INTERVIEW
ByteDance | コンテンツ オペレーションマネジャー

「すべては数字の集積の上に」
TikTok、データドリブンなサービスにかける野望

掲載日:2019/05/16更新日:2021/02/18

2018年、時価総額750億ドル(*)を突破。「世界最大のユニコーン企業」と評されるのがByteDanceだ。主要プロダクトTikTokは今や世界150ヵ国に展開、10億DLされる巨大コンテンツへと成長。その中でも今回は、日本における新規ユーザー獲得・アクティブ率向上をミッションに担う、石谷祐真さん(28)を取材した。

(*)約8.3兆円

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※記事内の情報は、2019年5月掲載当時のものとなります。

AI技術に巨額投資、データドリブンなカルチャー

ByteDanceほどデータドリブンな企業は珍しいと言えるかもしれない。

膨大なビッグデータの処理技術。そして、予測モデルを作るAI技術に積極投資。そうして生まれたのが「TikTok最大の強み」とも言える、極めて強力なパーソナライズ・リコメンド機能だ。

「ユーザーが行った全てのアクション、 "いいね" はもちろんのこと、閲覧履歴やタップ、スワイプも全てログとして蓄積されています。そしてByteDance独自のアルゴリズムに基づいて、ユーザーさん一人ひとりが興味を持つコンテンツを提示できる。これが私達の強みです」

こう語ってくれたのが、石谷祐真さん(28)。日本における新規ユーザー獲得、アクティブ率向上をミッションに持つ人物だ。

「今日よりも一ヶ月後、そしてさらに半年後、データの蓄積が進めばリコメンド精度はさらに高まる。その先には、今までの検索エンジンに変わるような、次世代の検索UI/UXを生み出せるとも思っているんです」

同社のカルチャーに迫る。

ByteDance

TikTok
15秒のショートムービーを作成・共有できるアプリ。世界150ヵ国に展開、2018年第3四半期の世界アプリ市場ダウンロード数では「1億8500万ダウンロード」という数字を記録し、インスタグラムを上回る第4位の座を得た(*1)。日本には2017年8月に進出。2018年にはソフトバンクグループなどから30億ドル(約3,360億円)という巨額の資金調達を実施したと報じられた。

石谷祐真 (28) コンテンツオペレーションマネジャー
コンテンツチーム、日本人社員第一号。北京外国語大学を卒業した後、日本に帰国。教育事業を手がける企業で新規事業(中国語教育)を推進した。その後はコンサルタントとして、訪日中国人向けマーケティングや越境ECビジネスのコンサルティングに従事する。ByteDance社にジョインしたのは2018年11月のこと。アプリのさらなる成長をミッションに、TikTokにおけるコンテンツ企画に携わる。

ByteDance

世界150ヵ国に展開、共通言語は 数字

世界展開する同社は、約15ヵ国に拠点を構えている。彼らが世界共通で重要視するものはデータであり、数字だ。

石谷さんが担当するのは、TikTok内のコンテンツ企画。実際の仕事を例に、同社のカルチャーを語ってくれた。

「使ったことがない方のために説明すると、TikTokにはハッシュタグチャレンジというコンテンツがあるんです。ユーザーさんが動画を撮影・投稿するキッカケにもなる、非常に重要な役割で。TikTokならではの遊び方だし、TikTokユーザーならではの楽しみ方と言えるかもしれません」

「たとえば母の日に向けてカーネーションを贈る企画をやろう、とアイディアが浮かんだとして。ユーザーさんのうち、何人が実際に花屋に足を運ぶのか。そこから撮影をして何人がTikTokに動画をアップしてくれるのか。加えて、それを観た人は何を感じるか。"いいね"なのか シェアなのか…因数分解すれば、企画の粗が見えてくる」

どんなコンテンツが受け、何がヒットするのか――ある意味、属人的で感覚的とも言える領域。ただ、同社ではあくまでデータを前提に議論するという。

「これは本当にすばらしいことで。数字は最も合理的だし、誰かの権限に左右されるものではない。暗黙のルールなんてものもないし、忖度もこの会社には通用しない。それって、正しいことを正しくやれる環境とも言えると思うんです」

そこから語られたのが、石谷さん自身が感じている醍醐味。

「議論を重ねて企画が進んだ結果、狙い通りにユーザーから反応が得られた時って、ものすごくアドレナリンが出るんです。ユーザーさんの話題に上がり、そこから歌手や芸能人の方も参加してくれる。自分発信のアイディアが何万人、何十万人という規模で一気に広がっていく。こんなにエキサイティングな経験ってなかなかできないですよね」

ByteDance

世界の成功事例を取り入れる

ByteDanceもうひとつの特徴が、プロジェクトの進め方だ。シリコンバレーなどで成功するやり方を、次々と取り入れていく。

「たとえばうちでは、目標管理はKPIではなくOKR(*)。プロジェクトを進める際はまずPOCという責任者を最初に決めます。彼・彼女がデッドラインとToDoリストをすぐに作る。"とりあえずランチで相談" とかじゃない、その場でToDoを決め推進するんです」

さらに、成功事例を共有する文化についても語ってくれた。

「世界中で毎日テストがなされ、ノウハウ・事例が積み上がっている。それを活かさない手はないですよね。逆に、自分たちが施策をやったらすぐにレポートを作って、テレビ会議で発信する。いろんな国の聞きたい人が自由に入ってくるんです。そして矢継ぎ早に質問が寄せられる」

「やり方に固執するのって、あまり意味がないと思っていて。良いものはすぐに取り入れて、アップデートした方がいい。それが健全な競争ですよね。」

(*)OKR(Objectives and Key Results)とは、米・インテル社で誕生した目標の設定・管理方法。Google、Facebookが取り入れていることで、近年注目を集めている。

ByteDance

15秒で感情を揺さぶる、新時代のコンテンツ

そして取材終盤、石谷さん自身の想いに触れることができた。

「ショートムービーが浸透したのは、まだこの数年の話ですよね。私はここに、ものすごく大きいポテンシャルを感じているんです」

続けてこう語る。

「人の心を動かすクリエイティブって、いつの時代も求められてきたもの。そこに対する新しいアプローチですよね。自分の話になってしまうんですが、この前、家で妻がTikTokを観て笑っていたんです、直後、スーパープレーを見て驚いて。かと思えば次の瞬間、涙目になっていた。15秒の動画で、ここまで人の感情をぐらぐらさせることができる。それがTikTokです。映画監督、クリエイターでも難しいことが、今ユーザーさん達によって起きようとしている」

最後に伺えたのが、石谷さんが日本で目指していきたい姿について。

「中国ではすでに、子どもから大学生、主婦、おじいさん、おばあさんまで本当にあらゆる人がTikTokで遊んでいる。日本でもその流れを作りたいんです」

テレビCM放映や、ユーザーの増加。フェーズは成熟期へ入ったようにも見えるが。

「ありがたいことに、最近はそう評価してもらえるようになりました。だけど決して今はそういう時期じゃない。むしろ発展期。これから成長していくし、私がさせていく」

時折のぞく鋭い眼差し。そこからは彼自身の闘志、そしてサービスにかける熱い想いを垣間見た。

「中途半端な中目標みたいものはないんです。とにかくビジョンは大きく描く。だからこそ仕事は楽しくなりますよね。老若男女問わず、どの世代も楽しめる場所を創る。そのために、優秀な仲間達と毎日全力で走っていく」

彼らの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

 

(*1)中国初のグローバルアプリTikTok運営するByteDance —— 創業者は35歳、武器はAIリコメンド│BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-179410

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