「経営の仕組みを学びたい」そういった想いを胸に、船井総研に入社したのが谷翔太さん(30)だ。同社が手がけるのは、中小企業を中心としたコンサルティング、主に関わっていくのは経営者となる。つまり、企業がぶつかる課題と正面から向き合う経験を積めるということだ。彼の志、そして同社で得られるキャリアについて迫っていこう。
※年齢・役職などは取材時(2018年6月)のものです
99.7%―。
これは日本企業における中小企業の割合だ(*1)。数多の中小企業により日本経済は支えられていると言っても過言ではないだろう。
しかし同時に、中小企業が抱える課題は山積みと言える。中小企業の約74%(*2)が人手不足と言われる今、経営者が採用や財務といったバックオフィス業務を兼務するケースも少なくない。
こうした中、中小企業へのコンサルティング領域で、存在感を高めているのが船井総合研究所(以下、船井総研)だ。グループ連結の売上高は、5年間で1.8倍へと拡大している。
今回取材したのは、船井総研のチーフコンサルタントとして財務領域を担当する谷翔太さん(30)。「顧客企業のCFO(最高財務責任者)」という立場で、事業計画や資金調達、そもそもの資金繰りの管理などを行なう人物だ。
「経営者の方は、従業員が思う以上に色々なものを背負って経営をされている。専門知識を持った僕たちが入ることで、そんな中小企業の経営を楽にすることができる。だからこそ、船井総研は自分の介在価値を感じられる恰好の環境だと思いました」
谷さんは転職動機について、こう語ってくれた。
船井総研の組織について
中小企業を中心に、コンサルティングを行う。社内には各業界に精通したコンサルタントが700名以上在籍。業界・業態ごとに細分化された100以上のチームで、企業の経営課題を解決する。コンサルタントの平均年齢は29歳と若いのが特徴。新卒の社員をはじめ、金融、各種メーカー、メディカル、不動産など異業界からの転職者も少なくない。
新卒で地方銀行へ入社し、融資を担当した谷さん。資産運用の一貫として、マンションや老人ホームの建設を提案し、数千万円~億単位の融資に携わったこともあったという。
顧客から任された時に感じられる喜び。しかし一方で、ある種のもどかしさもあったそうだ。
「銀行員に求められるのは、財務や融資に関する専門知識なはず。しかし仕事をする中では、融資金額といった目標を追うことも重要で。そのために遠方まで顔を見せに行ったり、世間話をしたり…と関係作りも必要になっていきました。でも果たしてそれが本当にお客様の役に立てているのだろうか。今後働いていくなら、真の意味でお客様の役に立てる仕事がしたいと思うようになりました」
コンサルタントを目指したキッカケについて、そう語った谷さん。
「財務や融資のことを分かる人はすごく少ない。それならば、100%経営者側に立ってコンサルティングする、という仕事には絶対にニーズがあると感じました」
そんな中知ったのが、船井総研の存在だった。
「船井総研のキャリア採用説明会は、今でもよく覚えています。自分と2~3歳しか離れていないコンサルタントと話す機会があったのですが、“目標を追う仕事“をしていた私とは視座が違った。彼らは、顧客の経営課題を解決することを第一に考えていたんです」
キャリアや給与・待遇などの面から、地方銀行に「安定」というイメージを持つ人も少なくないはずだ。
「コンサルタントと話をして“今のままじゃだめだ“という危機感が強くなりました。自分も数年後、こんな風になりたい、今後どこでも通用する力をつけたい。そのために今挑戦しなければ」
そして、彼は船井総研への転職を決意した。
「銀行にいた時と比べ、スピード感が全然違う中で仕事をしていると度々感じるようになりました」
船井総研で過ごす時間を、そう語った谷さん。目指すべき先輩や、年下でも優秀なコンサルタントが大勢いる環境で、日々刺激や適度なライバル意識を感じながら仕事に取り組んでいるという。
加えて、同社ならではの仕事の進め方も関係していると言えるだろう。
コンサルタントは、15~20社の企業を同時並行して担当する。つまり、置かれた状況や経営課題もバラバラの企業を同時に多く見られるということだ。
「企業の経営課題を考える上で、半年~1年先まで計画を組んで、順番に解決していきます。自分の提案により、財務状態が改善していく姿も目にできる」
谷さんの場合、入社して配属されたのは発足から1年半、社内でも新部署にあたる「金融財務支援部」だった。立ち上げ期には、まだ経験が浅い谷さんにも様々な業務が託された。
「中でも印象に残っているのが、プロジェクトマネージャーとして経営者向けの財務勉強会を立ち上げたことです。社内外たくさんの方に協力いただき、100社近くの経営者に参加してもらえる勉強会にすることができました。じつはそれまで、大勢の人を巻き込んでプロジェクトを進めたような経験がなくて。前職時代には得られなかった経験を通して、大きな成長実感を得ることができました」
経験の浅い人材にもチャレンジングな環境が与えられる。それを通して、成長実感を得ていく。こうした点も船井総研の特徴だと言えるだろう。
そして取材の終盤、何のために働くのか、今後どんな姿を目指すのか、谷さんの仕事観を伺うことができた。
「経営者の皆さんが頼ってくれることが、やりがいで。私のことを会社の一員として見てくれるような方ばかり。だからこそ、“担当企業をしっかり支えなければ”という気持ちが生まれます」
谷さん自身の中で、顧客企業との向き合い方にも変化があった。
「銀行員時代は、お客様という意味で顧客のことを”御社”と呼んでいました。でも今はある意味”我々”なんです」
これからも経営者と二人三脚で、企業を支えていきたいと語ってくれた谷さん。今日も日本中を飛び回り、経営者の相談に乗っている――。
※年齢・役職などは取材時(2018年6月)のものです
(*1)
2017年版中小企業白書 概要
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/h29_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf
(*2)
中小企業、74%が人手不足を実感 中小機構の緊急調査
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ12HP0_S7A410C1TJC000/