INTERVIEW
スタイルブレッド

なぜ「パン」の会社に転職?スポットワークベンチャーIPO経験後、老舗企業の変革に挑む戦略的キャリア

掲載日:2025/06/27更新日:2025/06/27
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大正時代創業、群馬生まれのパンメーカーが、業態を変えて急成長している。その名は「スタイルブレッド」。焼きたての最高の状態で急速冷凍したパンを、主に星付きのホテルやレストラン向けに提供する。その営業本部長を担う柳泉優樹さん(27)にお話を伺った。もともとスポットワーク事業で新規上場(IPO)を果たしたタイミー社で働き、事業開発を担ってきた人物でもある。なぜ彼は次なるキャリアに「パン」の会社を選んだのか。そこには「歴史ある会社の第二創業フェーズに関わることで、自身の成長と将来の糧にしたい」という思いがあった。

スタイルブレッドとは
群馬県桐生市の大正時代から続くベーカリーを母体とする企業。四代目でもある田中知 氏が代表を務め、伝統を受け継ぎながらも革新を追求している。田中氏は、高級ホテル・レストランにふさわしいパンを作りたいという思いから、「パンを通じて上質な時間を創り、パンを通じて⼼の贅沢を創る。」を企業理念に、2006年にスタイルブレッドを設立。業務用の冷凍パンの販売をスタートさせた。

スタイルブレッドの最大の特長の1つは、冷凍パンの中でも珍しい「焼成後冷凍パン」を提供している点だ。焼きたてのパンを‐45℃で急速冷凍することで、つくりたての食感や香りを閉じ込めることに成功。トースターで焼くだけで手軽に一番おいしい状態のパンを味わえる。その新鮮なパンは、星付きレストランや有名ホテルのシェフが使う「プロ用のパン」として多くの料理人から支持され、2025年現在、全国約4,000社以上の ホテルやレストランで採用されている。

さらに、メーカーには珍しく、卸業者を介さず直販で提供している点も大きな特徴だ。北海道から沖縄まで全国に営業支社を配置し、単なる商品提供にとどまらず、ビュッフェでのパンの配置方法・バスケットや木箱を使った魅せ方の提案など、きめ細やかなコンサルティングを行なう。このような徹底したサポート体制が、顧客からの信頼をさらに高めている。

また、2018年には一般消費者向けにオンラインストアを立ち上げ、家庭でも簡単に本格的なパンを楽しめるように。業務用市場で培った技術と品質を家庭向けにも応用し、幅広い層から支持を集めている。

スタイルブレッド(サービス画像)

高級なコース料理において、パンは主役ではなく料理を引き立てるもの。そのため、スタイルブレッドのパンは、美味しいけど素朴で、色々な種類を食べてもお腹いっぱいになり過ぎない、小ぶりなサイズ感のものが多い。また、素材や産地はもちろん、手作りで職人が作るなど、細部にもこだわりが詰まっている。

スタイルブレッドには、勝負できる土俵がある

スポットワーク事業のタイミー社を経てスタイルブレッドに入社した柳泉さん。その入社までの経緯とは。

前職のタイミーでは、事業部長として、オペレーション構築と組織のグロースを担い、非常にやりがいはありました。ただ、もともと将来は投資と経営改革によって事業成長を後押しする事業をしたい思いもあり、IPOを経験後、少しずつ次のステージについて考えるように。その矢先に、たまたま前職の上司でありスタイルブレッドの役員でもある川島と会う機会があり、話を聞くうちに、その「ビジネスとしての可能性」に惹かれたんです。

特に興味深かったのが、一度導入されるとなかなか解約されないほどの「商品力の高さ」。そして、いわずもがな「食」における主要3品目の1つゆえに市場は国内外に広がっており、すでに海外売上も立っていること。冷凍庫の需要は増加し、冷凍食品市場も好調で追い風であること。さらには、こうした好条件が揃っていながら、営業組織の体制構築はまだこれからというフェーズであることでした。

話を聞くほど、この環境なら自分の強みでもある、事業のオペレーション構築と組織グロースの知見を活かせるかもしれない。自分が入ることで、もっと伸ばしていけるのではないか。そういった気持ちが高まっていったのを覚えています。

また、ITベンチャーではできなかった経験を積み、将来の糧にしたい思いもありました。というのも、パンという「有形商材」を扱う場合、原材料の仕入れや為替リスク、工場での加工、保管、輸送といった多岐にわたるプロセスが伴います。営業として、これらをすべて考慮したうえで利益率を確保していかなければならない。それは、難易度が高い分、チャレンジのしがいがある。必ず、将来自分が提供できるバリューの幅を広げるチャンスになる。そういった確信もあり、入社を決めました。

スタイルブレッド01

「学生時代から将来は起業家になると決めていました。きっかけは、DeNA創業者の南場智子さんの著書『不格好経営』を読んだことですね」と話す柳泉さん。「その本で起業時の失敗談、泥臭い創業秘話に触れ、『それほどまでに人を夢中にさせる経営・起業とはどんなものなのだろう』と興味を持ちました。また、大学受験に失敗したコンプレックスも大きかったと思います。仲間の中で自分だけ第一志望に行けなかったことが悔しくて、社会人になった時に『自分が劣っている』と思いたくなかった。漠然と『エリートになってやる』という気持ちがありました。その思いから、学生時代からVCにピッチをするなど、起業に向けた活動をしていました。その中で、たまたま同い年の学生がスポットワークベンチャーを立ち上げると知り、大学2年から創業メンバーとして参画することになったんです」

パンで「DX」に匹敵する変革を

働くなかで感じるやりがいとはーー

現在、ホテル・レストラン向けの営業統括を担うなかで「パンにはこんなポテンシャルがあったのか」と驚くと同時に、大きなやりがいにつながっています。

特に嬉しかったのが、スタイルブレッドの冷凍パンを導入することによって「パンの仕込み時間が短縮されて、調理スタッフの出勤時間が30分遅くなり残業時間を削減できた。早起きが減ったことでスタッフの満足度も上がり、離職防止にも一役買っている」というお声をいただいたことでした。

ホテルの現場では、冷凍パン生地が使われていることも多く、その場合、解凍だけでも20~25分はかかります。さらに、解凍後の成型、焼きの工程も含めると明け方から準備を始めなければ朝食ビュッフェ開始に間に合いません。ただ、スタイルブレッドであれば、解凍時間はわずか3分。夜のうちに常温解凍しておけばさらに手間が省くことができ、より現場スタッフの負担を減らすことが可能です。まさに、いわゆるDXのような変革を起こしていけると言っても過言ではありません。

さらに、焼き加減のチェックなど専門的な技術も不要なので、誰が焼いても高いクオリティを担保できる点もポイントです。これは、中長期で見れば、スタッフの育成・採用コストの削減にもつながります。人材不足によってサービスのクオリティ担保が重要課題となる今、非常に喜ばれています。

柳泉さんは、これからの事業フェーズについて「さらにチャレンジのしがいがある」と語る。

これまでは高級ホテル・レストラン向けに提供してきましたが、実は今、ビジネスホテルでも導入が進んでいく兆しが見えてきています。

背景にあるのが、インバウンド需要によるビジネスホテルの宿泊単価の高騰です。これにより、宿泊客はよりシビアに比較してホテルを選ぶようになっており、ビジネスホテルでも、設備、ホスピタリティ、食事などの「クチコミ」評価を上げていくことに注力しているんです。

この波に乗り、我々は食事領域で、クチコミ評価アップに向けて伴走していく。パンメーカーでありながら、ホテルの経営にまで影響を及ぼしていける存在を目指していきます。

同時に、新たな課題も見えてきました。たとえば、ビジネスホテルと高級ホテルで提供するパンが同じでいいのか、ブランド戦略は検討の余地があると考えています。加えて、商品アイテム数を拡充し、より顧客のニーズに応えられる体制を構築していくことも重要です。現在の取り扱いは60アイテムほどですが、海外の冷凍パンメーカーを見渡せば、商社機能も持ち1000アイテム以上を取り扱うような会社もある。そう考えると、今後はパンだけではなく、他の食材にも広げていく選択肢もあるかもしれません。

取り組むべきことはまだまだたくさんある。「チャレンジのしがいがある」と捉えています。

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柳泉さんの、転職前後での働きがいの変化を示したグラフ。「将来、事業の立て直しに関わる事業で起業したい自分にとって、大正時代から続く企業の第二創業期に関わることは、まさに将来やりたいことの疑似体験をしているような感覚。スタイルブレッドで課されているミッションは、自分の描くキャリアビジョンと見事に重なっているため、Ambitions(志)は高まりました」と柳泉さん。

私たちは、日本を代表するブレッドカンパニーになる

そして、今後の目標について、彼自身の仕事観と合わせて語ってくれた。

1つは、スタイルブレッドの商品を、より生活に根付かせていきたいです。宿泊先はもちろん、家庭でも、あらゆる食シーンにスタイルブレッドのパンがある状態をつくり、より多くの人に、生活のなかで「上質な時間」を味わってもらいたい。これをやり切れたとき、スタイルブレッドが掲げる「日本を代表するブレッドカンパニーになる」というビジョンが実現できるのかなと思っています。

もう1つ、営業部長という立場で言えば、高い営業目標にコミットしていくだけではなく、メンバー1人ひとりの成長や自己実現につながるような環境をつくっていきたいです。

というのも、私は前職のタイミーで働けたことを、「素晴らしい宝くじを引いた」と捉えているんです。ものすごいスピードで会社が成長していて、社会貢献性もあり、熱量をもって働く同世代の仲間と出会えた。掛け替えのない尊い経験でした。同じような環境を他の会社でもつくることができたら、それは日本にとっても、人々にとっても、プラスになるのではないかと考えています。

だから、まずスタイルブレッドの営業組織で実現していく。決して簡単な道ではありませんが、「大変だったけど、振り返ってみたらすごく成長していた。自分のキャリアが広がっていた」と思えたとしたら、それは素晴らしいことだと思います。そう思ってもらえるような組織を目指していきます。

私にとって「働く」とは、単にお金を稼ぐための手段ではないんです。誰かに貢献すること、身近な人に「ありがとう」と言われること、自分ができなかったことができるようになること。これらが私の原動力です。同じような思いを持つ方と働けると嬉しいですね。

最後に、転職活動中の読者にもメッセージをくれた。

少しでも「楽しそう」「この会社のフェーズが面白そう」「成長したい」といった気持ちが湧いたら、その気持ちは大事にしたほうがいいと思います。

私自身、最初の入り口は「なんか面白そう」という漠然とした気持ちで飛び込んできたように思います。

前職のスポットワークは、便利なサービスだとは思いましたが、最初から「これに人生を捧げたい」と思っていたわけではない。現職も、入社前はパンに特別な思い入れがあったわけではありません。でも、飛び込んでみると、気づけばやりがいを感じ、熱中している自分がいました。

だから、あまり重く捉えすぎず、興味が湧いた企業にまずは話を聞いてみるといいと思います。世界が変わるきっかけになるかもしれません。そのなかで、もしスタイルブレッドに興味を持っていただけたなら、ぜひ一度お話ししましょう。

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