INTERVIEW
東京都|宮坂学副知事

2022年、東京都のデジタル人材増強にむけて公募を開始。デジタルの力で、東京を「世界一の都市」に。

掲載日:2022/01/06更新日:2022/02/10

東京都のDXを加速度的に進めていくために――。2022年1月、東京都の「デジタルシフト推進担当」の更なる増強を図るべく、公募を開始する。今回募集を行う「デジタルサービス局」が担うミッションとは。そして、デジタルの力を駆使して描く東京の未来、都政のDXに携わる意義、その経験から得られるものについて、東京都の宮坂学副知事に伺った。

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東京都のDXを“加速度的”に推進するために

2022年1月――東京都にてデジタル人材の公募プロジェクトが始動した。募集を行うのは、2021年4月に発足した「デジタルサービス局」だ。

「デジタルの力によって行政を推進し、都政のQuality Of Service(以下、QOS)を飛躍的に向上させていく。これがデジタルサービス局のミッションとなります」

こう語ってくれたのが、東京都の宮坂学副知事だ。

東京都が掲げるのは、東京版 Society 5.0「スマート東京」。その実現に向け、デジタルサービス局が中心となり、都政のDXを横断的に推進する。

「スマート東京」の実現に向けた3つの柱
・「電波の道」で「つながる東京」=TOKYO Data Highway
・街のDX=公共施設や都民サービスのデジタルシフト
・行政のDX=行政のデジタルシフト

「東京都のDXを加速度的に進めていきたいと考えています。そのためにもデジタルサービス局の組織力を向上させ、都庁にデジタル文化を築き上げていく。今回の公募は、その中核となる職員を求めるものです」

デジタルサービス局における役割、そして、東京都がデジタルの力を駆使して描く未来図、都政のDXに携わる意義、その経験から得られるものについて伺った。

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東京都副知事 宮坂学氏

“顧客”は、すべての都民、都庁職員、区市町村

まずはじめに伺えたのが、2021年4月に発足したデジタルサービス局の役割について。

同局が“顧客”とするのは、

「法人・個人を含むすべての都民」
「都庁職員」
「区市町村のICT担当職員」

と広い。とくに重視するのが「サービスの良し悪しを決めるのは顧客」という考え方だ。

より身近な「すべての都民」向けでいえば、この2年で各種証明書のオンライン申請などが可能に。行政サービスの利便性は向上している。ただ、宮坂副知事によれば「当たり前にやるべき部分」だと言う。

「オンライン申請や行政手続のデジタル化などは、都として都民の皆様、事業者の皆様に対し、これまで大変迷惑を掛けてきた部分だと捉えています。例えば、民間事業者が行政手続に対応するためのコストは、人数換算で年間数十万人規模に及ぶというデータもあります。こういった部分は、ある種、起きなくてもいい“摩擦”が起こっている状態です」

まずはその“摩擦”をゼロにし、プラスアルファで価値を届けていく。その上でも重要な役割となるのが、都庁職員・各局との連携だ。

「デジタルはあくまでも手段。QOSを向上させ、デジタルガバメント・都庁を実現していくためには、それぞれの局が手掛ける事業に、デジタルで貢献し、成功に寄与していくことです。各局が主役。また、それまでデータ集計・分析の発想がなかった分野でも、その手法を取り入れ、リリース後にもデータを見ながら、QOSを追求していく。そういった文化を行政組織に定着させていきたいと考えています」

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都政の構造改革ポータルサイト「#シン・トセイ」では、「新たな都政=シン・トセイ」の実現に向け、都政の構造改革の最新情報を発信。活発に意見募集や推奨度調査が行なわれ、各プロジェクトの担当部署に直接届く仕組み。改革推進プラットフォームとしてアジャイルな改革、ユーザー目線に立つデザイン思考の実践を目指す。

デジタルの力で、東京を「世界一の都市」へ

都政のDX、その先に見据えるのは、グローバルでの都市間競争だ。

「民間のシンクタンクが発表したランキングによると、東京の総合的な都市力は、ロンドン、ニューヨークに次ぐ世界第3位と、非常に高いランクに位置しています。さらに新型コロナウィルスという外的要因により、都政におけるDXも、数年規模で“時計の針”を先へと進めることができたと思います。ただ、海外における様々な都市と比較すると、デジタル競争力の分野では低迷し、遅れを取っているのが現状です」

一方で、それは「伸びしろがある」といった見方もできる。

「デジタルを活用することで、さらに高い都市機能、魅力のある都市に進化していける、ということでもあります。例えば、諸外国の都市では、水道の漏洩をスマートメーターで感知したり、ゴミ箱のゴミが溢れたら自動で検知して収集したり、デジタルを活用しているわけですが、東京はデジタルを活用しなくても都市ランキングで高い評価をされるほど十分機能している。ここにデジタルをフル活用してサービスを上乗せすることができれば、QOSを飛躍的に向上させることができる。東京のポテンシャルは世界有数です。デジタルが無くてもできる、ではなく、デジタルでさらに進化させる。そういった発想へとシフトしていければと思います」

そもそも東京都には「本質的なエンジニアリングカルチャーがあると感じる」と宮坂氏は言う。交通、水道、下水道など都市インフラ機能において、世界トップクラスの水準を誇るのが東京都だからだ。

「魚は水を知らない、といった言葉がありますが、感謝や意識されているうちはまだインフラとして未成熟と言えるのかもしれません。水道の蛇口を捻れば、きれいな水がいつでも出てくる。おそらく100年前であれば、魔法のような道具だったわけです。それを実現するために、想像を超える試行錯誤、努力、培ってきた素晴らしい技術があります。デジタルはまだまだ意識させてしまっていますよね。デジタルサービス局はまだ1年目ですが、いずれ水道や交通と同じように、意識されない都市インフラを担っていければと思っています」

加えて、デジタルサービス局として重要な役割が、これまでデジタルに適していなかった法律・制度などの整備だ。2021年4月1日に施行された「東京デジタルファースト条例*」もその一つと言える。

* 都における行政手続のデジタル化を徹底すべく、これまでの「オンライン通則条例」を抜本的に改正する「東京デジタルファースト条例」が制定された。この改正により、書面で行うことを前提としてきた都の行政手続を大きく転換させ、いつでもどこでもデジタルで手続きを完結できる環境を整える礎となった。

「これまで法律、制度、条例など、デジタル時代を前提としていないものも多く、DXが加速しない原因にもなっていました。ただ、規制緩和を含め、そういったところを整備していくこともデジタルサービス局の役目だと捉えています。英語では制定法、法律集、規約のことを「code」と表現します。まさにデジタルサービスは「code」によって作られていく。「code」に則り、政策が動いていく。システムの考え方と根本は同じです。そういった意味でも、デジタルを考慮し、時代に即したルールへとプログラミングし直すことも役割の一つだと思います」

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各局の担当者、自らが「現場の課題」を解決できるプラットフォームを

続いて伺えたのが、より具体的な開発プロジェクトについて。その体制として、デジタルサービス局が主導するもの、各局が主導していくもの、共同で進めていくものと様々。ただ、そのあり方も変えていく部分の一つだ。

「デジタルサービス局が、各局から依頼されたシステムを個別につくっていくのではなく、重要になるのは、各局の職員たちが業務に適したアプリケーションを自ら作り、課題解決できることだと考えています。そのために業務改善、業務効率化できるクラウドサービスの選定や、必要であればトレーニング、サポートを行なっていく。そういった意味で、今後、デジタルサービス局がつくるものは、プラットフォームになっていくと考えています」

62区市町村の成功が、東京都の成功

そのDX支援は、各区市町村におけるCIO・ICT担当に対しても同様だ。

「最も都民の皆様と接するのは、区市町村です。東京都としてQOSを上げ、都民の皆様の生活の質向上をミッションに掲げる以上、その各区市町村のCIO(Chief Information Officer)や、ICT担当者を支援していく。当然、基礎自治体ですので、権限は自治体にあるわけですが、様々な方とお話させていただくなかで、人員不足をはじめ、非常に多くの課題を抱えているのが現状だと感じています。東京には62の区市町村がありますが、1つでも失敗したら、それは東京の失敗。「誰一人取り残さない」 はSDGsにおける理念でもありますが、東京都でも同様。62区市町村、すべての成功を目指していきます」

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「個人的に考えている将来的な夢としては、デジタルサービス局で働き、しっかり貢献してくれたデジタル関連の職員が、日本各地でCIO、ICT担当としてさらに活躍の幅を広げていただけること。当然、都庁で長く働いていただきたいですし、活躍し続けられる環境は整えていく。その上で様々な選択肢が広がることが理想的。デジタルと行政のいわば「掛け算人材」の需要は、今後も非常に高まっていくはずです」

行政DXは、真に未開の地。だから、おもしろい。

そして最後に伺えたのが、2022年というタイミングで、東京都職員として働くことで得られるものとは――。

「まず東京は都市圏として世界最大級の規模を誇ります。そういった世界的にも類を見ない都市をデジタル化していく。ある意味で、歴史を作っていく仕事でもあり、非常にやりがいを感じていただける部分だと思います。デジタルに携わる上で、世界で最もおもしろいのではないかと私個人は感じています」

前職のヤフー株式会社の代表取締役社長を経て副知事となった宮坂氏。現在の行政DXの現状について「まるでインターネット黎明期のよう」と表現する。

「約25年前、インターネットが登場して間もない頃、その世界に身を置くようになったのですが、非常によく似た状況だと感じています。当時、ビジネスにインターネットが活用できるのか。そもそも普及するのか。未知数でした。いわば誰も上陸したことのなかった島。そこに上陸してみると、広大な土地が広がっていた。行政DXもまさに同じ状況です。本当の意味でのアドベンチャーが好きな方にとって2022年の今、公務員としてデジタルシフトを推進することは非常におもしろい仕事になるはずです。私自身に置き換えても、行政でのデジタル活用が当たり前になるであろう、10年後であれば、公務員は選択していなかったと思います。同時に、役割や権限がはっきりとした環境でしか働きたくない方には向いていないと思います。デジタルサービス局の発足から約1年。果たすべき役割は徐々に重要になり、都庁内外からの期待も上がるなど、様々な課題と日々向き合っています。そういった環境を楽しめる方が活躍できるはずです」

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