INTERVIEW
デジタル庁|政策デザイン・組織設計・テック・リーガル「4領域」で初公募

デジタルの恩恵を、全ての人に。元市役所職員の彼女が、デジタル庁の「ルールをつくる側」を志すまで

掲載日:2024/07/08更新日:2024/07/10
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デジタル庁における民間人材公募にあたり、 2023年4月に同庁に入庁した西口真悠子さんを取材した。もともと市役所勤務(後に総務省出向)、外資コンサル、大手印刷会社(地方自治体・公共団体担当)など「デジタル × 行政」を軸に、さまざまな経験を積んできた西口さん。なぜ、彼女は次なるキャリアにデジタル庁を選んだのか。そこには、さまざまな経験のなかで芽生えた「ルールをつくる側に飛び込み、広い視点から課題解決していきたい」という熱き志があった――。

デジタル庁|政策デザイン・組織設計・テック・リーガル「4領域」で初公募

・中央省庁横断のデジタル改革の指揮を執るデジタル庁(2021年9月発足)
・ミッションは「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」
・目指すのは、世界水準のデジタル社会の実現(オンライン診療・服薬指導などの医療DX基盤構築、教育現場におけるIT端末導入、社会保障・税・災害対策におけるマイナンバーカードの利活用促進などあらゆる領域のDX化を推進している)
・2024年6月には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策定
・今回は「政策デザイン」「組織設計」「テック」「リーガル」の全4領域で初公募を実施へ

ルールをつくる側へ。常にあった「もどかしさ」解消のために

もともと市役所勤務(後に総務省出向)、外資コンサル、大手印刷会社(地方自治体・公共団体担当)と「デジタル × 行政」を軸にさまざまな経験を積んできた西口さん。デジタル庁を志望した理由の一つに「それぞれの仕事で感じてきたもどかしさ」があったと振り返る。

まず市役所で働いていた時代によく感じていたのは、住んでいる自治体によって「デジタルによって受けられる恩恵」に差があるということ。当時はまだまだデジタル化やデータ連携が進んでおらず、たとえば、戸籍謄本取得の手続き一つとってもデジタルでできるところもあれば、できないところもあったりして。市民の方からすれば混乱を招く場面も少なくありませんでした。こういった課題は一つの自治体だけが声を上げても、どうしても解決が難しいと感じていました。また、国と自治体のやり取りも「お互いの課題感を共有できればより仕事しやすくなるのに」「書面を通じたやり取りだけでなく、気軽で密なコミュニケーションを取れたらいいのに」など「デジタルに移行できればどれだけ便利だろう」と、どの職場でもずっと課題感を持っていたように思います。

より広く、理にかなうデジタル活用ができないか。みんながデジタルの恩恵を受けられるにはどうすればいいか。そういった課題に向き合うなかで出会ったのが、デジタル庁の募集でした。デジタル庁は新しい組織でもありますし、フラットに自治体や事業会社ともコミュニケーションが取れるのではないか。「国」という立場からより便利で合理的なルールや仕組みをつくっていけるのではないか。そう考え、デジタル庁への入庁を決めました。

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西口真悠子/デジタル庁 広報総括・サービスデザイン総括・オープンガバメント
大学を卒業後、大阪府内の市役所に入職。最初の5年間は主に情報部門に所属し、2020年に総務省へ1年間出向し、自治体向けのセキュリティ業務に従事。その後、外資系コンサルティング会社に転職し、公共サービス部門に所属。2022年に大手印刷会社に転職し、自治体向けサービスの企画、デジタル化推進などに従事。その後、2023年4月にデジタル庁 入庁。現在に至る。

「やりたい」が原動力。デジタル庁にある豊富な挑戦機会

こうして2023年4月にデジタル庁への入庁をした西口さん。そのミッションは広報総括、サービスデザイン総括、オープンガバメント、調査・企画など多岐に渡るという。業務の一部について教えてもらうことができた。

わかりやすいところだと、年に一度「デジタル庁の年次報告資料」を発信しているのですが、去年はそのプロジェクトをリードしました。各チームにその1年で取り組んだことや成果をまとめてもらい、報道チームがわかりやすい文章にする。そこからデザイナーがデザインに落とし込み、またそれぞれチェックをしてもらい、公表できるものにしていく。そういったプロジェクトの進行や交通整理のような業務も多いのかなと思います。

入庁後に意外だったのは「さまざまな挑戦の機会があること」だと西口さんは語る。

入庁後、しばらくしてから「自治体とのコミュニケーションの課題を解決したい」という話を上司にして。「それならオープンガバメントチームのプロジェクトもやってみる?」と取り組ませていただけることに。正直「そんなに軽くていいの?」くらいの温度感でしたね(笑)

実際、さまざまな自治体のICT担当職員の方にお話させていただき、勉強会・イベントなどを企画し、実施できることになりました。じつはそれも今ではミッションの一つになっており、さまざまな自治体の課題に対応したチャンネルをSlackで作り、フラットにコミュニケーションを取っているのもその一貫と言えます。勉強会やイベント、オンラインでのやり取り・相談により、自治体同士の「横のつながり」が増えたのもすごく良かったことの一つです。「どう業務効率化しているか」「どんな苦労があるか」「システム活用の失敗事例が知りたい」など、生の声が拾えるようにもなってきました。ある意味、肩の力を抜いて参加できるような場になっているのですが、「まずはやってみよう」と挑戦ができるのもデジタル庁で働くおもしろさだと思います。

私自身も参加させていただくなかで「課題解決につながった」という声が聞けるのはすごくうれしいです。もっといえば「デジタル庁のことを自治体がどう見ているか」といった意見もいただけますし、耳の痛い話も含め、次につなげていける。そもそも人と会うこと、コミュニケーションがすごく好き。こういったオープンガバメントチームの取り組みも、広報やサービスデザインも、根本にあるのは「コミュニケーションをデザインすること」なのかなと思いますし、こんな風に課題に思っていたことが、少しずつ解消され、前に進んでいける。そう感じられるのはデジタル庁で働く大きなやりがい、醍醐味になっています。

西口真悠子さんの業務一例について

広報総括・サービスデザイン総括
・報道、マーケティング、SNS、庁ウェブ、サービスデザイン等を総括業務
・予算案や管理、調達、国会対応、年次報告資料作成のPMO等

オープンガバメント
・国⇔地方公共団体のコミュニケーションを促進するためのプラットフォーム運用、利活用促進業務
・地方での勉強会開催、イベント等でのプラットフォーム周知等

調査・企画
・重点計画の策定に向けた業務
・有識者ヒアリングの調整、調査に関する調達等

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「やりたい!を発信していくことでどんどんやらせてもらえるのも、デジタル庁の組織カルチャーだと思います。機会に恵まれているし、私にとってはありがたいなと思います。昨年も上司の海外出張に「同行してみないか」とお声かけいただき、「ついていきたいです!」と同行させてもらいました。だから仕事も増えてしまう(笑)何よりいろんな人と働けるし、新しい世界を広げていける。何でもやってみないとそのおもしろさに気付けないですし、学べないので、いろいろなことに飛び込むようにしています。」

いかに「多様性のある組織」でプロジェクトを成功させるか

続いて伺えたのは、ミスマッチをしないためにも知っておくといい「厳しさ」について。一見するとポジティブに捉えられる「多様性のある組織」。バックグラウンドや専門性、考え方、価値観など、さまざまなメンバーとどうスピード感を持ってプロジェクトを進めるか。西口さん自身はそこに難しさを感じるという。

あくまでも私が感じるむずかしさ、厳しさですが、デジタル庁はものすごいスピードで拡大していますし、職員たちのバックグラウンドもさまざまです。当然、前提として持っている情報、理解度にも差があり、考え方、価値観、立場、見えている景色が違うことも少なくありません。どうしても意見が食い違ったり、着地しなかったりすることも。さらに国の政策として動かしていくものが大半なので、スケジュールもこちらではコントロールができないし、品質も求められていく。そういったなかでどう連携を取るか。落としどころを見つけるか。ここは日々向き合っているところです。

じつは入庁前の面接でも「考え方、立場、利害が異なる職員同士の意見が衝突した場合、どのようにして解決を図りますか?」といったような質問があったのですが、そういった場面は本当によくあるんだなって(笑)結果的にはそれがまた新たな視点をもたらし、議論が深まったり、別の解決策につながったりする場面もあります。さまざまな個性と才能が集まった組織ですし、そういった部分を含めておもしろいと感じられるか。ここは大切な素養とも言えるのかもしれません。

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「民間企業との違いも多いので、そこは事前に知っておくといいのかもしれません。」と西口さん。「たとえば、守らなければならないルールや制約があったり、多少の変更でも時間を要したり、差を感じることもあるかもしれません。予算要求や国会対応など、その期限までに必要なものを全て用意が必要。いかに限られたスケジュールの中でまとめきれるか。正直、最後は根性やガッツの部分もありますね(笑)」

「もっと国が動いてくれたらいいな」を自分で動かすために

そして取材後半に伺えたのが「仕事を通じて実現していきたいこと」について。

入庁の動機とも重なるのですが、これまでの仕事のさまざまな場面で感じた「もやもや」を改めてどんどん消化していきたいなと思っています。「これって不便だな」「もっと国が動いてくれたら働きやすいのに」と思うことを、主体者として自分で動いて変えていきたいなと思います。この仕事でいえば、自分自身も国民なので、もやもやしていること、怒っていることが仕事の原動力になるんですよね(笑)そこから生まれた「便利」は広く、誰かのためになるもの。例えば、家族、たまたま電車でとなりに座った人。もしかしたら自分が推すアイドルも、デジタルによって生活が便利になり、心が豊かになっているかもしれない(笑)。巡り巡ってきっと誰かの役に立つはず。そういったところも私の中ではすごくモチベーションになっていますし、やっていきたいことです。

そして最後に伺ったのは、西口さんにとっての「仕事」とは何か。その根本には「チームで協力しながら一つのことを達成していく楽しさがある」と彼女は語る。

仕事は人生を充実させていくために必要なものだと思っています。むしろ最近は仕事ばかりなので、人生そのものなのかもしれませんね(笑)なぜこんなにも熱中できるのかといえば、仕事を通じて、とにかくいろいろな人と話をしたり、ディスカッションしたりするのが好き。何かしら目的やゴールがあって、チームで協力して向かっていくことそのものがすごく楽しいのだと思います。もちろんプライベートでもそれはできるかもしれませんが、仕事だからこそ出会えたさまざまな人たちと思いを共有しながら、継続的に進んでいきたい。デジタルの領域でいえば、課題は尽きることがないですし、目指すべき目的やゴールもたくさんある。こういった環境を最大限に楽しみつつ、より多くの人たちの役に立てるよう、チームで協力して前に進んでいければと思います。

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