REPORT
AI・IoTの活用も

変わるお菓子メーカー。ヒット商品に見る、各社の戦略

掲載日:2022/10/20更新日:2022/12/28
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消費者の嗜好性や時代の変化に合わせ、ヒット商品を生み出すお菓子メーカー。近年では、AI・IoTによる業務効率化などの取り組みも積極的だ。実際の求人とともに、その動向に迫っていこう。

「健康志向」「利便性」がキーワードに

少子高齢化や食生活の変化、健康志向の高まり…お菓子を取り巻く状況が変化している。こうした中、各メーカーが活発化させるのが、「健康志向」「利便性」を打ち出した商品企画・マーケティングだ。

その一例とも言えるのが、2018年に発売されたポテトチップス「じゃがいも心地(湖池屋)」。ユニークなのは、「野菜として芋のおいしさを楽しめる食べ物」として打ち出した点だ。通常のポテトチップスに比べ、芋を倍近くの厚さにスライス。従来の「油であげたお菓子」というイメージからの転換を狙い、商品名の上に「1枚1枚、野菜の味が濃い。」と表記した。

その結果、とくにポテトチップスを敬遠しだす40代~50代からも支持を獲得。売れ行きは当初予算の2.3倍を記録し、定番商品にラインナップされた(*1)。

また、「利便性」で言えば、ビスケットやスナック、ガム、キャンディーなどで100円台で購入できる「食べきりサイズ」などが次々登場する動きも。

たとえば、2019年には森永製菓が『ハイチュウミニ』に、新しい包装形態「小袋リクローズパウチ」を追加した。開け閉めが簡単で持ち運びが便利な特性を活かし、コンビニを中心に需要を拡大する。

さらにおもしろいのが、ブルボンの取り組み。2019年には、ロングセラー商品「ルマンド」を一口サイズにした「ひとくちルマンド」を発売。「手軽に食べられる」という付加価値を持たせることで、従来サイズと比べ高単価で展開する戦略を実現させている。

コロナ禍でニーズも変化。おうち時間に特化した新商品も

コロナ禍で消費者のライフスタイルは大きく変化した。そういった中、好調に推移したのがロングセラー商品だったという。

たとえば、ブルボン(「ルマンド」「アルフォート」等)、森永(「マリー」)ではビスケットの売り上げが好調。また、明治は主力のチョコレート商品の大袋商品が好調に推移した(*2)。

ファミリーパックや大袋商品の需要が高まったのも、「おうち時間」が増えたこの時代の特徴と言えそうだ。

またユニークな新商品も誕生している。2020年に発売された「スモーキープリッツ(江崎グリコ)」は、お酒とのマリアージュを目指した商品。“『夜の自分時間』を楽しんでもらうこと”をコンセプトに、燻製ベーコンとチーズをプレッツェルに練り込んだという。

2021年には“日本に酔うチョコレート”をコンセプトにしたチョコレートブランド「YOIYO(ロッテ)」が誕生。シングルモルトウイスキーなど、日本のクラフト酒を使用し注目を集めた。

ブルボン×人工知能スタートアップ、AI・IoTで業務効率化の流れ

菓子メーカーによる、AI・IoTなどを活用した取り組みにも注目したい。

たとえば、ロッテでは工場の「スマート化」を推進する。

『雪見だいふく』生産ラインでは、人の手で調整してきた機械をデータ化技術でカバーし、さらなる「品質の安定化(不良品の抑制)」を図る。「予知・予兆管理」機能を生かし、「止まらないライン」「不良品を作らないライン」などを作り上げ、故障や不良品をゼロに近づけていく方針だ。

さらにスタートアップなどとの連携も活発だ。

ブルボンで言えば、人工知能スタートアップの「シナモン」と提携。全国の卸売業者・小売店によるFAX注文書を電子データ化、業務効率化の取り組みをスタートさせた。その他の業務においても、AIの活用で効率化を進めていく計画だ。

時代の変化に合わせ、より愛される商品・ブランドをつくっていく。各メーカーの今後の展開にも注目だ。

(*1) 40~50代がなぜポテチ? 湖池屋「じゃがいも心地」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00022/032900010/
(*2)製菓メーカー5社が語る「コロナ禍のビジネス戦略」 売れた菓子、売れなかった菓子は?
https://www.businessinsider.jp/post-226534

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