INTERVIEW
ライフイズテック

格差なく、あらゆる子どもたちが、テクノロジー教育を受けられる社会に。ライフイズテックの挑戦

掲載日:2023/12/01更新日:2024/01/22
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「どこの地域の子どもたちも、格差なく、テクノロジー教育を受けられるようにしたい」こう語ってくれたのが、ライフイズテック取締役の讃井康智さんだ。2010年に「プログラミング教室」で創業し、14年。今では全国600自治体、中学・高校4000校以上が同社の教材・教育プログラムを導入するまでに成長をした。なぜ彼らのサービスは信頼され、公教育の場でも求められているのか。そこに至る軌跡、彼らが見据える未来とは――。

公教育の現場で求められる「プログラミング教育」

中高のプログラミング教材(情報1)においてライフイズテックの教材が導入数でトップと拝見しました。なぜ、それだけ多くの学校で使われているのでしょうか?

まず14年やってきた積み重ねによる部分が大きいと思います。ライフイズテックは、もともと、toCのプログラミング教室から始まっているのですが、オフラインの対面サービスだけでも累計5.5万人の子どもたちが参加してくれており(中高生向けのオフラインのIT・プログラミング教育では世界2位の規模)、オンライン教材「ライフイズテックレッスン」の利用者まで含めると120万人を超えています。

さらにこれまで2000名以上の子どもたちが、身近な課題解決をテーマにアプリやWebサイトをつくり、実際にApp StoreやGoogle Playにリリースしてきました。最近ではライフイズテックレッスンを使って、全国の学校の授業でもオリジナルのWebサイト・Webアプリの制作がたくさん出来てきています。

つまり、教育の中でも「IT×課題解決」に特化してバーティカルにスタートし、早くからシェアを獲得、専門的なノウハウが蓄積されている。ここが大きなアドバンテージになっていると考えています。

また、外部環境的に言えば、2019年から文科省によって推進されたGIGAスクール構想により、学校の現場では子どもたちに1人1台のPC配備が進んだことも追い風に。PCやiPadは子どもたちに配られたものの、プログラミングを教えられる先生は少ない。特に中学、高校となると求められるレベルも高く、ライフイズテックが改めて注目をいただくきっかけになりました。

もう一つ、追い風となっているのが、全国入学共通テスト(旧センター試験)です。2025年1月からは高校情報科が受験科目に追加される予定。今後、ますますライフイズテックのサービスは求められていくはずです。

ライフイズテック01

讃井康智
東京大学教育学部卒業後、株式会社リンクアンドモチベーションに勤務。その後、独立し、東京大学大学院 教育学研究科に進学し、故三宅なほみ先生に師事。各地の教育委員会・小学校・保育園などで創造的で協調的な21世紀型の学びを実現するサポートを行う。 ライフイズテックには立ち上げ時から参画。自治体向け事業の立ち上げ、最高教育戦略責任者(CESO)等を経て、現在、取締役 最高AI教育責任者。公教育部門、採用部門を統括。 NewsPicksプロピッカー(教育領域)。座右の銘は「愛で世界は変えられる」。 社内バンドLife is Rock ! ではドラムを担当。 

学習者に、最高の学び心地を

公教育にサービスを導入していくのは容易なことではないと思います。どういった点が信頼につながっているのでしょうか。

ライフイズテックでは、LX(ラーニングエクスペリエンス)と呼んでいるのですが「最高の学習体験」の提供にこだわってきました。それが結果的に、一人ひとりの学習者からの信頼につながっていったと考えています。

とくに中学・高校においては、一人一人の理解度に合わせて個別最適なプログラミング学習を実現するEdTech教材「ライフイズテックレッスン」が支持されています。

特長としては、学習の各ステップにおいて「もっと学びたい」と思ってもらうための仕掛けを細かく設計をしている。たとえば、学び始めの段階は、「楽しさ」「分かりやすさ」を大事にしています。早い段階での成功体験、「作れた!楽しい!動いた!」といった驚きや成功体験を子どもたちに感じてもらう。そして、次第に学んでいく中で、自分のオリジナル作品を作りたいとなった時、 オリジナル作品を短い期間の中で作っていける。そういったカリキュラム設計と、しっかりとした伴走サポートを整備しています。

「中高生が夢中になって学べないのは、その子のせいではなく、大人側の学習体験設計に問題があったのだと思います」と讃井さん。「従来のEdTech教材は、これまでの詰込み型の受験教育を単にデジタル化しただけであることも多かったとも言える。でも、それでは何も変わらない。途中で離脱してしまう子どもが出てきてしまいます。この状況を変えたいと考えました」

子どもたちの「夢」を引き出す

14年間の積み重ねがあり、今につながっていることが伺えました。原動力となったものとは?

これからの日本の未来を考えたとき、強烈な危機感がある。ここに尽きると思います。テクノロジーで身近な課題を解決していける人になれるようなイノベーション教育を当たり前にみんなが受けられる状態をつくっていかなければ、この国は教育の面、人材育成の面で、 世界のトップに返り咲くことは難しいと思っています。

また、現在自治体や企業でも「DX人材不足」と言われ、「リスキリング」がホットトピックになっていますが、そもそもそれより下の世代で、DX人材になるための教育を受けてこれなかった結果ですよね。

大学生ぐらいの年代までに、誰もがデジタルで課題解決ができる人材になれる素養を身につけていく。そんな社会になっていかなければ、今後もDX人材不足は解消しない。つまり、日本の教育の在り方を変えていかなければならないわけです。

当然、一朝一夕にできるものではなくて、粘り強く地道にコツコツと取り組んでいかなければならないこと。諦めずに続けていくなかで、サービスを利用いただいた教育現場の方々から「こんなに変わった」という反響も多く寄せられてきました。たとえば、

「子どもたちの変化がすごい。生徒がみんな、休み時間もオリジナルWebサイトを夢中になってつくっています」

「『3年間でこの授業がいちばん楽しかった』と言ってくれる生徒もいて、教師冥利につきる言葉に感動しました」

「情報処理系の学校や専門学校に進んだ生徒達もいたので、新たな進路選択のきっかけにはなったかな?とは思います」

「この教材は最初の導入がやさしく、プログラミングが持つ「難しそう」というイメージの壁を低くしてくれていると思います。元々プログラミングについては不安が大きかったのですが、50歳の私でもできるんだと自信につながりました。」

引用元 https://lifeistech-lesson.jp/voice/

こうした嬉しいお声が、毎日のように全国の学校・自治体の関係者から届きます。自分の電話1本、メール1通、そのすべての仕事が、自分の関わる地域の子どもたち、あるいは大人など、あらゆる学習者の可能性を広げていく。もっといえば、この国の社会を確実に前進させていく。より良い方向に導いていく。これは、ライフイズテックで働く社員が感じている「誇り」であり「やりがい」だと思います。

ライフイズテック先生

どこの地域の子どもたちも、格差なく、テクノロジー教育を

今後の目標について教えてください。

直近で言えば、2025年までに毎年120万人のイノベーション人材*を育てることを掲げています。さらにその先に見据えているのは、イノベーション人材*になるための教育を全国どこでも、誰もが格差なく受けられるようにすることです。

*ライフイズテックにおけるイノベーション人材とは、自ら課題を設定しテクノロジーで解決していくことのできる人材を指す。

まず学校領域に関して言えば、ようやく1→10くらいのフェーズ。現状全国の中学校、高校の4校に1校で活用され現状120万人の利用者がいますが、習得したプログラミングスキルを使って身近な課題を解決するような「イノベーション人材としての最初の成功体験」に至っている子たちはまだ限られています。1人でも多くの成功体験を増やしていきたいと考えています。

また、情報の入試科目への追加をきっかけに、「塾」のマーケットでもニーズが急拡大しており、ここにも迅速にサービス提供をしていく必要があります。さらに企業や自治体からも「社内の新入社員やマネジャー候補全員にDX研修をやってほしい」「うちの地域でもデジタル人材を育ててほしい」といった依頼が増えています。

まだまだサービスを届けきれていない地域や領域が多い状況。どこの地域の子どもたちも、格差なく、イノベーション教育を受けられる状態にするためには、1つでも多くの地域・学校・企業・塾などに届けていかなければなりません。ライフイズテックはまだまだやりたいことの5%もできていないアーリーステージ。これから入社いただく方と一緒に推し進めていければと考えています。

ライフイズテック02

自分の想いを200%乗せられる仕事で、社会を変える

最後に、讃井さんご自身の教育に対する思いを教えてください。

私は昔から、教育に対して「危機感」と「ワクワク」の2つの感情を抱いていました。

まず、危機感については、小学生の時からありました。身近な知り合いがいじめにあったり、小学校までは授業中に手がたくさん上がるのに中学・高校になるにつれて上がらなくなり「手をあげるなんて寒い」といった雰囲気が出てくる。そこへの違和感が私の原点です。中学生の時にはもう、「今の学校教育は一人ひとりの子どもの可能性を引き出すという観点でベストとは言えない」と感じていました。

一方で、大学時代に教育について学ぶこと自体は、非常に楽しかったんです。教育のボランティア、ワークショップなどに参加したとき、教育委員会の方とお話ししたとき、そのほか教育行政、法制度についての勉強も、どれもがワクワクした。教育の仕事であれば、自分自身がものすごく生き生きと働ける。一生続けても後悔することはない。必ず教育業界で力を発揮できる人間になりたいと思ったんです。

なので、私はライフイズテックで働くようになってから、良い意味で「やりがい」を考えなくなっていて。どんな小さな仕事も子どもたちの未来の可能性を拡げることにつながっているから「この仕事は意味があるんだろうか?」といったモヤモヤを一切抱いたことがない。自分自身の想いを200%乗せられる仕事ができています。

これは私個人の考えですが、どんな仕事をするにしても、自分の人生の貴重な時間を使うのだから、自分自身の想いを重ねながら、世界を変えていくことができる、あるいは他者を幸せにできる仕事をした方がいい。

ともすればファーストキャリアの時は「そんな仕事はあるの?」と思う人もいるかもしれない。でも、それぞれの個人が想いを乗せられる仕事は、必ずあります。まさに、私たちが挑んでいる教育業界の仕事もそうですし、それ以外の業界で社会的インパクトを出しているスタートアップもそう。若い人たちには、必ず人生のどこかで、社会を良くしていけるような仕事ができると信じてほしいですし、飛び込んできてほしい。その中で「教育から社会を変えていく」という想いに共感いただけたなら、ぜひライフイズテックの門戸を叩いてほしいです。

日本の教育は、今150年に一度の大きな変化の節目にあります。文科省も経済産業省などの省庁も、教育委員会や学校も、大きく変わりつつあります。この史上稀に見る変化のタイミングで、ぜひ共に教育の未来を創る挑戦ができれば嬉しいです。

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