リモートワークの普及や教育現場のオンライン化をはじめ、人々のライフスタイルが劇的な変化を遂げた2020年以降。新しい環境にストレスも増えるなか、心地よく過ごすための"癒やし"となる、「お菓子」の商品戦略にも変化が見て取れる。今回は実際の求人とともに、その新たな動向を見ていこう。
いまお菓子メーカーの商品展開において、いかに新しい生活様式に合わせた"お菓子体験"を提案するか、一つのテーマとなっているといえるだろう。
例えば、カルビーが2020年9月にリリースした新シリーズ「otomo pack(オトモ パック)」は一つの事例として挙げられる。
この特徴といえるのが、机の上に置きやすく、チャック付きで持ち運びやすいパッケージだ。食べやすいひと口サイズで、好きな時に、好きな場所で手軽にお菓子を楽しめる、ライフスタイルの中での"ひとやすみ”時間を提案。Withコロナ時代の“ひとやすみ”時間に最適な商品ラインアップとしている。
もう一つ、プロモーションにおいても、明治が「おうち時間をハッピー&スイートに」をキャッチコピーとして『チョコレート大作戦』を展開。特設ページやSNSなどで、手作りチョコづくりをはじめ、自社商品を通して"おうち時間"を楽しめる情報を発信している。
もう一つ注目したいのが、「健康志向」を捉えた商品戦略だ。
特にコロナ禍を契機に、人々の健康への意識は一層高まっているといっていい。こうしたニーズを捉え、各社では新たな商品開発が行われている。
例えば江崎グリコでは、ロングセラーブランド「パピコ」において、新シリーズとなる野菜アイス「パピベジ」をリリース。2020年8月にも、新フレーバーの「トマト&オレンジ」を投入するなど、手軽に野菜を摂取したいという需要獲得を狙い、積極的な展開を仕掛けている。
もう一つ、ブルボンでいえば、2021年3月に便利な食品シート“かんたんクッキング”シリーズにおいて「ちょこっと+豆乳きなこ」を発売開始した。
“かんたんクッキング”シリーズは、食パンを手軽に、おいしくアレンジできる商品ラインナップ。在宅時間が増えるなか、食を通じたコミュニケーションツールとしても活用される。今回新たに、プロテイン、食物繊維、カルシウム、鉄など、不足しがちな栄養素を補える商品としてリリースされた。
未曾有のパンデミックが続くなか、お菓子は「癒やし」や「やすらぎ」をもたらす一つのツールだといっていい。ニューノーマルといわれる時代において、いかにお菓子による新たな体験を提案していくのか。お菓子メーカーには、いまだからこそ得られる、おもしろさや醍醐味もあるはずだ。