INTERVIEW
防衛省外局 防衛装備庁|外部人材 公募プロジェクト

防衛装備庁が「防衛イノベーション技術研究所(仮称)」創設へ。外部人材と挑むブレークスルー研究(仮称)

掲載日:2024/03/07更新日:2024/04/30

令和6年度、防衛省の外局である防衛装備庁が「防衛イノベーション技術研究所(仮称)」創設へ。従来の常識に囚われない発想を取り入れるべく、同研究所の第一期・創設メンバーを公募する。目指すのは、将来の技術的優越を確保できる機能・技術の創出。今回の公募に至った背景、求める人物像等について、防衛装備庁技術戦略部技術連携推進官である手島哲郎さんにお話を伺った。

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▼防衛装備庁について
防衛装備品に関する業務全般を一元的に担うことを目的に、研究開発部門や調達部門などを統合して平成27(2015)年10月に設置された、防衛省の外局。日本の安全保障上、極めて重要となる防衛装備品の適切な研究開発や生産、維持整備(補給及び管理の適正かつ効率的遂行)等、並びに国際協力の推進を図る。

特に近年では「厳しさを増す安全保障環境を踏まえた技術的優越の確保」「諸外国との防衛装備・技術協力の推進を含む産業基盤の強靭化」などが重要課題に。さらに防衛装備品の一層効率的な取得、コスト管理の徹底を図る上で、構想から研究・開発、量産・配備、運用・維持、廃棄までのライフサイクル全体を通じた、一元的かつ一貫したプロジェクト管理等、多岐にわたる課題に効果的・効率的に取り組んでいる。
(参考)https://www.mod.go.jp/j/saiyou/ippan_senmon/shokai/atla.html

▼防衛装備品について
「自衛隊が任務遂行にあたり用いる戦闘機や艦船、潜水艦、輸送機、トラック、通信・情報システム、燃料、食糧、天幕や制服といった繊維類など、中央調達品目として定められているものを指す。防衛装備庁は随意契約や一般競争契約、指名競争契約のいずれかの方式で企業と契約し、装備品や役務を一元調達する。これを「中央調達」という。調達先は日本企業だけでなく、安全保障環境の変化に伴い技術の高度化が求められていることから海外からの調達も多くなっている。令和3年度の防衛装備品の中央調達総額は防衛装備庁の公表資料によると契約ベースで約1兆7900億円(契約件数5300件)と試算される。また、中央調達以外にも各自衛隊の部隊等が独自で行う「地方調達」と呼ばれる調達もある。」
(引用)https://www.nikkei.com/compass/theme/64043

令和6年度「防衛イノベーション技術研究所(仮称)」創設へ

まずは「防衛イノベーション技術研究所(仮称)」の概要、公募に至った背景から伺わせてください。

まず「防衛イノベーション技術研究所(仮称)」ですが、これまでの延長ではない社会を変える新たな機能、技術を創る「ブレークスルー研究(仮称)」の実施を中心とした研究所です。失敗を許容しつつ、挑戦的な目標にリスクをとって果敢に挑戦し、「技術の壁」を越えていくことを目指します。そういった研究所ですので、従来の常識に囚われない柔軟な発想ができる外部の方に参加いただきたいと考え、今回の公募に至りました。様々な科学技術に関する豊富な知見・経験のシナジーにより、イノベーションの創出を実現していきたいという考えです。

特に近年では、科学技術の急速な進展が社会に大きな影響を及ぼすようになっています。あくまで一例ですが、IoT、AI、ソーシャルメディア等、情報関連技術、情報インフラの急速な進展は、偽情報の拡散など、情報の利活用の考え方、ひいては人々の生活全体をも根本的に変え得るものに。こういった科学技術の進展による社会変化は、ロシアによるウクライナ侵略への対応においても大きな課題となっているのは周知の事実です。

そういった新たな時代の脅威が高まるなか、日本独自の持続的な研究開発、新たな科学技術を確立し続けるための体制構築は非常に重要な課題。米国における国防高等研究計画局(ダーパ/DARPA)をはじめ、諸外国でも防衛分野における先端技術研究に力を入れるなか、防衛装備庁としても従来の研究開発を強化すると共に、技術的優位を確保し続けていく。そのためにも今回お迎えする方々と連携し、様々な科学技術を日本の防衛に活用していきたいと考えています。

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手島 哲郎|防衛装備庁技術戦略部技術連携推進官
プロフィール:1993年4月、防衛省(旧防衛庁)へ。陸上自衛隊、情報本部、技術研究本部等で様々な職務を歴任。2023年7月より、防衛装備庁技術戦略部において、防衛装備庁の所掌事務に係る科学技術に関する研究の連携や研究の委託に関する業務を所掌する技術連携推進官として勤務している。

必須となる技術領域に限定無し。求めるのは多様な人材

経験、志向性など今回の公募において求める人物像があれば教えてください。

今回は、過去携わられてきた科学技術領域は限定せず、様々な知見、経験を持つ方を求めています。まずは可能性に蓋をせず、多少でもやりがいや興味を感じていただければぜひご応募ください。特に昨今では防衛目的で用いる技術と民生目的で用いる技術の境界は非常に曖昧となってきています。一昔前であれば、インターネットをはじめ、防衛分野から生まれた技術が民生に普及していくケースも多くありました。当然、そういった技術研究は進めつつ、民間発の先進技術を、国家の安全保障へといかに活かし、取り込んでいけるか。ぜひ、これまで培われてきた科学技術への理解をもとに、常識にとらわれない柔軟な発想、アイデアを積極的に提案いただければと思います。

また、イノベーションを起こすためには、さまざまな関連技術・人材によるシナジーが重要。ぜひ、防衛装備庁内に留まらず、人脈を活かし、他の研究機関・企業等に所属する関係者を牽引していただきたいです。そのためにコミュニケーション力、リーダーシップ力の発揮いただける方、研究そのものの企画に挑戦いただける方であれば、より活躍の場が広がっていくはずです。

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今回の公募ポジションについて「新たな研究機関の第一期メンバーとして、新たな挑戦をしていく大きなやりがいを感じていただけると思います」と手島さん。「特に科学技術に関する経験・知識を役立て、新たな機能、技術を創り出すことで、日本の防衛のみならず、社会を大きく変えることにも貢献していく。特に「これまでを大きく変える」というブレークスルー研究(仮称)の実施は誇りや大きなモチベーションになると考えています。一方でこれまでにないことを実現するためには、様々な困難が伴うでしょう。リスクを取り、さまざまな失敗を繰り返しながら、組織文化から共に変化させていく。防衛装備庁としても前例の無いプログラムを作っていく。期待以上の成果が求められます。ぜひそういった壁にも一緒に挑んでいただける方と共に働いていければと思います。」

科学技術を、国の安全保障のために

続いて、手島さんご自身の「志」について伺ってもよろしいでしょうか。

まずは新たな研究機関の創設のために全力を尽くします。また、これは私自身の考えですが、技術はあくまでも手段だと捉えています。何のために科学技術を役立てていくか。国家公務員として安全保障、防衛装備のために新たな技術、装備品を創り出していけるのは、この防衛装備庁にしかない任務です。過去には自衛隊員が野外で使う無線通信機などを開発するプロジェクトに携わる機会がありました。使い勝手や性能について、現場に足を運び、フィードバックをもらいつつ、改良を重ねていく。さまざまな装備品の研究、評価、試験、開発に携わり、実際に使われる場面にも多く立ち会っていく。そういった「現場の声」を大切にし、新たな技術、装備品を生み出すことが、ひいては日本の安全保障にもつながっていく。その自負、誇りを持ち、新たな研究開発や科学技術に向き合っていければと思います。

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選考のポイント・応募条件について ※研究テーマ案の提出あり

・社会課題を解決し得るイノベーションを具体的に構想し、自らが企画したプログラムを実現に導くための知識経験又は識見を有し、それを第三者にも分かりやすく提示する能力を有すること。

・プログラムのマネジメントに関する経験を有し、自由かつ柔軟な発想で挑戦的な目標に対して果敢に取り組む意欲を持ち、プログラムの進捗状況等に応じて臨機応変に対処する判断力やリーダーシップを有すること。

・困難な目標や課題に対し、解決方法を導出し克服できる知識や理解力、コミュニケーション能力を有し、国内外の技術的シーズや研究開発動向を把握、分析及び評価し、プログラムの企画や実施に反映できること。

特にプログラムを企画する能力は重視するポイントであり、応募に当たっては研究テーマ案を提出いただくこととしています。研究テーマ案の内容によって採否を決めることはありませんので、自由かつ柔軟な発想で、社会を変える新たな機能、技術の研究をご提案いただくことを期待しています。

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