをはじめインターネット広告ビジネスはまさに成長期。これから伸びる業界でビジネスを創る。出会う社員一人ひとりの熱量に圧倒された。

「ちょうど社会人6年目。このまま外の世界で通用しない人間になってしまうのではないかという危機感がありました。また、自分の素直な気持ちとして今の会社の成長に人生をかけて全力でコミットできるのか。葛藤がありました」

自分の市場価値がどのくらいのものなのか?新しいマーケットを創り出すようなスケールの大きな仕事ができないか?こうした思いが膨らみ、サイバーエージェントへの転職を決意した。

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初の転職。驕りと焦りが招いた失敗

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「大きな成果を出してやる」と、サイバーエージェントに威勢よく入社した道廣さん。前職、人材紹介会社で提案してきた商材である「人材」と「インターネット広告」は異なるものの、ソリューションという観点は共通する。価値を伝え、クライアントの課題が解決できれば、どのような商材・サービスでも売れるはず。そう考えていた。しかし、彼を待ち受けていたのは厳しい現実だった。

「まず入社して初日に“自分一人で大きな成果を上げたいです”と上司に宣言をしたんです。自分一人で成果を出し、名を挙げたくて。自分が優秀だと思っていたわけでありません。ただ、驕りがあったと思います。加えて27歳はサイバーエージェントでは中堅。正直、焦りもありましたね」

入社から1ヶ月、2ヶ月…いつまで経っても思うような“大きな成果”を出せず、苦悩する日々。動けば動くほど空回りをしていった。

クライアント企業からクレームこそないが、常にギリギリのところで仕事をまわす。自身の力だけでは、どうしようない状況に追い詰められていった。

「過去の成功体験を捨てられなかったんです。自分一人で全てやれると勘違いしていた。はじめにデカい口を叩いたので弱音もはけない。上司には都合のいい報告をあげていたんですよ。あたかも“順調に進んでいる”かのように」

「もうこれ以上、そんな顔をして仕事しないでくれ」

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八方塞がりな状況に変化が訪れたのは、入社4ヶ月が経った頃。知らず知らずのうちに追い詰められた表情で毎日働いていた道廣さん。上司からの辛辣なフィードバックが、自身を変えるきっかけになった。

「上司から“そんな顔で仕事するならもう目立とうとしないでほしい。何もしないほうがマシだ”と言われたんです。私は隠し通せていると思ったのですが、すべて上司にバレていたんです。何一つうまくいっていないことが」

じつは全てお見通しだったのだ。前職の繋がりもあり、サイバーエージェントに知人も多かった道廣さんはいい意味でも、悪い意味でも注目される存在。組織とは別の動き方をし、ひとりで追い詰められ、暗い顔になっていく。同僚に対して良い影響を及ぼすわけがない。

彼は自身の至らなさを思い知り、上司に思い切ってこう告げたという。

「今まで申し訳ありませんでした。何ひとつ、やりたいことができていません。イチから学ばせてください」

プライドを捨て、教えを請う。その場で配置換えをお願いし、担当クライアントも変更。エースプレイヤーである先輩に付き、イチから学ぶことになった。そしてこの再スタートが彼の飛躍的な成長につながっていった。

「新規事業立ち上げ責任者」というポジションへの挑戦。

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そこから2ヶ月間、がむしゃらに営業に取り組み、大きなコンペでも勝利。社内でも再び注目される存在になっていった。そして巡ってきた大きなチャンス。

「新規事業の立ち上げをやってみないか?」

入社して半年、営業としてようやく成果が出てきたタイミングで上司からの打診。正直迷いもあったという。なぜなら、営業として、「やりきった」と感じるほどの成果が出せていなかったことに加えて、社内での新人賞を狙っていたからだ。こうした迷いも上司による一言で吹き飛んだという。

「まわりはわかりやすく目に見える成果上げて目立っていくかもしれない。でも絶対に大丈夫。半年後にはお前が一番成長している。だから焦るな」

今でも脳裏に焼き付き、忘れられないこの言葉。もともと事業を創るために入社したサイバーエージェント。「新規事業に挑戦する」と決意は固まった。

このエピソードは、サイバーエージェントのカルチャーを象徴する。「成長」を軸にメンバーたちに挑戦の機会が与えられる。全社で「機会を与えろ!会議」という名の会議があるほどだ。

人を巻き込み続けていく。

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新たな新規事業というミッション。しかし、営業の経験しかなかった道廣さん。当然、何ひとつわからない状態からのスタート。ミッションは当時成長著しいアドテク領域における事業立ち上げ。他社でいえば未経験者が任されるほど甘いものではない。どのようにしてこのミッションに挑んだのだろう。

「とにかく考え続ける。あとは人を巻き込み続けること。ここに尽きると思います」

そこには一人で抱え込み、自分の力だけで成果を残そうとする道廣さんの姿はなかった。実践したのは、エンジニア、営業局長、事業統括している役員、多くの人たちに対するいわゆる「壁打ち」。

「売れるプロダクト」をつくり、市場に仕掛けていく。そのために必要な情報を集め、練った事業計画をぶつけ、フィードバックをもらい続ける。わからないことは全て潰していく。

このようにして立ち上がった事業は、紆余曲折ありながらも、次第に軌道に乗っていった。

「個人でやれることってたかが知れているんですよね。特に事業をつくるとき、自分だけの力なんてほぼ皆無に等しい。私じゃなくて、プロダクト、そして実際につくっているメンバー、営業していくメンバーたちが主人公です。事業や組織の未来を描き、彼らが成果の出る環境、仕事しやすい環境を整備していく。これが私の役割でした」

 

「お前がいてくれてよかった」と言われるために。

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新規事業立ち上げた当時について、道廣さんはこうふり返る。

「正直、つらいことばかりでしたよ(笑)」

ただ、彼の表情はどこか清々しい。入社から約1年半、濃密な時期を過ごしたことが伺えた。誰よりも真摯に事業の成長と向き合い、貪欲に吸収し、自身の可能性を広げてきた。

「私は目に見えるようなわかりやすい成果はあげていないんですよ」

彼は控えめに言う。しかし、その活躍によって新規事業・組織は立ち上がり、現在も市場に大きなインパクトを与えている。さらに同部門から多くの「人」が育っているそうだ。これは何よりも大きな彼の功績だ。

「私は人生を通じて、1人でも多くの人に“お前がいてくれてよかった”と言われる人間になりたいんです。一緒に働く仲間にも“一緒に仕事して、生きてきてよかった”と言ってもらいたい。“ありがとう”をたくさんの人たちにもらいたい。そう考えると私1人では無理ですし、チームでやっていくことは非常に重要になります。会社や組織も大きくしていきたいと使命感を持っています」

そして、新たに打診されたのが「インターネット広告事業における営業局長への就任」だった。

サイバーエージェントでいう「局長」は、一般企業でいう部長クラス。入社後まもなく大失敗をした思い出の部署。同部署における営業経験は過去に半年だけ。異例の大抜擢だった。そして現在、道廣さんはチャレンジの最中にいる。

インタビューの終盤、仕事観についてこう語ってくれた。

「私の中で仕事は人生を充実させるために必要な存在なのだと思います。すごく重要な手段であり、絶対なくてはならないもの。仕事がないと人生は楽しめない。楽しまないという選択肢はあり得ない。そういう意味だと人生の一部といっていいかもしれません」

仕事が楽しくなければ人生は楽しくない。「でもやっぱりしんどいことも多いですけど…やるしかない(笑)」照れを隠すようにこう締めくくってくれた道廣さん。彼のまなざしは、さらなる高い壁の向こう、新しい挑戦を見据えていた。
 

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