長崎県庁の副業人材公募に伴い、特別インタビューをお届け。今回お話を伺ったのは、県産品ブランド化・マーケティングの副業アドバイザーとして活躍する青木一剛さん(2022年アンビ経由で受嘱)。本業では外資系IT広告企業で働く青木さんだが、なぜ、長崎県の副業アドバイザーを志望したのか。そこには「地方創生に挑戦したい」という志があった――。
はじめに応募に至った理由・動機から伺ってもよろしいでしょうか。
外資系企業で培ってきたマーケティングのノウハウやビジネススキルを、これまで携わったことのない業界で追求したいと思い応募しました。自治体の「中」で手掛ける仕事は、民間企業では得難い影響力の大きな仕事ができるという魅力があります。特に中小企業や自治体支援に関心があったので、長崎県の公募情報をアンビ(AMBI)で偶然この案件を見つけ、「自分のこれまでの知見を活かして地方創生に挑戦できる機会だ」とすぐに応募しました。
選考の過程で印象的だったのは、最終面接で長崎県庁の方が「お迎えする上で私たちも準備をしておきたいのですが、何を勉強しておいたらいいですか?」とお尋ね頂いたことです。外部の知見を貪欲に吸収しようという意識が非常に高いことに驚きました。お互いに「違う業界・業種で切磋琢磨している人から学びながら、ワンチームで目的達成に向けて取り組みたい」という強い思いが同じだったからでしょうか、1年半以上良い関係を築きながら働くことができていると思います。
青木一剛さん(37)
合同会社マルマケ代表。
一橋大学卒業後、大手日系金融機関に入社。 米国Goizueta Business SchoolでMBAを取得後、日本コカ・コーラ社でブランドマネージャーを務めるなど複数の外資系消費財メーカーにてマーケティングに従事。 現在は、外資系IT広告企業にて企業・代理店にデジタルマーケティング戦略・施策提案を行うほか、京都市の成長戦略推進アドバイザーや長崎県のマーケティングアドバイザーを務める。
続いて、現在の仕事内容について教えて下さい。
長崎県産品のブランディング・PR施策のアドバイザリー業務です。長崎県には魅力的な県産品がたくさんありますが、認知の点で課題があることがわかりました。長崎県産品の認知向上・販路拡大のため、県産品が持つ特徴・魅力を、どのように伝えるか、様々なデータや事例を参考にしながら、戦略の構築から具体的な施策に至るまで、幅広くサポートしています。
県庁職員のみなさんはもちろん、地元の事業者をはじめ、高い志を持つ方々と協力しながら、課題解決に向けたチャレンジができていますし、成果も出始めています。長崎県庁の皆さんは、行政サービスを良くするために新たなアイデアを積極的に取り入れようとする柔軟さがあり、「やる」と決めたことの実行スピードも速いので、やりがいも感じています。
青木さん自身が漁船にも乗り、獲れた水産物を撮影する様子(右)。実際、青木さんが中心となり、デジタルマーケティングを活用し、県産品ポータルサイトのターゲティング・訴求ポイントの再考やSNSキャンペーンを行い、ポータルサイトの閲覧数4.5倍以上、SNSフォロワーも10倍近く増加した。その他にも、長崎県産品応援店スタンプラリー企画など若い世代に人気の長崎県出身タレントとのコラボレーションを提案・実施し、大きな反響を生み、新規顧客へのリーチにも貢献しているという。さらに現在、京都市のアドバイザーも兼任しているという青木さん。「京都では若い世代の人口減少課題となっています。その解決に向け移住・定住促進に関する戦略と施策を提案・実施しています。他自治体の事例やデータを分析しながら、SNSやプロモーションを含めた総合的なアイデアを市役所の方々と協議しています。」
最後に、応募を検討している方へのメッセージがあればお願いします。
地方創生や自治体での活動に少しでも関心のある方は、積極的に応募することをお勧めします。働き方に関して気になる方もいると思いますが、私の場合は、副業は平日の朝、夜の業務時間外、週末などを活用しています。本業だけでなく、副業をすることで多様な視点や知識が身につき、自身の成長につながる貴重な機会だと思います。
長崎県だけでなく、日本全国にある企業やサービス・商品ですごく魅力があるのに気づいていない、もしくは気づかれていないものがとても多くあります。そんな商品を沢山の人に知ってもらうためのお手伝いを今後も積極的にしていきたいと考えています。今回入庁される方とも同じような志を共有しながら、共に新しいチャレンジをしていけると嬉しいです。