2026-27シーズンからの新B1「B. LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」への参入が決定したプロバスケ「横浜ビー・コルセアーズ」。大転換期を前に、運営元となる株式会社横浜ビー・コルセアーズでは組織増強に向けて新メンバーを募集へ。今回は、銀行員から転身し、現在営業として活躍する髙野 拓哉さん(30)にお話を伺うことができた。「横浜でもっと愛されるバスケチームをつくりたい」そう語る彼のストーリーから、同社で働く魅力に迫っていこう。
横浜ビー・コルセアーズ
B.LEAGUE B1所属、横浜市をホームタウンとするプロバスケットボールチーム。B.LEAGUEは現在、リーグ構造の変更に伴う大改革「B革新(※)」を進めており、横浜ビー・コルセアーズは2026-27シーズンからの新B1「B. LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」への参入が決定。
(※)B革新について
2026-27シーズンから現在の単年の競技成績による昇降格制度を廃止し、エクスパンション型へと移行する。新B1の「B. LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」への参加条件は、売上12億円以上、入場者数4,000名以上、収容人数5,000人以上でスイートルーム設置など基準を満たすアリーナ、この3つが要となるライセンス基準をクリアすること。
初めてアリーナで試合をみたあの感動を、多くの人に届けたい
横浜ビー・コルセアーズで営業として働く髙野さん。その入社の動機から伺えた。
スポーツビジネスに挑戦したい、そのなかでもまずは「クラブ」というスポーツコンテンツの最前線で学びたい。そう考えていた矢先にみつけたのが、横浜ビー・コルセアーズ(以下、ビーコル)の求人でした。
特に、より一層「ここで働きたい」と気持ちが高まったのが、選考のなかで初めてアリーナ(当時は横浜国際プール)で試合を見に行った日。
今も忘れられないのですが、アリーナに向かう階段を昇っているとき、周りには子どもたちをはじめファンの方々がたくさんいて、みなさん一様にワクワクとした表情で向かっていくんです。会場に入れば、ものすごい盛り上がり。会場でナマで見ると、「こんなにコートが近いんだ、バスケってこんな面白いんだ」と感動してしまって。こうしたワクワクと感動をつくる側になる。そう思うと、鳥肌が立ったのを覚えています。
そもそも、転職を考えたきっかけとは。
もともとは新卒で銀行に就職し、法人営業や個人向けの融資や審査、本部業務を担当していました。金融に関する知見、営業スキルを磨くことができ、給与・福利厚生も申し分ない環境でした。一方で、4年目に差し掛かったころから、「ずっとこの環境に浸っていたら、外に出るタイミングを逸してしまうかもしれない」といった危機感を抱き始めたのも事実。ちょうどその頃、仲の良い同期が、次々と自分のやりたいことに向かって羽ばたいていくようになって。次第に自分も「本当にやりたいこと」に向き合いたいと思うようになりました。
私に関して言えば、もともと大学までずっと野球をしてきた、スポーツ大好き人間。プロ野球選手にはなれなかったけれど、いつかはスポーツ業界で働きたい、という想いがありました。じつは新卒の就活でも球団職員などは受けていたのですが「もう一度リベンジしたい」と思い転職活動を始めました。
転職活動をするなかでは、ほかにもスポーツブランドの代理店、スポーツ選手のセカンドキャリア支援会社なども見ていました。どこも魅力的だったのですが、いずれそういった道に進むにしても、球団でファンの方々、スポンサー企業、広告代理店などあらゆるステークホルダーと関わる経験はきっと役に立つだろうなと。次第に「球団に行きたい」という意志が固まっていったように思います。
銀行からの転職という大きなキャリアチェンジ。給与や休みなどの条件面の変化についてはどう考えていたのか伺えた。「いくつかの内定をもらった中では、ビーコルよりも他社の方が条件面では良い会社もあり、正直悩んでいました。なので、新卒の時からキャリアの相談にのってくれる姉に、その時も相談しました。すると『仮に友達からビーコルに転職をすると言われたら、羨ましいと思うなら今すぐ転職しなさい』とアドバイスをもらって。その時、目が覚めるような感覚があったんです。他のどの会社よりも、友人がビーコルに行くと言われることを想像した時が一番羨ましいと思うだろうなと。今の自分の中での優先順位を認識でき、決意が固まった。すぐに『入社したいです』とビーコルに連絡したのを覚えています」
「横浜BUNTAI」ホームゲームの様子。
「横浜のために何かしたい」
2022年1月に営業として入社した髙野さん。そこでのミッションとはーー。
2024年10月に、晴れて26年からの新B1「B. LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」参入が決まりましたが、それはあくまで通過点でしかありません。一般的にバスケクラブはいわゆるスポンサー収入による売り上げが半分以上を占めており、クラブを強くしていくためには、このスポンサー収入を増やすことが最も重要になってきます。
スポンサー収入が増えれば、いい選手を獲得できる。選手のお給料にも還元できる。つまり、いいバスケができる。代表の白井の言葉をかりると「勝つことが最大のファンサービス」なんですよね。
勝てるチームになることで、「ビーコルの試合をチケットを買ってでも見にいきたい」という人はもっと増えるはず。スポンサーさんもそういったチームを応援したいと思ってくれるはず。ひいては、もっともっと横浜に根ざしたチームになっていけると考えています。
働くうえでの「やりがい」とは。
スポーツによる感動が、お客様のビジネス環境にポジティブな影響を与えている。そういった光景を目の当たりにしたときは、やりがいを感じます。
たとえば、お客様と話していてわりとよくいただくのが「社内の雰囲気を良くしたい」というニーズです。そういったとき、「スポンサーのチケットを使って社内の皆さんに試合観戦してもらうのはどうですか?」といった提案をします。
つい先日も、スポンサーになっていただいた企業の方々が、20~30人で会場に来てくださって。立ちあがって懸命に応援してくれていたり、勝利を隣の人たちとハイタッチで分かち合っていらっしゃる姿を見ると、純粋に嬉しい。会社が応援しているスポーツチームを社員みんなで応援できるって、すごく良いですよね。
なかには、それまでバスケにはまったく興味がなかったのに、会社で観戦に行ったことを機に熱烈なビーコルファン・ブースターになってくださる方もいて。ある方は、今では個人でシーズンチケットを購入し毎週お孫さんと観戦に来てくださいます。最近は、私がオフィスに訪問するとビーコルのユニフォームを着て出迎えてくれる(笑)。オフィスにビーコルグッズがどんどん増えていく様子を見るたび、あたたかい気持ちになります。
また、地域に根差したクラブならではの介在価値を感じるのが「横浜で何年も会社をやってきて、そろそろ地域のために何かしたい。けど、やり方がわからない」といったご相談をいただいたとき。
そういったときは、「地域の学校施設にビーコルと貴社のロゴを合わせて印字したバスケットボールの寄贈してみませんか?」といったご提案もしています。
想像してみてほしいんですが、企業1社のロゴが入ったボールが学校にあったら違和感がありますよね。そこで、ビーコルのロゴと合わせて印字することで「ビーコルを応援している企業」という建付けにする。そうすることで、いやらしさがなく、お客様の企業ロゴが目に触れる機会を創出できます。
小さい頃から学校の体育の授業で、あるいは部活でそのボールを使っていたら、何かしら子どもたちの記憶に刻まれると思うんです。そして、彼ら彼女らがいつか地元で就職したいとなったとき、「そういえばこの会社、ビーコルを応援していた会社だ」と思い出してもらえるかもしれない。ボールの寄贈が、長い目で見れば採用活動にもつなげていける可能性がある。一時ではなくロングテールで地域に貢献していけるのも、この仕事のおもしろさなのではないかと思います。
一見華やかに見えるスポーツ業界だが、「想像以上に泥臭いことも多い」と話してくれた。「肉体的にも精神的にも、タフさが求められるシーンは多いです。電話・メールでのアポ取りは当たり前ですし、スポンサー企業にどうにか頼み込んで新たな企業を紹介いただくことも珍しくはありません。さらに、スポーツクラブというのは良くも悪くも注目を集めやすいもの。SNSでは辛辣なコメントを目にすることもあります。B.LEAGUEの決算書はネット上で調べれば各チームの売上が公開されているため、特に売上に関するコメントには、最初の頃はくらってしまったこともありました。ただ、見方を変えれば、ポジティブな面もある。「あの◎◎社とスポンサー契約を結びました」といったプレスリリースを出したら、ファンの方々も祝福してくれます。30人ぐらいしかいない会社なので、自分の頑張りが、会社の業績にすぐに跳ね返ってくる。会社の歯車ではなく、自分が確かに影響を及ぼしているという手応えがある。なので、大変な部分はありつつも、私としてはそれを含めて楽しんでいるという感覚があります。物事の片面だけではなく、両面を見る。ポジティブに捉えられる。そういった人には向いているのかなと思います」
転職前後での髙野さんの働きがいの変化を示したグラフ。
もっと横浜に愛されるクラブにしたい
続いて、髙野さんの仕事にかける想いとは。
最初に ホームアリーナで感じた、あの「高揚感」をつくり、たくさんの人に感動を届けたい。そこに尽きます。
スポーツって、見ている側も興奮して、自然と立ってしまいますよね。野球でサヨナラ勝ちした時、すごいシュートが決まった時。あの熱量、高揚感は、 スポーツでしか味わえないもの。あの感覚を、1人でも多くの人に味わって欲しい。そして、スポーツというコンテンツを、お客様のビジネスに役立てていただく、その活用のご支援ができたらいいなと思っています。
そして、もっと横浜に根ざしたチームになっていきたい。横浜には、プロ野球、Jリーグの中でもトップクラスのクラブがありますが、そこに当たり前のように名を連ねられるような、存在感のあるクラブになりたい。先日、横浜DeNAベイスターズが優勝して、号外が配られたり、横浜の百貨店に巨大な垂れ幕がかかったり、優勝パレードも盛り上がりましたが、あのような形で地元の皆さんに応援してもらえるようなチームになりたい。
プロ野球やJリーグと比べたら後発ですし、歴史は浅い。ただ、入社して3年。少しずつではありますが、そうした理想に近づいていっている感覚はあるんです。それこそ、入社当初は、営業していても「ビーコルって何?」「B.LEAGUE?」といった反応がほとんどでした。それが、この3年で変わりつつある。 バスケ漫画の映画化や国際大会の盛り上がりも追い風に、「B.LEAGUEのビーコルさんですよね」「最近バスケ盛り上がってますよね」といった言葉を少しずついただけるようになってきました。ここからが正念場かなと思っています。
最後に伺えたのは、「仕事」との向き合い方について。
私にとっては仕事とは、趣味に近いものかも知れません。もともと、週2日の休みよりも週5日の仕事を充実させたい思いが強いタイプ。銀行員時代から、「花金」という言葉があまり好きではなくて、「なんで金曜の夜を楽しみにして働いているんだろう」と思っていました。今は大好きなスポーツを仕事にできた。おかげで大変な思いもしますが、非常に毎日が充実しています。
余談ですが、現職に転職してからというもの、周りの友人から「髙野らしいね」と言われたことがあります。「あのまま銀行に勤めていたら、ある程度の安定・成功は得られただろうに、それを捨ててビーコルにいったのは髙野らしい」と(笑)。自分の選択が「正解だった」と思えるように、これからも走り続けていくだけですね。