INTERVIEW
東京都 戦略広報部|公募プロジェクト

広報の力で、都の事業にインパクトを。民間から「東京都庁」へ――彼女が見つけた新たな挑戦の舞台

掲載日:2024/12/12NEW更新日:2024/12/12
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東京都庁にて“都全体の広報”を専門的に担う「戦略広報部」。2022年に新設された同部署にて、新たな職員の公募が実施される。今回の公募にあたり、PR代理店勤務・フリーランスを経て、戦略広報担当課長として活躍する門田 彩さん(2023年11月入庁)を取材した。なぜ、彼女は次なるキャリアに東京都庁を選んだのか。そこには「都の事業に貢献し、新たな分野に挑戦したい」という思いがあった――。

民間から行政へ。都庁で「経験を活かす」という選択

15年以上にわたり、大手食品メーカーのPRを担うなど、「民間」でのキャリアを積んできた門田さん。なぜ、彼女は新たなキャリアとして行政、そして東京都庁を選んだのか。その経緯から聞くことができた。

前職まで「食・健康」分野におけるPRを得意としてきたのですが、行政が手掛ける施策や取組も「生活」に近いものですし、これまでの経験が活かせるのではないか、役に立てるのではないかと考え、志望をしました。

たとえば、「食・健康」分野において「通年で乳製品の販売を促進していきたい」となった時、夏であれば「熱中症対策に」と訴求ができますし、冬であれば「免疫力を高めるために」といった訴求が考えられますよね。もし、行政で置き換えるなら「いかに通年で防災意識を持ってもらうか」という課題があったとして、時期性や伝達方法を考えながら、同じように「生活者視点」の関心とつなぎ合わせ、訴求していくことができるのではないか。こういった発想や考え方、知見を、ぜひ行政の施策にも反映させていきたいと考えました。

また、私自身のキャリアとしても「食・健康」だけではなく、公衆衛生、感染症関連の施策、防災、脱炭素など、新たな分野に挑戦したい思いがありました。その点、都庁の「戦略広報部」であれば広範囲の分野にチャレンジができます。さらにコロナ禍を経て、オンラインでの広報活動、PRの重要性が増すなか、デジタル領域にも挑戦していきたい。これらが重なり、東京都庁への入庁を決めました。

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門田 彩|東京都 戦略広報担当課長
学生時代には、コーヒー店や家庭教師のアルバイトと並行しながら、発展途上国の「経済発展」と「環境問題」の両立に関心を持ち活動。大学卒業後、PR代理店に新卒入社し、10年以上にわたり大手食品メーカーのPRを担当。同企業の在籍時に広報戦略立案、メディアリレーション、有識者開拓、オウンドメディア活用などに幅広く携わる。その他、新規事業やメディアの立ち上げ、管理栄養士のマネジメントなど、多岐にわたる業務を経験。独立・会社立ち上げを経て、2023年11月「東京都庁」に入庁、現職に至る。

都の広報は「事業をつくる要素の一つ」

2023年11月に東京都庁に入庁した門田さん。約1年でさまざまなプロジェクトに参画しており、大きなやりがいを感じていると話す。

この1年、想像していた以上に幅広いプロジェクト、多様な分野に携わることができ、とても充実しています。特に民間との違いで言えば、あらゆる事業、施策の目的が、都民のためにあるという点です。発信主体の利益のためではなく、純粋に社会の課題解決のための広報に取り組むことができるため、民間とは違ったやりがいがあります。

特に都民サービスに関する広報活動は「知ってもらう」が「役に立つ」に直結していくもの。たとえば、入庁後まもなく『018サポート(*)』の広報支援に携わったのですが、知ってもらえれば知ってもらえるだけ、支援を受けられる人が増えていくものでもありました。

(*)都内在住の0歳から18歳までの子供たちに月額5,000円(年間最大60,000円)を支給する子供・子育て支援制度

どうすればより多くの人に申請をしてもらえるか、あらゆる施策を洗い出し、デジタルマーケティングに強い職員と連携しながら、申請率の最大化に取り組みました。

身近な人たちからも「ありがたい」という声を聞くことができ、「きちんと広報が届いているんだ」といった実感がありましたね。こういった経験を経て感じたのは、都として取り組む広報は「事業をつくる要素の一つである」ということです。「企画立案」と「広報」はセットで考え、一緒に事業を推進していく。こここそ都庁の戦略広報が存在する意義であり、醍醐味でもあると思います。

だからこそ具体的な数字を目標としても設定し、その達成に向け、こだわり抜いて広報活動を行ないます。良い意味で驚いたのは、その感覚が部内全体に浸透していることです。もちろん、数字だけ見ていると本質を見失ってしまうので「本当に届けたい人に届いているのか」「それが数字としても表れているか」といった点を注意深く見ていきます。どのプロジェクトにもこういった目標設定と達成に向けたプロセスがあるため、達成感が得やすい環境でもあると思います。

入庁約1年で門田さんが携わってきた業務例について

▼『018サポート』
- 都内在住の0歳から18歳までの子供たちに月額5000円を支給する制度『018サポート』広報支援に従事
- 限られた時間内で「対象者に申請期限の情報と接点を作るか」施策の洗い出しをデジタルマーケティングの知見を持つ職員と実行

▼『SusHi Tech Tokyo』
- スタートアップカンファレンス&先端技術体験イベント『SusHi Tech Tokyo2024』広報支援に従事
- 来場者数目標達成に向けて、事業部と広報戦略を立案
- 2025年開催も決定しており、継続して広報支援の戦略立案を担当予定

▼『My TOKYO』運営
- 東京都公式ポータルサイト『My TOKYO』広報及び運営サポートを担当
- サイトの認知度向上を目指し、運営体制の改善を支援
- 分析と最適なWeb広告出稿、サイト運営改善、オウンドメディアを活用した情報発信を実施し、目標PV達成見込みが大幅に向上

▼その他
- スタートアップ国際金融推進室、政策企画局、主税局、財務局等の広報支援業務を担当
- 女性活躍推進に関するプロジェクト活動・広報支援等を一部担当

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「行政では、利益を追うことなく、本当に困っている人を事業で助けていくことができます。そこが難しさでもあり、面白さでもあると思います。」と門田さん。「世の中的にも自分のスキルをいわゆる“公共”で使ってみたいと考える人が増えているようにも感じます。気候危機や健康、教育、医療などの課題が浮き彫りになるなか、さまざまな才能が、より“公共”へと向けられているのかもしれません。」

東京都で担うのは「未来をつくる仕事」

さらに「先端をいく取組に挑戦できるのも醍醐味」だと門田さんは話す。

テクノロジーの力でサステナブルな社会を実現する『SusHi Tech Tokyo』など経済活性を目的とした取り組みだけではなく、給付金であったり、都民提案であったり、都民の生活に直につながる取り組みまで、現在の小池知事の意向やビジョンもあり、新しいプロジェクトや施策が次々とスタートしています。広報としては、それらを「どのように伝えていくと届くのか」を考えていく醍醐味があります。これらは、ある意味「未来をつくっていく仕事」と言ってもいいのではないかと思っています。というのも、まだ開拓中の分野にも挑戦していくからです。先駆けとなる事例を手掛けていけるフィールドでもあります。

また、キャリアという視点においても、任期はありますが、一度でも行政で働くと、その考え方や、情報の取り方などがわかるため、もし民間に戻ったとしてもそれらは「武器」になるはず。戦略広報内でもPRやデジタルマーケティング、国際広報など多分野の専門家が集まっており、良い刺激をもらうことができます。さらに「駆け込み寺」ではないですが、各局との連携も進んでおり、広報・PRについて相談を寄せてもらえる体制にもなっています。つまりさまざまな領域のプロと協力し、新しいやり方を学び、実践できるということ。設立3年目でもあり、多様なエッセンスを組織に取り込み、進化していく部署でもあります。こういった環境で働けるのは、今だけの貴重な機会になるはずです。

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やりがいの一方で、ミスマッチをしないためにも事前に知っておくべき「厳しさ」について「これまで触れてこなかった分野・領域にもどんどん飛び込むことになると思います。」と話をしてくれた門田さん。「たとえば、税金や政策について、スタートアップや先端テクノロジーについてなど、私自身も“初めて”の連続でしたね。最初は周りの職員が話す用語さえわからず、ついていくのに必死でした。一方で新しいところに飛び込み、吸収していくことが楽しめる方はとても向いているように思います。」

東京都庁で挑む、女性活躍推進

そして取材後半に聞けたのが、今後の目標について。

戦略広報として、それぞれのプロジェクトにおいて引き続き目標を達成し、都民のみなさんのための事業に貢献していければと考えています。また、現在、都庁内の女性管理職者を増やす取組にも参加しており、その推進に力を入れていきたいです。日本は、世界のジェンダーギャップ指数でいうと193か国中92位と低いところに位置しており、特に政治や経済の分野においてスコアが低いと言われています(*)。

(*)2024年3月時点 ※参考「男女共同参画に関する国際的な指数」内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html

もし、行政に関わることができるなら、この「女性活躍推進」は携わりたいテーマの一つでもありました。私自身、ここまでのキャリアを通じ、女性であることで大きく不利だと感じたことはないのですが、たとえば、子どもたち世代が社会に出る頃、より女性が生きやすい社会になっていてほしい。もちろん、任期があるため、どこまで推し進められるかはわかりません。それでも、女性だけの問題に留めるのではなく、男性も巻き込んで一緒に考えていきたい。東京都が取り組むことで「都がやるなら」と民間企業はもちろん、他の自治体や国のロールモデルになっていけるはず。ぜひ社会に向けた強いメッセージにもしていければと思っています。

そして最後に聞けたのが、仕事の価値観について。彼女にとっての「仕事」とは――。

仕事は、人生そのものの経験値を高めてくれるもの、人生を豊かにしてくれるものだと思っています。 これまでを振り返ると「仕事でしか経験できなかったこと」「仕事を通じて出会えた人」がとても多い。より人生を豊かにしていくためにも、さまざまな領域・分野にこれからも挑戦し、どんどん「見える範囲」を広げていきたいと思います。

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