INTERVIEW
SBプレイヤーズグループ|株式会社たねまき

持続可能な農業を実現する。SBプレイヤーズグループの新会社で挑む、農業のイノベーション

日本の農業にイノベーションを起こしたい、こう語るのが「たねまき/たねまき常総」で事業をリードする前田 亮斗さんだ。今回、ソフトバンクの子会社であるSBプレイヤーズグループ内で、農業の産業構造・サプライチェーン全体の仕組みのアップデートに取り組む「たねまき」にて、新たなメンバーを募集する。魅力ある「新しい農業」をつくり、地域活性化の試金石に――。同社の事業概要、そして地域創生にかける想いに迫る。

「株式会社たねまき」 「株式会社たねまき常総」とは
「ITで地域社会に活力を」の経営理念のもと、様々な事業を展開してきたソフトバンク子会社であるSBプレイヤーズ(※1)。その中で、テクノロジーを活用した最先端の農業を実現し、持続可能な産業として地域に根付かせることを目的に設立された新会社が「株式会社たねまき」だ。そして、本事業の第一号拠点としてたねまきが一部出資をし、茨城県常総市で農業事業を展開する「株式会社たねまき常総」を設立。たねまき常総は現在、ミニトマトの生産・販売などを行っている。常総市が掲げる「アグリサイエンスバレー構想」(※2)に参画し、自治体とともに、新たな農業の実現に向けた取り組みを進めている。2023年12月現在、前田さんは株式会社たねまき 取締役副社長 兼 COOを務める。

(※1)事業子会社を通して、公営競技投票券のインターネット販売(オッズ・パーク)、ふるさと納税の一括代行(さとふる)などのサービスを展開している。地方自治体や行政、地域企業との連携によって革新的なサービスを創出し、地域活性化を目指している。
(※2) 茨城県常総市が掲げるまちづくりの構想。地権者が所有する農地を集約し大区画化。圏央道(首都圏中央連絡自動車道)常総インターチェンジ周辺の45へクタールの土地で、生産・加工・流通・販売まで一気通貫で行う事業施設を整備している。 農業6次産業化による地域活性化を目指している。

新しい農業の仕組みを構築。目指す、今後10年で全国10拠点

たねまきの事業概要から伺ってもよろしいでしょうか?

日本の農業の課題解決に挑み、新しい農業の仕組みづくりにチャレンジをしている会社です。事例でいくと、たねまきの関連会社であるたねまき常総が、茨城県常総市内に日本最大級のミニトマト生産拠点をつくり、2023年5月下旬頃から本格的に出荷を開始しました。すでに関東圏を中心に大手スーパーマーケット等と取引をしており、常総農場で年間約1,000トンの出荷を見込んでいます。流通構造を最適化することで、一般的な農作物に比べて、店頭に並ぶまでの時間を最大1週間短縮し、高鮮度な製品を届けられる。よりよい農業の実現に向け進んでいる実感があります。

そして、今後どこで次の農場を展開するか。どんなハウスをつくるか。何をつくり、どこで売るか。自分たちですべて企画していく。スーパーやドラッグストアと原則直接契約し、販売もする。もっと言えば、効率的な農場運営のためのロボット・ソフトウェアまで開発しています。

なぜ、そういったモデルで農業を?

これまでの農業界は、断片的にしか近代化が進んできませんでした。今でも、作り手と売り手が明確に分かれているように、サプライチェーンが分断されている。そのために無理・無駄が多く発生していました。こうしている間にも、農業人口は年々減少の一途をたどっている。僕らはこの状況を変えたいと考えました。

当然、大手メーカーの生産量、JAや商社、市場の扱う販売量には敵いません。ロボットやソフトウェアを開発している企業も他にあります。ただ、すべてを手掛けている会社はほとんどない。一気通貫で手掛けることで、より全体最適化された新しい農業の仕組みを構築していく。ここが僕らの使命だと思っています。

SBプレイヤーズ(敷地)

2019年に2,000平米の実証ハウスを設置。当初は、色々な品種のミニトマトを育て、適切に育つか、求める品質のものをつくることができるのか検証をするところから始まった。その後ハウスの増設を行い、2023年より敷地面積約7ヘクタールを持つ日本最大級のミニトマト生産拠点として稼働中。「正直に言うと、当初はつくることができたとしても、本当に適正な価格で販売できるのかは未知数でした。ただ、今では想像以上の発注をいただいています。生産量を上回る需要に応えるため、次のフェーズとして、各地のパートナー農家さんからミニトマトを仕入れ販売する取り組みの検討も始めています。日本の人口減少、物流における2024年問題を考えると、単なる仕入れ・販売ではなくより効率化していく必要がある。 たとえば、我々が大規模な中間の物流拠点を設け、そこでパック詰めやカット工程などの中間プロセスを担うなど、付加価値をつけ販売することも検討しています」と前田さん。

中長期的なビジョンを教えてください。

たねまき常総のモデルを他エリアにも展開させていく。目標は、今後10年で全国10拠点。とはいえ、適切な土地を見つけ新拠点を稼働させるのは、時間もお金もかかる。スピード感を持って実現させていくため、農業用ハウスの設計施工、栽培、テクノロジーなど様々な領域で新たな挑戦を続けていきます。

たとえば、よりコンパクトな農場に合わせコストダウンしたハウスの設計も実験的に進めています。僕らの常総の農場がショッピングモールだとすると、もう少し小規模、コンビニやドラッグストアぐらいの規模でも同じようにできるようなパッケージをつくりたい。それが実現できれば、コンビニがフランチャイズ展開で拡大していったように、展開スピードを早められる可能性もある。実証実験を繰り返し、知見を積んでいる段階です。

また、将来的にはグローバル進出も視野に入れています。今後は我々がつくった、あるいは仕入れたものの輸出も検討していきたい。活躍の場は、日本全国はもちろん、世界中に広がっていくと考えています。

SBプレイヤーズ(トマト)

「たねまき常総については、ハウスはオランダから、水やりをする装置はイスラエルから、土の代わりになる“培地”は南インドから輸入しており、グローバルなビジネスです。農業の業界は、情報の非対称性が存在します。そのため、栽培に必要な資材は、可能な限り自分たちで直接輸入するなど、自分たちで情報を取りに行き、コストダウンも含め最適に運営をしていける方法を模索しているところです。この分野は、輸入会社出身のメンバーにかなり助けられています」と前田さん。

ソフトバンクグループの力を活かし、ダイナミックな挑戦を

「たねまき」で働く魅力とは?

1つは、農業界は課題も多く、言い換えれば非連続な挑戦ができる非常に面白い領域だという点。もう1つは、そこに対してソフトバンクグループの高い認知度を活用し、ダイナミックな挑戦ができる点だと思います。

実際、入社してくれているメンバーを見ても、社会課題に対して大きくチャレンジをしていきたいという方が多いですね。

「たねまき」で言えば、外資系EC企業出身の方は、「ふと振り返ったとき、娘たちの世代に対して役に立つ仕事がしたい」と入社を決めてくれました。大手出版販売会社の子会社代表をしていた方は、農業を学びたいと農業の学校に通っていた際に、「自分でやるのは難しい、大規模に設備投資してやった方が持続可能性が高いのではないか」と考え、興味をもってくれたようです。「たねまき常総」についても、大学時代にテクノロジーを活用した農業の勉強をしていたものの新卒ではそういった働き口が少なく、一旦別の会社に勤めていて、うちの求人を見つけ転職してきた方もいます。

既に僕らが取り組んでいる領域において力を発揮するもよし。まだまだ改善余地がたくさんある業界なので、新しい切り口を見つけ企画していくもよし。様々な経験・スキルを活かしやすい環境だと思います。

AMBI_SB_Players_003

どこで生まれ育ったとしてもチャンスはある。それを証明する

前田さんご自身は、2018年にSBプレイヤーズに入社されたと伺いました。入社のきっかけ、そして事業立ち上げまでにはどういったストーリーがあったのでしょうか?

まず、前職時代はデロイトトーマツグループでコンサルタントとして働いていました。大企業の新規事業の構築支援やスタートアップ支援などに携わるなかで、「いつか自分でも事業を立ち上げたい」という思いがありました。かつ、佐賀県出身ということもあり、昔から地域活性化のために何かできないかと考えていました。

とはいえ、日本の地域で新しい事業を立ち上げる際、成功確率をいかに高められるか冷静に考えたとき、まずは大きな企業の高い認知度や資金力を活用し、大規模に事業をつくるほうが成功しやすく、ダイナミックなことをできるのではないか、という仮説が自分の中にありました。そして、その環境が整っているSBプレイヤーズへ入社を決めました。

新規事業をつくるにあたっては、経営陣と何度も会議を重ね、アイデアを壁打ちさせてもらいながら磨いていきました。数多くのアイデア出しをさせてもらったので、千本ノックとも呼ばれるほどでした。そして、同時に「さとふる」の業務も担当しており、そのなかで農家、自治体との繋がりがありました。耕作放棄地の問題など、農業にまつわる問題に対して何かいいアイデアはないか、というご相談をいただいたこともきっかけの1つとなり、農業領域で事業をしてみよう、と。2019年4月にたねまき/たねまき常総の2社を立ち上げた流れになります。

前田さんご自身として実現していきたいこととは?

先ほどもお伝えした通り、もともと僕自身の興味・関心は、地域創生、地域活性化といった社会課題にあります。ですので、各地域で事業をつくり続け、それを通して人に非連続な成長機会を提供していく。これが、僕が人生を通してやりたいことです。

そうしたなかで、まずは常総市から新しい農業を実現していきたい。たねまき常総で積んだ知見をもとに、10年で全国10拠点の展開を目指す。そうすれば、各地域に雇用がうまれ、入社を機にその地域に移住する人が増えたりするかもしれない。事業を通して地域活性化に貢献できるとしたら、それは素晴らしいことですよね。

一般的に考えたら、ITで起業するなら地方より東京のほうがいい。もっと言えばシリコンバレーのほうがいい。ただ、それでも僕は各地域で事業を起こしていくことにチャレンジしたい。

どこで生まれ育ったとしてもチャンスはある。どこからでも火を起こせる。それを身をもって示していきたい。そういった気持ちで、これからも取り組んでいくのかなと思っています。

この記事を読んだ人におすすめの記事
最近ご覧になった求人に基づいたおすすめの求人
若手ハイキャリアのスカウト転職