INTERVIEW
商船三井「総合職」募集スタート

商船三井が「総合職」募集へ。LNG船を安全運航せよ――業界未経験、28歳の彼女に課せられた使命

掲載日:2024/10/25NEW更新日:2024/10/25
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世界最大級となる900隻近く(*)もの船隊を運航する総合海運企業グループ「商船三井」。同社の秋選考に際して今回お話を伺ったのは、営業としてLNG船の運航などに携わる大山雪乃さん。2022年4月に当時28歳で入社した。もともと石油業界で営業をしていた彼女は、なぜ商船三井に転職したのか。そこには新卒時代からの海運業界への憧れ、そして「社会の未来のために新たなチャレンジをしている環境で働きたい」という思いがあった。

(*)2024年度(2025年3月期) 第1四半期 決算説明資料
https://ir.mol.co.jp/ja/ir/library/mrsfcfh/main/00/teaserItems1/0119/linkList/0/link/(J)2024.1Q%20Business%20Performance.pdf

異業種から商船三井へ。「新たな挑戦に挑む一員になりたい」

新卒からエネルギー業界を志し、前職は石油業界で働いていた大山さん。その仕事内容、そして転職を考えたきっかけとは。

前職は石油会社で、5年ほど潤滑油の営業をしていました。国内で代理店さんと一緒にトラックメーカーや産業機械メーカーに提案したり、海外営業も経験し、非常にやりがいはありました。一方、会社の経営統合などによる社内体制・営業現場でもフロー変更など環境がガラッと変わるという変化も経験。そのころから今後自分がどういった環境に身を置きたいか見つめ直したんです。

その結果、既存の産業だけではなく、未来のために新たなチャレンジをしている会社に行きたい。もっと営業1人に任せてもらえる環境で挑戦したい。そういった思いが芽生え、少しずつ転職を考えるようになりました。

転職活動をする中ではグローバルに事業展開する会社を広く見ていたのですが、なかでも海運業界は実は新卒から興味はありました。新卒当時は自信もなく選考は受けなかったのですが、「挑戦するなら転職のタイミングが最後のチャンスかもしれない」と思い、応募しました。

最終的に商船三井の決め手はなんだったのか。

海運業界のなかでも、特に興味があった「エネルギー」関連輸送に強みを持っていること。そして、会社について調べるなかで、2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成(*)を掲げ、実際に大規模投資も進めていることを知り、言うだけでなく取り組んでいる一貫性に惹かれたこと。ここは大きな決め手でした。既存事業はもちろん、社会課題と向き合い新たなチャレンジに取り組む会社で、自分もその課題解決に関わってみたい。この会社の一員になりたい、と強く思いました。

選考当時を振り返り、具体的にどういったことをアピールしたのかも触れてくれた。

まず、船会社では、船員さん、技術者の方、クライアントなど様々な人と関わるのだろうなと予想していたので、前職で培った「あらゆるバックグラウンドの方々と話しながら物事を前に進めていく実行力」は活かせると思い、アピールしました。

その他は、とにかくやる気・熱意を伝えたように思います(笑)。私はわりと現場に足を運んで地道にお客様と関係をつくっていくような営業スタイルが性に合っていて、ストレス耐性もあるほう。「泥臭いことも頑張ります」といった意気込みはもちろん、「新しいことを学ぶことが好き」という点もお話しした記憶があります。今思えば、そういった部分から「まったく異なる環境でも、もがきながらもやり抜くポテンシャル」のようなものを感じてもらえたのかもしれませんね。

実際、入社後は、LNG船を扱う部署に配属されたのですが、同じエネルギー領域とはいえ前職は潤滑油しか扱ったことがなかったため、本当にイチから勉強しました。興味のある領域なので、新たな知識を得られるのは楽しいなと思いながら日々取り組んでいます。

(*)ネットゼロ・エミッション
商船三井グループは2050年までのネットゼロ・エミッションを掲げ、船の推進力として風力の活用や、様々な省エネ装置を活用し、運航効率改善及びCO2排出削減に取り組んでいる。たとえば、2024年9月には、LNG船に風力を船の推進力にする装置を導入すると発表。これは世界初となる。

参考:
https://www.mol-service.com/ja/services/energy-saving-technologies|HP
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=021&ng=DGXZQOUC1380S0T10C24A9000000|日本経済新聞

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面接で話が弾んだと思う瞬間が多かったことも決め手の1つだったと語る大山さん。「面接官の方が想像以上にフランクに話してくださったのが印象的でした。いわゆる面接にありがちな質問だけでなく、働くなかでどんなときに自分の感情が揺れ動いたのかなども聞いていただき、自分のことを知ろうとしてくださっていることが伝わってきて。ここなら私も溶け込めそうと思ったことを覚えています」

商船三井の営業組織について
船の種類によって大きく部署が分かれている。エネルギー営業本部のなかで、カーボンソリューション事業群、風力・オフショア事業群、液化ガス事業群に分かれている。部署にもよるが、平均3~4年に 1度の割合でジョブローテーションがある。

「また別の船で会いましょう」忘れられないキャプテンの言葉

営業として入社し、LNG船を担当する大山さん。いわゆる海運会社からイメージされる、船と関わる業務に携わる。その仕事の魅力をこう語る。

船と接する仕事には、クライアントの荷物を指定された日時で港に届けるために船とやり取りをして運航管理を行なう「オペレーター」、船の持ち主として船が動ける状態を保つ「船主業」の2つがあり、私は入社してから両方を経験させてもらっています。

特に面白いのが、毎年数百億円が動くようなプロジェクトを任され、営業1人で決められる範囲が大きいこと。基本的に1つの船を1人の営業が担当します。船で何か起きた際の一次的な意思決定者は私。責任重大であると同時に、私としては任せてもらえる喜びもとても大きいです。クライアントのHPに載っているようなプロジェクトだったりもするので、「そうか、私がこのプロジェクトを支えてるんだ、私が運んでるんだ」と思うと嬉しくなりますね。

また、入社してから営業としての「損益感覚」を磨くことができています。たとえば、これを投資したらどれくらいリターンがあるのか。ある事象が発生した時に、予想される影響、その影響による損益はどれくらいになるのか、それはどれくらい許容できるのか、まで考える。2歩先、3歩先まで読むスキルを、実務を通して育てていけるのは有難い限りです。営業として着実にレベルアップできている実感があります。

そして、仕事における「やりがい」について、オペレーター業務を担当していたときの特に忘れられないエピソードを例に話してくれた。

オペレーターとして顧客の要請に応えていくうえでは、どうしても船員さん、技術者の方々に無理なお願いをしなければならないことも。そうした中でも、なんとか大変な山を越えられたときはホッとしますし、やりがいにつながっています。

ある複雑な案件を担当したとき、考えられるプランが3つある中で直前までどのプランでいくか定まらない、でも船には準備を始めておいてもらわないと間に合わない、そういった状況がありました。Aパターン、Bパターン、Cパターン、どの可能性も捨てきれず、キャプテンには包み隠さず情報を共有していたのですが、内心では(ああ、船を振り回してしまったな…)と思っていたんです。ただ、後日船が寄港した際にキャプテンにご挨拶に行くと「あの時は、あらゆる状況をふまえて事前に情報共有してくれたから、船側も助かったよ。ありがとう。また別の船で会いましょう」と言ってもらえて。当時の自分は迷いながらやっていたけども、間違ってなかったんだ…と思ったら、泣きそうになるくらい嬉しくて。ほっこりとした気持ちで港から帰ってきたのを覚えています。

一方で、入社前に覚悟しておいたほうがいい「厳しさ」についても触れてくれた。

先ほどもお伝えしたように、任されるのは毎年数百億円が動くようなプロジェクト。損益計算が当初描いていたように進捗していなかったりすると、正直、胃が痛くなるような瞬間はあります。

ただ、私としては、自分の実力より少しレベルの高い仕事を任されたほうが嬉しいタイプ。今のこの刺激的な環境が肌に合っているなと感じています。もともと学生時代から、自分は放っておいたら安きに流れる人間だという自覚があって(笑)。あえて少し上のレベルに指一本でつかまって、追いつこうと食らいついていくほうが、多分私にはちょうどいい。実際に今も、求められるレベルにまだまだ達してないという悔しさがあるから、日々踏ん張れているのかなと思っています。大きな案件を任せてもらえる環境、優秀な人がたくさん周りにいる環境に身を置けているのは、有難いことだなと思っています。

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さらに今、大山さんは燃費効率の良い新たな船が就航するまでの本船運航面での支援にも携わっている。「燃費のいい装置を搭載した、これからの時代に求められていくであろう船。まだ、専門的なことはこれから勉強していく段階ですが、新たなチャレンジの一員になりたいと思って入社したので、とてもワクワクしています。また、少し脱線しますが、 個人的にはガンダムが好きで、大きい機械が動くことにロマンを感じるタイプ。船づくりにまで関われる今の仕事は本当に役得だなと思っています(笑)」

新規営業にも挑戦したい。商船三井で描くキャリア

続いて、今後の目標について。

目先で言えば、会社の損益に貢献できるような新規プロジェクトの創出にも挑戦していきたいです。

社内には、たとえば、数年後の船が空くタイミングに向けて次の長期契約を獲得するための新規営業チーム、現在開発中のCO2を排出しない次世代燃料船をどういった企業が使ってくれそうか市場調査を行なうチームなど、興味深いチームがたくさんあります。

そこでは、きっと今より数字に強くなければならないでしょうし、市場動向にも精通していることが求められるはず。より一層、自分の知見を深めていけるのではないかと思っているので、ぜひ挑戦したいです。

また、中長期的には、チーム全体を統括していけるような立場を目指していきたいとも考えています。そこに辿り着くまでには、LNG船を突き詰めてスペシャリストになっていく道もあるし、あるいは一度管理部門で経理財務・経営企画などを経験して新規プロジェクト立ち上げに必要な知識を身につけて営業組織に戻ってくる道も考えられる。どちらが自分に合っているのか、現在模索しているところ。いずれにしても、船に近い、現場の最前線で関わっていく仕事をしていたいなと思っています。

最後に、大山さんにとって仕事とは?

仕事とは、自分が社会に対して貢献できているのかを確認する手段と捉えています。

というのも、じつは前職時代に、自分という存在が社会においてどう貢献していけるのか、明確に意識した出来事がありました。当時、中小の代理店さんと一緒に潤滑油の営業をしていたのですが、代理店さんの頑張りによりかなり大口の契約がとれて、代理店さんの業績がグンと伸びたんです。その時、単に契約をとるだけではなく、代理店さんの存続・成長という意味でも価値を発揮できたんだなと思ったんです。自分の仕事が、確かに社会をよくすることにつながった感覚。「仕事とはこういうものなのか」と気付かされた思いでした。

だから、今の仕事においても少しでも社会における自分の存在意義、価値を高めていきたい。もちろん、四六時中そんな崇高なことを考えているわけではなく、日々は「まだ今の立ち位置はここだからちゃんと頑張らなきゃ」と内省と奮闘を繰り返す毎日ですが(笑)。社会のために自分がどうあれるか、という視点はこれからも忘れずにいたいなと思っています。

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