2021年、世界の宇宙市場は過去最高の約64兆円へ。2040年には1兆ドル(約135兆円)を超えると見込まれ、さらなる成長が期待されている。とくに商業利用への注目が高まり、民間企業の開発競争は活発に。米国などに比べ宇宙分野で遅れをとる日本だが、政府は市場規模の倍増を掲げ、スタートアップや研究機関へのサポートを強化している。官民での一体的な取り組みが、宇宙ビジネスの成長のカギを握るとされている。スタートアップから大手まで「宇宙」に関わる事業を展開する企業を、AMBIで掲載中の求人とともに見ていこう。
※2024年4月時点の掲載情報をもとに、AMBIで求人掲載中の企業を選定し、作成しています。各社の募集状況は、掲載時と異なる場合があります。ご了承ください。
ispace
天地人
Penetrator
SpaceBD
アークエッジ・スペース
アストロスケール
インターステラテクノロジズ
QPS研究所
さくらインターネット
アクセルスペース
月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業。月面探査プログラム「HAKUTO-R」に取り組み、2023年4月には日本初の民間主導のランダー(着陸船)による月面着陸へと挑んだ。2024年冬に再挑戦を予定している。また、2026年、最大300キログラムの輸送荷物を搭載できる月面着陸船を打ち上げる。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、200名以上のスタッフが在籍する。
JAXAの知的財産や知見を利用して事業を行うJAXA START UPとして2019年に設立。もともと農業IoTセンサーの開発を行なってきた代表取締役櫻庭 康人氏が、現役JAXA職員として衛星2基の開発に携わった百束氏と出会い設立。地上のデータと、衛星から取得できる幅広い宇宙のデータを合わせて分析することで、衛星データの活用の幅が広がるのではないか、と考えたことがコア事業『天地人コンパス』開発のきっかけとなった。2022年12月にはJAXAから初めて出資を受けた企業となった。
▼代表取締役の櫻庭 康人さんへのインタビュー記事はこちら
宇宙ビッグデータで「おいしい米」が作れる?!JAXA認定、衛星データベンチャー「天地人」の挑戦
「宇宙× 不動産」の領域で、「宇宙から地球の不動産市場を変える」というビジョンを掲げるJAXA認定スタートアップ。宇宙衛星データからAIを使って不動産取引につながる情報を自動収集する「WHERE」というサービスを開発・提供している。2023年7月からβ版をリリースし、サービス版を今年(2024年)リリース予定。ビジネス拡大に伴い、現在一人目のセールス担当者兼セールス責任者を募集している。
「宇宙商社」を標榜し、衛星打上げサービスをはじめ多様な宇宙関連サービスを展開する。2018年5月には、JAXAによる国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」民間開放において、初の民間事業者に選出。AI創薬を手掛けるインテージヘルスケアと共同で、宇宙実験とAI創薬を組み合わせた世界初の取り組みを進めるなど、民間企業とともに宇宙の産業化を進めている。
▼事業開発として活躍する藤村将成さんのインタビュー記事はこちら
宇宙の商業化を目指す。宇宙ビジネスの総合商社、Space BDが描く未来
超小型人工衛星「OPTIMAL-1」の開発を手掛ける東大発スタートアップ。2023年1月に宇宙空間へと放出され、無事に地球周回軌道への投入に成功している。ハードウェア事業だけでなく、人工衛星運用サービスの提供、関連するソフトウェア開発、教育・コンサルティングなどの各種事業を幅広く展開している。“誰もが衛星によるビジネスが可能な未来を”目指し、今後はIoT通信、地球観測、海洋VDES等に対応した人工衛星コンステレーションの構築に取り組む。
宇宙機の安全航行の確保を目指し、宇宙空間に存在する宇宙ごみ(宇宙デブリ)の除去などの技術開発に取り組む世界で唯一の民間企業。2024年2月、世界初となるデブリへの接近を開始。今回はデブリの状況を調査する技術実証を目的としており、第2フェーズはデブリ除去実証で、2026年度以降の打ち上げを目標としている。本社・R&D 拠点の日本をはじめ、シンガポール、英国、米国、イスラエルとグローバルに事業を展開している。
北海道・大樹町を拠点に、超小型ロケットの開発から打ち上げまで手がける。「誰もが行ける宇宙の実現」を目指して、世界一低価格で便利なロケットを開発。2019年5月、観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機」を打上げ、国内の民間企業で初めて宇宙空間に到達。さらに2021年1月、人工衛星開発の子会社「Our Stars株式会社」を立ち上げ、人工衛星の開発にも着手。2024年以降、超小型人工衛星打上げロケット『ZERO』の打ち上げを計画している。
2022年8月現在までの資金調達額は累計約82.5億円、日本国内のみならず、世界からも注目される九州大学発宇宙ベンチャー「株式会社QPS研究所」。今後、36機の小型SAR(合成開口レーダー)衛星を打ち上げ、2025年以降には任意のエリアの準リアルタイム観測データの取得を目指す。この挑戦は前人未踏、世界でもまだ類がなく、地球観測の新たな可能性として期待される。
▼代表取締役社長 CEO 大西俊輔さんのインタビュー記事はこちら
36機の人工衛星で準リアルタイムなデータ取得を。前人未踏、九州大学発宇宙ベンチャー「QPS研究所」の挑戦
経済産業省事業として衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース)」を開発・運用。民間企業をはじめ研究機関から、大学、個人まで、誰もが手軽に日本発のクラウド環境で大量の衛星データ、データ処理アルゴリズム、アプリケーションを活用できる。オープン化された“データ”をもとに、様々な業種業態から宇宙由来のデータを利活用したビジネスの創出を支援している。
JAXAの技術実証衛星を含む合計9機の小型人工衛星を開発。地球観測サービス「AxelGlobe事業」や「AxelLiner事業」の一環として、小型衛星の机上検討から設計製造、打ち上げ、軌道上運用までを手掛ける。2024年には実証衛星を打ち上げ予定。12月には約62.4億円の資金調達を実施し、累計調達額は約143億円に。今後地球観測サービスの強化、さらに、政府や民間事業者に向けた小型衛星開発・運用サービスの本格化などを進めていく。