さあ、街から未来をかえようーーをビジョンに掲げる三井不動産が総合職を募集する。2022年11月に総合職として入社した藤原希望さん(34)にお話を伺った。なぜ彼は、次のステージに三井不動産を選んだのか。そして得られる仕事のやりがいとは。彼が担当する、日比谷エリアの再開発プロジェクトを事例に伺った。
まず、三井不動産の入社の決め手とは。
実行責任をもつ事業会社で、街づくりに「戦略」から関わりたい。そして、海外駐在のチャンスがある環境に身を置きたい。この2つの希望を満たしていたのが三井不動産でした。せっかく勝負するなら、日本を代表する企業で働きたいという思いもあったので、入社を決めました。
また私自身は、いろいろなことにチャレンジして、スキルアップしていきたいタイプ。そういう私にとっては、三井不動産の、総合職でどこに配属されるかはわからない、かつ3~5年おきにジョブローテーションがある環境は、フィットするのではないかと考えていました。そういった自分の志向性は面接でもお伝えしましたし、実際に面接官からも適性を評価してもらえたのではないかと思っています。
そもそも「街づくり」に興味を持った理由とは。
前職のITベンチャーで働いていたとき、渋谷におけるデジタル活用支援に関わるプロジェクトを担当したことが大きなきっかけでした。単にネットでの送客支援に止まらず、街というリアルな場に技術を実装していく部分に携わったとき、デジタルとリアルを融合させていくことで、よりリアルな体験を向上させていけるかもしれない。ひいては、より社会をアップデートさせていけるかもしれない。そういった、今までに感じたことがなかったような手触り感、手応えのようなものを感じて。もっと街づくりを追求してみたいと強く思うようになりました。
2013年、新卒でヤマハ株式会社に入社。海外駐在・商品企画・マーケティングに従事。2018年に、株式会社サイバーエージェントへ入社し、インターネット広告サービスの企画・開発、オンライン・オフラインの融合した事業の企画・開発に関わる。2022年11月より現職。日比谷の再開発プロジェクト「TOKYO CROSS PARK構想」を担当する。
「TOKYO CROSS PARK構想」
▶日比谷駅周辺(内幸町一丁目街区)の再開発プロジェクト。都心最大級の延床面積約110万m2の開発プロジェクトであり、約16haの日比谷公園とつながるとともに、北地区・中地区・南地区の3つの地区で構成し、オフィスや商業施設、ホテル、住宅機能等を備える予定。完成は2037年以降を予定している。
▶手掛けるのは、三井不動産を含む全10社(NTTアーバンソリューションズ、公共建物、第一生命保険、中央日本土地建物、帝国ホテル、東京センチュリー、東京電力ホールディングス、日本電信電話、東日本電信電話)。街づくり、デジタル、おもてなし、well-being、カーボンニュートラル・防災等それぞれの分野の強みをかけあわせて、新たな価値創造や社会課題解決を推進する次世代スマートシティを目指す。
三井不動産で働くなかで感じる「やりがい」とは。
なんといっても、スケールが大きな仕事ができること。これに尽きるのではないでしょうか。何万人、何十万人という人々に、リアルに見て、使ってもらえるものに関われる。その人たちに新たな体験を届けることができる。それも、後世にも残りつづけるものを手掛けられる。三井不動産だからこそ得られる醍醐味であり、やりがいだと思います。
たとえば、私が現在担当しているのが、日比谷エリアの再開発プロジェクト「TOKYO CROSS PARK構想」です。隣接する日比谷公園と当街区を道路上空公園でつなぎ、日比谷・内幸町エリアの回遊性を高めていくことで、周囲に開かれ、公園と一体となった緑と水の豊かな空間に人々が集まり、安心・安全に心地よい時間を楽しむことができる、ウォーカブルな街づくりを実現します。日比谷という街は、大手町・丸の内・有楽町・銀座・霞が関・新橋といった様々な特性をもつ都心主要拠点に囲まれており、じつは非常にポテンシャルを秘めた街。この立地を活かし、働く、遊ぶ、憩う、滞在する等あらゆる目的を持つ人々が交流し、唯一無二の体験ができる街にしていければと考えています。
このスケール感、仕事の影響度の大きさには、圧倒されました。全社として新グループ経営理念として「まちから未来をかえよう」と発信していますが、三井不動産なら本当に社会をアップデートしていける。そういった期待感を持って働けていますし、大義ある仕事をしているという実感・使命感はどんどん高まっていますね。
同時に、入社してからというもの、常に「これを実装したら社会はどうなるか」という視点で物事を考えるようになりました。自分でも良い意味で変わったポイントだと思います。
藤原さんのプロジェクトにかける思いについて。「これは個人の意見ですが内幸町1丁目というエリアは、周りの個性豊かな街と比べると、よくもわるくもあまりカラーがない街だと捉えています。ここを、誰もが来たくなるような風通しの良く、温かみのある街にできたらいいですね」
一方で、厳しさとなりうる点についても触れてくれた。
新たな施設の開発プロジェクトというと、キラキラとしたイメージがあるかもしれませんが、その裏では、かなり泥臭い側面もあるということは覚悟しておいた方が良いかもしれません。
私が担当している日比谷の再開発プロジェクトで言えば、当社を含む「10社共創」で進めているものになります。各社それぞれが社運をかけて取り組む一大プロジェクトですし、各担当者も会社の看板を背負いフロントに立っているわけです。だからこそ、それぞれの意見がありますし、意見が対立し、協議が停滞することも。大人数のミーティングを想像してもらえばわかるかもしれませんが、人数が多くなればなるほど、意見はまとまりにくいですよね。そうしたなかでも物事を前に進めていくにはどうしたらいいのか。
私もまだ学んでいる最中ではありますが、まずは、各担当者がそれぞれ看板を背負って仕事をしていることを理解し、尊重すること。そのうえで各社それぞれへの調整・交渉を行ない、こまめにコンセンサスをとっていくこと。この2つの考え方・スキルが重要になってきます。
三井不動産の人は、こうした立ち回りに長けている人が多い。決して簡単なことではないと思うのですが、そこに厭わず粘り強く向き合える人が多い。優秀な人に学ぶ機会があることは、有難い環境ですね。
藤原さんの転職前後での働きがいの変化を示すグラフ。
三井不動産で活躍していくうえで必須なスキルとして、「物おじせずどんどん質問する力」を挙げてくれた。「たとえば、私が担当する日比谷のプロジェクトは2008年から始まっています。これだけ長いプロジェクトになると、細部の話になると、どういった背景で決まったのかなどの経緯まではわからないことも。その都度、当時担当していた先輩社員に時間をもらい、電話や対面でお話を聞いて情報を捕捉していくといった動きも必要です。私自身はあまりつまずいたことはないですが、中途入社だと特に最初は社内の人間関係を把握するにもそれなりに時間がかかりますし、声をかけるのに躊躇してしまう人は苦戦するかもしれません。また、リアルなものをつくっていく会社ならではかもしれませんが、対面でのコミュニケーションを大事にする傾向があります」
続いて、今後の目標について。
入社から2年、濃い時間を過ごせていますが、まだまだ吸収していかなければならないことはたくさんある。まずは三井不動産の強みをきちんと自分のものにしていきたいです。たとえば、不動産投資における利回りや収益、成功率、リスクなど数字感覚を養っていくことも、大事だなと思っています。また、オフィスビル、商業施設、ホテル・リゾート、住宅など幅広い部門があるので、いろいろなプロジェクトを経験して幅を広げていきたい。海外駐在のチャンスが巡ってきたときのために、しっかりとスキルアップして土台を固めていきたいです。
最後に、藤原さんにとって「仕事」とは。
仕事とは、「成長と自己実現をする過程で社会に貢献すること」と捉えています。こうありたいという理想と、現状。そのギャップを埋めるにはどうしたらいいだろう、自分に足りないのはどこだろう、と考える。そのギャップを埋めることができたら「自己実現」と言えるかもしれませんが、それだけではどうしても自分だけに閉じたものになってしまい、寂しい。自分の成長が社会貢献にもつながっていく。そういった良い循環を回していきたいと考えています。
そして、私個人の理想で言えば、昔から一貫して「笑顔で生活できる人を増やしたい」という思いがあります。というのも、幼少期はアメリカに住んでおり、日本語も英語もわからない環境にかなり苦戦したのですが、音楽のおかげで言葉はわからなくても次第に仲間ができて、自然と笑えるようになったという原体験があって。だから1社目では音楽で人をもっと笑顔にしたい、と楽器メーカーに就職しました。そのうち、もっと音楽をたのしむ人を増やしたいという思いからデジタルマーケティングに興味をもちITベンチャーへ。そしてデジタルマーケティングのスキルを使ってより多くの人を笑顔にできることを考えた結果、今は三井不動産で「街づくり」をしています。こうしてみると、どんどん社会への影響力の範囲を広げていくのと同時に、自分自身もスキルアップできている実感がある。これからも、笑顔で生活できる人を増やしていくために、より社会への影響力が大きい仕事に挑戦していきたいです。