いま大企業が「働き方」アップデートに向け、本格的に動きはじめた。リモートワークをはじめ、副業解禁、ジョブ型雇用の導入など、様々な取り組みが進む。具体的にどのような取り組みが行われているのか、実際の求人とともに見ていこう。
「働き方改革」を旗印に、従来の働き方を見直し、様々な取り組みを進めてきた大企業。特にコロナ禍を契機に、その動きは加速している。
例えば2020年以降、リモートワークは多くの企業によって導入された。すでにオフィス縮小やコロナ以降もリモートワーク制度を継続すると発表している企業もあり、今後より働き方のスタンダードとして選択されていくと見ていいだろう。
もう一つ、大きな流れとして注目したいのが「副業解禁」の動きだ。2020年以降、キリンホールディングス、第一生命、IHIなど、「副業解禁」の発表が相次ぐ。さらに「副業人材」の採用に踏み切る企業も出てきた。
その他、職務領域を明確化した「ジョブ型人事制度」の導入、人材育成を目的に期間限定でスタートアップに移籍させる「レンタル移籍」など、様々な試みによって「働き方」をアップデートさせている。
では、なぜ大企業で働き方アップデートへの動きが活発化しているのか。
その大きな理由の一つが、「優秀な人材」を確保し、企業としての競争力を高めるためだ。
特にビジネス環境は激しさを増し、不確実性が高まる時代。大企業といえど安泰とはいえなくなるなか、ネームバリューだけで優秀な人材を引きつけることは困難となりつつある。
いかに「優秀な人材」に選ばれる職場環境へと整備し、採用における優位性を高めていくか。さらには人材流出を防いでいくか。いま人材戦略において、重要なミッションとなっているといえるだろう。
また既存事業が淘汰されゆく危機感も高まるなか、この時代に適応したビジネスモデルにアップデートしていく必要もある。多様な挑戦のフィールドを提供し、幅広い経験を積ませることで、より多く変革を担える人材へと育成していく。新たな試みの背景には、こうした狙いも見て取れる。
「優秀な人材」に選ばれる企業へ。こうした動きが進むなか、若手人材にとっても、より注目すべきキャリアの選択肢となっているといえる。
特に各企業では、どういった取り組みが進められているのか。一例として、実際の求人とともに紹介していこう
2020年7月、「KDDI新働き方宣言」を発表。
具体的には以下の取り組みを進める方針だ。
・従来のオフィス勤務を前提とした勤務形態から、テクノロジーを活用し、働く時間や場所にとらわれず成果を出せる柔軟な働き方に変革するための環境整備、制度改革の推進
・役職や組織などによらず垣根を越えたコラボレーションを進め、オープンに知見を共有するカルチャーへの改革
・働き方とカルチャーの改革を通じ、社員の能力発揮を最大化し、エンゲージメントを高め、企業の持続的な成長を目指す
例えば、人事制度においても、市場価値に基づく報酬制度や専門性をより深められる環境の実現などを目的に、職務領域を明確化した「ジョブ型人事制度」を新たに導入。就業時間の約2割を目安として自部署以外での業務を経験できる「社内副業制度」をはじめ、多様な成長機会やチャンスを提供していく方針だ。
【参考】KDDI・プレスリリース
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/07/31/4580.html
2020年10月、ニューノーマルな働き方の実現に向け、新たな勤務制度を導入した。
これにより、回数制限のない「フル在宅勤務」が可能に。具体的には、「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」、外出先での「モバイル勤務」の3つの選択肢から、各人の業務に合わせて最適な勤務場所を選択できる。
同時にすでに運用する『スマートワーク勤務制度(フレックスタイム制)』では「コアタイム」が廃止され、勤務時間もより柔軟に選べるようになった。
【参考】凸版印刷・プレスリリース
https://www.toppan.co.jp/news/2020/09/newsrelease_200930_2.html
2020年10月、「週休3日・4日制」の導入方針を発表し、大きな注目を集めた。また同年11月からはフレックスタイム制の適用者を拡大している。
リモートワークにおいても、積極的な導入が進む。例えば本社に勤務する社員の25%がリモートワークで業務を行う体制を恒常化すると発表。さらに2020年度中に「オフィス」「自宅」に次ぐサードプレイスとして、サテライトオフィスを首都圏9箇所に開設する方針を示した。将来的には拠点数をさらに拡大していくという。
もう一つ、2019年には、メガバンクとしてはじめて「副業」を解禁している。
【参考】みずほフィナンシャルグループ・プレスリリース
https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20201106release_jp.html
その他、各企業において「働き方アップデート」が進められる。ぜひ気になった企業では、どういった取り組みが行われているのか。キャリアの選択肢として検討する上でも、ぜひチェックしてみることをおすすめしたい。