国内MAUで9,000万⼈以上(*2021年12月末時点)、日本の⼈⼝の70%以上をカバーする「LINE」。コミュニケーションを軸に、情報・サービス、企業・ブランドと、それらを必要とする「人」がシームレスにつながる「スマートポータル = スーパーアプリ構想」の実現を掲げ、サービスを拡大する。現在、30以上に及ぶ関連サービスがあり、PM(プロダクトマネージャー)採用強化へ。今回お話を伺ったのはコミュニケーションアプリ「LINE」の企画組織でPMとして働く岩本俊介さん(33)。もともとデジタル広告代理店に勤務していた彼。転職の裏側にあったのは「より多くの人の役に立つサービスを作りたい」という志だった。
LINEが、さらなる進化を続けている。
2022年1月現在、LINEアプリの国内MAUは9,000万⼈以上。じつに日本の⼈⼝の70%以上をカバーしており、生活を支えるプラットフォームと言ってもいいだろう。
そのLINEが掲げるのが「スマートポータル = スーパーアプリ構想」の実現だ。オフライン、オンラインの垣根を越え、情報・サービス、企業・ブランドと、それらを必要とする「人」がシームレスにつながる世界を目指す。
コミュニケーションアプリ「LINE」を中心に、「広告」「コンテンツ・その他」をコア事業、「Fintech」「コマース」「AI」を戦略事業と位置付け、さらなる成長曲線を描いていく。
さまざまなサービスが展開されるなか、同社ではプロダクトマネジメントの重要性がさらに増している。2021年より「PM Success TF*」と呼ばれるプロダクトマネジメントを担う人材の成長環境を発展させるプロジェクト/組織も始動した。
PM Success TF(タスクフォース)*
Effective Team and Delivery室 室長の横道稔氏がリードする、全社横断の取り組み。各プロダクトの現場でプロダクトマネジメントを行うメンバーや、育成や採用に携わる人事組織のメンバーが参画し、共同で社内コミュニティ形成、制度設計、PR・採用推進などを行なう。社内コミュニティで交換されるナレッジや人の繋がりを各プロダクトに活かすことにつなげており、また、全プロダクトのプロダクトマネジメントを担う人材に共通して求められるスキルセット、マインドセットなどの言語化、それらをベースにしたさらなる成長のためのガイドやノウハウの提供などが順次進められている。
「LINEと聞くと“既に完成されたプロダクト”と思う方がいるかも知れませんが、全くそんなことはありません」
こう語ってくれたのが、LINEアプリの企画組織でPMとして働く岩本俊介さん(33)。既存サービスのグロースはもちろん、さまざまな連携、新規プロダクトの開発、組織づくり含め、LINEは今がまさに進化の途上にあるという。
もともとITコンサル、デジタル広告代理店にてプロダクト開発の経験を積んできた岩本さん。なぜ、彼はLINEを次なるフィールドに選んだのか。そこには「より多くの人々の役に立つサービスを作りたい」という志があった――。
前職時代、LINEを活用したマーケティング施策の企画開発などに携わってきた岩本さん。当時から、LINEに大きな可能性を感じていたと振り返る。
「2016年からデジタル系の広告代理店、いわゆるデジタルエージェンシーで働き始めたのですが、多くの企業がLINEをユーザーとのコミュニケーションに利用し始めた時期でした。そこでLINEの広告提案はもちろん、主にLINE公式アカウントのタイムライン(現「LINE VOOM」)のフォロワーに対するキャンペーン企画、サービス開発、システム連携などに携わっていました」
LINEは企業と利用者をつなぐ「機能」としても大きな役割を果たす。それはビジネスにも大きな変化をもたらすものだった。
「例えば、宅配ひとつとっても、LINE公式アカウントで配送状況を知ることができますよね。他にも飲食店の予約ができたり、ショッピングができたり。企業が提供するサービスとその利用者、両方にとってきちんと「意味のあるもの」としてLINEは機能します。メッセージのやりとり、いわば日常の延長にある行動でビジネスの課題が解決されていく。ここがLINEならではですし、魅力的なプラットフォームだと感じていました」
そして強く抱くようになったのが「サービスの作り手側にいきたい」という思いだ。
「代理店に勤務しながら、さまざまなプロジェクトで経験を積むことができました。ただ、どうしても代理店の立場では自分が主体となり、直接的に使ってくれる人の役に立つプロダクトの開発はできません。“使ってもらう意味”から考え、届けたい。事業を持つ会社で、自分が意思決定する働き方をしてみたいと考えてました」
複数の選択肢があるなか、なぜ、LINEへの転職だったのか。最後の決め手についてこう語ってくれた。
「選考に進む上で、LINEのPMのみなさんと食事しながら話をしたのですが、その日のことを鮮明に覚えていて。雑談をしていたのですが、いつしかブレストみたいになり、その場でどんどんプロダクト改善案が出てきた(笑)LINEというプロダクトのことはもちろん、プロダクト開発自体のことを好きな人たちが集まっているんだなと感じて。最後は「人」で決めたところが大きかったです」
事業会社と、コンサル・代理店などのクライアントワーク、それぞれに向くタイプについて「事業会社は実現したいこと、そこに強い思いがあるタイプの方が向いている気がします。指示のない仕事も多いため、課題やビジョンを自ら掲げ、直接的に動き、長期的に取り組んでいく。一方で、さまざまな業種や職種の人たちと働き、比較的短いスパンで毎回異なる課題に向き合いたい方はクライアントワーク向きかもしれません」と語ってくれた。
こうしてLINEに入社した岩本さん。働くなかで感じた「LINEのPMとして働く魅力」について語ってくれた。
「まず日本国内で約9,000万の方が、しかも日常的にとても高い頻度で使ってくれている。この規模のサービスは、なかなかありません。世の中のデジタル化が加速していくなか、LINEは今後さらに大きな役割を果たす。そのプラットフォームをさらに成長させる挑戦ができます」
岩本さん自身が現在担当しているプロダクトは、「スマートチャンネル」。LINEのなかでも多くのユーザーが頻繁に見ている「トークルーム」上部に表示されるサービスだ。ユーザーの興味・関心に合うお役立ち情報が自動配信される。
「みなさんがよく使うLINEのメッセージ、いわゆるトークルームですが、おそらく日本で最も見られるページのひとつと言っていいと思います。その上部にて、意味があるコンテンツを提供していくサービスです。さまざまなデータと向き合いながら、仮説検証し、自分が主体となってプロダクトを開発できる。ここが一番のおもしろみだと思います」
トークルームの上部に表示される「スマートチャンネル」。天気予報や電車の運行状況、話題の記事などお役立ち情報が、自動でピックアップされて配信される。配信情報は、過去の閲覧・クリック履歴などの情報に基づいてカスタマイズされ、配信頻度を学習させることができる。
このスマートチャンネルは、いわゆる“プッシュ型のメディア”としての捉え方もできる。ただ、求められる情報が届けられれば、ユーザーの視点からは「欠かせない機能・サービス」だ。たとえ、届くものが広告であっても“役に立つ”ことが基点だ。
「ユーザーが求めているけど、届けられていない情報は何か。それはどう届けられるか。LINE社内だと“WOW”という言葉を良く使うのですが、ユーザーにとって役に立つか? メリットがあるか? それは本当に感動されるか? ここは最も大切にしているところですし、今このタイミングでさらに注力していきたい部分。今後のスケールを見据えてプラットフォームのアーキテクチャを変更するプロジェクトがちょうど完了しました。こういった開発により、ユーザー体験が損なわれないカタチで、企業側からの情報も届けられれば、収益にも貢献する仕組みとなります。例え広告自体が売れたとしても、ユーザーにメリットがなければミッションは達成されない。ここは前提の考え方にあると思います」
“LINEはプロダクトとして完成されているのではないか”そういったイメージはどうやら異なるようだ。
「本当にあらゆる面でまだまだ未完成。スマートチャンネルだけでも、どのようなコンテンツを育てていくべきか、どういったUIにしていくべきか、それらが反映できる仕組みをどう開発するか。システムで自動化しているところもありますが、できていないことがたくさんあります。最もたくさんのユーザーが見てくれている場所ですが、まだまだニーズを拾えていない。ここをブラッシュアップし、LINEを訪問する理由のひとつにする。そこまで持っていきたいですね」
LINEが大切にする「WOW」には、LINEの価値基準が詰まっている。WOWは「ユーザーを感動させる初めての体験」「思わず友だちに教えたくなるような驚き」を指す。市場をリードし、世界のパラダイムを変える NO.1 サービスには必ずWOWがある。「さまざまなチームがありますが、例えば、友だち同士のコミュニケーションひとつ取っても、他のサービスを使うシーンは無数にあります。もしかしたら「本当はLINEで使えたら便利だけど、何か問題があってできていない」ということもあるはず。そういった声をきちんと拾ってサービスに反映できれば、より多くの人に使ってもらえると思っています」と岩本さん。
もうひとつ、“LINEでこそ得られるもの”として挙げてくれたのが、「優秀なエンジニアとのプロダクト開発経験」だ。
「もともと私自身、新卒でSIerに入社し、エンジニアとして働いてきました。開発にも携わってきましたが、LINEには本当に優秀なエンジニアがたくさんいる。この環境はすごく恵まれていると思います。そういった方々の知見をフルに活かしていける。よくプロダクト開発の現場で言われることですが、PMとして「Why」に集中できますし、「What」はディスカッションしつつ、解決策となる「How」を任せていける。そもそもの「Why」に共感を集めたり、「How」の検討のために情報を揃えたり、コミュニケーションを設計したり、こういったPMとしての経験を積むことができています」
そしてあらゆる進め方として、ボトムアップ型がベースとなる。
「プロダクトにしても、何にしても、基本的にはボトムアップ型でつくりあげていく組織。それぞれのプロダクトにおける戦略も任されますし、いわゆる大きなプロジェクトでも、PMとしてできることが多い。自分たちが課題だと思ったところに対して、ユーザーリサーチなど含め、腰を据えて取り組めます。ここもPMとしてすごく恵まれた環境だと思います」
入社後の感想として「経営層との距離がすごく近い。直接的に提案出来たりとか、相談する機会も多く驚きました」と岩本さん。「自分が考え、動いていく、仕組みから作っていくことが期待される組織だと感じます。さまざまなサービスがあり、各PMが担当するなか、横の連携も自分発で動いて進めていく。そういった部分はかなりベンチャー的。もし「大企業だからいろいろと整っているはず」と思う方がいたら、ギャップかもしれません」
そして取材終盤、岩本さん自身が、PMとして働く上で大切にしていることについても伺うことができた。
「すごく身近な例ですが、家族や友だちがLINEを使ってくれて「この機能、便利だね」と言ってもらえるのが、すごくうれしいんですよね。もちろん、自分自身の生活でも使いますし、その良さを体感でき、思いを込めて作ることができている。ここは私にとってすごく大切なところでもあります。同時に、PMは、そのプロダクトのことを一番考えている人。その人に自信がなかったり、あまり考えられていなかったりすると、上手くいかない。ちゃんと自分が考え、自信を持って人に薦められる。ここもすごく大事だと思っていますね」
最後に伺えたのが、岩本さんの仕事に対する価値観について。
「まず仕事の基本的な考え方は、価値を提供し、その対価としてお金をいただくものだと思います。なので、できるだけ多くの方々の生活に対し、たくさんの「便利」という価値を作っていきたい。同時に、仕事は、生活の時間の大半を占める生活そのものであり、仕事の充実度と生活の充実度は直結していると思う。仕事が楽しければ、生活も、人生も楽しくなる。悪いこと、楽しくないことをしても仕方がない。そう思うと、良いものを作り、届けるだけではなく、ちゃんと自分が楽しいと思えるものを提供したい。そこはこれからも持ち続けて働いていきたいなと思います」