INTERVIEW
財務省:中途入省者 特別インタビュー

民間から「財務省」へ。国の信用を守り、希望ある社会を――日本における“財務”の中枢を担う志

掲載日:2023/11/02更新日:2023/12/11

財務省が民間出身者をはじめとした、新たな職員の公募へ。今回の採用にあたり、大手銀行から同省でのキャリアを選んだ中原一弥さん(36)を取材した。現在、国際局為替市場課 資金管理室 課長補佐として活躍する彼は、なぜ「財務省」というフィールドを選択したのか。そこには国の制度や仕組みづくりに関わり、より広く社会に貢献したいという想いがあった。

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より広く社会に貢献していくために

まずは前職の仕事内容と、転職を考えたきっかけについて教えてください。

前職は銀行にて、法人への融資や行内業務の効率化などに携わっていました。6年間在籍し、取引企業の成長、銀行内の業務改革に貢献していくやりがいがあり、充実した日々を過ごすことができました。

同時に、私個人が、一人の銀行員として担当できる企業は多くても数十社。銀行内における業務改革も、社会全体から見るとインパクトは限定的です。例えば、国の制度、仕組みづくりから携わっていく。その一端を担うことで、より多くの企業の経営、人々の豊かな生活に貢献できるのではないかと考えるようになりました。

そうした想いを抱えるなか、偶然見つけたのが「国家公務員の中途採用」の告知でした。それまで考えたことのない選択肢ですし、非常に悩みました。ただ、チャレンジせずに後悔はしたくない。財務省であれば、培った財務・金融分野の知見を活かし、社会全体に貢献する仕事ができるかもしれない。そうした想いから、財務省でのキャリアを志望しました。

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国際局為替市場課 資金管理室 課長補佐 中原一弥さん(36)
選考時に印象に残っていることについて、「多くの職員の方とお話する機会があったのですが、自分の仕事を熱く語る姿が印象に残っています。」と語ってくれた中原さん。「面接の最中に今携わっている仕事やこれまでの経験を、とても熱心にお話しいただいたこともあって。財務省での仕事が本当に好きなんだろうな、ということが伝わってきました。また、面接では意見や考えが問われる質問が多かったことを覚えています。当然、当時は知識の量などは全く足りていませんでしたが、政策に実際携わっている方々との議論させていただけたことも楽しく、志望意欲も高まりました。」

立案に携わった政策が、社会の中で活用されるやりがい

財務省での公務におけるやりがいについて教えてください。

自ら立案に携わった政策が、社会の中で活用され、国民の方々や企業に貢献できている。そう感じることができた時には、大きなやりがいを感じます。例えば、2020年から2021年に政府系金融機関を所管する部署で課長補佐をしていた際の経験が、非常に印象に残っています。当時はコロナ禍によって飲食業、宿泊業をはじめ、多くの企業が苦境に立たされており、資金繰り支援や財務基盤を強化できるかが喫緊の課題となっていました。そこで推し進めたのが、資本性劣後ローン(*)を活用しやすい制度への改定でした。

(*)負債ではなく、自己資本としてみなされる借り入れのこと。財務内容が改善され、他の金融機関からの融資も受けやすい特徴がある。

やや専門的になってしまいますが、資本性劣後ローンは一般的な融資とは異なり、負債ではなく資本としてみなされます。そのため、企業は財務基盤の悪化を防ぎながら、資金を調達することができます。ただ、その特性上、比較的高い金利での融資が前提となり、企業は手を出しづらい状況がありました。そこで、利子補給を通じた資本性劣後ローンの金利負担の軽減を行うなど、低利率で資本性劣後ローンを提供できる制度へ改定しました。

結果として、報道でも取り上げていただき、多くの企業に活用していただくことができました。所管していた政府系金融機関の方からも「融資をしたお客様からとても感謝された」といった声もあり、非常にうれしかったことを覚えています。財務省内だけでなく、官邸や他省庁など、非常に多くの関係者との調整が必要でしたし、困難な日々でしたが、報われた瞬間でもありました。自ら改定に携わった制度が活用され、実績が積み上がり、より良い社会基盤をつくる一助となっていく。財務省の業務を通じて、その実感を得ることができたと感じています。

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現在、財務省の国際局為替市場課 資金管理室にて課長補佐を務める中原さん。「2023年9月末現在、外国為替資金特別会計等では、為替介入の原資として、約1.2兆ドルの外貨準備資産を保有しています。その資産をどのように運用していくか、方針策定や、運用管理などに携わっております。当然、チームで連携して業務を行いますが、これほど資産を扱うことは財務省ならでは。国家公務員として働く上で、こうした国の未来を左右するような重要ミッションに関われることは、大きな責任とともにやりがいを感じています。そして、若手から責任のある立場で仕事を任せてもらえる。ここは入省後の良い意味でのギャップかもしれません。中途で入った職員もフラットな立場で仕事ができる風土も特徴だと思います。」

良い方向に社会を動かしていく挑戦を

民間出身ということで伺いたいのですが、民間企業で働く方の中でも、どういった方が向いていると思いますか。個人的なご意見として伺えないでしょうか。

こちらは「総合職」募集であることを考慮しますが、さまざまな事に興味・関心を持ち、楽しめる方に向いていると思います。基本的には二年に一度は異動があり、さまざまな仕事に挑戦していくという特徴も。財務省でいえば、予算や税制以外にも、税関や政府系金融機関を所掌している部署があったり、国際機関や地方自治体に出向して経験を積むケースもあったり、経験の幅を広げていくことができます。

一方で、一つの政策を実現するためには、利害関係者が多岐にわたり、非常に多くの調整が必要とされます。さらに、国家公務員はある意味で国民の皆様の生活をお預かりしていく仕事でもあり、その責務を果たすために、多くの仕事に対処しなければならない場面も少なくありません。それでも「自分の手で社会をより良くしたい」といった思いを持ち、壁を乗り越えていく。そういった資質が求められると考えています。

最後に、今後ご自身が仕事で実現していきたいことについて伺わせてください。

任せられたポジションで最善を尽くし、より良い方向に社会を動かしていく。そういった挑戦をし続けられればと考えています。その上で、現在の部署では国内外の中央銀行や金融機関と接することも多く、よりグローバルな領域でも機会があれば新たな役割に挑戦していければと思います。

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