新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、ドローンの新たな活用に注目が集まっている。ドローン業界では現在どんな動きがあるのか。動向を見ていこう。
2020年2月以降、世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス感染。
「人」と「人」が近距離での接点を持つことが難しくなるなか、ドローン活用の新たな動きも出てきた。
たとえば、中国ではドローン配送会社が、ロックダウンされた集落に物資を配送。テラドローンのグループ会社「アントワーク社」は、医療物資のドローン輸送を実施している。
ニューヨークでは、公園を歩く人々に、ドローンが空中から「ソーシャル・ディスタンスを保つように」と呼びかけが行なわれている。
また、カナダのドローン会社では、パンデミックドローンといって、空から人々の健康状態をチェックする新たなドローンの開発を始めた(*1)。
いわゆる「アフターコロナ」の時代において、ドローン活用はさらに注目を浴びそうだ。
日本においても、ドローン活用に向けた動きは活発になっている。
たとえば2018年9月には、法改正によって、離島・山間部など空路の下に人がいない場所における「目視外での飛行」が解禁。過疎地などでドローンによる配送などが可能となった。
さらに「有人地帯」における規制緩和の動きも進む。2022年度に向けて、政府は都市部でのドローンサービス実現を目指す方針だ。
市場規模としても、2019年度に1400億円を突破。2025年度には6000億円を超える規模に達するとの予測もある(2025年度の市場予測:6427億円 *)。
具体的に、国内でどういったドローン活用の動きがあるのか。農業、物流、インフラ点検において見ていこう。
農業
農薬の空中散布、種まき、害獣対策などで実用化・普及が進む。ドローンを活用したオートメーション化サービスの開発・検証も進められており、「高齢化」「人手不足」「後継ぎの不在」など山積する課題の解決に期待がかかる。
物流
ドローンによる効率的な配送サービス実現に向け、各社が取り組みを活発化させている。
たとえば2018年9月から、日本郵政は福島県で郵便局間のドローン配送を展開(2019年3月までの期間限定)。2019年6月、楽天は西友と連携し、離島におけるドローン配送サービス開始を発表した。
インフラ点検
ダム、河川、水門などのインフラ点検にドローンが活用されはじめている。ドローンによる点検は、高い場所や人が近づきにくい場所でも大掛かりな設備を必要としない。そのため、大幅な費用削減が期待されている。
2019年には、総務省が自治体に向け、インフラ点検にドローン導入を促す方針を発表。さらにNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが参入するなど、普及に向けた動きは活発となっている。
それでは今、ドローン関連企業はどういった採用を行なっているのか。一例として、楽天の求人を見ていこう。
楽天
ドローンによる新規ビジネス立ち上げ部署で募集が行なわれていた。今、特に注力しているのが、「ドローンや陸を走行するロボット(UGV)による無人配送」の実現だ。募集ポジションの「ビジネス開発担当」では、ビジネス戦略策定から、ビジネスパートナーの交渉、サービス設計などを担っていくという。
同社は、全国各地で実証実験をはじめ、飛行管理プログラムの開発など取り組みを活発化。また2019年2月には、中国8省でドローン配送の日常運用を手がける「京東(ジンドン)集団」と連携するなどの動きもある。
ドローンで配送の新たなスタンダードをつくっていく、貴重な経験が得られると言えそうだ。
さらに、建設業界のDXを推進する「CLUE」、ドローンや衛星画像を活用した産業用リモートセンシングサービスを提供する「スカイマティクス」の求人も見受けられた。
ドローンはまだまだ成長途上の領域。本格的な普及が進み、ビジネスモデルが確立されていくのはこれから。いま、市場が立ち上がろうとしている領域に飛び込むことで、先駆者になっていく。未来予測がむずかしい時代だからこそ、可能性を見据え、先行してキャリアを考えたい方にとって、「ドローン事業」は選択肢の一つになるはずだ。
(*1)ドローンがコロナウイルス感染拡大防止に一役!世界で注目されるドローンの利活用
https://viva-drone.com/drone-covid-19-2020/
(*2)ドローンビジネス調査報告書2020
https://research.impress.co.jp/report/list/drone/500869