INTERVIEW
JERA

エネルギー問題に、データ分析で挑む。世界最大級のエネルギー会社「JERA」で見つけた挑戦の舞台

2015年に「東京電力グループ」と「中部電力」が50%ずつ出資して誕生した「JERA」。総資産は10兆円を超え、LNG(液化天然ガス)の年間取扱量は約3,700万トンと、世界最大級の事業規模を誇る。国内26カ所に有する火力発電所における発電量は、年間約2,470億kWh。これは国内発電量の約3割に相当する。今回お話を伺ったのは、同社にAMBI経由で入社し、最適化部門* 統合ポートフォリオ戦略ユニットの一員として活躍している山口翔太さん(33)。前職で石油・原油取引に携わってきた山口さんがなぜJERAを次なるキャリアとして選択したのか。彼の転職ストーリーと同社で得られる成長機会について迫りたい――。

*最適化部門:「燃料調達→輸送→受入→発電→販売」の上流から下流まで一貫して持っているエネルギーバリューチェーン全体の資産をトレーディングも活用しながら一体的に最適化することで最も経済的かつ弾力的な運用を実現する部門。エネルギー調達と電力/ガス/燃料販売の収益と費用のスプレッド(利ざや)最大化を追求し利益の最大化を目指している。

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JERAについて
「日本(Japan)のエネルギー(Energy)を新しい時代(eRA)へ」その頭文字を由来とする「JERA」。2015年に「東京電力グループ」と「中部電力」の合弁会社として誕生し、「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」ことをミッションとし、LNGインフラの開発、最適化・トレーディング事業や再生可能エネルギー事業の拡大、LNG火力発電の性能向上、さらに脱炭素に向けた取り組みなどを展開し、エネルギー業界をリードする。また、再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせながら、電力の安定供給と脱炭素の両立を実現していく取り組みにも注目が集まっている。具体的には、石炭やLNGを燃料とした現状の火力発電設備に手を加え、それぞれ化学的に相性のいいアンモニアと水素を「混焼」することでゼロエミッション火力を実現する。2023年度には、混焼率20%の実証試験を実施し、その結果を踏まえた本格運用を見据える。

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「データ分析」を軸に据えたキャリアを追求していくために

はじめに前職時代の仕事内容から伺ってもよろしいでしょうか。

前職は、石油精製会社にて働いていました。バックオフィス部門でキャリアをスタートし、転職直前に携わっていたのは原油の購買・調達やタンカーの配船オペレーションです。その間シンガポール駐在も経験しており、調達実績の分析からオイルメジャー等との商談まで、幅広い業務を経験することができたと思います。

伺っているとグローバルでの経験を積むことができ、石油会社の調達といえば花形ポジションのように感じるのですが、なぜ転職を考えるようになったのでしょうか。

これまでのバックオフィスやシンガポール駐在の経験を経て、どんな仕事なら自分が一生苦にせず熱意をもって取り組んでいけるかを考えるようになりました。そしてこれまでの経験を思い起こしてみる中で、自分が時間を忘れて熱中できて、人よりも相対的に強みがあると感じていた「データ分析」を軸に据えたキャリアを追求したいと思うようになり、転職を意識するようになりました。

調達やオペレーション業務を担当する際も“データを効率的に収集し、深く分析する”という部分が私自身、最も価値を提供できる領域ではないかと感じていました。たとえば、資源価格をタイムリーに取得できるデータインフラを構築し既存のエクセルに取り込んだり、過去の調達実績を定量的に分析・可視化するプロジェクトに取り組んだりといったことを、主体的に行っていました。どのようにすれば、より効率的にデータを収集し、効果的な分析ができるか、更にそこから誰かに必要な示唆を与えられる“ストーリー”を抽出できるか、そういった一連のプロセスが楽しかったのだと思います。ただ、当然それらは普段の業務に付随する一部でしかなかったので、今後は業務のごく一部としてそういったことに取り組むのではなく、データアナリストとしての経験を積み、専門性を尖らせていける環境にいきたいと考え、転職に踏み切りました。

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転職先の業界として、石油やガス、金属など、広くコモディティ=資源領域を考えていたという山口さん。「コモディティは、個人的に非常におもしろいと感じています。政治や経済といったマクロ要因だけでなく、生産地の天候やストライキ、市場参加者のセンチメント等によって資源価格や輸送運賃も日々変化していくもの。そういった多様な要素をパズルのピースのように組み合わせ、最適な経済性を追求していくことに魅力を感じています。その中でデータ分析の果たす役割は大きいと考え、そこに取り組むことができることを転職の軸としていました」

新しい会社だからこそ、新しい挑戦ができる

そのなかでも、なぜ「JERA」だったのでしょうか。

もちろん、国内最大の電力会社であり、世界屈指のLNG調達規模を誇る会社だということは知っており、そのスケールの大きさも魅力に感じた一つでした。また、AMBI経由のスカウトが応募のきっかけだったのですが、選考が進むなかで、データを元にしたインテリジェンスに重きが置かれており、会社や部門の方向性が、自身が目指すキャリアのビジョンに合致していると感じたため、入社を決めました。

実は当初、エネルギー業界に絞って転職活動していたわけではありませんでした。エネルギー業界は一般的には伝統的で保守的な会社が多く、新たな取り組みや最新の手法を取り入れたデータ分析などにもそれほど積極的ではないイメージがあったからです。ただ、JERAに関しては、選考を通じてそういったイメージは払拭されたように思います。

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新たな組織で担う「ポートフォリオ戦略構築」のミッション

現在、JERAではどういった仕事を担当されているのでしょうか?

「統合ポートフォリオ戦略ユニット」という部署に在籍しています。部署のミッションは、調達・販売ポートフォリオ構築の戦略策定です。LNGや石炭などの燃料を調達し発電して販売するにあたり、どの燃料を、どの地域から、いくらで、どれくらいの数量調達するのか。対となる販売についても同様の検討を行い、リスクを抑えつつ収益性を高められる最適なポートフォリオを構築し、全社での実行につなげていくことがミッションとなります。

その中で、私自身は主に、LNG調達・販売案件の経済性評価に携わっています。モデルによる計算結果を可視化できる分析ツールを構築し、効率的かつ効果的にデータの解像度を上げていく。そして予想とは異なる計算結果となった際にはその原因がどこにあるかを統計的な視点などから解明し、前提の修正を行う。そういった部分で貢献しています。

そういったデータを活用した調達の定量評価、ポートフォリオ構築は、他のエネルギー会社でも一般的に行われているものなのでしょうか。

正直、他社がどうされているかは分からないのですが、少なくとも前職では、JERAのような専門組織を置いて戦略的に取り組めるようなリソースはありませんでした。JERAのスケールだからこそ、また新しいことに挑戦していく風土だからこそできることでもあると感じています。

実際に入社し、挑戦が歓迎される風土は実感されていますか

そうですね。まだまだ新しい会社・組織なので未整備のところも多いですが、それを埋める仕組みを、自ら提案することで取り入れていくことができる環境ともいえるかと思います。

私自身でいえば、従来、担当者ベースで各々進めていたデータ分析業務を標準化するテンプレートを新たに作成し、部署内に展開しており、また今後は他部署にも水平展開したいと考えています。そういった新しいことに主体的に挑戦し、他者を巻き込んでいく姿勢は大いに歓迎される風土だと思います。また、「挑戦」とは少し違うかもしれませんが、良い意味で変化が激しいのもJERAの特徴です。ここは入社後に非常に驚いたところですが、外部環境やニーズに合わせて組織や体制がかなり頻繁に、柔軟に変わっていきます。正直、この規模の会社で、これだけ組織がどんどんアップデートされる会社はあまりないのではないかと思います。

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「多様な人材が集まっていることも特徴ですね」と語ってくれた山口さん、「多くの中途入社者が活躍していると感じています。働く環境としても、在宅勤務と出社を組み合わせたハイブリッドワーク。オフィスはフリーアドレスで様々な人たちと交流できる環境があります。多様な人材が集まり、前例にとらわれず、どんどんチャレンジができるのもJERAで働くおもしろさです」

エネルギー業界の「データ分析」のスペシャリストに

今後、仕事で実現したいことがあれば教えてください。

今自分が持てるものをフル活用しながら、組織の課題解決に当たっていく。その中で、エネルギー分野のデータアナリストとしてのスキルを高めることで、自分が提供できる価値の範囲を広げていきたいと考えています。というのも、日本のエネルギー業界において、いわゆるインハウス(自社内)のデータアナリスト・データサイエンティストというのは、まだ殆どいないのが現状です。私自身、エネルギー業界でのバックオフィスや調達経験はあるものの、専門的なデータ分析のキャリアはまだまだこれからです。「エネルギー業界の知識・経験」と「データ分析」をかけ合わせた人材になることで、発揮できる価値をさらに高め、より貢献していけると考えています。

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私にとって仕事は「生きがい」に近いもの

最後に山口さんにとっての「仕事」とはどういったものか、伺わせてください。

私にとって仕事は「生きがい」に近いものだと思っています。時に困難に直面しながら、どうすれば解決できるか自分で考え、乗り越えていく。そして新しい価値を生み出し、多くの人に驚きを与えられる。そのプロセスは自分自身も成長させてくれます。

私自身、小さい頃から夏休みの工作やDIYなど、モノをつくるのが得意だったのですが、データ分析にも通じる部分があると感じています。自分の頭の中で創造したものを、プログラムや関数を組み合わせて作っていくところは、自分で思い描く「何か」を色々な材料やパーツを組み合わせて作り上げていく“モノづくり”の過程と同じです。それらの自分で作り上げたプログラムや関数等のツールを使って分析・検証した結果、それまで経験や勘だけでは把握できなかった事実や示唆を提示することができる。それがこの仕事の大きな醍醐味であり、生きがいにも通じている部分だと感じています。

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