INTERVIEW
東京都 戦略広報部|公募プロジェクト

東京都の「戦略広報」に活かす、民間企業での経験。培ったPR力で挑む、都民1,400万人の課題解決

掲載日:2023/07/03更新日:2023/12/14
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2022年4月、東京都庁に新設された「戦略広報部」。都の発信力強化を掲げ、全庁横断型の広報・PRを専門的に担う。2023年度、同部署の職員公募に際し、前年度の公募(AMBI経由)にて入庁し、活躍する奥山雄大さん(36)を取材した。なぜ、彼はPR会社大手から東京都でのキャリアを選んだのか。そこには「培ったPR力をパブリックセクターで発揮し、社会課題の解決に貢献したい」という志があった――。

広報・PRの力で、都民1,400万人の課題解決を

前職は、PR会社大手のサニーサイドアップグループ勤務していた奥山さん。なぜ、東京都「戦略広報部」への転職を決めたのか。まずはその理由から伺った。

広報・PRの経験を活かし、より社会にインパクトを与えられる場所はないか。一社の利益だけではなく、社会全体の公益を考えていける場所はないか。そういった意識で働くなかで出会ったのが、東京都「戦略広報部」の公募でした。

特に東京都の仕事に惹かれた理由は、パブリックセクターとして1,400万人もの方々の課題に向き合うスケールの大きさにあります。広報・PRの力で、その課題解決に取り組んでいく。まさに、そのための新設部署である「戦略広報部」は求めていた場所だと思いました。

もともと学生時代から「コミュニケーションの力で社会課題を解決したい」という想いがあり、前職も転職する直前まで携わっていたのが、女性のヘルスケアをとりまく課題解決をテーマにした新規事業の立ち上げでした。やり甲斐は大きかったのですが、プロジェクトが一区切りついたタイミングも重なり転職を決めました。

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東京都 政策企画局 戦略広報部 戦略広報担当課長 奥山雄大
千葉大学 建築学科を卒業後、2010年にPR会社・株式会社サニーサイドアップグループに入社。メディアリレーションや企画営業等の部署を経て、社長室副室長に着任し、自社広報ブランディング、ソーシャルグッド文脈での新規事業立ち上げ等に携わる。入庁後には、節電アクション等を推進する「HTT(電力をHへらす・Tつくる・Tためる)」における広報戦略の立案・実行、最先端のテクノロジー等を活用し持続可能な新しい価値を創出する「SusHi Tech Tokyo(Sustainable High City Tech Tokyo)」のコンセプト/ステートメント策定などに携わる。

自分なりのビジョン、そしてコンセプトを

こうして東京都「戦略広報部」への選考に進んだ奥山さん。選考において彼が意識したのは、自分なりのビジョンとコンセプトの言語化だ。

東京都の選考において「あなたならどのようなコンセプトで東京都の発信を行うか」といったお題が出たのですが、そこで意識したのは、自分なりのビジョン、そしてコンセプトだったように思います。

具体的に提出した案は「一人ひとりと、東京都。」といったもの。実は、そのままの言葉ではないですが、現在、東京都として発信しているさまざまなステートメントやメッセージにも活きているものとなっています。

そもそも、私自身、広報・PRパーソンとして「一人ひとりに伝える意識」を大切にしてきた背景もありました。誰のどのような意識や行動を変えたいのか。どう影響していけるか。家族や友人など、身近な人たちの顔を具体的に思い浮かべ、コミュニケーションを設計していく。まさに東京都に暮らしていた一員としても、都の広報活動に不可欠なコンセプトだと考えました。

日々暮らす都民からすると、日常において行政としての「東京都」を意識することはあまり無いですよね。そして、「空気や水のように、当たり前の存在ではあるが、無くなったら本当に困るものか?」と言われれば、まだまだそこまでにはなっていない。そういった意味で、私自身は「東京都」をいつも必要としてもらえる空気や水のような「ブランド」にしていきたい。だからこそ「一人ひとり」と向き合い、いつでもそばにいる存在になっていけるよう、取り組むべきだと考えました。

宮坂学副知事もよくインタビューで話をしていますが、行政の仕事に求められるのは「行列があったとして、一番後ろの人をいかに取りこぼさないように背中を押せるか」という部分にこそあります。つまり、広報を通じて、1,400万人・全都民の方々「一人ひとり」に必要な施策や行政サービスを伝えていく。これこそが東京都でこそできる大きなチャレンジです。

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「都庁のなかには、外部から来たからこそわかる価値のある取り組みがたくさんあります。ただ、やはりそれらが伝わりきっていない課題は大きい。第三者視点でその価値を見つけ、再定義・言語化し、発信していく。いかに“一人ひとりに伝わる言葉”にしていくか、ここを大切にしています」と奥山さん。

「東京都が変われば、日本も変わる」

そして2022年4月に東京都に入庁した奥山さん。戦略広報として、重要施策のコンセプトの立案、ブランドメッセージやステートメントの策定、コミュニケーション戦略の立案・実行などを担う。入庁後、大切にしてきた仕事との向き合い方があるという。

私たちが発信するメッセージや広報物で、職員と都民の方々をつないでいく。そしてより良い関係性をデザインしていく。ここを大切にしていますし、大きなやり甲斐につながっています。

あくまで私個人の考えですが、東京都が変わることで、日本も変わっていくのではないかとも考えています。東京都は1,400万人もの方々が暮らしていますし、予算も大きく、世界的に見れば「一つの小さな国」と言っても差し支えない規模感と言えます。変えていくことのできる範囲も広く、先進的な取り組みは全国の自治体から参考にしていただくこともあるなど、影響力も大きい。大げさに言えば、一つひとつの仕事が、日本をより良い方向に変えていく、そういった実感が得られる仕事だと思います。

やりがいの一方で、ミスマッチをしないためにも事前に知っておきたい「厳しさ」についても伺えた。

私自身の考えになりますが、私たちはいわば「東京都に足りなかったパーツ」を補うべく、入庁したプロフェッショナルです。いかに自走し、期待されている以上の成果をあげられるか。特定任期付職員として、最大5年間という限られた時間のなかで、どこまで課題を解決につなげていけるか。成果を出せるか。そのプレッシャーは常にありますし、責任感も求められます。

当然、民間企業とは異なるカルチャーや仕事の進め方もあります。戸惑うことはありますが「組織が異なれば、違って当たり前」ですよね。そういった「違い」は本当に些細なこと。行政であれ、民間であれ、やるべきことは変わらない。広報・PRのプロフェッショナルとして「達成したい目標」「解決したい課題」など、確固たる芯があれば、ブレることなく仕事に向き合っていけるはずです。

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2023年度、東京都における広報のあり方として「伝わる広報から、一人ひとりに伝わる広報」を掲げているという奥山さん。「2023年度は、受け手である“都民の目線”で考え、よりパーソナルにメッセージを届けていこうとさまざまな取り組みに力を入れています。職員にしても行政サービスの受け手の一人ですよね。まずはイチ生活者である自分自身が感じた課題とも掛け算し、どのようなメッセージが届くか、伝わるかを考えてみる。腹落ちし、自分の言葉として話すことができれば、より“一人ひとりに伝わる”メッセージになっていくと考えています」

子どもたちの世代が、より幸せに生きられる社会に

そして伺えたのが、今後の目標について。奥山さんが東京都庁で実現していきたいこととは――。

自分自身が携わったブランドメッセージなどが「届く言葉」として残っていく。やはりそれはうれしいですし、やっていきたいことです。ただ、それ以上に、私を「触媒」として都庁内にポジティブな広報の考え方を残していきたいと考えています。

現在、それぞれの部署ごとにそれぞれ広報・PR活動を行うケースも増えているのですが、まだまだ苦手意識がある職員の方もいます。そういった方々が楽しんで取り組める風土を作りたいです。いつも都庁内の研修でお伝えしているのは「広報の仕事は、昨日とは少し違う東京をつくること」というメッセージです。そう捉えるとすごくクリエイティブですし、おもしろい仕事ですよね。関わる施策やプロジェクトの大小はあるかもしれませんが、どれも「一人ひとりの都民」にとっては欠かせないものであり、伝えるべきもの。その価値を職員一人ひとりに知ってほしいですし、そういった仕事に携われるのは本当に幸せなこと。多くの職員に同じように感じてもらいたい。その結果、多くの人からの「このまちに住んでいてよかった」という言葉にもつながっていくはずです。

最後に伺えたのが、奥山さん自身の仕事観について。彼とっての「仕事」とは一体どういったものなのだろう。

自分が関わった前後で、社会に何かしらの変化をもたらすこと。自分が「触媒」となり、人・プロジェクト・そして社会が、良い方向に向かうこと。それが私にとっての「仕事」だと捉えています。それは大きなムーブメントを生み出すことでもあれば、たった一人の生活をほんの少し変えることかもしれません。

もしかしたら、社会を構成する要素でいえば、大きな変化はないのかもしれませんが、人と人が出会い、関係性が生まれ、誰かに影響し、影響され、その積み重ねが世界を変えるきっかけになるかもしれない。そのための多くの機会を得られるのも「仕事」だと思っています。

そして、自分自身に子どもができたことも影響しているのかもしれませんが、子どもたち世代にどういった未来を残すことができるか。少しでも今より幸せに生きていける世の中にしたい。日々の仕事を通じ、そういった社会を形作るために少しでも貢献をしていくことができれば幸せだなと思っています。

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