設立4年で上場を果たしたGameWith。社長室で新規事業創出を担うのが、梶谷恵翼さん(28)だ。じつはユニークな経歴の持ち主。VC、外資系ベンチャー日本法人代表、起業を経てGameWithへ。なぜ、彼は事業会社、その中でもGameWithを選んだのか? 業界の未来を自らの手で開拓する、志がそこにはあった―。
「月間7.3億」
これは、GameWith社が運営するゲームメディア『GameWith』のPV数だ。2013年にリリースされた当サイトは、ユーザーのニーズとともにコンテンツを拡充。現在、ゲーム攻略情報やレビュー、動画配信、ユーザー同士の交流機能など豊富なコンテンツを備える。ゲームメディアとして国内最大級の規模となった。
「ゲーム領域はこれからもっとおもしろくなっていきます。そしてGameWithだからこそできることがあると考えました」
そう語ってくれたのが、同社で新規事業を牽引する梶谷恵翼さん(28)だ。
じつは彼、かなりユニークな経歴の持ち主でもある。
新卒で国内ベンチャーキャピタルに就職。その後、外資系スタートアップの日本法人社長を経験。さらに日本・シリコンバレーでの起業を経験しているという逸材。
2017年9月、新たな挑戦のフィールドとしてGameWith社を選んだ。もともとコアなゲームファンでもなかったという梶谷さん。彼が感じたゲーム領域の未来、そしてGameWithのビジネスの可能性に迫っていこう。
20代、輝かしいキャリアを歩んできた梶谷さん。なぜ「事業会社の社長室」で働くという選択肢だったのだろう。そこにはシンプルな動機があった。
「上場企業の経営者がどんな景色を見ているのか興味があったんです」
もし自ら起業し、上場まで経験しようと考えたら、少なくとも5年~10年ほど先の未来を見据えなければならない。まして上場できる保証もない。彼は手っ取り早く「上場起業の経営者が見ている景色」をその目で見てみたかったというわけだ。
ただ、彼自身、20代前半にして経営者として働いてきた経験の持ち主。あらためて一人のプレイヤー、事業戦略として働くことをどう捉えていたのだろう。
「この規模感の上場ベンチャーで働くのは初めて。学びたい、経験を得たいというほうが大きいですね」
こうして社長室付けで入社した梶谷さん。その業務領域は多岐にわたる。新規事業の構想立案、採用、出資、広報…経営層と常にディスカッションし、新たなビジネス創出に向けた全てを巻き取っていく。
「GameWithは上場したばかりのフェーズ。新たな事業の柱になる事業を作っているところです。すでに既存ビジネスでの基盤はある。あとはそのアセットをどう活かしていくか」
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彼らが新たに創出しているのは、既存事業を超える新たなビジネス。ゲーム会社向けのB2B事業から、最新技術を活用した先進的な事業など多岐にわたる事業を仕掛けていく考え。
「ゲーム周辺領域は解決すべき課題が多く、新規事業を創造する上でかなりおもしろいと思っています。たとえば、ゲーム自体の開発費用やプロモーション費は高騰を続けている。課題は山積みです。だからこそ、新たなビジネスが生まれる土壌があると考えています」
そして、GameWithだからこそできることがあると語る。
「『GameWith』には国内最大級のユーザー基盤がある。大量のユーザーのトラフィックを持っています。主要なゲーム会社とのネットワークがあるのも強みですね」
つまり、1つのヒットタイトルに依存せず、ユーザー基盤を活かしたプラットフォームビジネスが考えうるということ。
加えて、ゲームは、AR/VR・ブロックチェーンなど新しいテクノロジーの導入が進みやすい領域。さらにトークンエコノミーが広がっていくことも期待でき、新しいゲームの形も登場しつつある。
GameWithがゲーム業界のインフラとなり、新たな市場のプレイヤーになっていく。そんな未来もあり得るはずだ。
「新規事業を立ち上げたいという人であれば、ゲームの周辺領域は非常にホットだと思います。業界の未来をつくっていく醍醐味も感じていますね」
そして最後に伺えたのが、梶谷さんの仕事観について。20代でアプリ会社の経営者、自ら起業も経験してきた。ここまでの道のりは決して平坦ではなかったはずだ。それでも彼が“新たなビジネス”にこだわり、前へと進めるのはなぜなのだろう。
「シンプルに…ゼロから何かをつくり上げていくのが好きなんだと思います」
そしてもう一つ、彼が大切にしているスタンスがある。
「迷ったら、より困難だと思うことにチャレンジしていく。ここは意識しているかもしれません。人がやりたくないことをやる。リスクを取り続けていく。そのほうが希少価値の高い人材になれますよね。今チャレンジしているのも、既存事業を凌駕する規模の事業をゼロから創るということ。決して簡単ではないですが、だからこそすごく楽しいんですよね」
彼は一体どのような事業を新たに仕掛けていくのか。挑戦は今日も続いている―。